温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯田温泉 亀乃湯および温泉舎

2017年06月21日 | 山口県
山口県山口市の湯田温泉は、県内のみならず山陽地方随一の温泉街であり、旅館や歓楽街が渾然となりながら温泉街が形成されています。
当地には大小様々な規模の宿があり、その一部では立ち寄り入浴も受け入れていますが、そもそも歓楽街的な要素が強い土地柄だからか、入浴のみを専業とする温泉銭湯は「亀乃湯」と「天然温泉 清水湯」の2軒しかありません。そこで、当地へ泊まった昨年(2016年)某日の晩に、その中の一軒である「亀乃湯」を訪れてみることにしました。


●亀乃湯
 
老舗旅館「松田屋」の向かい、旅館「西村屋」の左隣に位置しており、建物の前には4〜5台分の駐車場が用意されています。歴史ある温泉地の銭湯ですが、トラディショナルな佇まいをしているわけではなく、建物の外観は至って質素でこぢんまりとしており、やたら看板だけ目立っていました。



上画像は翌朝改めて撮った「亀乃湯」です。浴場名の看板がなければ、倉庫かポンプ室ではないかと勘違いしてしまいそうな外観ですね。

建物の右脇に出入口があり、館内に入ってから券売機で料金を支払い、番台のおばちゃんに券を差し出してから、脱衣室へと向かいます。脱衣室内にロッカーは無いので、貴重品を携行している場合は、番台前に設置されているダイヤル式のロッカーを利用することになります。またこの番台の前にはちょっとした休憩スペースが用意されており、お風呂上がりに自販機で飲料を買ったドリンクで水分補給しながらひと息つくことも可能です。
外観から予想できる通り、脱衣室はコンパクトな作りで、混雑時には譲り合いが求められるような状態になりますが、そんな空間でも洗面台が2台設置されていたり、ドライヤーも2台備え付けられていたりと、狭い点に目を瞑れば使い勝手はまずまずと言えるでしょう。


 
浴室も決して広いとは言えませんが、限られたスペースを有効に活かすべく、浴槽や洗い場、そしてサウナなどが、隙間なく嵌め込まれたパズルのように配置されていました。男湯の場合、浴室へ入った正面すぐ目の前に2つの浴槽が並んでおり、その左手前方に洗い場が、同じく左手の手前側にサウナと水風呂(2人サイズ)が設けられています。洗い場に取り付けられているシャワー付きカランは計5基。シャンプー類の備え付けはありませんので、持参するか番台で購入するなど、事前に用意しておく必要があります。

上述のように浴槽は2つあり、一つは画像左(or上)の小さな槽。寸法は(目測で)1.5m×1.0mの2〜3人サイズ。この浴槽では底部から熱いお湯が供給されており、43〜4℃というちょっと熱めの湯加減が維持され、この浴槽に張られたお湯は、槽内のスリーブを通じて隣の大きな浴槽へと流れています。
その大きな浴槽(画像右or下)は、小さな浴槽の倍近い大きさがあり、小さな槽からの流れ込みの他、専用の湯口から適温のお湯が供給され、湯船自体も42℃前後の万人受けする湯加減に調整されていました。浴槽の底には吸い込み口が2つあってそこからお湯が吸引されていましたから、そうした構造やお湯のフィーリングから推測するに、おそらくお湯は循環利用されているものと思われます。画像を見るとわかりますが、この大きな浴槽には「壺湯」と称する窪みが3つあり、それぞれが丁度一人だけ入れる深い造りのお風呂になっていました。

お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、少々の消毒臭が感じられます。大小両浴槽ともオーバーフローは見られず、槽内吸引や供給が行われており、お湯からフレッシュさはあまり感じられなかったので、循環消毒が実施されているものと思われます。ネット上の情報によれば、お湯は温泉街で集中管理しているミックス泉に、30℃未満の自家源泉を混合させているらしいのですが、その点に関する詳しい情報を入手することができなかったので、湯使いに関してこれ以上の言及は控えさせていただきます。湯船に浸かると、アルカリ性泉らしいトロミが肌に伝わりましたが、決してツルツル浴感がはっきりしているわけではなく、正直なところ掴みどころのない没個性なお湯と化していました。この時は夜遅い時間だったため、最混雑時間帯を過ぎた後で、お湯が相当疲れていたのでしょう。連日の残業とお局様のイビリが重なって目の下に真っ黒いクマができてしまったOLさんと深夜にお見合いするようなもので、私が訪れたタイミングが悪かったのかもしれません。今度はコンディションの良い時に改めて利用させていただきたいものです。



