温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大坑温泉 麒麟峰温泉 (台湾中部)

2010年11月25日 | 台湾

温泉の多い台湾にあって台中近辺はあまり温泉に恵まれなかったようですが、1999年9月21日に発生した921大地震(台湾中部大地震)をきっかけにして、郊外の丘陵地帯「大坑風景区」で新たに温泉が湧出しはじめたんだそうです。地震でずれた断層の隙間から熱せられた地下水が上がってきたんでしょうか。
大坑地区には東山楽園台中日光温泉会館など何軒かの温泉入浴施設がありますが、温泉街を形成しているわけではなく、1軒1軒がバラバラに立地しています。車がないと各施設を梯子するのは難しそうなので、今回は「麒麟峰温泉」にターゲットを絞って訪問することにしました。


 
台中駅の真正面から伸びる中正路を歩いて数分のところにある第一広場(デパート)前のバス乗り場から、仁友客運のポンコツ路線バス21番に乗車。


所要時間約40分、青山社区で下車。道路には「麒麟峰温泉」を示す標識が立てられていました。バス通りから歩いて3分程度で到着です。


 
敷地の入り口に自動車用入場ゲートがあって、私のような路線バス&歩きで訪れる客もそこで支払いを済ませます。こういう仕組みから考えても、やはりここは自家用車で利用することを前提にして作られているのでしょう。


午前11時頃に行ったのですが、お金を支払うとチケットが手渡されました。どうやらこれを食堂で提示すれば、無料で昼食サービスが受けられるようです。食事はとりあえず後回し。
玄関をはいって食堂棟を抜けると入浴ゾーン。ここは基本的に水着・水泳帽を着用して入浴するSPAスタイルでして、いろんな浴槽を左手に見ながらぐるっとまわって更衣室へ。平日の午前中だからか、お客さんの姿が殆ど見えません。せいぜい中高年の夫婦が2~3組程度でしょうか。

 
屋外には6つの浴槽、そして内湯がある棟が2つ。結構バラエティに富んでいます。
屋外の槽を左から順に見てゆくと、いちばん左の丸い日本的な湯船は42℃ぐらいあって日本人でも満足できる湯温、その右隣りは使用停止、そして打たせ湯がある20~25℃の槽、40℃前後の槽、子供用の小さな槽、大きなプール(使用停止)、といった感じで配置されています。これらの多くは和風を意識して東屋風の木製の屋根がかかっています。その一方、いちばん右の使用停止槽はおそらくこの施設で一番大きな露天プールで、現代的なステンレス感むき出しのアーチ状の大きな屋根で覆われており、派手な構造物が好きな台湾らしいデザインです。


一番左の槽の屋根には「源頭池水熱」と書かれた札が。ここが源泉槽ということでしょうか。


使用停止の槽が2つも…。お詫びの掲示を見ると、温泉卵が作れる槽もあったようですが、配管の不具合のため使用停止にしているとのこと。地下2000mもの深いところから汲み上げているため、一度配管が支障をきたすと修理が大変なんでしょうね。



2つある内湯のうち、左側に建っているのは水着着用で入浴するもので、曲線を描いた石の縁の湯船がふたつ並んでおり、片方は41℃前後、他方は20~25℃ぐらいでした。

 
一方、更衣室正面の内湯の小屋は「裸湯」と書かれているように日式(日本式)のお風呂で、男女別で文字通り裸になって入ることができます。裸湯ってストレートすぎる表現ですね。こちらのお風呂もやはり方形の湯船が二つ並んでいて、片方は41℃前後、他方は20~25℃ぐらいの設定になっていました。

 
「裸湯」の建物にもロッカーやパウダールームがあり、シャワー付のカランもあって、お風呂としての設備は充実しているのですが、どういうわけか小便器も他の設備と同じ空間に剥き出しで置かれていて、ちょっと興醒め。


ここのお湯は高濃度の炭酸泉であることが売りのようですが、結論からいうとあまりそれを実感できませんでした。また施設内の説明プレートには「乳白色」のお湯であると書かれていますが、実際には乳白色ではなく灰色がかった薄い緑色で弱く濁り、同色の微細な浮遊物(湯の華)が無数に湯中を漂っていました。

 
上述の説明の通り、いくつもある浴槽は湯温で捉えると40℃以上の槽と20~25℃の槽に二分することができます。双方とも低温の各槽ではお湯の投入量が豊富で勢いよくオーバーフローしているところから、おそらく源泉かけ流しかと思われます。お湯に浸かるとスベスべ感があり、泡つきもあります。臭いはあまりなく、うっすら甘味があります。施設側が謳う「炭酸泉」とは、日本でいう重曹泉を指しているのでしょう。
一方、40℃以上ある槽は加温しているらしく、オーバーフローがあまり見られないばかりか、お湯からは若干水が腐りかけたような生臭さが感じられました。日本でも加温することによって変な臭さが発生してしまう温泉ってよくありますから、それと同様かも知れません。しかしちゃんとした重曹泉である証拠に、加温によって低温槽よりもヌルヌル感が強まっていたのは確かです(そのかわりに加温によって遊離炭酸ガスは大気に逃げちゃうため、泡つきがほとんど見られなくなりますが…)。
となると、屋外最左の槽に掲げられていた「源頭池水熱」ってどういう意味かしら。低温の源泉とは別にちゃんと良い湯加減の源泉もあるのかね。あるいは説明に誤りがあるのかね。


さて、湯上りにお食事サービス券を使ってお昼ご飯にしましょう。食堂へ行くと、けだるそうに頬杖ついて休んでいたおばちゃんが「吃飯?」と聞いてきたので、そうだよと答え、椅子に座って待つこと数分、こんな感じのご飯が出てきました。肉の甘辛煮、ボイルした青菜、サラダ、そして白いご飯というシンプルな内容です。味は・・・まぁ可も無く不可もなくといったところでしょうか。

温泉として期待していくとガッカリしちゃいますが、家族連れやグループでワイワイ水遊びするにはいい施設かもしれません。


台中駅近くの第一広場前バス乗り場から仁友客運の路線バス21番(貴城山城行き)で青山社区下車(およそ30~40分)。
バス停から徒歩3分程度。
仁友客運ホームページ

台中市東山路2段65巷19号  地図
04-2239-6969
ホームページ ←2010年11月現在、開けず

8:00~翌2:00
350元
コインロッカー10元、ドライヤー・シャンプー類あり
水着・水泳帽着用(裸湯は全裸でOK)
広い敷地を歩くのでビーチサンダルがあると便利

私の好み:★

コメント
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