-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

今年は早くも春が来た 猿が来た えっ!コラー

2020-03-20 20:41:23 | 近況報告

 令和2年3月19日、NHKテレビの連動データによると、尾花沢市の最高気温は20℃もありました。五月の連休並みです。私の頭も五月の連休並みになり、畑沢へ向かいました。

 むらやま道の駅で休憩。東に見える甑岳は霞んでいます。左端に畑沢の最高峰、大平山が見えます。

 

 振り向けば、西には葉山が屏風のように立っています。ここからはカルデラ状の内部は見えません。気温は五月並みですが、例年の五月の風景とは山肌の雪景色が異なります。まだ全体的に雪が残っています。

 

 春の行楽気分で尾花沢、古殿、車段を通って荒町に入ると、春並みの陽気に誘われたお二人が道路に立っていました。いつも私がお世話になっていて、大変、優しい方々です。日ごろのお礼を申し上げようと車を降りたのですが、ついつい話に夢中になってしまいました。その中で、「猿が出てきて困った事だ」との話になりましたが、私は「最近は畑沢で猿は出てこなくなった」と知ったような口を利いてしまいました。でも正直な私の感想です。

 話を終えて畑沢へ向かい、松母を過ぎてしばらくすると、道路上に小さな物体らしきものが多数見られました。近づくと、それは子猿の群れでした。いつも見かける猿よりはずっと小さく、まるで子どもたちが手にするほどの大きさで、しかも顔も仕草もとても可愛いものです。中には仰向けに寝転んでくつろいでいる子猿もいました。猿と言えば厄介者ですが、「この程度の可愛らしさなら、まあいいか」と思えます。それにしても子猿たちだけと言うのは不思議です。

 ところで、写真では猿の数は少なく見えますが、既に4、5匹が藪に逃げています。

 

 可愛らしさにいつまでも見とれていてもしょうがないので、車を進めると大きな猿が現れ始めました。今度は子猿はいません。成獣だけです。

 

 成獣たちは田んぼの広い範囲に散らばって、忙しそうに手を口に運んでいました。恐らく去年の秋にコンバインからの落穂を拾っていたのでしょう。まるで新型コロナウィルス対応かのように間隔を広く空けての食事風景です。先ほどの子猿を合わせると、全部で40匹ぐらいの群れになるようです。結構、大きな群れの様です。昨年の秋に背炙り峠の村山市側で見た群れと同程度の規模かもしれません。数では圧倒的に私に勝っていたのですが、私の眼力に負けたのか、それとも愛車のオンボロ具合に負けたのか、猿軍団はすごすごと林の中に逃げていきました。それにしても、さっきまで荒町で話していた私の話が、実に情けなくなりました。私は何も知らなかったようです。

 

 畑沢の中は春真っ盛りです。畑沢名物のフクジュソウ(福寿草)が満開です。極楽、極楽。もうミツバチ(蜜蜂)が花から花へと飛び回っていました。

 

 吉六沢の湧き水にも行ってみました。いつ見ても素晴らしい場所です。写真の右上の砂岩の割れ目から湧き出しています。

 

 水が溜まっている所には、昨年、生まれたサンショウウオの幼生がいました。まだ体の外側に出ている鰓が幼生の特徴です。近くにはサンショウウオの卵がありましたが、親は見えません。私が驚かしてしまったのでしょう。

 

 さて、今回の目的である上畑沢の楯跡調査です。既に分かっている堀切の場所に朽ちた根っこが立っていました。まるで鎧兜の古武士がこちらを睨んでいるようです。

 調査は大変でした。山頂が背丈以上の笹の群落に覆われて、容易に前に進めません。そのうえ乾燥気味の大気の中で、掻き分けている笹から粉塵が舞い降りてきます。

 やっと眺望が開けて、尾花沢市の北側が見えます。中央の白いのが翁山、その右に黒っぽいのが二つ森です。空に雲一つなく、去年の11月13日の禿岳を登ったときの様です。最近、天気には恵まれています。しかし、楯跡調査は遅々として進みません。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

教えて貰うと頭が良くなります。

2020-03-18 21:01:59 | 歴史

 令和2年3月15日、東根市の職業訓練センターで北村山地域史研究会主催の講演会が行われました。新型コロナウィルスで騒がれている時期なので時間を短縮し、椅子などの配置も工夫して感染を防止していました。会場入り口には会長自らが笑顔で迎え、参加者の手に消毒アルコールをプレゼントしていました。この人柄が人を引き付けます。外の役員も同様な魅力があります。