壁にはタイル絵が埋め込まれていたのですが、そのタイル絵は全て白狐を描いたもの。全国津々浦々の歴史ある温泉は、鹿・猿・鷺・鶴など、えてしてその開湯伝説に動物が関係していますが、湯田温泉の場合は白狐がお湯を見つけたと言い伝えられており、それゆえ白狐のタイル絵が埋め込まれているのでしょう。


湯田温泉ミックス泉
アルカリ性単純温泉 63.6℃ pH9.14 溶存物質626.54mg/kg(※) 成分総計626.54mg/kg(※)
Na+:206.8mg,
F-:11.42mg, Cl-:274.8mg, HS-:0.02mg, OH-:0.24mg, CO3--:15.96mg,
H2SiO3:72.43mg,
(平成19年12月19日)
(※)掲示されている分析書に記載なかったため、著者が計算。

12:00〜24:00(受付終了23:30)
390円
ロッカー・ドライヤーあり、石鹸類販売あり

私の好み:★+0.5


●温泉舎や足湯
 
湯田温泉では「おもてなし西の京湯田温泉街プロジェクト」という活性化プロジェクトを進めており、実際に街中を歩いていると、巨大旅館や歓楽街の間に、無料で利用できる足湯や温泉を流すモニュメントなど、明らかにここ数年のうちに設置されたであろうと思しき施設が目につき、散策して楽しめる街づくりを目指していることが伝わってきます。その象徴たるものが、温泉街の南東に位置する「温泉舎(ゆのや)」。温泉街の中で屹立する高い櫓が目印です。湯田温泉の複数ある各泉源は建物の間に隠れるように存在しているため、その泉源に光を当てて温泉街としての風情を出すべく、2010年にオープンしたものです。温泉風情を醸し出すべく、黒色基調のシックな和テイストですが、ロゴなど随所に現代的なデザインが採用されています。


 
当地の開湯伝説に基づき、白狐の石像が据え置かれた庭園。その狐の足元から流れている川は「湯の川」。


 
櫓は高さ7.9mで木造。実際の揚湯に使われている訳ではなく、単なるオブジェとして建てられたようです。黒板の塀に囲まれた中心部には円筒形の泉源塔が据え付けられ、その傍らには自然石の上に注連縄をしめた飲泉場が設けられています。こちらの泉源は「市有19号泉」と称し、複数ある湯田温泉の源泉のひとつ。とても熱いので、ふぅふぅ吹きながらゆっくり飲んでみますと、トロミとともにはっきりとしたイオウ感が得られました。それもそのはず、なんと総硫黄が2.4mgも含まれているのです。ここで湧いたお湯は他源泉をミックスされて各旅館へ配湯されるわけですが、個人的な希望を言えばこの源泉単独のお風呂に入ってみたいものです。


 

泉源塔の配管には温度計が取り付けられており、64℃を指し示していました。この泉源塔には喉き窓が設けられており、塔の中でお湯が流れる様子を目にすることができるのですね。私も実際に見学しましたが、かなりの勢いでお湯が流れており、結構な迫力が伝わってきました。なおその量は1日約2000トンとのことです。

市有19号泉
アルカリ性単純温泉 62.0℃ pH9.4 溶存物質0.5826g/kg 成分総計0.5826g/kg
Na+:175.3mg,
F-:12.9mg, Cl-:243.8mg, Br-:0.7mg, OH-:0.4mg, HS-:1.5mg, S2O3--:0.9mg, , OH-:0.4mg, CO3--:20.8mg,
H2SiO3:78.6mg,
(平成22年12月1日)



●足湯
 
温泉街には無料で利用できる足湯も複数設けられています。上画像は、湯の町街道(県道204号線)と錦川通りを結ぶ細い路地「湯の香通り」にある足湯。



こちらは同足湯の湯口。定期的に清掃が行われているらしく、前夜訪れた時にはお湯で満たされていましたが、この画像を撮影した次の日の朝にはお湯が抜かれていました。ただ単につくるだけでなく、きちんと維持管理されているところが素晴らしい!


