お宿&かふぇ 布屋 《主人のひとりごと》

120年経った京町家を改修した民宿『布屋』

或る日の午後、昔懐かしい喫茶店に寄ってみた。

2014年06月22日 19時28分14秒 | 京都で食べること飲むこと
6月もまもなく終わろうとしています。以前のように5月も6月もずっと宿泊予約が、びっしり入ってるわけではなくて、一組だけの夜も結構ありますが、そうなるとなかなか出かけるわけには行かないので、留守番係はそれなりにつらい日々なわけです。先日久しぶりに宿泊ゼロの日があり、清掃作業のあとで、夕方ちょっと散歩に出かけてきました。二条通りをぶらぶら歩いていると結構新しいお店が出来ています。でもあれ?ここにあったはずのお店がなかったりという驚きもあります。和食の「かわとも」とか「20℃」とか・・。河原町で中古オーディオの「ハイファイ堂」に寄り道して(何時になったらJBLが買えるんだろう)、木屋町の中古レコード屋を捜したり(見つからなかった)、例の「ブックオフ」で何冊か買って(最近、新刊は余程でないと買ってない)、そういえばみんな中古屋だ。木屋町から河原町を歩いていると元ヤマト民芸のギャラリーだったところが美容室になっていたり、河原町四条の「ナムコワンダーランド」がビル丸ごと改装工事中です。ここに京都初の「H&М」が出来ます(関係ないけど)。歩いていてふとそういえば昔懐かしい喫茶店を思い出します。



四条河原町の一筋北側をすこし入ると



「築地」があります。今から40年くらい前の学生時代に時折立ち寄っていた喫茶店です。当時四条河原町周辺では、今でも健在な「フランソア」、「ソワレ」があり、もう無くなった「ミューズ」や「開化」などで今から思うと無駄な?時間を過ごしてました。築地の入口の戸をあけて中に入ると、まったく昔のままの姿があります。昔のように2階へ上がると学生時代にタイムスリップします。



薄暗い店内は時が止まったかのようにあの時代のままです。



木製の椅子や小さなテーブル。驚いたことにすべて磨き上げられたように丁寧に大切に使われています。珈琲を注文すると、昔とおなじ器に「ウインナコーヒー」が供されます。



ここでは、珈琲と注文すると「ウインナコーヒー」が出てきます。スタバとかしか知らない若い方は「えっ、なにそれ」と言われるかも。上質な生クリームで覆われた珈琲がなかなか懐かしい味です。笑い話ですが、学生のころ(40年位前)北海道の田舎町を旅していて、とある地元の喫茶店で「ウインナコーヒー」を注文したら、マスターが悩んだ末に珈琲に「ウインナソーセージ」を浮かして出してきたなんていうことをふと思い出しました。夢の中の話かもしれませんが・・・。旅に出ていたあのころはどこの町に行ってもちょっといいなと思う「喫茶店」を見つけては、珈琲を味わい、少し本を読んで、ただぼんやりと時間を過ごしていました。いまから思うと贅沢な時間を過ごしていたものです。そろそろうちの奥さんとの待ち合わせの時間が来たので階下に降りて会計をします。カウンターにふと目をやるとそこには昔懐かしい「マッチ」があります。



帰ってから昔のマッチのコレクションボックスを探してみると、ありました。学生時代のころの「築地」のマッチです。(久しぶりに開けてみると、随分懐かしいマッチがゴロゴロあります)しかし驚いたことにマッチのデザインは全く変わっていません。ここまで歩いてくる途中に色々なお店の盛衰を見てきましたがマッチひとつ変わっていないことにただただ感心します。



ひとつ違うのは、昔「築地」は河原町四条の一筋目と、もう一軒、二筋目にもあったことです。僕の昔のマッチにその歴史が記されています。ちょっと懐かしい喫茶店のお話でした。