ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

エルタックス

2022-05-31 11:06:17 | 経済・金融・税制
愚痴です。

eLTAX(エルタックス)という言葉をご存じでしょうか。地方税申告を電子申告でするためのシステムです。

もっとも普通、一般の方がこのシステムを利用することは非常に少ないと思います。なぜかといえば、地方税単独の申告は少ないからです。

日本は個人に対しては、所得課税です。通常、確定申告書を税務署に提出すると、その資料は納税者の居住地の自治体にも伝えられます。また給与所得者の場合、年末調整時に源泉票が交付されますが、同じ内容の給与支払報告書が会社から各自治体に提出されます。だから、地方税単独で申告することはないのです。

個人に対して賦課される固定資産税や自動車税は地方税ですが、これも役所のほうから課税通知がくる仕組みなので、申告することはありません。個人で各地方自治体に申告するのは、償却資産税や事業所税ぐらいでしょうね。

昔は地方消費税なんて税金があり、飲食店などが自治体に申告していましたが、これも国税としての消費税が施行されて以降廃止されました。だから、個人が独自に自治体に申告することは稀なのです。

ただし法人は違います。法人は国に法人税申告書を提出すると同時に、事業所の所在地の自治体に法人地方税を申告します。国税である法人税は、国税庁が苦労して設置した電子申告システムでの申告が可能になりました。

それに数年遅れて地方税にも電子申告のシステムが構築されました。それがeLTAXです。

私の事務所でも電子申告を活用していましたが、実はeLTAXは使っていませんでした。なぜかというと、あまりに使い辛かったからです。国税の電子申告だって、相当に酷かった。でも、税理士会で相当な苦情を挙げて少しづつ改善されました。

ところがeLTAXは反応が鈍かった。当初はJavaを使っていましたが、納税者側の使いやすさを考慮しないシステム設計だったので、改善されるようになり、何故だかアクティブXを現在は使っています。これでも、まだまだ使い辛い。

お役所仕事というか、とにかく使う側の利便性を考えていない。そうとしか思えないダメなシステム設計です。これだけダメなのに、役所(総務省)の反応は鈍かった。おそらく下請けに丸投げし、更に二次下請け、三次下請けといった感じで作られているのだと邪推しています。

ただようやく少しですが改善されたようで、今年に入り私の事務所でも採用するようになりました。本音は嫌でしたが、顧客の都合上やらざるを得なくなったのが実情です。

で、使ってみた印象ですが、確かに改善されたと思います。ただ、それでも使い辛いのも事実。国税の電子申告ならば、10分かからずに認証されて使えるように出来ます。しかし、eLTAXは30分で終われば良い方で、下手すると小一時間かかる。しかも、各自治体ごとにやらねばならず、正直非常に面倒です。

これほどに使い辛いシステムなのに、あまりその実情が知られていないのは、利用者が限定的であるからでしょう。おそらく過半は私のような会計事務所でしょう。しかも、電子申告は民間企業の作ったシステムを利用しますから、そのサポートも受けられるので負担はかなり少ない。正直、このサポートがなかったら、私は途中で諦めたと思います。

私は地方独自の行政の在り方を否定するつもりはありません。また地方税を取り扱う行政事務所の存在を否定する気はない。しかし、無駄というか非効率的であることも又確かだと思います。

これは自治体側でもある程度分かっていて、かなり行政事務所を縮小統合しています。ただ雇用問題も絡むので、大幅なリストラが出来ない。更に事態を厄介なものにしているのは、総務省という親玉です。このお役所、時々おかしなことをする。

ただ財務省や建設省などと異なり、マスコミの餌食になるような不祥事が表に出にくい。それゆえeLTAXのような不出来なシステムも批判されることなく、予算だけが通ってしまう。納税者の側も、市町村の課税問題については、よほど不利益が生じないかぎり、ほとんど意識していない。

だから、これほどダメな申告システムが放置されているのでしょう。少しづつ改善されているようですが、まだまだ利用者の利便性という視点は欠けていると云わざるを得ませんね。
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月面着陸

2022-05-30 11:35:14 | 社会・政治・一般
敢えて提言したい。

日本は宇宙開発については、独自路線で十分だ。アメリカに追随して、月面着陸なんて目指す必要はないと声を大にして言いたい。

アメリカの目的は分かっている。膨大な予算が必要なNASAの宇宙開発計画に、日本からの資金を加えたい。ただ、それだけである。日本が望む技術提供は二級線のもので誤魔化されるはずだ。