 
観光案内所の前にも足湯がありました。



足湯のみなたず、路地の角にも温泉を流す白狐のモニュメントが建てられていました。
従来の湯田温泉は歓楽街としての色彩が強かったため、温泉地なのに温泉風情に欠けていたわけですが、このような活性化事業により、少しずつ温泉街としての風情を取り戻しているようでした。

さて、次回記事では実際に当地で宿泊したお宿についてレポートさせていただきます。

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湯免温泉 湯免観光ホテル 公衆浴場うさぎの湯

2017年06月19日 | 山口県
 
山口県の仙崎や長門市から東萩へ至る路線バスに乗ると、途中で湯免温泉を通過します。昨年(2016年)初秋の某日、そのバスに乗っていた私は湯免で途中下車して、ちょっと立ち寄り入浴してみました。湯免温泉で日帰り入浴できる施設は、「湯免ふれあいセンター」と「湯免観光ホテル」の付属施設である「公衆浴場うさぎの湯」の2つなのですが、私が訪れた日は前者が定休日であったため、後者を訪れることにしました。いや、前者の営業日であっても私は後者を選択していたはずなのですが、その理由は後ほど。
ロータリー状になっている湯免のバス停の目の前に「湯免観光ホテル」が威風堂々と建っているのですが…


 
目指す公衆浴場はその右側に隣接しており、ちゃんと看板が立っていますので、それが指し示すほうへ進むとすぐに到着です。幅の広い観光ホテルとは対照的な、公衆浴場の建物は鄙びた質素な佇まいに、思わず「本当にここで良いのか」と躊躇ってしまいました。


 
まるで勝手口のような玄関を入ると右手に番台があるので、そこで湯銭を直接支払います。由来書きによれば、湯免という名前は、弘法大師が当地で温泉が湧き出ているという夢を見て、そのお告げを受けた人々が探してみたら本当に出で湯が見つかった、そこで夢(ゆめ)の温泉が転じて湯免温泉となったんだとか。


 
番台から廊下を先に進むと、本館からの通路と合流し、間もなく小さなホールに行き当たります。ホールには男女各浴場の暖簾がかかっている他、いくつかの腰掛けや飲料の自販機が設置されており、湯上がりにちょっと休憩できるようになっていました。またこの公衆浴場には男女別のお風呂の他に貸切の露天風呂(1,620円/50分)もあり、その暖簾も掛かっていました。なお今回私は男湯のみの利用です。


 
浴室は公衆浴場らしくタイル張りで実用的ですが、2方向に窓ガラスが採用されているためにとても明るく、また浴槽を部屋に対して斜めに設えているため、客が温泉に求めたくなる非日常的な雰囲気がしっかりと演出されていました。特に私が訪問した時には、窓が全開になっていたため、まるで露天風呂のような開放感も楽しむことができました。でも浴場名になっている「うさぎ」の要素はどこにも見られず、なぜ「うさぎの湯」なのか、その理由はわからず仕舞いでした。
公衆浴場には洗い場が欠かせませんよね。室内にはシャワー付きカランが4基並んでおり、一つ一つの間隔がゆとりを持って取り付けられているため、隣のお客さんとの干渉を気にせず利用することができるかと思います。その代わり備え付けられているのは石鹸しかないため、シャンプーなどは持参するか、番台で購入する必要があります。


 
浴槽は2.5m四方の正方形で10人強サイズ。黒御影石で縁取られ、底面にはグレー濃淡のモザイク模様があしらわれています。浴槽は上述のように壁に対して斜めに設置されており、その姿はまるで(トランプの)ダイヤのエースのようです。
公式サイトや屋外に立つ幟などでは、こちらのお湯が掛け流しであることを謳っています。館内表示によれば加温されているものの、循環などを行わない放流式の湯使いを採用しているらしく、実際に御影石の湯口より浴槽へ注がれたお湯は、黒御影の縁の上から溢れ出ていました。浴槽底面には目皿が埋め込まれていましたが、その穴からお湯の吸引が行われているかは不明(手を当ててみましたが、吸われているような力は感じられませんでした)。浴槽内の構造や見た目の状況から推測するに、掛け流しであることに間違いないでしょう。なお当記事の冒頭で、私はたとえ「湯免ふれあいセンター」が営業日であっても、この「うさぎの湯」を選んだはずと申し上げましたが、その理由は、こちらのお風呂が掛け流しであることがわかっていたからです(ふれあいセンターは循環消毒あり)。

