学校の「いじめ」問題で、「いじめ」た児童・生徒に登校禁止措置を講じるそうだ。「いじめ」られる側の安全対策上の、緊急避難措置であれば納得する。しかし、「煙草一本吸っただけで停学なのに、自殺も在り得る「いじめ」に処分が無いのはおかしい。」と聞いて驚愕した。学校は教育現場であり、大人社会の刑罰をそのまま導入してよいものではない。まだ、充分な分別を養っているとは言いがたい児童・生徒に、刑罰を持って「いじめ」を抑制しようという発想に、混乱ぶりを感じる▼「いじめ」問題は総て「いじめ」る側に問題があり、「いじめ」られる側に何ら落ち度が無いことは明白である。しかしながら「いじめ」を行ったのが児童・生徒であれば、「いじめ」た者にのみ責任を問うのは論外である。その児童・生徒の成長過程で、社会や学校・家庭が如何なる影響を与えていたのかのを議論すべきだ。まさに大人社会の歪の投影が、「いじめ」となって現れてきたからである。生まれながらにして「いじめ」体質を持って生れた子供など、いるはずがない。登校禁止で「いじめ」た児童・生徒が立ち直れるのであろうか▼今日、誰が「いじめ」られるかわからないし、「いじめ」てしまうかもしれない。学校内にかかわらず、「いじめ」の陰湿さは一般社会でも深刻化しているのが現状であろう。教育現場が荒廃しているからと、教育基本法を変えてしまった、為政者にいかがわしさを感じる。問題は教育基本法を、為政者が守ってこなかった事にある▼現象だけを見て、その対処療法を処方する。道路行政でも同じことが言える。増え続ける自動車に対応する為に、道路を整備する。常に道路の整備を上回る、自動車の増加があった。まだまだ道路整備は不足していると、為政者は言いつづけてきたし、これからも言い続けることであろう▼自動車の保有が多くなれば、自動車税やガソリン税が納められる。また、有料道路の通行料金も支払われる。そのお金は道路整備につぎ込まれる。そうすると、自動車対応型社会の再生産に繋がり、又自動車の保有と使用が増える。その悪魔のスパイラル(螺旋形)は、今も廻りつづけている▼車社会のメタボリック・シンドロームは、便利・カッコよさだけが注目され、その負の遺産は無視され続けた。化石燃料の浪費・道路公害と環境破壊・交通事故の犠牲・増え続ける40兆の負債・公共交通の衰退・過疎と過密の進展・まちづくりの破壊・運動不足による成人病など、客観的には負の側面の方が膨大に見える▼物事は常に、その本質を見なければならない。そして、その根底にある問題点に取り組まなければならない。うわべの現象に対処するだけでは、悪魔のスパイラルと共に地獄へ落ちなければならない (コラムX)
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