 さて、講演は絵馬に関するお話でした。私はこの絵馬についても素人です。聞くものすべてが初めてのことばかりでした。全国で山形県は絵馬が極めて多いそうです。天童市の若松寺(じゃくしょうじ)の絵馬には、落書が残っていて、その中に「書きおくも かたみとなれや 筆のあと 我はいずくの 土となるらむ」があることを聞いて、はっとしました。「かたみとなれや 筆のあと」は、畑沢の石橋供養に刻まれている「形見となれ3⃣ 筆4⃣跡」を思い出させました。3⃣と筆4⃣は読めなかった文字です。

 絵馬の落書のお陰で大きなヒントを貰いました。講演終了後にネットで調べてみると、この文言は全国の社寺への落書や辞世の句にも使われていたそうです。

 さて、3⃣は「や」であることは間違いないのでしょう。しかし、この石仏の「や」は「屋」をくずした変体仮名と似ている部分もありますが、同じものではありません。それでも「や」の形も含まれています。そこで邪道と謗(そし)られようが、この石仏だけに見られる「や」の変体仮名とすることにしました。意外と真面(まとも)な考え方かもしれません。

 4⃣はもう一度石仏の写真を見ると、薄いシルエットながらも「乃」をくずした変体仮名であることが分かりました。これで「形見となれや 筆の跡」部分の解読作業が終了しました。

 この進歩に喜んで、ついでに他の部分も見直しました。「1⃣石 都合四十八所」の1⃣です。これまで、「運」と見て、「運んだ石」との意味にとっていましたが、その後左側に木偏が現れたので不明として扱っていました。もう一度しっかりと見つめます。「樋」に似ていますが、「通」の上の「マ」となるべきが、「コ」になっています。そのような漢字を見たことがありません。ネットで「通」の異体字を探していると「コ」になっているものがありました。しかし、樋の「マ」が「コ」になっているものはありませんでした。しかし、そもそも異体字は限りなく存在する可能性があります。「コ」になっている樋があっても不思議ではありませんし、「樋」だとすれば面白い解釈が成り立ちます。48箇所で造った橋は、石の樋で水を通したことが分かります。

 中央の列にある「身は朽ち2⃣ 石萬世□残□□て」の2⃣にも挑戦しました。不思議と分かるような気分になりました。2⃣の形は「ん」に似ていますが、上の文字と繋がりません。大分、頭が良くなっていますので、柔軟に考えられるようになっているようです。『ここは「も」の意味のはずだ。その変体仮名を探そう』とパソコンを操作すると出てきました。「」です。ぴったりです。

 お陰様で下の図まで分かるようになりました。ここまで7年もかかっています。まだまだ分からない文字があります。過日、投稿した「粉雪拓本」で解明しなければなりませんが、今冬は期待できません。来冬を待たなければなりません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

捨てるなど 畑沢育ちのプライドが許さん

2020-03-17 16:51:15 | 思い出

 小学生時代、低学年を過ぎて3年生にもなると、畑沢の男の子は「自転車のパンクを直せない」などと口にすることができなくなりました。自転車は通学用ではなく学校から帰ってからの遊び道具でした。道は砂利道でしたし、子どもたちの自転車の扱いも悪かったからでしょうか、しばしばパンクしたものです。チューブの質も悪かった可能性もあります。パンクしても大人を当てにできません。大人は野良で仕事をしているし、子どもの相手などする余裕がありません。パンクは自己責任で直さなければなりません。当時、パンク修理のための専門的な道具などは一般家庭にありませんので、作業は困難を極めました。ホイールからタイヤを外すのに大きな力と技術を要します。手当たり次第に適当な物を試して何とか外したものです。後の作業は大したことはありません。小学生でもできました。修理に必要な材料は、「ゴムのり」「やすり」「古チューブ」です。古チューブはチューブを更新するときに大事に保管したものです。

 この技術があれば、ゴム長などの修理は自転車と比べて極めて簡単なものです。いつも穴が開けば自分で直していました。修理できないことは恥ずかしいことでした。畑沢の子ども時代から、今でもそのプライドを持ち続けています。しかし、最近のゴム長はなかなか穴が開きません。穴が開けば、待ってましたと修理をします。我が家にたった一つ修理したゴム長が下の写真です。汚い画面ですが、御容赦ください。これの修理は簡単でしたが、既に3年以上も経ちましたが、全く問題ありません。

 

 ところが、別のゴム長を同じ手法で修理しても直ぐに剥がれてきました。再度、より丁寧な作業で修理しても剥がれました。最近はゴム長と一口には言えない様です。ゴムの姿であっても、全く異なる材料が使われているようです。自転車用の「ゴムのり」では通用しないのではないかと疑い、別の接着剤を使うことにしました。私が日曜大工に使っている接着剤です。結構、接着力が強かったので、ゴム長にも通用する可能性があります。初めての挑戦です。

 

 この接着剤は、自転車用と比べて粘性が高いので、はみ出した部分が実に素人っぽく汚くなりました。しかし、ゴム長は作業用です。体裁にこだわりません。今度、畑沢で水の中で作業するときに、その効果が試されます。

 

 今度、穴が開いた時のために、まだ古チューブを確保しています。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

畑沢の楯跡調査にも新技術が投入される! かな?

