風は 或るとき流れて行つた
絵のやうな うすい緑のなかを、
ひとつのたつたひとつの人の言葉を
はこんで行くと 人は誰でもうけとつた
ありがたうと ほほゑみながら。
開きかけた花のあひだに
色をかへない青い空に
鐘の歌に溢れ 風は澄んでゐた、
気づかはしげな恥らひが、
そのまはりを かろい翼で
にほひながら 羽ばたいてゐた…… (後略)
Ⅰ 憩(ヤス)らひ ― 薊のすきな子に ― 立原道造
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沼の水が汚れている。 気温があがるにつれて水面はアオコ、 青い藻のようなのに覆われる。 水質浄化は進まないのだろうか。 4年くらい前からはじまった試験、 ブロックもまだはずされない。 沼が赤茶けた色に染まる日もあった。 こころが痛む。
風はこれほど澄んでいる。 メタセコイアが涼しげな顔で、 すらりと出迎える。 その枯葉はいつも水底に積もっているのだろうか。 アオコは植物性プランクトンのしわざ、 水の華ともいわれる。 とんだ美人じゃない。
早く きれいな水になってほしい。 蛙もカワセミも待ってるよ
ひとけのないハウスを、 紫陽花はしずかに見守った。
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見沼では 蓮や睡蓮が咲きそろう。 水辺に花がよく似合う。
ヤブカンゾウ も競いあう