退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「好ましくなくはないもの」について

2016-04-07 03:30:21 | Weblog
くもり。薄雲が広がる空。

宮脇昭「いのちを守るドングリの森」を読む。

手入れのいらないその土地本来の樹木=潜在自然植生を主木として
各地に森を再生すること。

著者が訴えているのはずっと同じ内容。
ただし11年前に出た本書はそのアピールがいささか弱い印象。

同じ位置から撮ったカラー写真で
何もない場所が森になった事実を教えてくれるとよかった。

TVのニュースで福島は富岡町の「桜のトンネル」を見る。
誰もいない町に咲き誇る桜よ。

かつての賑わいと故郷を失った人々の存在があらためて浮き彫りになる。
その圧倒的な「喪失」に原発稼働を許す者たちはどう答えるのだろう。

ウィリアム・ワイラー「ミニヴァー夫人」(’42)を再見。

グリア・ガーソンの何とも好ましい「マダムぶり」とテレサ・ライトの可憐さ。
デイム・メイ・ウィッティーのいかにもな「英国の老婦人」も。

バラ造りが趣味の駅長ヘンリー・トラヴァースの「いい人な感じ」も素敵。
見事な脚本と撮影の妙が組み合わさって。

ただし本作が撮られたのが1942年ということもあり
ドイツ兵が「鬼畜」な描写とともに最後のシーンはほぼ「国威発揚」な趣きなのが残念。

牧師が戦意を促しているのにも注目。
戦時に宗教が演じる役割には敏感でありたいもの。

巧みな演出がもったいない感じ。
もっともそうした事情を超えるその力は忘れずにいたい。

あらためて監督の凄さに気付いた次第。
ちょいと作品をあれこれ挙げておこう。

「嵐ヶ丘」(’39)「我等の生涯の最良の年」(’46)「女相続人」(’49)「探偵物語」(’51)
「黄昏」(’52)「ローマの休日」(’53)「大いなる西部」(’58)「ベン・ハー」(’59)

「噂の二人」(’61)「コレクター」(’65)「おしゃれ泥棒」(’66)など。
この短いリストだけでその自在ぶりがわかるというもの。
コメント
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