2020-03-14 12:38:56 | 歴史

 畑沢には楯跡が4つ見つかっています。最も大きくて南端にある「背中炙り峠の楯跡」、山楯の地名が残っている「山楯」、その隣には「おしぇど山の楯跡」の3つは、大まかな作業でしたが調査を終えました。しかし、最後に見つかった上畑沢の楯跡は全く調査しておりません。

 私はきちんと測量的なことを行う技術も気力も持ち合わせていず、最初から諦めています。そこで、これまではGoogle Earthの航空写真の上に、現場で確認した植生や樹冠などを目印にして図面を作っていました。ただ背中炙り峠の楯跡だけは1947年の航空写真が手に入り、皆伐されて地面が丸裸になった姿に古道や楯跡の輪郭が見えましたので、かなり正確に図面化することができました。つまり、どれも距離を測るなどは殆ど行っていません。

 ところが、上畑沢の楯跡においては、Google Earthが使い物になりません。植生の違いが出てこないのです。しかも、明らかに地形の特徴があるにもかかわらず、地形図の等高線に表現されていません。手掛かりになるものがありません。幸いにも地形図には三角点という基準点が表示されていましたので、ここを手掛かりにして楯跡まで順に位置を特定できる可能性があります。そして、楯跡の中心部などに新たに基準点を設ければ、図面を作成できることになります。しかし、あくまでもきちんと測量すればです。

 ここまで追い詰められると、いくら面倒くさがり屋の私でも測量の基礎的な事を勉強しない訳にはいきません。ネットで基本を勉強しました。とりあえず理屈だけは分かりました。理系ですから理解はできます。しかし、最も必要な技術はありませんし、簡単な道具もありません。山登りに使っているコンパスはありますが、私同様にかなり大雑把な器具で、測量に使える精度がありません。外にも様々な物が必要です。かと言っても測量器具を購入する資力も気力もありません。ところが幸いにもネットのオークションで手ごろなものを入手することができました。出品者が大事に保管されていたようで、正確に作動しました。箱入りの平板測量用道具です。

 

 箱には磁針箱が入っています。その中から主要なものを紹介します。

 所謂、箱型のコンパスと言えば分かりやすいかと思います。針が長いので、方向をより正確に示すことができます。写真中の下のコンパスは私が山登り用に昔、購入したものですが、北と南を反対に指します。レア物です。余談になります。NSを反対方向に直す方法もありますが、私はこの丸いコンパスを信用していません。とんでもない酷いことになった苦い経験があります。

 

 次にアリダードという方向を特定するものです。照準儀と訳するようです。いかにも精密機械の雰囲気が大好きです。正確に方向を決められ、さらに距離と迎角又は俯角が分かれば、三角関数も使いながら、その場で縮尺した線を紙面に記すことができます。

 

 オークションで確保した物だけではなく、自作した簡単な測量器具もあります。下の写真は迎角や俯角を図る分度器です。私の子どもが小学生時代に買わされた粘土板を使っています。我が家にはもっとあります。放射線の中心部から伸ばした糸の先端に錘(おもり)を付けました。錘にはボールペンを用いました。こんなところに私らしさが出てしまいます。

 

 平板測量と言われる所以の「平板」です。カメラ用の三脚に少しの細工を施しました。テーブル板は家の中にあった物で間に合わせました。軽さだけが取り柄です。本来の平板はもっと大きいのですが、私が測量する範囲は狭いので、これで十分です。三脚は大分、前にリサイクルショップで800円で購入したものです。

 

 平板の裏はこんな具合になっています。本来の平板とはかなり異なります。三脚に板を取り付けただけです。

 

 三脚のクイックシューから真ん中のネジ部分を外して、四隅に木ネジで板に貼り付けました。実に簡単な平板の完成です。測量が終われば、再びカメラ用に使うことができます。

 以上で測量に必要なものが全て揃ったわけではありません。肝心な物は距離を測定する道具です。長い巻尺かデジタルの距離計が必要です。巻尺でいちいち測るのも面倒ですし、デジタルの距離計を購入するのも年金生活者には苦しいし、頭が痛くなります。

