別府市街の哀愁漂う飲み屋街に伸びる路地を歩き、更に狭い裏路地へと入り込んで行きます。この辺りはハングル文字の看板を掲げる飲み屋が目立っていますね。在日の方が多く暮らしているエリアなのかしら。
ちょっと迷いながらようやく辿り着いた「梅園温泉」は、案内表示によればここは大正5年に開設され、新竹瓦温泉とも称されていたんですね。普段は無人の共同浴場なんだそうですが、訪問時は偶々管理のおばちゃんがいらっしゃり、一見客たる私を笑顔で迎えてくださいました。路地に面した窓の向こう側からはボコボコと何やら威勢のよい音が響いてきます。何が起きているのやら…。
入口前ではニャンコがこちらの様子をじっと窺っております。裏路地に猫という組み合わせは、庶民的な街の風景に欠かせない組み合わせですね。初めて一眼レフのカメラを買ったら、まずこの組み合わせの構図を撮ろうとする人も多いでしょう。尤も、私は安物のコンデジですが…。
男女別に分かれている入口の引き戸を開けると、ピンポンと比較的大きな音量でチャイムが鳴りました。無人施設ですから、この音によって浴室内にいる先客へ新たに利用客がやってきたことを知らせ、客同士で注意して無銭入浴を防いでいるのでしょう。「会員制に付き部外者の入浴固く禁ず」とのことですが、わずか100円を支払えば部外者でも利用できちゃうのが別府の懐の広さであります。
別府の共同浴場らしく脱衣スペースと入浴スペースが一体化されており、室内は狭くて天井も低く、限られた会員のみを相手にする装飾性が一切ない施設です。
室内の真ん中には3~4人サイズの小判型浴槽がひとつ据えられています。また室内の右隅ではボコボコと音を立ててお湯を噴き上げている湯溜まりがあり、そこから床を潜って浴槽へとお湯が供給されています。表で耳にしたボコボコ音はこの湯溜まりで噴き上げられているお湯の音だったんですね。
お湯は無色透明でとてもよく澄み切っており、湯溜まりこそやや赤っぽい色が着いていますが、ほぼ無味無臭。微かにアブラっぽさや金気が含まれているようにも感じられましたが、こうした知覚的特徴は温泉由来なのか配管などに起因しているのかは不明です。いずれにせよ、お湯はとても鮮度が良く、すばらしい浴感が得られました。もちろん完全かけ流しです。
私が訪ったのは夕方4時頃で、先客には場所柄水商売っぽい兄ちゃんが目立っていたようでしたが、時間帯によっては客層も変わってくるのでしょう。現地へ至るまでのアプローチや浴場自体の佇まいが何とも言えないほど魅力的な、温泉都市別府ならではの素晴らしい共同浴場でした。
温泉分析表見当たらず
大分県別府市元町5-23
12:00~23:45
100円
備品類なし
私の好み:★★★