ヌマンタの書斎

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仙石官房長官の失言に思うこと

2010-12-03 12:18:00 | 社会・政治・一般
自衛隊は暴力装置。

仙石官房長官の失言として、話題に上ったこの科白。懐かしい言葉でもある。社会主義運動に関ったことのある人ならば、記憶に留めていることだと思う。

私はそれほど間違っているとは思えない。むしろ民主主義にとって必要な認識だと考えているくらいだ。軍隊の基本的性質は、暴力による政治目的の達成であることは当然のことなのだ。

だからこそ、歴史上いかなる王も皇帝も軍隊を支配化に置くことを極めて重視した。フランス革命において燃え上がった民主主義革命は、民衆を国民兵として活用して権力を打ち立てたが故に、国民主権という新しい概念を実現できた。

民衆が国民兵として自ら血を流して国家を作り上げたがゆえに、民衆の権利意識は飛躍的に高まり、国家への帰属意識が強まり、ここに国民国家という新しい国づくりがなされた。

民主主義は、民衆自らが軍隊という暴力装置となることで、既成勢力を唐オて新しい権力を立ち上げた。これが歴史的な経緯であると同時に、民主主義の下での軍隊のあり方を決定付けた。つまり民主主義は、軍隊という暴力装置を行使して実現されたわけだ。

それゆえに軍隊という暴力装置を、いかに政府の支配下に留めるかが、政府にとって極めて重要な認識となる。民衆の代表として生まれた政府ではあったが、やがて資本家の横槍に屈して、民衆を搾取する存在となった時、マルクスの革命思想が生まれた。

マルクス思想の下では、国家権力が有する軍隊とは、政権奪取を目指す革命を弾圧する暴力装置に他ならない。左翼の闘士としての経歴を持つ仙石氏が、自衛隊を暴力装置と表現するのは、実に彼らしいとも言える。

ただし、仙石官房長官は、自身が現在は国家権力の座にあるのだから、自衛隊は暴力装置なんて言っていいわけない。どうやら、未だに野党気分というか、社会主義思想に染まっているらしい。紅い官房長官とは、よくぞ言ったものだ。

まあ、立場を弁えてないからこその失言なのだろう。私としては失言よりも、実際の政治の失態こそ非難したい。自分が若かりし頃の理想を実現しようとするのは分るが、有権者が求めているのは長期の停滞状態にある日本を変えることだ。だからこそ、かつての自民党支持者までもが民主党に票を投じたことを、まるで分っていない。

民主党のダメさ加減を国民に知らしめる意味で、今回の失言は良かったと思いますね。
コメント (7)
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