温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

見立の湯 (徒労に終わった訪問)

2010年11月16日 | 岩手県
※この記事を公開した後、2014年10月に再訪して、無事に入浴を果たしております。その時の記事はこちら(「見立の湯 2014年10月再訪」)をご覧ください。


紅葉も終わって葉が落ちきった初冬の岩手県・錦秋湖。その南岸に位置するゆだ錦秋湖駅の駅前を通り過ぎ、草井沢・本屋敷などの集落へ伸びる一本道を走ります。集落を抜けると道はひたすら山を登るばかり。もうすぐ夕暮れ。すれ違う車なんて皆無。


 
途中「南本内峡・南本内岳」方面と「鷲合森」へ分かれる分岐がありますが、ここは「鷲合森」方向へ。



分岐から更に2.8kmほどで道路の幅員が若干広くなる箇所があり、その先には通行止のバリケードが置かれていました。車を一旦Uターンさせて路肩に駐車。車から折り畳み自転車を取り出してその場で組み立て、バリケードの先へ進みます。ここまでの道路は舗装されていましたが、先は未舗装です。デコボコの砂利道にハンドルを取られ、その上勾配が急なため、忽ち全身汗だく。運動不足の体には堪えるので、早々にサドルから下りて自転車を押しながら登ることにしました。途中鉄板で渡された仮設の橋を2か所渡りながらひたすら山登り。


 
バリケードから約1.5km地点、道が左へヘアピンカーブするところで、妙に立派で場違いな標識を発見。気取った書体でちゃんと「見立の湯」と書かれているではありませんか。明らかに役所が立てたと思われるこの看板と、その10mほど左に立つ「休猟区」の看板の間に、うっすらと獣道が伸びています。自転車をその場に置いて、この獣道に突入。


間もなく斜面左側にコンクリの槽らしきものが見えますが、これはどうやら「ニセ見立ての湯」と呼ばれる構造物のようですので、一瞥するだけでパス。


更に進んで斜面を下ると、沢の岸の平たいところに浴槽らしき物が見下ろせます。これぞ、目指していた「見立の湯」です。 そもそもは宿泊施設があったようですが、全て取り壊されて湯船だけが残ったようです。北海道の川北温泉や、青森県の田代元湯など、野湯にはこの手の類がしばしば見受けられますね。無事にたどり着けたので、さぁ入浴しようと現場へ近付くと、何やら様子がおかしい。あれれ、浴槽の栓が抜かれていて空っぽではないですか!!

 
 湯口からは41.5℃という絶妙な湯加減のお湯がとめどなく出続けています。無色透明でほとんど無味無臭、きれいなお湯です。栓をして溜まるのを待てば湯浴みすることはできるでしょう。でも湯量はそれほど多くないため、溜まるまでには時間がかかりそう。そして行ったタイミングが悪かった。もうすぐ日暮れ時だったので、早めに立ち去らないと真っ暗になってしまい、遭難しかねません。せっかく息を切らして汗だくでここまで来たのに…。後ろ髪を引かれる思いで泣く泣くその場を立ち去りました。
画像左側の浴槽を見ると、底から数十センチの高さまではまだ湿っており、その上が乾きつつあるのがわかります。どうやら栓を抜かれたのは今日ではないにせよ、つい最近であるように思われます。冬場は栓を抜くのが慣例なのでしょうか。あるいは使用の都度栓を抜くのがここの慣習なのでしょうか。いずれにせよ時間に余裕を持たずに訪れてしまった私に落ち度がある。いずれ再訪しなければ。


泉質不明

岩手県和賀郡西和賀町本屋敷  地図(大体この辺り)
野湯につき常時入浴可(ただし冬季は無理でしょう)
無料
森のクマさんにご用心

私の評価:入浴できていないので、判定できず…
コメント (2)
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二庄内温泉

2010年11月16日 | 青森県

青森県黒石の山奥、ランプの宿として有名な青荷温泉は、秘湯なのに名前が全国区で知れ渡っているという矛盾を抱えているわけですが、その青荷温泉へアプローチする林道を、途中で右に曲がらず道なりに二庄内ダム方向へ直進、青荷温泉への分岐点から約6~7kmあたりで、道路が整地された小さな公園のような場所を右回りでぐるっと捲くところがあって、その整地された箇所をよく見ると、何だか怪しい小さなコンクリの枡がポツンと置かれています。その枡こそ知る人ぞ知る秘湯、二庄内温泉です。なお道中には何箇所か分岐がありますが、道が舗装されている方へ進んでいけば迷うことありません。


 
約1メートル四方のコンクリの枡に無色透明のお湯が注がれており、傍らには一丁前に、一昔前の温泉紹介番組でバニーちゃんが掲げていたような温泉名・泉質・効能の書かれた札が立っています。枡は腰の高さぐらいはあって、内側に苔が生えているのでヌメヌメしており、あんまり入浴には適さないかも。浴槽というより単なる湯溜まりという様相で、脱衣所も目隠しも何にも無く、なんでこんな物を設けたのかよくわかりません。でも人が入るには十分の深さがあるので、興味津津、湯浴みしてみることにしました。周囲は人っ子一人いない山の中。人が来ることなんて滅多にないでしょうから、心おきなく全裸になっていざ入浴。


 
張られているお湯の温度は33.5℃、かなりぬるめです。上述の通り無色透明、明瞭なたまご味とたまご臭が感じられます。実質的に野湯みたいなもので、確かに枡の内側には苔が生えていて気味悪いのですが、でも野湯にありがちな藻や不純物の浮遊などは無く、清掃する必要もないので、その点ではハードルが低いかもしれません。とはいえ、何しろぬるいので、一度入るとなかなか外に出られず、どうしても長湯せざるを得ないのですが、身を縮めて湯に浸かっていると、あちらこちらからカジカガエルの大合唱が聞こえてきます。実に長閑な環境…、いや長閑を超えてあまりに寂しすぎる…。

一般の方にはおすすめしませんが、温泉ファンなら一度訪れてみるのも面白いかも。青荷より余程こちらの方が秘湯感たっぷりです。ここはおそらくダム工事の際に、関係者が自然湧出の温泉を活かすべく、遊び心でつくったものなのでしょう。こういう温泉にこそ日本人の温泉愛が滲み出ているような気がします。


単純泉 35.5℃

青森県黒石市大字二庄内 地図(大概の位置なので正確ではありません)
24時間入浴可(但し冬季は到達不可) 無料
野湯につき備品など一切なし

私の好み:★★
コメント
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