-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

カンジキ作り(火炙り編)

2013-10-14 18:07:08 | 民具

 先日、畑沢でまだ見ぬ猪を恐れながら、猪のねぐらのそばでクロモジを採取しました。畑沢では昔からカンジキ作りには、クロモジが用いられてきました。昔は囲炉裏のそばで、カンジキを作る光景が見られましたが、家々から囲炉裏が消えてカンジキを作る光景が見られなくなりました。私は何十年も前に、囲炉裏のそばで父からカンジキ作りを教わりました。たった一度だけでしたが、決して忘れてはならない大事な思い出です。などと偉そうに言ってますが、スビタレでもできる程度の技術で作ることができます。そして楽しいものです。自分で作ったカンジキは、厳しい寒さの中でも立派にその役割を果たします。しかも実に頼もしく活躍します。一度、成功すると再び作りたくなりますが、結構、丈夫なものですから長持ちします。私が作ったものも、まだまだ使えます。しかし、幸いなことに親戚でも使いたいとの声がありましたので、待ってましたとばかりに新たに作ることにしました。

 クロモジはそのままでは使えません。輪っかを作るために、曲げなければなりません。木は熱くすると曲がりやすくなります。特にクロモジは曲げやすいということで、これがカンジキに使われてきたそうです。実験のため、去年の冬に私は杉の枝を曲げてみたことがあります。これも良く曲がりました。しかも、長く真っ直ぐな枝が多くありますので、杉をカンジキに使えれば大助かりです。ただ、杉の場合は、強度の保障がありませんので、使わないことにしました。ちなみに、檜を使っている地方もあるようです。

 クロモジの枝を七輪で万遍なく炙ります。樹皮からクロモジ特有の香りが漂ってきます。あの高級和菓子に付いている爪楊枝の香りです。爪楊枝の場合は「香り」の表現で十分ですが、炙り作業の時間が長くなると「香り」が「匂い」になって鼻にまとわりつきます。枝が熱くなったら、力づくで枝を曲げます。枝の太さは均一ではなく、元の方が太く、先が細くなっています。この太いところが中々手こずります。

 常に曲げる作業が上手くいくわけではありません。人間と同じように癖の悪い枝があります。何本かは途中からメリッと折れました。

 今日はとりあえずここまでにして、しばらく形がくずれないように紐で縛って保存しておきます。別の材料を加工する必要があります。それは、後日、行います。

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