-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

ハコネサンショウウオ属の最新情報かな(畑沢のサンショウウオ その4)

2020-12-31 16:31:02 | 自然

 wikipediaによると、ハコネサンショウウオ属は国内でも1912年以降、次々と新種が増加したようです。

  2012年 キタオウシュウハコネサンショウウオ(北奥州の箱根山椒魚の意味)

  2013年 ツクバハコネサンショウウオ    (筑波   〃     )

      シコクハコネサンショウウオ    (四国   〃     )

  2014年 タダミハコネサンショウウオ    (只見   〃     )

      バンダイハコネサンショウウオ   (磐梯   〃     )

 ハコネサンショウウオ1種だけでも私は特定できないのに、さらに5種も増えたのでは調べる意欲さえなくなります。しかもwikipediaの説明には、特徴として「脊椎数、尾の長さ、頭幅、背面の縦縞がどうのこうの」と書いてあります。脊椎数を数えるには解剖して見る必要があり、尾の長さと頭幅は測定しなければなりません。完全なるホールドアップです。私は「畑沢のハコネサンショウウオの仲間」で済ませるしかないと思っていたのですが、インターネットで勉強していると、大きな手掛かりが見つかりました。

 独立行政法人国立科学博物館・分子生物多様性研究資料センター・特定非常勤研究員の吉川夏彦氏が研究代表者として平成29年6月27日付けで報告しているのが見つかりました。研究課題名は「有尾両生類における種分化と種間干渉:種の形成とその維持機構の解明に向けて」で、ミトコンドリアDNAおよびマイクロサテライトなどによる遺伝子解析だそうですが、私にはその研究手法が全く見当がつきません。それよりも注目したのは、その論文の中に示されている地図でした。東北南部を中心としたハコネサンショウウオ属の分布が示してあります。山形県もしっかりと入っています。我が故郷、畑沢のおおよその位置も分かります。詳しくはそのページを御覧ください。

 しかしそれをそのまま載せることが出来ませんので、自分なりの解釈で生息分布を決め、大雑把な作図をしました。

 この図では、山形県にはハコネサンショウウオ(箱根山椒魚)は生息しておらず、蔵王山系以北の奥羽山脈と奥羽山脈から北西に鳥海山まで伸びる山系にはキタオウシュウハコネサンショウウオ(北奥州箱根山椒魚)が、それ以外の地域にはバンダイハコネサンショウウオ(磐梯箱根山椒魚)が生息しているようです。山形県にはサンショウウオ科が黒山椒魚、東北山椒魚、北奥州箱根山椒魚、磐梯箱根山椒魚の少なくとも4種いることになります。そして畑沢には北奥州箱根山椒魚が生息している可能性があります。

 

 以上を持ちまして、「畑沢のサンショウウオ」シリーズを一旦、終了します。再開は来春にサンショウウオ属の調査をしてからになります。

 2020年も最終日になりました。来年は政府及び国民の適切な対応で新型コロナが退治され、またコロナをきっかけにして世界の人々に真贋を判断できる能力が培われるようになることを希望します。もう変な指導者はこりごりです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

せがよ(畑沢のサンショウウオ その3)

2020-12-30 19:38:52 | 自然

 今から約85年前(昭和10年)の本にサンショウウオのことが書いてありました。この本は出版されたものではなくて、現在の山形県村山市の岩野地区にあった岩野尋常小学校の職員が執筆したもので、ガリ版刷りです。それをコピーしたものを私の歴史の師匠で岩波在住の方が持っていらしたので、それをさらにコピーさせていただきました。なお、この本は村山市立図書館で翻刻して閲覧できるようにして下さいましたので、御興味のる方は是非、一度は御覧になって下さい。昔の動植物の一端を知る貴重な資料です。

 タイトルは「葉山の自然研究とその利用」です。題名の「葉山」と「自然」の間にある文字は変体仮名で「能」を崩した変体仮名の「の」です。

 表紙のコピー画像をペイントというソフトで汚れと見られるものを削除したのですが、私の作業ですからちゃんとした方から見れば「手抜き」であるかもしれません。でも、雰囲気だけでも伝われば幸いです。

 表紙上部の中ほどに見える山は月山で、その右側の山が葉山かと思います。下の写真は2013年10月下旬に葉山の尾根で月山をバックに葉山神社方向を写しました。表紙の月山の形と似ています。

