地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2008-11-21 12:04:40 | 沖縄方言

シシ(肉・沖縄方言)

 ボスニアの羊の丸焼きやイランの羊の頭と足を煮込んだスープの話題は、きれいににパック詰めされた肉、それも限られた部分だけを調理する日本人には驚きの食文化であろう。私の住んでいたギリシャでも市場に皮を剥いだ一頭の羊がぶら下がるし、冬になると旬のウサギがしっぽの毛をフサフサと残したまま並び、初めは目を丸くすることばかりであった。

 沖縄には似たような市場の光景がある。「鳴き声以外捨てるところがない」と言われる豚肉売り場には、ラフテー(三枚肉)やソーキ(骨付きアバラ肉)、顔、耳肉から豚足、内臓まで、本土では決して見ることのできない様々な豚の部位が並んでいるのだ。

 短い旅の中で食すことができたのはラフテーやソーキという比較的馴染みのあるもの。鰹だしに醤油、沖縄らしく黒砂糖や泡盛を入れて十分に煮込んであり、どちらも箸がすっと通って口のなかでとろける美味しさである。変わったところではミミガー(耳肉)を茹でたものを細く切って酢味噌で和えたもの。おそるおそる口にしたが、コリコリとした食感で問題なくいただけた。

 うちなーぐち(沖縄方言)の本に豚肉の部位を詳細に記したページがあるように、食文化の本には様々な料理が記されている。例えばコラーゲンたっぷりの足は鰹節と昆布、大根と煮込む「アシティビチ」で、専門店があるくらい人気があるそうだ。他、内臓の吸い物「ナカミー」や三枚肉と野菜、血を炒め物にした「血イリチー」など沖縄を知るために次回は是非トライしてみたいものが色々。このように余すところなく食すことで、命をいただいているという感謝の気持ちが自然にわいてくるような気がする。

 王朝時代に中国から豚肉が持ち込まれたのは15世紀の初め頃。全土に広がったのは1605年に甘藷が同じく中国から入ってきた後、イモの皮を餌として与えて飼育が可能になった頃から。明治13年には5万頭以上の豚の飼育が記録されているというから、本土よりもずっと早く肉食の習慣が始まっていたといえる。消費量も本土とは比べものにならないくらい多い。沖縄が異文化であることを強く感じるのは食に関しても同じ、やはり琉球王国なのである。(さ)

 いつもありがとう・ニフェーデービル!

肉をめぐる地球散歩のメニューはイタリア英語ギリシャスペインポルトガルアラビア語と取りそろえておりますので、ご注文ください!食後はクリックをよろしくね。人気blogランキングへ