ただ悔しいことに、日本が現在独自に行っている小惑星探索などは、アメリカのNASAの協力が欠かせない。NASAの通信設備を使わないと、衛星に連絡することは難しいからだ。

NASAは世界各地に通信設備を配置しており、全方位での連絡手段を持っている。日本は過去も、そして現在もこの設備を利用させてもらっている。だから、まったく無視することは出来ない。

しかし、自ら積極的に宇宙開発を目指す必要はない。せいぜいアメリカやEUが行っていない隙間の研究に留めるべきだ。

夢がないと思われるだろうが、宇宙開発は金がかかる。それも巨額であり、継続して資金投入が必要になる。だからこそ問題なのだ。高齢化と少子化が劇的に進む日本は、その経済規模を徐々に縮小させていく。

とてもじゃないが、宇宙開発に巨額の資金を投じる余裕はない。限りある税収は有効に使って欲しい。その用途は宇宙ではなく、深海開発に使うべきだ。

現時点で月や小惑星から資源を採取できる見込みはほとんどない。しかし膨大な排他的経済水域を持つ日本の海の海底には、マンガン団塊、メタンガス、天然ガス、レアメタルなどが埋蔵されていることが確認されている。

これまで原油などを輸入に頼っていた日本だが、この深海海洋資源を活用できるようになれば、21世紀以降かなり有利な立場に立てる。過去に何度も書いているが、深海だからといって海洋資源がある訳ではない。日本近海は四つのプレートがぶつかる地震多発地帯であるが、だからこそ海洋資源の宝庫でもある。

21世紀は、石油、水、食料を巡る戦乱の時代となる可能性が高い。遥か遠方の宇宙資源よりも、身近な海洋資源こそが21世紀の日本には必要だと考える。ただ、アメリカがあまり深海海洋資源には熱心ではない。一方、シナは南シナ海などを中心に海洋開発に熱心だ。

実際、九州の西にシナは海上基地を作って天然ガスを採取して、日本と揉めている。更にもう一つ海上基地を作る予定であるが、日本政府は「誠に遺憾」としか抵抗できない。

是非ともアメリカと組んで深海海洋資源の採取を進めるべきだ。今さら月面着陸なんてやる必要はない。そんな予算があるのならば、深海探索船を増産するべきだ。

なお絶対に単独でやってはいけない。軍事力の乏しい日本ゆえにアメリカの後ろ盾が必要不可欠。間違っても満州利権を独占しようとした失敗を繰り返してはなりません。
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もう君には頼まない 城山三郎

2022-05-27 11:53:59 | 
私は国家資格で仕事をしているが、その本質は自由業だと思っている。

この場合の自由は、客から見放される自由である。だからこそ表題の本のタイトルにはドキっとさせられる。だが以前から気になっていた石坂泰三の評伝である。読まねばならぬと考えていたが、例によって未読山脈の奥深くに眠っていた書であった。

だが非常に気になってはいた。なにせ若い頃から「財界総理」の異名を奉られた石坂泰三である。しかも、私は共産党系の人たちに囲まれて育っていたため、どちらかといえば敵視していた過去を持つ。

だが、自分なりに昭和史を学んでみると、むしろおかしいのは共産党系というか左派全般であることに気が付いた。だからこそ石坂泰三を詳しく知りたくなった。

多分、表題の作品を購入したのは5年以上前だ。興味を持ちながらも、これだけ放っておいたのはタイトルが強烈だからだ。読みたいような、でも怖いような、そんな予感に襲われて読まずにきた。

興味深いことに作者の城山三郎も、石坂泰三については書きたいと思いつつも、書けずにいたそうだ。なんとなく分かる。なんとなく近づきがたい印象があるからだ。

財界総理?大蔵大臣を叱り飛ばした?労働組合の本部を一人訪れて論戦を挑んだ?

いったいどんな人物なのだろうか。

読んでみて分かったが、私は相当な誤解をしていた。共産党系の人たちから教わった印象が強すぎて、戦前のエリート官僚で、人脈を活かして大企業のトップに立って、資本家として労働者階級を切り捨てた。私は子供の頃、そう思い込んでいた。

ところが表題の書を読んでみると、東大卒業して役所に入ったが、4年程度で辞めて小さな保険会社に転職。大同生命を大手に育て上げたものの、太平洋戦争の敗北によりすべてを失って退職。その後失意の日々を過ごすが、東芝の建て直しを請われて老齢の身ながら奮闘して結果を出す。こりゃ経営者の鑑だね。

最後の大仕事として大阪の万国博覧会を成功に導く。政治家嫌いで、エリート官僚にも臆することのない豪胆さを持ち、英語を駆使する国際人だった。

いったい私の子供の頃の記憶って何なのだ?