 

 さて、この中に下のようにサンショウウオのことが書いてあります。この本の「葉山を中心とするの珍奇な動物」としてサンショウウオのことも書いてあります。私なりにパソコンで書き直してみました。

 旧仮名使いなので読みにくく、また現代とは説明内容が古いので、取っ付きにくいかもしれませんが、昔のことですからそれも時代の味と思って下さい。

 ただし、これだけは言わせて下さい。「かすみさんせううお」とはカスミサンショウウオのことですが、山形県内には生息していません。この本の「産地」に「本州中部以南に多く三月四月にわたり」とあるように、既にこの本を書く時点で山形県内に生息していないことが分かるはずでしたが、気付かないままその種名を使ってしまったようです。山形県内に生息している東北山椒魚や黒山椒魚はサンショウウオ科に属し、カスミサンショウウオはその科の代表として模式種になっています。勘違いをしたのでしょう。

 それよりも見ていただきたいのは、方言のところです。「せがよ」とあります。私はそれを見た時に、懐かしい響きが聞こえてきたような衝撃を受けました。何処かで聞いたような気がしたのです。でも畑沢では聞いたことがありません。よく考えると確かではありませんが、小学校5年の教室で六沢のトンネルから捕まえて持ってきた六沢の男児だったような気がします。「畑沢のサンショウウオ その1」を参照して下さい。東北山椒魚と黒山椒魚は箱根山椒魚の仲間よりもずっと身近な所にいます。六沢の人たちはトンネルの所で見慣れていて、昔から呼ばれていた名前で呼んでいたのではないかと想像しています。岩野地区なら常盤地区と同じ北村山ですから方言が同じであってもおかしくありません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黒っぽいやつ(畑沢のサンショウウオ その2)

2020-12-29 17:20:07 | 自然

 サンショウウオの仲間と一口に言っても、複数のことを意味します。一般に日本のサンショウウオの仲間と言えば、体長が1mにもなるオオサンショウウオ(大山椒魚)も含めたサンショウウオ上科を意味し、オオサンショウウオを除いたサンショウウオの仲間はサンショウウオ科と言います。さらにその中からハコネサンショウウオの仲間を除くとサンショウウオ属となります。私が今までサンショウウオの仲間と言っていたのは、サンショウウオ科のつもりでしたが、恐らく閲覧者はサンショウウオ上科をイメージしたかもしれません。私の不勉強が招いた拙い言葉でした。

 次に山形県内のサンショウウオ科の仲間について調べたことを報告します。インターネットで検索しましたところ、山形河川国道事務所の河川学習システム編集部が開設している「最上川電子大辞典」というホームページに、大津高氏による山形県の両棲類に関する文章がありました。それによりますと、1937年に「荘内博物学会研究録」にトウホクサンショウウオクロサンショウウオハコネサンショウウオが報告されていたそうです。そして大津高氏もこの3種を山形県のサンショウウオとしています。恐らく大津高氏はこの文献を踏まえて仰っていると思います。しかし、大津高氏の時代はまだDNAによる種の研究が盛んではありませんでした。その後、ミトコンドリアDNAによる研究が進んで、山形県のサンショウウオも以前の3種ではなくなっています。

 そういうことですが、狭い畑沢地内ではサンショウウオの仲間は、具体的な種名は別としても3種以内だろうと思っていますので、その考えで強引に話を進めます。

 さて、「畑沢のサンショウウオ その1」でA沢のサンショウウオが箱根山椒魚の仲間でしたので、畑沢に生息している他のサンショウウオはトウホクサンショウウオ(東北山椒魚)の仲間とクロサンショウウオ(黒山椒魚)の仲間のどちらか又はその両方という事になります。

 

 先ずはB湧水です。ここのサンショウウオは黒っぽいので私のイメージに合致していた種類ですが、まだ幼生です。尾が側扁していますので、もしや黒山椒魚かと思ったこともありましたが、幼生なら東北山椒魚も尾が側扁していると思いますので、これだけでは決め手になりません。

 フラッシュで明るくしてみました。色が変わってしまいました。でも箱根山椒魚の仲間とはみえません。

 

 こちらはC湧水のサンショウウオの成体です。

 C湧水の水中には卵がありました。卵嚢(卵を囲んでいるゼリー状の袋のような物)は完全な透明ではありませんが、少なくともはっきりと卵が見えます。中の卵には既に目もありました。