お湯は無色透明、湯中では白い湯の花らしいものがチラホラと浮遊しています。湯口のお湯を口に含んでみてもほぼ無味無臭なのですが、よく味わうとアルカリ性泉らしい微収斂が頬の粘膜に伝わりました。湯船に体を沈めると全身にトロミを伴うツルスベ浴感が得られます。
なお湯加減は体感で41℃ほど。程よい湯加減とヌルツルスベの滑らかな浴感が相まって、ウサギというよりカメのようなゆったりとしたペースで、いつまでも長湯したくなりました。内湯のみの地味なお風呂ですが、なかなか良いお湯なので、当地を訪れたら一浴の価値ありです。


 
「湯免観光ホテル」の斜め前には「湯免住吉社」と題された看板が立っていました。その名前からもわかるように、住吉神社の分祀であるようです。看板の説明によれば、住吉社は大正6年創建という比較的新しい神社であり、温泉泉源の守護神として祀られたんだとか。つまりこの場所が湯免温泉の源泉なのですね。


 
住吉社の脇には巨大な貯湯タンクが設置されていました。源泉で湧いたお湯をこのタンクでストックし、それから「湯免観光ホテル」や「うさぎの湯」、そして「ふれあいセンター」へ分けられているのですね。


湯免温泉配湯施設2・3・4・5号混合泉
アルカリ性単純温泉 29.4℃ pH9.06 溶存物質0.233g/kg 成分総計0.233g/kg
Na+:60.42mg/kg,
F-:8.50mg, Cl-:37.76mg, CO3--:25.53mg, HS-:1.36mg, OH-:0.2mg,
H2SiO3:63.67mg,
(平成17年2月2日)
加温あり(源泉温度が低いので入浴に適した温度に保つため)

仙崎駅や長門市駅から萩バスセンターや東萩駅を結ぶ防長バスで「湯免温泉」下車すぐ
山口県長門市三隅中272  地図
0837-43-2000
ホームページ(湯免観光ホテル)

平日11:00〜20:00(受付終了19:30)、土日祝日10:00〜20:00(受付終了19:30)
350円(観光ホテルの宿泊客は無料で利用可)
ロッカー(100円有料)・石鹸・ドライヤーあり、タオルやシャンプー類など販売あり

私の好み:★★
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川棚温泉 ぴーすふる青竜泉

2017年06月18日 | 山口県
 
前回記事で取り上げた川棚温泉「小天狗」で一晩過ごした翌朝は、当地唯一の温泉銭湯である「ぴーすふる青竜泉」を訪ねました。こちらは元湯を名乗っているように、自家源泉を有している当地では数少ない施設のひとつであるため、どんなお湯なのか体感してみたかったのです。

ネット上の情報によればいつも多くのお客さんで賑わっているらしいので、混雑回避とその日の行動予定を勘案し、朝9時のオープン直後に訪問したのですが、すでに館内は朝風呂を楽しむ地元の常連さんが集まっており、浴場ではすべての洗い場が埋まってしまうほどでしたので、今回記事では内部の画像記録を一切行っておりません。文章のみで紹介させていただきますので悪しからず。

都市部の銭湯を思わせる現代的で機能的なタイル張りの浴場には、中央にb字形の主浴槽が据えられ、それを囲むように壁に沿ってシャワー付きカランが計12基設置されています。カランから出てくるお湯は真湯です。主浴槽の左側にはサウナと水風呂が並んでいます。
b字形の主浴槽は奥行5m弱、最も膨らんでいる脱衣室側で最大幅2.5mほど。奥の湯口よりお湯がしっかり注がれ、曲線を描く脱衣室側の縁の上よりふんだんにオーバーフローしています。私が訪問した時の湯加減は(体感で)約41℃でした。なお湯口に近い方には電気風呂装置が設けられているのですが、私は電気風呂が苦手なので湯口に近づくことができませんでした。