私の中では昭和の財界人として、瀬島龍三、五島昇、堤康次郎、小佐野賢治といった巨悪の箱に入れていた人なのだが、どうやら全然違うようである。贈賄事件にも暴力事件にも名が出てこないので、陰に潜んで悪事を企む性悪な資本家だと思い込んでいた。

いったいぜんたい、どこでどう勘違いしたのだろう。資本家どころかサラリーマン社長だった。政治家から頼まれることはあっても、陳情するような人ではなかった。どうも私は自分で思っていたよりも遥かに世間知らずであった。

この書のタイトルである「もう君には頼まない」は、万博の成功させるため会長職を頼み込んできながら、予算を十分つけなかった当時の大蔵大臣に対する捨て台詞である。大蔵大臣が大慌てになったため、予算は付け替えられたそうだ。

財界総理の異名は強い立場の人間にこそ役立つものだったのだろう。凄い人がいたものだ。
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デッドマウント・ディスプレイ9巻 原作・成田良吾 作画 藤本新太

2022-05-26 16:08:21 | 
長編の小説や漫画において、伏線を張って置いて、それを如何に回収して読者を満足させられるかは、大きな課題だと思う。

この伏線の張り方と、その回収が上手いと作品の質が格段に高まる。現在、連載中の漫画でこれが上手いと思うのが表題の作品だ。拙ブログで何度も取り上げているが、それは私自身が非常に楽しみにしている漫画だからだ。

これは作者というよりも原作者の成田良吾の功績だと思う。ライトノベルのほうでは、既に知られている作家だが、近年は漫画の原作の他、漫画の小説化にも取り組んでいる。

有名なのは週刊少年ジャンプで人気を博した「BLEACH」のアナザーストーリーであろう。実はこの漫画、70巻を超える大作なのだが、未回収の伏線がかなりある。それを作者の久保帯人が監修しながら数人の作家により小説として刊行して、伏線を回収している。

このやり方に不満を持つ方も少なくないだろうが、少なくとも私は成田良吾が書いたアナザーストーリーは、大いに楽しませてもらった。この作家、とにかく伏線の回収が上手い。だからこそ表題の作品も楽しい。

多分、物語の構成力に優れているのだと思う。もちろん作画者の 漫画の上手さもそれを上手く加味して楽しめる。ちなみに今回で9冊目となった単行本だが、私の楽しみは巻末に掲載さえる短編小説である。もちろん成田良吾の手によるものであり、しっかりと漫画の本編ともリンクしているため、より深く楽しめるから嬉しい。

ダークファンタジー系の漫画が好きなら、是非とも楽しんで欲しい逸品です。
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バスの傾き

2022-05-25 11:53:44 | 社会・政治・一般
今更だが、ようやく気が付いた。

日頃、電車はよく使うが、バスはあまり使わない。バスを一番使うのは、もっぱら通院の時だ。ただ乗車中は外をぼんやり見ていたり、あるいはウトウトしていたりしていて気が付かなかった。

全てのバスではないと思うが、私が使っているバスは停車すると、出入り口側に傾くというか沈み込む。もちろん乗降を助けるためだと思う。そして扉が閉まり発車するときには、その傾きが元に戻る仕組みになっている。

多分、エア・サスペションを活用しているのだと思う。少し気になって調べてみた。

これはバスの乗客が乗り降りしやすい様に、バスを傾けるニーリングと呼ばれるシステムだそうだ。ユニバーサルデザインの一環であり、人に優しくなっているそうである。なるほど、悪くないと思った。

比較的最近導入されたようで、普通の乗合バスだと左に傾くそうだが、観光バスなどでは前方に傾くタイプもあるそうだ。私はまだ足はさほど衰えていないので気が付かなかったが、確かに脚力の落ちた高齢者には優しいサービスなのだと思う。

ちなみに私がこの仕組みに気が付いたのは、バスが停車時にシューっと音が聞こえたからだ。はて?これは空気の抜ける音ではないかな。そう思い、よくよく観察すると、わずかにバスが左に傾いている。そしてバスの発車直前に傾きが元に戻っているからだ。

いつからだろう。バス会社によって違うので調べても分からなかったが、比較的最近だと思う。知らないところで目に見えぬ努力がされているのだと、改めて感心しましたよ。
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