 黒山椒魚と東北山椒魚は止水域に産卵するそうです。B湧水もC湧水も止水域です。しかし、黒山椒魚の卵嚢は白濁していると鮭川村に関する黒山椒魚のブログで教えて貰いました。その場合は卵嚢の中の卵が全く見えません。

 そうすると、C湧水のサンショウウオは黒山椒魚ではないと言えるようです。さらに黒山椒魚と東北山椒魚の尾の形が異なるというネットの記事がありましたが、識別するには私の能力が不足しています。何しろサンショウウオを触ることさえためらっていたぐらいですから、観察ケースに入れて側面から撮影することなどは頭に入っていませんでした。惜しい機会を逃したことになります。

 

 次の写真は、C湧水から20mぐらい離れているD湧水のサンショウウオで、外鰓はなくなっていますがまだ幼生です。C湧水と近いので同一種の可能性もあるのですが、結構、黒山椒魚と東北山椒魚は同じ場所に生息しているという事ですから、同一種でない可能性もあります。やはり卵嚢と成体の形を確認する必要があります。私の一番、面倒で苦手なことです。ところでこれは箱根山椒魚の仲間と比べると平べったさが足りない感じがします。

 

 最後の一枚はE湧水です。これら一連の湧水の写真は、湧水撮影を目的としたものですから、サンショウウオは「おまけ」でしかありません。どうしても手が抜けています。サンショウウオの姿が小さく写っているだけで、「黒っぽく外鰓がある」ことしか分かりません。でも少なくとも箱根山椒魚の仲間ではないと思われます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やっぱり違うなあ(畑沢のサンショウウオその1)

2020-12-25 17:39:49 | 自然

 先ず私が初めてサンショウウオ(山椒魚)に出会った時のことをお話しします。尾花沢市立常盤小学校第5学年1組の教室です。ある朝、教室内が賑やかでした。何やら得体のしれない生き物がガラスの丸い水槽に入っています。六沢のトンネルからイモリのようなものを捕まえてきたのだそうです。担任の先生はそれをサンショウウオと教えてくれました。その時、クラスメートが「これは〇∇×だ」と言っていたのですが、記憶が曖昧です。それは「その3」でお話しします。六沢の方には珍しい生き物がいるものだと感心した覚えがあります。しばらくの間、飼育してじっくりと眺めたので、その姿は脳裏に焼き付き「黒っぽいイモリのような生き物」というサンショウウオのイメージが作られました。畑沢ではまだ見たことがありませんでした。

さて、令和2年12月9日に畑沢のA沢で水路の落ち葉や砂利を片付けていました。大量の落ち葉と枯れ枝が水の流れを堰き止め、春の雪解け水が溢れて田んぼを破壊する心配があるからです。今年も降雪が遅かったので、この日はまだ「畑沢の冬景色」ではなく「晩秋」の雰囲気でした。水辺に近づくのも苦になりません。

下の写真はその時に見つけたサンショウウオです。写真中央です。よく見ると、目もあり、四肢もあります。

 一般にサンショウウオは山中の落ち葉の下で越冬するものと思っていたので、半ば水中と言える状態にいることが不思議でした。このサンショウウオは体長(吻端から尾端までの長さ)5、6cmしかありませんので、当然、成体(人間でいえば大人)ではありません。しかし、既に外鰓(体の外部にはみ出している鰓)はなくなっています。陸上で越冬していても不思議ではないのです。そもそも、私は魚には関心を持って生きてきましたが、両棲類にはほぼ無関心でした。考えても分かるはずがありません。しかも、私が以前から持っているサンショウウオのイメージとかなり違います。

 実はA沢で2014年の5月にもサンショウウオを撮っていました。

 やはりこの時も私が持っていたサンショウウオのイメージと異なっていました。私のサンショウウオのイメージでは「黒っぽいイモリのような生き物」でしたが、ここのサンショウウオは黄土色で斑です。ところが私のいい加減な頭は、「サンショウウオも魚やアマガエルのように光の強弱によって色を変えるのだろう。今日は色を変えたくなったのだろう」と変な方向に働いていました。確かに魚やアマガエルなどは色素細胞を持っていて、色を変えることが出来ます。それを勝手にサンショウウオにも当て嵌(は)めてしまいました。サンショウウオが色を変えることが出来るとは聞いたことがありません。