主浴槽の右側には屋外に出るドアがあり、開けるとすぐに露天風呂がお湯を湛えていました。露天といっても猫の額のように狭く、しかも単に屋根がないだけで、四方は高い塀に囲まれているため、露天風呂というワードが有する開放感はほとんど感じられません。浴槽も2〜3人サイズというコンパクトなものです。湯加減も内湯よりぬるい40℃前後です。しかしながら、実用的な内湯との差別化を図るためか、この露天風呂には赤い石板が用いられており、こうした趣向を凝らした設えからは、温泉風情を醸し出そうとする施設側の意気込みが伝わってきました。

上述のようにこちらでは自家源泉を各浴槽に供給しており、内湯・露天とも放流式の湯使いです。見た目は無色透明でほぼ無味無臭。湯の花の浮遊や気泡の付着などは確認できません。浴感としては弱いスルスベ。オーバーフロー量から推測するに、しっかり豊富にお湯を掛け流しているものと思われます(気温の低い時期のみ加温あり)。しかしながら、お湯からは塩素消毒の臭いがかなり強く放たれており、これによってせっかくの温泉の持ち味が打ち消されていました。もっとも、公衆浴場は不特定多数のお客さんが次々に利用するので、お客さんの身の安全を考えたら、塩素消毒は致し方ないかと理解したいところです。

こちらの施設には貸切風呂(4室)もあるので、次回利用する機会があれば貸切風呂に入ってみたいなぁ。
今回私が川棚温泉を巡った日には、日帰り入浴NGだったお宿が多かったため(準備ができていない、もしくは宿自体がお休みというのが、その理由でした)、一か八かのリスクを気にすることなく、いつでも気軽に川棚の湯に入れるこちらの施設は、当地においては非常に貴重な存在かと思います。


含弱放射能-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 42.8℃(これ以外のデータは見当たらず)
加温あり(気温の低い期間のみ)
塩素系薬剤使用(衛生管理のため)

下関駅もしくは川棚温泉駅よりサンデン交通あるいはブルーライン交通の川棚温泉行き路線バスで終点下車。
山口県下関市豊浦町川棚湯町5159-2  地図
083-772-0047
ホームページ

9:00〜21:00 2・4・6・9・12月の第1金曜定休
420円
ロッカー(100円有料)・ドライヤー(20円有料)あり

私の好み:★★
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川棚温泉 小天狗 後編(手前の浴室)

2017年06月16日 | 山口県
前回記事の続編です。

川棚温泉の旅館「小天狗」にある2つの浴室は、夜9時(21時)に男女の暖簾が替わります。前回記事では、帳場から見て奥にある浴室の様子をレポートしましたが、私が泊まった日には夜9時以降に(帳場から見て)手前側の浴室が男湯となりましたので、今回記事ではその手前側の浴室を取り上げます。


●手前側の浴室
 
今回も「をとこ湯」の札が掛かっていることを確認して入室。


 
こちらの浴室は大胆なリニューアルが行われており、レトロな宿の建物からは想像できないほど、和風モダンで綺麗な脱衣室の内装にびっくり。シックな木目の壁紙に間接照明が採用され、実にスタイリッシュです。


 
浴室内はタイルアートの芸術作品。天井がRを描いて柔らかな印象をもたらしているだけでなく、無彩色の濃淡コントラスト、差し色としてのレンガ色、そして細かな市松模様など、各部に貼られたタイルの全てが組み合わさってひとつの絵画のような世界観を作り出しており、しかも秀美でありながら品が良く控えめ。レトロなタイルと現代的な美観をハイブリッドさせて、とても居心地の良い空間を生み出しており、あまりの美しさと上品さに感嘆し、私は思わず息を飲んでしまいました。
なお室内の中央にh浴槽がひとつ据えられているほか、壁に沿ってシャワー付きカランが計4基設置されています。


 
左or上画像は窓から外を眺めた様子。右or下画像は、逆に窓から内湯を眺めた様子です。壁、柱、浴槽、それぞれに異なった模様があしらわれており、浴室全体がアート作品のようです。


 
浴槽はニワトリの卵を連想させるいびつな楕円形で、寸法は奥行2.5m×幅1.8mといったところ。豆タイルで覆われた配管湯口よりお湯がトポトポと注がれており、その傍らにある切り欠けから絶え間なく溢れ出ていました。浴槽内には淡いスカイブルーのタイルが貼られ、お湯の清らかさを際立たせています。


