別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

トンボの眼

2009-07-06 | 別所沼だより

    朝食のあいだ外を見ていると  何かスーッと舞い降りた。
   赤とんぼにしては 色が薄い。 秋には濃くなるのかしら
      平均台のアスリート。


 

      蜻蛉の舞ひ澄む真向横向きに  泊雲

    つま先立ちで なかなかこちらを見てくれない

 

 

     蜻蛉トンボウの夢や幾度杭の先   漱石

      じれったいなあ… ぜったい近くにとまらない
       太公望でにぎわう さぎ山記念公園   
      黄色が目立つのは ギンヤンマか  さっぱり分からないけど


     ラリックの透かし彫りをおもわせる精緻な羽根。 背面にコバルトブルー 
  エメラルドグリーン  アジサイ色のからだ、 みずいろ眼鏡…
   シオカラトンボは 陸にあがって冷えた体を温めているのだろうか 
   睡蓮が絵のようだった見沼自然公園で

   
  並べてみれば どれも後ろ向き。  みんな2mも離れたところにいる。 ホバリングしたり、 追いかけっこしたりするけど、 写真は静止画ばかり。
   
  ルナールによると 蜻蛉は眼を患っているらしいのだ。 
 
  彼女は眼病の養生をしている。
  川べりを、あっちの岸へ行ったり、 こっちの岸へ来たり、 そして腫れ上がった眼を水で冷やしてばかりいる。 じいじい音を立てて、まるで電気仕掛けで飛んでいるようだ。


  きれいになった数ある瞳に、 とおい景色やさざ波を映しているに相違ない。
  確かに じいじいいった。 フェイントもうまい。 こっちに来ると思うやいなや急旋回して、 すっぽかされてしまうのだ。 
   
  挿絵 博物誌から  ボナール画。
  あの ボナールかな  ナビ派の…  
  画家の妹 アンドレ・ボナール嬢には 遇ったばかりだ。
    

 

コメント (5)
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