-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

背炙り峠の空に秋を見ました。そして…

2022-09-07 11:46:19 | 近況報告

 今年は6月から暑い日が続きました。しかし、ようやく暑さが去り、この時期としては近年にはなく涼しくなっています。

 令和4年8月29日、2週間ぶりに畑沢へ行ってきました。今回は草刈と昨年までに猪が掻きまわして崩した池の岸の修理です。泥揚げが主体の作業になります。山形で作業の手順をあれこれ頭に描いているときは、仕事は順調に進むはずでした。ところが、暑い日が続いて大事をとって体を休めていましたので、体力がありません。スコップで2、3回掻き揚げるだけで、息ははあはあ。自分でも情けなくなります。それでも、まあまあ仕事をこなした気分になって夕方近くになって畑沢を離れました。

 背炙り峠の夕焼けを楽しみにしているのですが、最近は畑沢を早めに切り上げていますので、お天道様は頭上にあります。お天道様が葉山に沈むまで待つこともできません。家では今年生まれのお腹を空かした水槽の小魚たちが待っています。

 時間的には早いながらも、峠から見る空は秋らしい雰囲気がありました。空は透き通っているような青さがあり、雲の輪郭はくっきりしています。

 

 甑岳の山頂部も冷たい水で顔を洗ったようなきりっとした姿で、聳えていました。「登りたい」ですが、今年も無理でしょう。

 

 空から目を離して地面を見下ろすと、夏の傷痕が各所に残っていました。8月13、14日に大雨が降りました。その後も何度か短時間に強い雨がありました。どの程度の雨が何時ごろ降ったのかを知るために、気象庁の記録から降水があった日を抜き出してみました。それに私が畑沢へ行った11日と29日も、降水がありませんでしたが、参考までに載せました。

 気象庁の観測地点は次の観測所です。(峠に観測所がありません。)

   村山市大久保字寄込 峠から西南方向に約10kmの距離。

   尾花沢市新町 峠から少し西に傾き加減に約10kmの距離。

 降水量が多かったデータは黄色に着色し、さらに強い降水は赤に着色しました。また、短時間での強い降水量は、※①と※②に赤で示されています。例えば「最大10分間降水量」が15mmは、1時間当たりにすると、90mmの「強さ」になります。1時間当たり50mmの強さの降水は、自動車のワイパーの効果がないほどになるそうですから、90mmならとんでもないことになりそうです。最近は短時間での極端に強い雨が多くなりました。

 それでは「多い降水量」とか「さらに強い降水」の尺度は、何を基準にしているかと言うと、それは私の経験からの感覚です。それを聞くと、途端に信用ならないと思うかもしれませんが、意外と的を射っているかもしれません。8月29日の前の日まで雨が降っていたようです。

 背炙り峠を通る県道29号線は、村山市側の各所に素掘りの側溝が残っています。素掘り側溝の幅は場所によって違いますが、広いところでは120cmを超え、深さは50cmを超えていました。常識では考えられない広さと深さです。そのような素掘り側溝から開渠(上部に蓋がない。)又は暗渠(上部に蓋がある。)のコンクリート製の側溝への接続部には大量のゴミと土砂がつかえて、道路面へ溢れた様子が残っていました。

 幅広の素掘り側溝を大量の水、落葉などが流れ下り、狭いコンクリート側溝にぶつかって流れがせき止められて、黒い印を付けた範囲から道路に溢れました。溢れた大量の水は道路向かいの谷側の路肩から谷へ向かって流れ落ちたようです。その際にコンクリート擁壁を覆っていた盛土法面が崩れ落ちてしまいました。せっかく頑張って盛土して下さったのに残念です。急傾斜地で道路工事をする場合は、谷側路肩の法面に改変を施すと土の締りが弱くなってしまい、降雨により簡単に侵食されやすくなります。盛土の後でネットを被せてさらに緑化をするのでしょうが、コンクリート擁壁の壁面からは容易に剥離してしまいます。

 

 素掘り側溝を流れ下った大量の土砂を撮影したのが次の写真です。これはこの山から生じたものではありません。他の場所から持ってきた機械で砕いて作成した砂のようです。

 

 それでは、側溝に流れ込んだ土砂を探すと、直ぐに分かりました。アスファルト舗装がされずに剥き出しになっている路肩が、侵食されて側溝へ流れたものでした。粒の小さい土砂が路肩から側溝へ移動しています。

 

 素掘り側溝とコンクリート側溝の繋ぎ目での溢流は、この外にも3ヶ所ありました。

 先ずは開渠のコンクリート側溝です。溢流はありましたが、幸い、ここの向かい側は急斜面ではないので、先のような侵食はありません。

 

 次は暗渠のコンクリート側溝です。大量の土砂と落葉などが開渠の入り口に溜まっていますが、かろうじて完全には塞がらなかったようです。この場所は道路の幅が極端に狭くなっていますので、かえって素掘り側溝に自動車が脱輪しても、怪我しないように安全度が増したくらいです。

 

 次も暗渠の側溝です。完全に入口をせき止めてしまいました。ここは、今回のような大雨でなくても、しばしばせき止められています。当然、溢流を起こして路面を下ったようです。でも、この向かいの谷側の路肩は、侵食されてはいませんでした。谷側の路肩に10cmほど小さな擁壁が造られています。でも、このような小さな擁壁を造らずとも、もっと上流で小まめに安全な谷側へ雨水を処理していればよかったと思います。排水に適した地形が直ぐ上にあります。工事用車両を停車する場所もあります。

 沢などを別にすれば、元々、道路が作られる以前は、山の斜面に降った雨は何処かに集められことなく、至る所で流れ落ちていたはずです。それが山の自然な雨水の流れです。ところが、斜面を横断する道路が切られると、雨水の流れが道路で遮られて道路に集中してしまいます。山の水は集めてしまうと、途轍もない破壊力を持ってしまいます。水が集まる前に、なるべく土砂崩れを起こさない安全な谷側へ雨水を小まめに排水する工夫が必要です。

 畑沢と五十沢の山中を通るアスファルト道路は、不完全ながらも工夫がなされています。街の中と山の中では道路の作り方は違うものです。街の中の側溝は、原則として路面に降った雨水の処理が目的ですが、山中の側溝には路面とは比べものにならないほどの面積を有する山の斜面の雨水も流れ込みます。街の常識は通用しません。

コメント (2)
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