 しかし、前回同様に今回も色が同じなので、どうも変色と言う解釈がおかしいことに気づきました。いつものインターネットのwikipediaの御厄介になったところ、これがハコネサンショウウオ(箱根山椒魚)とかなり似ていることが分かりました。ただし、ハコネサンショウウオには同属の種が多数おり、バンダイハコネサンショウウオ(磐梯箱根山椒魚)、タダミハコネサンシウウオ(只見箱根山椒魚)、キタオウシュウハコネサンショウウオ(北奥州箱根山椒魚)等々です。一つの種に地名が二つも並んでいます。とても私は特定する気になりません。従いまして畑沢のサンショウウオは「ハコネサンショウウオの仲間」としておきます。この仲間は冷水域の高所に生息しているので、それぞれの地で隔離されて進化した可能性が高いようです。タダミハコネサンシウウオは最近になって新種として発見されました、今後も新種が発見される可能性が高いとのことです。それは畑沢の場合でも起こりうることです。ハコネサンショウウオの仲間は、全般的に冷たい流水域に棲息していて、成体になる前は水中で越冬するとのことです。また、この仲間は、両棲類なのに肺が成長の途中でなくなってしまうとのことでした。冷たい流水には酸素が豊富に溶け込んでいますし、流水は絶えず新鮮な酸素入りの水を供給してくれます。おまけに運動量が少ないので、肺はなくても皮膚で十分に呼吸できるのでしょう。私も肺が不要かなと思ったりします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あれよあれよの降雪でした。そして初の雪降ろし

2020-12-19 14:28:49 | 近況報告

 今年も雪がなかなか降らないので、去年のように積雪ゼロに近いの天候で推移するのかなとも思っていたのですが、山形市内でも12月13日にようやく雪がばらつき、翌日から雪が積もるようになりました。16日にはまとまった積雪量になりましたので、いたずら心で雪ダルマを作りました。昔、畑沢でつくって遊んでいたころは、こんな拙い作品ではなかったのですが、創作意欲が減退しています。

 こんな遊びをしているうちに、山形県内ではとんでもない降雪が続いていたようです。NHKテレビの連動データを見ると尾花沢市の降水量が全国トップに躍り出ています。1時間当たりの降水量ですから少ない様に見えますが、雪としての降水量では大きな値です。

 この状態がずっと続いて、尾花沢の街中では一日に何度も除雪車が出たようです。そして、その日のうちに積雪量が80cmを超えました。さらに翌17日には100cmを超えてしまいました。尾花沢の街中よりも畑沢はもっと雪が積もったはずです。

 幸いにも天気予報では19日は雪が小康状態になるようなので、妻と雪降ろしに出かけました。ところが、国道13号線では急ピッチで大量の除雪を頑張っているようでしたが、とても対応がしきれない状態でした。特に東根市から北方向は圧雪が半ば融解してデコボコ状態で、車はガタガタと上下に踊ります。轍も滅茶苦茶になり片側2車線のはずがまるで1車線同様の状態でした。車速は40㎞/時が限度。

 村山市本飯田地区辺りで、除雪車を追い越しました。4台の除雪種が雁行よろしく、先頭車が最も右に位置して雪を左側に掻き寄せ、次の除雪車はさらに左に雪を掻き寄せて、順次、3番目と最後尾の除雪車で道路の左端に除雪していました。次の写真は妻がスマホで撮影したもので傑作です。やれば出来る妻です。画像中の何本もの横線は、後部窓(リアウインドウともいいます。)の熱線です。

 

 大幅に遅れて畑沢へ到着しました。これから雪を降ろすのは、この建物です。この写真を見ただけでは、大した雪に見えません。せいぜい50㎝とお思いになるかもしれません。

 ところが、そこに物指となるスコップを立てると、全く違うものになります。鉛直方向だと私の身長を超していました。去年は積雪ゼロでしたので、今年の雪降ろしは2年ぶりです。最近は屋根から転げ落ちると、少しだけですが怪我をするようになりましたので、慎重に作業を進めました。命綱も用意しました。

 やはり雪が多かったので、半日もかかって終了しました。例年ならば、1時間かかれば終わっていました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする