温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

夜間瀬温泉 遠見乃湯

2013年03月19日 | 長野県
 
前回に続いて夜間瀬温泉です。今回は露天風呂からの眺望が素晴らしい「遠見乃湯」を取り上げます。直線で構成されているスッキリとしたデザインの、温泉施設とは思えない小洒落た建物ですね。



この日は隣接する「ホテル・セラン」で宿泊したのですが、「遠見乃湯」はこのホテルの付帯施設であるため、宿泊客は無料で温泉を利用することができます。その際には宿泊客であることを受付に明示するため、客室に用意されている浴衣を纏うことが求められます。
もちろん入浴のみでこちらを訪れる方も多く、訪問時にはこの座敷でゆっくり休憩する家族連れのお客さんがたくさんいらっしゃいました。



ウッディーでぬくもりと柔らかな印象に満ちた脱衣室。室内はよく手入れされており綺麗で快適です。



入浴エリアは屋内の洗い場と屋外の露天風呂の2つに分かれており(内湯は無し)、洗い場を通らないと露天へは行けません。このレイアウトによって、脱衣後に掛け湯もせずいきなり露天へドボンと直行するような不届きな輩の発生を抑制できるものと思われます。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が7基設置されており、石鹸とシャンプーが備え付けられていますが、コンディショナーやボディーソープはありません。


 
広い岩風呂の露天浴槽は内部がモルタルで固められており、また頭上の一部には屋根が掛けられています。全体的にゆとりのある造りで、後述するパノラマを邪魔せず、心置きなく開放感を味わえる空間になっていました。なお浴槽の底はとても滑りやすいので、その点は要注意です。


 
湯口はわかりやすい場所に2本あり、1本は岩の上から癖のない適温のお湯が滝のように落とされているもので、もう1本はワインレッドの耐熱塩ビ管から吐出されています。後者については源泉そのままの、直接手で触れないほど熱いお湯が吐出されていました。この他にも槽内には数箇所の隠し湯口があり、それらによって広い湯船に発生しやすい温度ムラを防止していました。一方、排湯に関しては、湯口とは反対側で溢れたお湯が排湯されているほか、底には循環用の吸引口があって強力にお湯を吸い込んでいましたので、こうした状況から推測するに、源泉100%のお湯を常時投入しながら循環濾過を併用しているものと思われます(循環ろ過装置使用については館内表示に明記されています)。

前回取り上げた「日新乃湯」と同じ源泉を用いれているのですが、塩ビの湯口からは「日新乃湯」と同じ知覚が得られたものの、循環濾過されているために、浴槽全体としては「日新乃湯」のような赤茶色の着色などは見られず、無色透明でほぼ無味無臭の特徴に欠けるものと化しており、それどころか、湯船の傍らに立ってるだけでもわかるほど強い塩素臭が鼻を刺激してきました。不特定多数の観光客が利用する温浴施設ですから、塩素消毒はやむを得ない措置でしょう。ただ、嗅覚を研ぎ澄ますと僅かに金気が感じられ、また、かろうじて浴槽の岩と湯面が接するところには赤茶色のラインが形成されているので、こうした点に本来は個性的な特徴を有している源泉の面影が見受けられます。


 
普段から、拙ブログでは循環ろ過により特徴が失われてしまった温泉を取り上げていないのですが、それでも今回敢えてこの施設を記事にしたのは、「遠見の湯」という名前が示す素晴らしいパノラマを眺望できるからであります。「サルと何とかは高い所が好き」と言いますが、その何とかの一員である私は見晴らしの良いところがとっても大好きですから、眼下に広がる善光寺平、そして北信五岳や北アルプスを入浴しながらにして眺めることができるこの露天風呂に出会ったときにはとても感動してしまい、絶景に見惚れてあやうくお湯に逆上せるところでした。

眺望の視線を善光寺平から志賀方面へ、つまり右から左に移してゆきますと、その途中に湯田中の温泉街が広がっているのですが、その湯田中へ向かって信州中野方面からクネクネとした一筋の線が伸びており、目を凝らしてその線をじっと見つめていますと、時折線をなぞって箱状の物体が動いているのが確認できます。これはもちろん長野電鉄の電車ですね。お風呂に入りながら、まるで模型のように走る長電の「ゆけむり」や「スノーモンキー」そして「マッコウクジラ」をはっきり目視することができました。


 
宿泊中はホテルの客室にいても退屈だったので、夜も露天に入ったのですが・・・



その夜景が実に素晴らしい。月並みな表現ですが、宝石を散りばめたような数多の煌めきが眼前に広がっていました。画像の左方は湯田中や渋の温泉街、右が信州中野や小布施・長野市街など善光寺平です。この時はあいにく曇り空だったのですが、もし星空であったならば、見渡す限り煌めきに満ちていたのでしょうね。

お湯はいまいちですが(お湯重視の方は「日新乃湯」へ)、露天風呂から望むことができる眺望の見事さは信州屈指ではないでしょうか。特にお湯へのこだわりはないけれども、開放感を満喫したい方には是非おすすめしたいお風呂でした。


単純温泉 51.5℃ pH7.5 溶存物質851.1mg/kg 成分総計874.7mg/kg
Na+:146mg(59.73mval%), Ca++:71.3mg(33.39mval%), Fe++:0.34mg(0.11mval%),
Cl-:266.0mg(69.6mval%), HCO3-:172.4mg(26.2mval%),
H2SiO3:149.3mg, CO2:23.6mg,
衛生管理のため循環ろ過装置を使用

長野県下高井郡山ノ内町夜間瀬6995
0269-33-1111(ホテルセラン)
ホームページ

平日15:00~22:00、土日祝11:00~22:00
600円
ロッカー有料(小100円・大200円)、ドライヤーあり、石鹸とシャンプーあり

私の好み:★★
コメント
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