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ドアの向こう

日々のメモ書き 

緑に

2009-04-28 | 別所沼だより
合成写真

             ある日 悲哀が私をうたはせ
             否定が 私を酔はせたときに
             すべてはとほくに   美しい
             色あひをして  見えてゐた

             涙が頬に かわかずにあり
             頬は痛く ゆがんだままに
             私はそれを見てゐたのだが
             すべては明るくほほゑむかのやうだつた

             たとへば沼のほとりに住む小家であつた
             ざわざわと ざわめき鳴つて すぎて行く
             時のなかを朽ちてゆく あの窓のない小家であつた……
                
             しかし 世界は 私を抱擁し
             私はいつしか 別の涙をながしてゐた
             甘い肯定が 私に祈りをゆるすために                

                               立原道造   午後に
 
                   -☆-

  きのうのこと。  白い花が、 すがすがしい風信子荘。
  木々は着実によそおいを変えて、 みどり色の風が吹いていた。 旗のないポール、 片流れの屋根、 入口の三段だけの階段、 雨戸をなぞるように過ぎてゆく。  
 
 季節は 猫の目のようにかわる。 
 緑が日増しに濃くなって、 夏のような陽ざしかと思えば、 きょうは花冷え。 まばらな釣り客も声をひそめ、 鳥の囀りもしない。
 冷たい風に身をすくめ 透きとおるような緑をぬけると、 やわらかい若葉になれるような気がした。 

       

  蒲公英が綿毛を飛ばし、 藤や躑躅、 シャガの群れ、アイリスが盛り。 
  山吹は終わりそうだ。 

  

  メタセコイアは鳥の羽    藤棚のもとで 語らうひと  

       

 (4月27日撮)

コメント (2)
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