退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

それぞれに失われたもの

2007-09-20 00:02:44 | Weblog
くもりときどき晴れ。依然蒸し暑し。

成瀬巳喜男「娘・妻・母」を観る。

実家に帰っている間に夫が事故で急死、
いわゆる「名家」から「手切れ金」100万円を手に出戻った長女原節子。

そこへ、妻の叔父加東大介に貸すため50万借りる長男森雅之。
さらに、姑杉村春子と離れて暮らすため30万借りる次女草笛光子。

写真館を営む次男宝田明は年上の妻淡路恵子がやっている
喫茶店の女の子のお尻をさわって妻に「家出」される始末。

三女団令子はのんきに財産分与の金勘定ばかり。
会社の試供品のワインを次男に売るちゃっかりぶり。

ピクニックがきっかけで次男の友人仲代達矢とデートする長女。
母三益愛子も還暦を祝ってもらってうれしそう。

ところが妻の叔父が倒産した上行方不明になり
長男が内緒で家を抵当に入れていたせいで家を失う破目に。

開かれた家族会議では皆「現金な話」ばかり。

長女は恋人と別れ、母を連れて友人に紹介された初老の金持ち上原謙に嫁ぐ決意。
長男の妻高峰秀子は母を「引き取るのが自然じゃない」と夫に言う。
母は娘の気持ちを知って老人ホーム入りを覚悟する。

結局「まとも」なのは「娘・妻・母」。

ゴジラ映画の小泉博は次女の夫で弱気なマザコン。
長女の友人中北千恵子は保険の外交で本人に内緒で「見合い」をさせる。

笹森礼子は写真館のモデル、塩沢ときはホステスで登場。
笠智衆は嫁に怒鳴られ、時給をもらって近所の子どものお守をしている。

ラストは笠智衆が公園で泣く子に手間取るのを見て
思わず走り寄って子をあやし始める三益愛子の姿。

自分の境遇も忘れてついつい、という姿を見なくなって久しいけれど
迫ってくる恋人に照れて掃除機をかけ始める女というのも同様。
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