軌道エレベーターには関係ないですが、きょうはおすすめの本を紹介します。先日再刊されました。
本書は有名な故カール・セーガン博士の著作で、科学的思考の大切さを訴えている1冊です。もう10年以上前になりますか。。。当時は「カール・セーガン 科学と悪霊を語る」というタイトルで新潮社から出ていて、私が買った時はハードカバーの1巻本でした。
人を不幸にする最大の原因は無知と貧困であり、人が本当に闘うべき敵だと私は信じています。無知は人間の残虐性の源であり、貧困は知る機会を人から奪って無知を助長する。この考えに大きな自信があります。
こんな考え方をするようになった重要な柱の一つが本書で、この本から懐疑精神がいかに重要かを学びました。
神話や伝承、信仰、都市伝説、UFOと宇宙人、霊、妖精・妖怪、魔女裁判など、本書で触れている話題と例証は実に幅広いですが、こうした根拠のない信仰、迷信や偏見などなど。。。想像力に欠けた、客観性や根拠のない思考が、いかに厄介なものであるかがわかる。そして、誰もが陥りやすいこうした思考停止を、冷静に論破する姿勢で一貫していて、この上ない説得力があります。
印象的だったのが第十章の冒頭。以下、多少要約してあります。
『うちのガレージには火を吐く竜がいるんだ』
あなたは言う『竜はどこだい?』『ここにいるよ。うちの竜は目にはみえないんだ』
あなたはこんな提案をする。床に小麦粉を撒いて、竜の足跡を取ろうじゃないか。
『だが、うちの竜は宙に浮いているんでね』
赤外線探知機で炎をとらえよう→『目に見えない炎は熱くないんだ』
スプレーで絵の具を吹いて見えるようにしては→『物質でできてないから、絵の具がつかないんだ』
さて、目に見えず、物質でできておらず、宙に浮いた、熱くない炎を吐く竜がいるというのと、そもそも竜がいないのとでは、いったいどこがちがうのだろうか?
これは幽霊や宇宙人の実在を主張する人たちの主張に対する強烈な皮肉であり、なんと説得力があることかと、それはもう感心してしまいました。著者はこう述べています。「検証できない主張、証明のしようのない主張は、たとえどんなにそれがわれわれの心を躍らせ、不思議を思う気持ちをかきたてられたとしても、真実としての価値はない」
本書を読んだ時、依るべき立ち位置を得たような気がして、これは私の重要な姿勢の一つとなっています(調子に乗ってよく破るんですが)。
まあ理屈を述べ過ぎましたが、ともかく面白い! また、自身の余命が短いことを悟った著者が、折に触れて妻への感謝や情愛を述べているのも印象的です。今回の移籍でタイトルも原題の"The Damon-Haunted World" に忠実になっていいですね。
でも早川文庫高いですから、Amazonで新潮社刊の中古品買うといいです。さっき調べたら550円でした。
最初に無知と貧困は不幸の原因だと書きましたが、今でもその考えに揺るぎはないか? どこか見落としはないか? 何度も自分自身に疑いの目を向けて、折に触れて問い続けています。重要なのは問い続けることであり、だからこそ、今自信を持ってそう言えます。懐疑精神の要は、まず自分を疑ってみることです。
多くの人に読んで欲しい、同じ感動を味わってくれたらとても嬉しい1冊です。
本書は有名な故カール・セーガン博士の著作で、科学的思考の大切さを訴えている1冊です。もう10年以上前になりますか。。。当時は「カール・セーガン 科学と悪霊を語る」というタイトルで新潮社から出ていて、私が買った時はハードカバーの1巻本でした。
人を不幸にする最大の原因は無知と貧困であり、人が本当に闘うべき敵だと私は信じています。無知は人間の残虐性の源であり、貧困は知る機会を人から奪って無知を助長する。この考えに大きな自信があります。
こんな考え方をするようになった重要な柱の一つが本書で、この本から懐疑精神がいかに重要かを学びました。
神話や伝承、信仰、都市伝説、UFOと宇宙人、霊、妖精・妖怪、魔女裁判など、本書で触れている話題と例証は実に幅広いですが、こうした根拠のない信仰、迷信や偏見などなど。。。想像力に欠けた、客観性や根拠のない思考が、いかに厄介なものであるかがわかる。そして、誰もが陥りやすいこうした思考停止を、冷静に論破する姿勢で一貫していて、この上ない説得力があります。
印象的だったのが第十章の冒頭。以下、多少要約してあります。
『うちのガレージには火を吐く竜がいるんだ』
あなたは言う『竜はどこだい?』『ここにいるよ。うちの竜は目にはみえないんだ』
あなたはこんな提案をする。床に小麦粉を撒いて、竜の足跡を取ろうじゃないか。
『だが、うちの竜は宙に浮いているんでね』
赤外線探知機で炎をとらえよう→『目に見えない炎は熱くないんだ』
スプレーで絵の具を吹いて見えるようにしては→『物質でできてないから、絵の具がつかないんだ』
さて、目に見えず、物質でできておらず、宙に浮いた、熱くない炎を吐く竜がいるというのと、そもそも竜がいないのとでは、いったいどこがちがうのだろうか?
これは幽霊や宇宙人の実在を主張する人たちの主張に対する強烈な皮肉であり、なんと説得力があることかと、それはもう感心してしまいました。著者はこう述べています。「検証できない主張、証明のしようのない主張は、たとえどんなにそれがわれわれの心を躍らせ、不思議を思う気持ちをかきたてられたとしても、真実としての価値はない」
本書を読んだ時、依るべき立ち位置を得たような気がして、これは私の重要な姿勢の一つとなっています(調子に乗ってよく破るんですが)。
まあ理屈を述べ過ぎましたが、ともかく面白い! また、自身の余命が短いことを悟った著者が、折に触れて妻への感謝や情愛を述べているのも印象的です。今回の移籍でタイトルも原題の"The Damon-Haunted World" に忠実になっていいですね。
でも早川文庫高いですから、Amazonで新潮社刊の中古品買うといいです。さっき調べたら550円でした。
最初に無知と貧困は不幸の原因だと書きましたが、今でもその考えに揺るぎはないか? どこか見落としはないか? 何度も自分自身に疑いの目を向けて、折に触れて問い続けています。重要なのは問い続けることであり、だからこそ、今自信を持ってそう言えます。懐疑精神の要は、まず自分を疑ってみることです。
多くの人に読んで欲しい、同じ感動を味わってくれたらとても嬉しい1冊です。