別府の「市の原共同温泉」は基本的に地元民専用ながら外来者も利用できるありがたい共同浴場のひとつ。「おたふくわた」の琺瑯看板が良い味を醸し出している、古くて草臥れた木造の湯屋が実に魅力的ですね。「組合員以外の無料入浴堅くお断り致します」とのことですので…
斜前の酒屋兼食料品店にて入浴券を購入しました。券面の右肩には通し番号がふってあります。今回は朝9時頃に訪問したのですが、番号によればその時点で既に33人が利用しているってことになりますね。さすが別府だ。
倉庫のような入口の引き戸を開けて中へ入ると、すぐ目の前に仏様が祀られている棚があり、その下に水色の小箱がくくりつけられていました。先客のおじいさん曰く「入浴券はその箱へ入れて下さい」とのことでしたので、券を半分に折って箱の口へ投入しました。
昭和のノスタルジーがたっぷりな浴室。この雰囲気に包まれるだけでも幸せです。
室内は別府の共同浴場では一般的な、脱衣所と浴室が一体化された造りです。脱衣スペースには入浴券を釘に刺しておくボードがありますが、上述のように今回はこちらを使用しませんでした。
羽目板の壁に掲示された各種案内や注意書き。「何時も笑顔で明るい浴場」という標語が微笑ましいですね。
浴室の床や浴槽ともに切り出された石材が用いられており、槽内には墓石を半分に切ったような石材が5枚敷かれていました。
お風呂で使われる源泉は、まず湯船左隅の小さな湯溜まりに落とされてから浴槽へと注がれています。その湯口は長年の温泉成分の付着によって赤く染まっており、またトゲトゲの析出もたくさん発生していました。また湯溜まりには木の栓が突っ込んであり、これを抜いたり挿したりすることによって、湯船への流量を調整するようになっています。
お湯は無色透明で、薄いけれどもはっきりとわかる甘い塩味、そして防虫剤のような匂いと正露丸のような匂いがそれぞれ薄っすらと感じられます。当然ながら湯使いは完全かけ流しで、お湯に体を沈めるとキリリとした鮮度が全身に伝わり、湯上りにはいつまでもポカポカと温感が持続しました。
ナトリウム-塩化物泉
大分交通「市の原」バス停より徒歩1分
大分県別府市新別府7組1 地図
5:30~22:00
200円
備品類なし
私の好み:★★★