青森県黒石の山奥、ランプの宿として有名な青荷温泉は、秘湯なのに名前が全国区で知れ渡っているという矛盾を抱えているわけですが、その青荷温泉へアプローチする林道を、途中で右に曲がらず道なりに二庄内ダム方向へ直進、青荷温泉への分岐点から約6~7kmあたりで、道路が整地された小さな公園のような場所を右回りでぐるっと捲くところがあって、その整地された箇所をよく見ると、何だか怪しい小さなコンクリの枡がポツンと置かれています。その枡こそ知る人ぞ知る秘湯、二庄内温泉です。なお道中には何箇所か分岐がありますが、道が舗装されている方へ進んでいけば迷うことありません。
約1メートル四方のコンクリの枡に無色透明のお湯が注がれており、傍らには一丁前に、一昔前の温泉紹介番組でバニーちゃんが掲げていたような温泉名・泉質・効能の書かれた札が立っています。枡は腰の高さぐらいはあって、内側に苔が生えているのでヌメヌメしており、あんまり入浴には適さないかも。浴槽というより単なる湯溜まりという様相で、脱衣所も目隠しも何にも無く、なんでこんな物を設けたのかよくわかりません。でも人が入るには十分の深さがあるので、興味津津、湯浴みしてみることにしました。周囲は人っ子一人いない山の中。人が来ることなんて滅多にないでしょうから、心おきなく全裸になっていざ入浴。
張られているお湯の温度は33.5℃、かなりぬるめです。上述の通り無色透明、明瞭なたまご味とたまご臭が感じられます。実質的に野湯みたいなもので、確かに枡の内側には苔が生えていて気味悪いのですが、でも野湯にありがちな藻や不純物の浮遊などは無く、清掃する必要もないので、その点ではハードルが低いかもしれません。とはいえ、何しろぬるいので、一度入るとなかなか外に出られず、どうしても長湯せざるを得ないのですが、身を縮めて湯に浸かっていると、あちらこちらからカジカガエルの大合唱が聞こえてきます。実に長閑な環境…、いや長閑を超えてあまりに寂しすぎる…。
一般の方にはおすすめしませんが、温泉ファンなら一度訪れてみるのも面白いかも。青荷より余程こちらの方が秘湯感たっぷりです。ここはおそらくダム工事の際に、関係者が自然湧出の温泉を活かすべく、遊び心でつくったものなのでしょう。こういう温泉にこそ日本人の温泉愛が滲み出ているような気がします。
単純泉 35.5℃
青森県黒石市大字二庄内 地図(大概の位置なので正確ではありません)
24時間入浴可(但し冬季は到達不可) 無料
野湯につき備品など一切なし
私の好み:★★
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