●毛呂乃(13-2)
千秋楽、一年納めの最後の一番、毛呂乃のまらは果たしてどんな姿を見せるのか。すると今朝の毛呂乃の周りを、雲のような物体が十重二十重と取り囲む。そしてその雲も霧消。「すーぱーふにゃちん」。まらが膨張しすぎ、まらを構成している分子間が開き過ぎた結果、まらが気化したも同然になってしまったのだ。気化して世界を覆ったも同然のまらだが、勃ちすぎて掴み所もなく、視認もできなくなってしまうほどの最大膨張状態が「すーぱーふにゃちん」。「アンド朝ね、棒、ギリギリです」。朝の段階で膨らみすぎてほぼ視認不能、ギリギリ棒に見えるか見えないか、という状態で、みるみる見えなくなっていったまら。膨張しすぎて見えなくなってしまったとあって、本人はこれをふにゃちん認定、最後の相撲で黒星となって優勝争いを降り、新入幕に花を持たせる形になったが、異次元の相撲ぶりはさすがといったところ、来年から優勝争いはさらに激化するに違いない。
○金精山(8-7)
今場所はなかなか調子があがらず、千秋楽を7勝7敗という成績で迎えてしまった金精山。勝てば勝ち越し、負ければ負け越し。ここの結果で今後の力士人生が変わってくる大一番となった。関係者一同が固唾をのんで見守る中、「今日の取り組みは白星。巨大化したまらで目が覚めるという理想的な展開。これから稽古だ!」とプレッシャーを感じさせない力感あふれる相撲で勝ち越し。これで気持ちよく年越しができそうだ。
○玉椿(7-8)
消化試合ということで完全にやる気がない。「きのうは午前中にジムに行って、午後から業務スーパーに冷凍野菜の買い出しに出かけた以外はずっと家にいたよ」と場所中とは思えないほどの平常運転。普段通りの生活のほうがまらも安心するのか、けさは元気よく7勝目。「まあ、大関には5勝10敗も7勝8敗も大差ないからさ」と表情もかわらず。
○琴金舟(14-1)
優勝のかかる大一番。「自分にとっての九州名物二大メニューというと、熊本の馬刺しと博多のもつ鍋である」と九州料理の両横綱の競演で九州場所を締めくくる。まずはもつ鍋。「牛シマチョウを660gとキャベツ半玉、ニラ1把用意し下ごしらえのモツの下茹でから入念に行う。もつ鍋自体は結構作ってはいるけど、やっぱりホルモンの質次第で下処理したときの歩留まりとか臭みとか全然違う。今回は結構歩留まりも良くていい具合にボリュームが出た」 それから馬刺し。「今回は赤身の中から外ももの部位を用意。今回は赤身しか用意できなかったけど味わいが濃い。弾力がすごいの。馬って脚力がすごいから、それを感じさせる弾力。」とテーブルにご馳走が並ぶのはまさに壮観。「これで晩酌。プリップリのモツに野菜がよくなじんで美味い。馬刺しも、食感も良く赤身の味わいをよく感じられる。流石に多かったんじゃねえかとは思うが、生もの優先で食べて残すのは鍋物なのでそこまで問題はない。大満足であった」 これだけ食べればまらにも力がこもる。けさは「サイズは良好、うまい具合にたって問題ない」と完勝。その後、毛呂乃が敗れたため、14勝1敗で優勝が決定。新入幕力士の優勝は、まらずもうでは史上2人目、大相撲では明治時代に1回あっただけという偉業を達成した。