最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (タヌ子)
2008-11-21 17:23:57
こうして拝見していると、本当に沖縄は『琉球王国』なのだなぁと思います。
慣れていない私達にはちょっとエグイ感じがする『耳』や『豚足』も、じっくり煮込んで美味しい料理に変身させているんですね。
全て無駄にしないというのは大切なことだし、それを実践している沖縄の人たちは偉いなぁと感心してしまいます。
子供の頃から当たり前に食べていれば、『気持ち悪い』なんていう感情は湧いてこないですよね。
こうして、工夫して無駄なく食べることにも、沖縄の長寿の秘訣があるのかも知れませんね。
返信する
沖縄は (がんさん@大和の国)
2008-11-22 12:24:23
一度も行ったことがありません…。
マリンスポーツにハマっていた頃はグアムやサイパンの方が安かったし…。
しかし、こうして拝見すると、やはり沖縄というより琉球ですね。
豚の耳は台湾で食べたことがあります。
出張で行ったときに向こうの同僚がいろんな所へ連れて行ってくれて。
海外に行くと、そこの酒と料理をいただくのも楽しみのひとつ。
ホテルのレストランではつまらないですよね。
返信する
タヌ子さん (さらさ)
2008-11-22 14:19:55
そうなんです。沖縄というより「琉球」と呼びたい文化なのです。
今、食育とさかんに言われていることですよね。魚と切り身とがつながらないのと同じように肉もイメージしにくい子供も多いことでしょう。
豚のすべてをいただく・・という食生活の中で自然に学ぶことは大きいと思います。小さい頃からの食習慣野中で耳や足なども貴重な食材だと実感できるのでしょうね。
確かにビタミンやコラーゲンが豊富な豚肉と昆布の組み合わせが長寿食の一つと言われているそうです。
返信する
がんさん (さらさ)
2008-11-22 14:31:10
がんさんはマリンスポーツもなさっていたですね。グアムやサイパンにいらっしゃったのですか。かっこいい!
沖縄は気に入るとと何度も訪ねるようになるそうですが、一度も行ったことのない人も意外と多いようです。
台湾で豚の耳を体験されたのですね。
現地の方に案内、いいですね~。その土地ならでは食事やお酒を楽しむのも旅の醍醐味。出張はお仕事なので大変ですが、余裕があれば食事は楽しめますよね。
返信する
Unknown (miriyun)
2008-11-28 04:06:14
琉球王国の豚肉文化は、アラブの羊肉文化同様、歴史の中で登場してくるのですね。
 市場でたしかにブタの顔まであてえぐいですが確かに命あるものを、無駄なく食すことで命を全うさせているという感じです。
 それにしてもスミからスミまで見事に使い切るものですね。
返信する
お久しぶりです! (yokocan21)
2008-11-28 17:20:01
引越しも終わり、家の片付けもなんとか落ち着いてきました。これからまた頻繁に遊びにきますので、よろしくお願いします!
沖縄の市場って、ライブ感が溢れていて楽しいですよね。一頭を余す所なく食べるという習慣もいいですよね。あぁ沖縄、思いが募ります。
仲のいい友達が今年沖縄へ移住したので、沖縄情報はよく入ってきて、布や音楽、食へものの話など聞いては、益々行きたい思いに駆られています。
最近は、沖縄の食が見直されているようですね。「体にいい」がキーワードでしょうか。大阪には沖縄料理屋さんが結構あって、帰国した時の楽しみでもあるんです。ミミガーの酢味噌和え、美味しいですよね!

返信する
食文化のちがいは (yuu)
2008-11-29 20:45:07
食文化が違うっていうのは大きいですね。
民族とか国境とか、いろんな区切り方があるけれど
食もそのうちの一つなんでしょうね~。
もちろん、わたしは区切ることなくどれも
楽しみまくりたいタイプ(笑)
ということで沖縄、いつか食べに行くぞ~(笑)
返信する
miriyunさん (さらさ)
2008-11-29 21:34:36
沖縄というより琉球王国なんですよね。歴史も文化も本土とはやはり違います。
市場の風景も本土の私達には度肝を抜かれるような光景に見えますが、必要なところだけがパック売りされている肉を買うよりも「命」をいただいているという実感があるような気がします。部位にあった料理法、見事ですよね。
返信する
yokocan21さん (さらさ)
2008-11-29 21:50:45
わぁ~yokocanさん、お忙しいのにお越しいただきありがとうございます!お引っ越しが続いて本当に大変でしたね。片付けも着々と進んでいるとのこと、さすがです!新しい街の記事を楽しみにしていますね。
沖縄の市場、私好みでした。ギリシャの市場を懐かしく思い出すような雰囲気で、どこの店をのぞいても興味津々でした。活気と食のエネルギーに満ちていましたね~。
仲良しのお友達が沖縄に移住されたとのこと、うらやましいです!次の一時帰国の際は旅行も計画できるのでは。大阪にも沖縄料理のお店があっていいですね。
そう、長寿国の健康食、取り入れたいです!
返信する
yuuさん (さらさ)
2008-11-29 21:54:24
沖縄を旅行すると食の面でも異文化であることを実感します。私も区切ることなく楽しみまくりたいタイプなので、珍しいものをあれもこれも食べてみたくて短い旅では時間が足りませんでした。また行きたい!と思っている場所です。次回は豚足や内臓にも挑戦したい!
記事を書きながら、いつもyuuさんを沖縄に誘っています(笑)
返信する

コメントを投稿