maison(メゾン)
砂漠の地を旅していると、エメラルド色に輝くオアシスの中、絵になる家屋の風景に幾度となく出逢う。乾いた大地で目にする住まいの多くは、日干し煉瓦を固めて作った、素朴ながらも居心地の良さそうな土色の空間。チュニジア南部のサハラでは、映画のロケに使われるような、魅惑的で、どこか異世界を感じさせてくれる建造物の群れがオアシスを彩る。
中でも有名なのは、スターウォーズのロケ地ともなったクサール群(日干し煉瓦で造った穀物倉庫)だが、住まいの独自性、希少性という意味から一見に値するのは、マトマタの「穴居」かもしれない。
現在、チュニジアの民族構成の多くを占めるのはアラブ人。しかし、かつてこの地には「ベルベル人」と後の人たちが呼ぶ先住民が住んでいた。彼等は、アラブ人がこの地を侵略して来た時、国土を南下。そして、追手から逃れるために、険しい山岳地帯を住居とする。まず、目立たない場所に竪穴を掘り、それからその掘った穴の側面に、蟻の巣のようないくつもの横穴を穿った。普通に歩いている状態では、ただの竪穴が眼下に見えるのみ。それもそのはず。真ん中の四角形の広場を囲む形で穴型の住居(部屋)が取り囲むこの構造は、地中海一帯で見られる中庭式の住居に似ていなくもないが、その「中庭」は、スペインなどで見られるような、花が溢れる美しい「パティオ」ではない。単なる「空間」なのだ。
アラブ人に追われる心配のない現在、こういった場所は、チュニジアでは数少ないベルベル人たちの住居であると同時に、観光客に開放されている「観光地」でもある。
初秋の暑い午後訪れた横穴空間では、思った以上にひんやりとした空気の中、ホームメイドのヨーグルトや、焼きたてのパン、オアシスから採ってきたナツメヤシの実、ミントティーなどでもてなされた。独特の製法で土の中で焼かれた素朴なパンには、サハラの細かい砂も混じっていて、なんとも味わい深い。
砂漠の気だるい午後の空気と共に、今でも思い出すのは
ざらっと舌に残る砂の食感
そして、頭上を通り過ぎていく、一陣の砂を孕んだ風 (m)
確かに地球上の風景とは思えない不思議な雰囲気。
私もモロッコでベルベル人のお宅でお茶を頂いたことがありましたが、砂埃が舞い上がる中でのお茶休憩。
お茶自体に砂は入ってなかったけれど、飲み終わった時は口がザラザラしていたのを思い出しました。
行ってみたくなりました~♪
パンももちろんですけど、
横穴空間のヒンヤリ感味わってみたいです♪
スターウォーズの適当な画像があったのですね。そうそう!あの穴は、クレーターっていう感じです。なんとなく宇宙的。何十年も前に、マトマタやチュニジア南部の他の都市が撮影地として選ばれたのも納得です。モロッコでも、砂漠地帯の民家を訪れるとミントティーでもてなされますね。あの味の記憶と砂の感触が、何年経っても残ってるんですよね~。また行きたいなあ。
砂漠に居ると、全ての感覚が研ぎ澄まされている気がして、味も触覚も匂いも、目に飛び込んできた風景も、現在のことのように思い出せるんですよ!
美しくて強い印象でした。
ああ、行ってみたい・・・。
この辺りは行ってみたい国だらけです(笑)
なぜイタリア在住中に行かなかったのだろーか。
とほほ。
このあたり、まさに「地中海諸国」ですから、私たちの共通の憧憬の地ですね。
次回のイタリア滞在時には、ぜひチュニジアにも!!
わ~行きたくなっちゃった。
私のひきこもりも、もしや前世からの因縁かと思ってしまいました。
だって、あのひんやり体験したら、灼熱、反射で世界は真っ白な、外界なんて「女性は自由だ!」なんて外で叫ばれても、絶対出て行きたくないもん…
地中海諸国は、気候柄、家の中はひんやり~の場所が多いですものね。
日中ダメ、夜になると元気になる私としても、暑い時間は引きこもり、夕方から行動!っていうパターンの生活が理想です(笑)
どの家もお母さんがたくましく明るく元気です。これってやはり土地柄なのでしょうか、あるいは、家がもたらす元気なのでしょうか。
mitraさんのように、ここで焼きたてのパンなどいただいたら、どっしりと腰を落ち着けて岩壁にもたれてしまいたくなりそうです。
「たくましいお母さん」っていうと、私もやはりイスラーム社会で家庭を切り盛りしている肝っ玉母さんを連想してしまいます。
miriyunさんの写真の登場人物たちはいつも、とても元気でキャラが強いですよね、そういえば。
こういう場所で出される食事は格別。
私たち観光客は、彼らにとってみれば生きる糧であるはずなのに、ほんのひと時であれ、なんとなく家族になれたような不思議な安らぎを与えてもらえるのもイスラーム世界ならではな気が。できればあの洞窟住居の一般家庭に数日滞在してみたいものですが。