[作・演出]前川知大
[CAST]佐々木蔵之介 市川亀治郎 浅野和之 中尾明慶 有川マコト 手塚とおる
「狭き門より入れ。滅びにいたる門は大きく、その路は廣く、之より入る者おほし。生命にいたる門は狭く、その路は細く、之を見出すもの少なし。」(『マタイによる福音書』7章13-14節)
私は無宗教(母は仏教徒、父は神道、大学はプロテスタント、結婚式はカトリック総本山・・・)なのですが、この聖書の言葉はA.ジイドの小説などで何となく知っていました。で、正統派の堅い話かと思いきや、客席に入ると舞台の上にはコンビニが。そう、このコンビニこそが現在の世界と次元の異なる新世界との間に存在する「狭き門」だったのです。そしてそのキイは・・・
設定は柔らかくても、内容は結構ドキッとさせられるものでした。まさに新型インフルエンザの猛威が世間を騒がせている中、「謎のウィルスの蔓延であとちょっとでこの世は終わり・・・」などというすっごいブラックな設定がまんざら空想でもなくなってきているような恐怖感に襲われ、開演したらとろうと思ってたマスクを、最後までとることができませんでした。
蔵之介さん亀治郎さんが登場すると、思わず「お屋形様!真田殿!」と言いたくなるのはもうビョーキですね。柴本幸姫様からもお花が届いてました。勘助様からのもあったのかな・・季節柄、お花の目録のみになっているものも多かったです。
ストーリーはSF仕立てで、映画「マトリックス」や「オーロラの彼方に」を彷彿とさせる場面もありました。そこにいる自分と異次元の同じ場所にいる兄弟が対話する。そんな不思議な光景が舞台上で照明のあてかただけで表現され、納得させられてしまう演出はすごいなあと思いました。
蔵之介さんのの内面がどんどん変化していく様が凄かったです。やっぱりすごい役者だわあ・・・浅野和之さん、中尾明慶くんは、いるいる、こういう人、コンビニによくいる。。というはまり役。初めて拝見した(・・と、思います)手塚とおるさんの存在感がすごかったです。亀治郎さんに負けていません。怖い・・・佇まいも発声も本当に冥界の人っぽかったです。
聖書でも、「救いにいたる狭き門」は、やがては閉じられるのです。その時、蔵之助さんは・・・・どう生きるか。深~いメッセージを感じてきました。終盤の鬼気迫る演技ますます目が離せません。蔵之助さん、テレビでも存在感たっぷりですが、やっぱり舞台で観たい方です。
帰りに、関係者専用エレベーターに誘導されたのは仲村トオルご夫妻だったような・・・背の高い、素敵なカップルでした。
手塚とおるさん、気になりますよね~~~。観劇してからというもの、気になって仕方のない役者さんになってしまいました。
本当に声も話し方も個性的で、是非他の舞台を観たいと思いました。
私も手塚さんのほかの舞台観てみたくなりました。