 何方かデジタルの距離計を貸してください。できれば御一緒に測量しましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「暖中 寒あり」が思わぬ発明をもたらしました。

2020-03-10 15:43:57 | 歴史

 今年は極めて顕著な暖冬です。私が住んでいる山形市は積雪ゼロで、尾花沢市内も同様な日が続いていました。一体、冬はどうなったのでしょう。ところが、たった一日、寒い日がありました。今から約一か月前の令和2年2月8日です。前日にうっすら(10cm程度)と雪が積もりました。別に雪が降った日を選んだわけではありませんが、車が空いていたので、その日に畑沢へ出かけました。暖冬によって石仏が雪に埋もれていないので、石仏調査をすることができるかもしれないと期待したからです。

 再調査しなければならない石仏は多数ありました。その中に上畑沢の「大乗妙典一部一字一石一禮」があります。この石仏は、硬い火山岩(おそらく安山岩か)でできています。凝灰岩などと比べると風化されにくく、刻んだ文字が綺麗に残るのが普通です。ところが、表側は何とかある程度まで読み取ることができましたが、裏側は全く歯が立ちません。

 

 そこで、これまでは私の師匠が読んだ文字と畑沢の大先輩が記録した文字を参考にしていましたが、両者は異なる形に読み取っていました。それでどうしても確かめる必要がありました。

 しかし、この日も全く手掛かりはありません。せめて、光が斜めから差し込めば、凹部が暗くなって文字が浮かび上がるのですが、あいにくの曇天でしかも杉の下になっていますので、光はただ漠然と石仏の表面に当たっています。何も見えません。がっかりです。こんな状態でも熟練している方なら読み取ることができるのかもしれませんが、私には無理です。ならば拓本と言う方法もあるのでしょうが、不精者の私には全くやる気が起こりません。何しろ、生物の授業で顕微鏡の画像をスケッチしなければならないのに、「今の時代なら写真を撮ればいいではないか。スケッチなどは時間の無駄だ」と先生に言い放った人間です。恥ずかしい過去があります。スケッチの意味を解さないただの馬鹿でした。私のこの手の愚行(暴言)には、枚挙にいとまがありません。

 

 諦めかけて下を見た時、ふと雪が目に入りました。今冬では極めて貴重です。しかも粉雪です。咄嗟(とっさ)に思いついたのが、「何もしないよりは、この粉雪をかけると少しは見えやすくなるかもしれない」という事です。粉雪なら石仏を損傷しないだろうし、手で掬い易いと思いました。すると効果はてき面に現れました。裏面の全体に文字が現れました。師匠と大先輩が解読した文字を遥かに凌いでいます。こんなにも文字かあったとは想像だにできなかったことです。施主の名前の外に何やら短歌らしきものがあります。歌には草書体と変体仮名が多用されているようです。文字が浮き上がってきたお陰で、私はさらに課題が増えてしまいました。私の嫌いな草書体を読み解く作業です。ああ、頭痛が、腹痛が……。でもここには、施主から約二百年後の私たちへ伝えようとしたメッセージが記されています。いつの日にか必ず読み解く責任があります。

 ところで、「草書体を解読するソフト」をネットで試してみましたが、私には使いこなすことができませんでした。例えば,明らかに分かる草書体の画像を入れても、関係ない文字の候補が数多く現れるだけで、役に立ちません。私はソフトにも見放されました。また、一文字ずつ解読用の本に照らし合わせなければなりません。ああ、だから頭痛…。

 この「粉雪拓本」が可能になるには、次の沢山の条件があります。

1 石仏が埋もれるほどの積雪がないこと。

  多量の積雪は、石仏が見えなくなるのは勿論のこと、石仏の表面を凍らせて粉雪が凹部に入りません。

2 粉雪が積もっていること。

  粉雪は肌理が細かいので、繊細な部分も露わにします。ザラメ雪は粒が粗くて細かいところが分かりませんし、透明感があるので石面とのコントラストがつきにくいです。綿雪は塊になりやすいので繊細さがありませんし、不要な部分にも付着してしまいます。

3 晴れていないこと。

  天気が良いと日陰でも反射光によって粉雪が直ぐに溶け出して、コントラストがなくなります。

4 柔らかい刷毛を用いること。

  不要な部分についた雪を払います。硬いブラシのようなものは、石仏表面を傷つける恐れがあります。あくまでもそーっと。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする