温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

持世寺温泉 上の湯(温泉センター)

2017年06月10日 | 山口県
 
前回記事に引き続き山口県宇部市の持世寺温泉を巡ります。前回記事の「杉野湯」から県道に戻って東へちょっと進むと、県道沿いの目立ったところにデンと構えているのが、当地唯一の旅館である「上の湯」です。旅館なので当然宿泊することができますが、入浴のみの利用も積極的に受け入れており、日帰り利用できる浴場そのものが2種類に分かれています。その2種類とは、1階の公衆浴場、そして2階および3階の温泉センターです。

私は初めての利用なので、双方にどんな違いがあるのかわからず、受付のおばちゃんにその点に関して尋ねたところ、1階はお風呂に入るだけで石鹸などは何もないが400円、2階(と3階)はボディーソープなどが備わっており露天風呂もあって貸タオルが付いて1000円、とのこと。このように料金別で分かれる施設は、大抵安い方がお湯が良い傾向にありますので、はじめは前者を利用しようとしたのですが、いざ入ろうとしたら、平日の昼間だというのにかなり混んでいたため、混雑を回避すべく600円を追加で支払って、後者つまり温泉センターのお風呂へ変更することにしました(入浴料金は券売機で支払いますが、追加や変更に関しては現金で可能です)。


 
階段を上がって廊下を進んだ先に、温泉センターの暖簾が掛かっていました。宿泊客が利用するお風呂もおそらくこちらかと思います。1階公衆浴場の脱衣室は、本当に着替えるだけの空間ですが、温泉センターの脱衣室は空調が効いており、ロッカーやドライヤー、アメニティ類などもひと通り揃っていました。600円の価格差は、お風呂に入る前の段階から歴然とした形で現れているのでした。


 
温泉センターの浴場は2階と3階の2フロアにそれぞれ設けられていて、浴場内の階段で行き来することができます。まずは2階浴場から。室内には1つのサウナと2つの浴槽、そして10基のシャワー付きカランが設けられています。カランのお湯からは弱いながらもタマゴ風味が感じられたので、源泉のお湯を使っているのかもしれません。


 
サウナの左側に大小2つの浴槽が並んでいますが、小さな方は水風呂ですから、湯浴みできる浴槽は大きな方の一つだけです。スカイブルーのタイルが貼られた浴槽は(目測で)4m×3mという大きなもので、槽内では泡風呂装置が稼働していました。一応浴槽の縁から僅かにオーバーフローが見られるものの、実際には館内表示の通り、明らかに循環ろ過の湯使いです(新鮮源泉が若干量投入されているのかもしれません)。



裸のまま階段を上がって3階のお風呂へ移動。


 
3階の浴場も2階と同じようなレイアウトで、こちらにもシャワー付きカランが用意されていますが、数は少なく、2階の半分以下の4基のみ。湯船は2つありますが、両方合わせても2階より若干小さく、全体的にひとまわり小さく作られているようです。その湯船のひとつは循環湯が張られたジェット風呂で大きさは(目測で)2m×3.5mほど。もうひとつは漢方薬を溶かした漢方湯で、独特な匂いを放つ黄色いお湯が張られていました。


 
3階は浴室がコンパクトな分、露天風呂にスペースが割かれています。ビルの屋上に和風の岩風呂設えられており、転落防止用の側壁は浴槽のそばだけ柵にして、入浴しながら景色が眺められるようになっていました。位置としてはちょうど2階主浴槽の真上に当たるものと思われます。でもビルの屋上ゆえに殺風景な感は否めず、そのうえ側壁の塗装も草臥れており、正直なところ温泉風情はいまいち。


 
露天の岩風呂は6〜7人サイズ。石積みの湯口からお湯が吐出されており、岩の隙間からオーバーフローしていましたが、投入量に比べてオーバーフロー量が明らかに少なかったので、こちらの湯使いも循環(あるいは循環と放流式の併用)でしょう。
温泉センターで使われているお湯は4号泉という源泉で、見た目は無色透明、各浴槽とも41℃前後の湯加減に調整されていました。循環消毒されているためか、分析書で記されているような各成分の特徴はお風呂においては感じられず、掴みどころのない平凡なただのお湯と化しています。湯船よりもシャワーのお湯の方が、弱いながらもイオウ感がはっきり現れていたので、私はシャワーのお湯を積極的に浴びてしまいました。ネット上の情報によれば、1階の公衆浴場の方が温泉の特徴が出ているらしいので、やっぱり混雑は覚悟の上で1階のお風呂にしておけばよかったのかもしれないと、ちょっと後悔…。でも、公衆浴場より600円も高いにもかかわらず、こちらのお風呂にも先客が3〜4人はいましたから、ちゃんと需要はあるのですね。帰り際、受付のおばちゃんに、1階と2階(および3階)のお湯は違うのかと尋ねたところ、両方とも同じお湯を使っているとのこと。ということは、全館的に4号泉を使っているのでしょうか。でも某大手宿泊予約サイトの紹介ページによれば4本の源泉があると記されていますし、チラッと目にした1階公衆浴場の分析書には2号3号の混合と書かれていたような気もします(惜しいことに記録し忘れてしまいました)。
風呂上がりはいつまで経っても汗が引かず、その温浴効果こそ放射能泉のパワーなのかもしれないと自分に言い聞かせましたが、それにしても心のモヤモヤが消えないまま、このお風呂を後にしました。次回訪問する機会があれば、1階の公衆浴場に入ってみたいものです。


上の湯4号泉
アルカリ性単純放射能温泉 40.4℃ pH8.82 135.9L/min(動力揚湯・深度350m) 溶存物質0.308g/kg 成分総計0.308g/kg
Na+:92.6mg(93.29mval%),
F-:12.4mg, Cl-:86.5mg(57.55mval%), HCO3-:33.6mg(12.97mval%), CO3--:15.0mg, HS-:1.5mg, OH-:0.1mg,
H2SiO3:52.9mg, Rn:37.6×10^-10Ci/kg,
(平成21年6月26日)
加温あり(適温にするため)、加水なし、循環ろ過あり(温泉資源保護のため)、塩素消毒あり(衛生管理のため)

JR山陽本線・厚東駅より徒歩20分強(約1.8km)。もしくは厚東駅か宇部駅より宇部市営バスの西宇部厚東線(西13など)で「持世寺温泉入口」バス停下車、徒歩6分
山口県宇部市吉見持世寺2925  地図
0836-62-0013

8:30〜20:00 水曜定休
公衆浴場400円、温泉センター1000円
公衆浴場はロッカー(10円リターン式)のみあり、他備品類なし
温泉センターはロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり、貸しタオル付き

私の好み;★
コメント
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