別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

ノア・ノア

2009-07-24 | アートな時間
「女性と白馬」晩年の作品

  東京国立近代美術館の
    ゴーギャン展  
  本物にはじめて出会い あらたな感動をした。   

  訪ねたゴーギャン美術館に原画はなかった。 作品は世界中に散らばっている。
 写真で感じるようなどぎつさはなく、 明るい色と丹念な筆触に感動する。 野生にひそむ爽やかさ、 やさしさがこころを打つ。  モームの月と6ペンスでゴーギャンの印象は変わってしまうが 実は子煩悩だったことも添えたい。 

                -☆-

  雨具をたずさえて美術館まで流れ着く。 東京駅からはシャトルバスに乗って。 こころ躍らせる人達と並んだ。 未だ空いている。 女学生のグループ、 車いすの老人、 寄り添う婦人… 静かな足どりで じっと 熱い視線を送った。

  
  初期は印象派風、 ケルト民族の伝統が息づくフランス、ブルターニュ地方との出会いが作風を変える。  風景は色面の組み合わせ、 色彩の帯が魅力的だ。 どの作品も、 どの色も、 すべてが快い。

  「西欧文明によって失われつつあるタヒチの歴史や文化に、 自らの「野蛮人」 としての感性を重ね合わせた。 タヒチの風土やキリスト教的なモチーフ、 古今東西の図像が豊かに混じり合っている」 パンフレットより

 大作のまえで 自問する。

 我々はどこから来たのか? 我々は何者なのか? 我々はどこへ行くのか?

   

 人生をかさねても  なかなか答えは見つからない…  
   絵画として、作品として隈なく見つめる。    

  モンフレーへの手紙によれば 

  私はこのタブローが これまでのどの作品よりも高度であるだけでなく、これ以上のものも、あるいはこれに匹敵するものも 二度とつくることはできまいと思う。

モンフレーへの手紙

  生と死 文明と未開など考える。  
  ノア・ノア…  かぐわしき大地。 守り、 後世に残したい。 
  我々は どこへ行くのか…

  常設展のほか 企画 「寝るひと・立つひと・もたれるひと」 も楽しい。 一枚の平面、そのなかの絵画。 上下左右の認識。
  工芸館 涼しさ招く作品。 薄もの、白地に模様染の爽やかさ。 芭蕉布、麻。  藍染の涼味。 白竹の清々しさ、 銀の冷たい感覚。 磁器やガラスの透明感。 作品に触れることは出来ないけれど 鍛金のヒンヤリした感触。 くるみ縫い。

  北の丸公園 楠にアオスジアゲハが群れている。 桜並木に蝉の声。 ちいさなニイニイゼミだった。
  忙しく 有意義な一日。 7/23

 

 

 

コメント (2)
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