 
露天風呂も現代的な和の美観。頭上は屋根に、側面は壁に遮られているため、正直なところ開放感はありませんが、庭園風で落ち着いた雰囲気です。奥の浴室の露天風呂はいわゆる岩風呂風でしたが、こちらは立方体に切り出したような石材を積み上げて長方形に築かれており、浴槽のおおよその寸法は奥行2.5m×幅1.5m。槽内には分厚い木材(おそらく檜)の板を沈めてステップにしており、この天然素材の木目が見た目に柔らかい印象をもたらしているのみならず、無彩色の石材と明瞭なコントラストをなしていました。


 
奥の浴室の露天風呂とは対照的に、こちらの湯口からはしっかりとした量のお湯が注がれており、内湯とさほど変わらない適温に維持されていました。無色透明で清らかに澄んだお湯です。

さてこちらのお宿で使われているお湯に関してですが、小天狗泉という自家源泉を有しており、そのお湯を加水加温循環消毒なしの100%完全掛け流しで各浴室に提供しています(厳冬期は加温することもあるようです)。当地ではほとんどの施設で混合泉を引いているため、自家源泉に入れるこちらのお風呂は大変貴重です。湯口のお湯を口に含むと、薄い塩味と淡い石膏味が感じられ、弱いスルスベ浴感があり、湯中では少々のトロミも伝わります。そして自家源泉だけあって、お湯の鮮度は抜群。お湯に触れただけでフレッシュ感がわかり、湯船に浸かると心身が清浄されてゆくのを実感できました。湧出時点で43〜44℃ですから、内湯の湯船では41〜2℃になっており、露天風呂ではさらに下がっていますが、そんな湯加減なので体への負担も軽く、時間を忘れて長湯することができました。

意外にもこんなところに完全掛け流しのお風呂があるんだということを知り、しかもそんなお風呂をひたすら独占できたので、私はちょっと天狗気分になってしまいました。レトロな建物なので宿泊料金はリーズナブルな設定ですが、お風呂は美しく綺麗でお湯も素晴らしいという、文句のつけどころが無い、ブリリアントなお宿でした。


小天狗泉
含弱放射能-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 43.5℃ pH7.76 262L/min(動力揚湯・深さ102.5m) 溶存物質1.710g/kg 成分総計1.711g/kg
Na+:353.8mg(53.95mval%), Ca++:255.6mg(44.72mval%),
Cl-:967.0mg(94.49mval%), SO4--:59.75mg, CO3--:6.03mg,
H2SiO3:46.22mg, Rn:36.0×10^-10Ci/kg,
(平成18年8月2日)
加水加温循環消毒なし

下関駅もしくは川棚温泉駅よりサンデン交通あるいはブルーライン交通の川棚温泉行き路線バスで終点下車。
山口県下関市豊浦町川棚5153  地図
083-772-0215
ホームページ

日帰り入浴11:00〜21:00(念のため事前の問い合わせをおすすめします)
700円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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川棚温泉 小天狗 前編(客室・奥の浴室)

2017年06月14日 | 山口県

前回記事で取り上げた「玉椿旅館」を出た後も、川棚温泉の温泉街を歩きます。


 
当地では旅館「小天狗」で一晩お世話になりました。川棚温泉には今回私が宿泊した「小天狗」と、「小天狗さんろじ」という似た名称の宿があるのですが、前者は昔ながらの渋い旅館であり、後者は1日8室限定で全室露天風呂付きのハイクラスな旅館です。散財が嵩んで懐がスッカラカンな私は、リーズナブルに泊まれる前者を選択しました(朝食付きで1泊7,500円でした)。


 
これまで数えきれないほどの湯浴み客を泊めてきたこちらのお宿。建物は相当年季が入っていますが、こまめにお手入れされているらしく、隅々まで大変綺麗に維持されており、むしろその古さが味わいのあるレトロに感じられて、いにしえの日にタイムスリップしたような素敵な時間を過ごすことができました。


 
今回通された客室は、2階の「春日」という6畳のお部屋です。夕食が無いプランで予約したためか、チェックイン時には既に布団が敷かれており、いつでも横になれる状態になっていました。室内には冷蔵庫・テレビ・エアコンなど基本的な家電が備え付けられているほか、金庫、洗面台、そしてトイレが付いており、お風呂や食事以外はお部屋から出る必要がなく便利でした。


 
夕食に関しては後述しますが、朝食はお宿でお願いしました。指定した時間に別室へ移動していただきます。純和風の献立に、陶板で焼くベーコンエッグがついてきました。


●奥の浴室
館内にはお風呂が2室あり、21時(夜9時)に男女が入れ替わります。この日は玄関や帳場から見て奥側に位置するお風呂が、21時まで男湯でそれ以降は女湯になってしまうため、まずはこの奥のお風呂から入ることにしました。


 

「をとこ湯」の札を確認して脱衣室へ。一見するとシンプルですが、清掃が行き届いており、またエアコンも設置されているので、季節を問わず快適に利用できます。室内には湯使いに関する説明が掲示されており、これによれば「泉源より湧出そのままの純生温泉」で加温加水循環などしていないため、外気の影響を受けて露天風呂が入浴できないことがあるんだとか。私が訪れたのは残暑厳しい9月上旬でしたからそんな心配は不要でしたが、冬季には露天風呂のお湯が入浴に不適な温度まで冷めてしまうのかもしれません。


 
浴室もパッと見た限りでは実用的なタイル貼りですが、室内は大変綺麗に維持されており、清潔感に満ち溢れているので、安心して湯浴みすることができました。室内中央に浴槽が据えられ、その左右にシャワー付きカランが計4基取り付けられています。なお深夜はボイラーが止まるため、カランからは水しか出ません(深夜以外はちゃんとお湯が出ます)。


 

床や浴槽の縁には白系の御影石が用いられています。浴槽は1.8m四方の正方形で、5〜6人サイズ。縁は御影石ですが内部はタイル張りです。窓側の縁上に突き出た湯口から絶え間なく温泉が供給されており、夜通しで入浴することができます。湯口はなぜか真っ赤に染まっていましたが、その理由は不明。浴槽に注がれたお湯は無色透明で非常にクリア。そしてフレッシュです。湯船のお湯は縁の上から溢れ出ているほか、浴槽内部にあけられた穴からも排出されて、露天風呂へと流れるような造りになっていました。また槽内の一部ではボコボコと音を立てながら泡風呂装置が稼働していました。


 
窓の外には日本庭園風の露天風呂が設えられています。お風呂は全体的に庇で覆われており、周囲も塀が立っているため、開放感はいまいちですが、庭木の配置が上手く、間接照明の効果もあって、良い雰囲気の中で入浴を楽しめました。特に私が訪れた時には青い楓がとてもきれいでした。
この露天風呂はいわゆる岩風呂で、7〜8人サイズ。上述のように内湯から流れてくるお湯を受けているほか、露天専用の筧からも源泉のお湯が注がれているのですが、いかんせんその投入量が少ないため、湯温は私の体感で36〜7℃まで下がっていました。もちろん季節によって投入量を増やすなどの調整は行われるのでしょうけど、この状態ではぬるくなるのも宜なるかな。でも不感温度であるため、体への負担が少なく、時間を忘れていつまでも長湯していたくなります。ぬる湯好きの方にはむしろ歓迎したくなる湯加減です。

お湯の特徴に関しては次回記事で触れます。


●夕飯は「たかせ」で名物瓦そばを
 
上述のように私は朝食のみのプランで予約しましたので、夕食は外で摂る必要が有ります。そこで、その晩は当地きっての有名店である「たかせ」の本館で川棚温泉名物の瓦そばを食べてみることにしました。



これが瓦そば。なるほど、確かに瓦ですね。具体的に説明しますと、焼いて熱した瓦の上に茶蕎麦と具(錦糸卵と牛肉)を載せ、温かいおつゆでいただきます。載っているお蕎麦はすでに蒸されており、上の方は茶蕎麦ならではの風味を、下の方は焼けてパリパリになった食感を、それぞれ楽しむことができるわけです。早い話が和風焼きそばといった感じでしょうか。めんつゆも焼いたお蕎麦や具材に合うよう、甘めの味付けになっていました。瓦そばはこの「たかせ」で生まれた川棚温泉の名物ですが、いまでは山口県を代表するご当地料理として名を馳せるようになったんだそうです。



この日のおすすめとしてひらまさの握りがメニューに載っていたので、それも一緒に注文。実に美味い。ビールが進んで、ついついおかわりしてしまいました。

さて、宿に戻って21時を過ぎると、今度は帳場に近い方のお風呂が男湯になりますから、今度はそちらへ入ってみることにしましょう。

次回記事
に続く
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