ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

インフレ恐怖症のつけ

2023-11-30 09:53:11 | 経済・金融・税制

なんだって、これほどまでに円安が続いていたのか。

最近、少し疑問に思って過去の為替レートを調べていたら、ある仮説に辿り付いた。

今から20年以上前のことだが、日本の為替レートに大きな影響を与える日銀の白川総裁時代のことである。デフレ脱却を掲げていた白川総裁だが、本音は低金利政策の断固維持であった。名ばかりのメガバンクは「貯蓄から投資へ」の掛け声とは裏腹に、手数料収入に安住し、国内経済を活性化できる力量はなかった。

通産省が余計な口出しをした半導体業界は衰退するばかりであり、なにをしたら日本経済をけん引したら良いかが分からなくなっていた。だからこそ企業を楽させる低金利政策は守らねばならなかった。

鎖国政策をとっているならまだしも日本経済は、世界経済の一角を占めている。アメリカもEUも通貨の大量発行による景気刺激とインフレ政策を導入しているにも拘わらず、日銀はあくまで通貨発行量を押しとどめた。

それは安倍・元首相の肝いりで日銀入りした黒田氏も同様であった。が、アメリカ経済が過熱気味となり高金利政策を始めたことで円安が劇的に進みだした時は、黒田総裁の任期切れ間近であった。慌てて通貨発行量を飛躍的に増大させたのだが、金利は相変わらず低金利のままであった。

通貨発行量が急激に増える一方で、低金利政策を続けていれば、当然に海外市場は日本円の評価を下げる。これが今の円安の正体だと思う。デフレ退治を何度も口にした黒田・前日銀総裁がなぜに頑なに通貨発行量を抑えていたのか。

いや、正確には二倍程度には増やしていた。だが、それ以上にアメリカ、EUは通貨発行量を爆発的に増やしていた。だからこそ相対的に日本円の通貨発行量はデフレ脱却に効果を出せなかった。だが、相対的に円高は保持された。

しかし、黒田日銀総裁は任期切れ間近になって通貨発行量を飛躍的に増大させた。しかも低金利のままで。つまるところ遅きに失した。ある意味、現在の円安状況は日銀が導き出した必然であるかに思える。

もっとも日銀が意図的にそう仕向けたのならともかく、実際は国内状況しか観ていなかったのではないかとの疑いを拭いきれない。私はマクロ経済にさほど詳しくないが、どうも日銀及び財務省は日本国内ばかりみていて、世界経済のなかの日本といった視点が不足しているように思える。

日銀や財務省のエリート官僚たちは、私などとは比較にならぬほど経済学を深く学んでいる。現在の世界経済を動かす国際通貨がドル、ユーロ、円である以上、常に相対的に評価しなければ日本一国で為替価格は動かせない。それを承知の上で円安を黙認していたのは何故か。

私にはインフレーションへの恐怖が根底にあると想像している。円安よりも国内経済がインフレーションにより混乱することを恐れたのではないか。デフレ脱却を口にする一方、インフレも怖い。この中途半端な思いが、国際情勢の変化を無視した低金利政策と通貨発行量の抑制に繋がったように思えるのです。

まぁ、日銀だけが悪いとは思っていませんけどね。

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シリア戦無放送

2023-11-29 13:01:05 | スポーツ

先週、中立国での試合となったワールドカップ・アジア二次予選のアウェイでのシリア戦があった。

結果は5-0の圧勝なのだが、問題はそこではない。この試合、日本では地上波でのTV放送がされなかったのだ。過去にない醜態なのだが、実はむしろ歓迎する声も大きい。この試合の放送権はシリアのサッカー協会が持っているが、それをUAEの代理店が買受けて日本との交渉窓口になっていた。

ところが、この代理店、相当にふっかけたらしい。日本では深夜の放送であり、しかも勝つことがほぼ分かっているシリア相手の試合である。その放送に一億円をふっかけたらしい。しかし、日本での代理店である電通がそれを拒否しての値下げ要求を返し、UAEの代理店と揉めにもめて、最後は契約未締結となり放送されなかった。

前代未聞の珍事ではある。

試合を観れなかった日本のサッカーファンには気の毒な話だが、案外とこの日本側の対応に賛意を示す人は多い。まず経済原則からいって、一億円は日本国内の放送に見合う対価ではなく、むしろこの悪しき前例を認めるほうが弊害が多いと判断したからだ。

実は次の試合はアウェイでの北コリア戦であり、既に相当な対価をふっかけてきているとの報道もある。久しく国際大会から離れていた北コリアのサッカーは暴力的であり、下手でもある。むしろ日本選手の怪我が怖い。無理をするくらいならば引き分け、あるいは負けでも良いほどだ。まぁ若手主体の試しの試合で十分だと思っている。

試合を観たい気持ちもあるが、北への資金提供の意味合いが強く、これで核兵器や弾道ミサイルの購入費用に充てられるくらいならば無放送で良いと思う。

ちなみにシリア戦だが、私はアラビア語の解説がチンプンカンプンなYou-Tubeの番組でしっかりと観ていた。でも北コリア戦は開催地次第では難しいだろう。シナあたりで試合をやってくれればネットでの観戦は可能かもしれませんがね。

それはともかく、現在の放送権の不当な高額売買の元凶は、まちがいなくFIFAです。金儲け主義に毒された腐敗しきった組織だけに自主改革は望み薄なのは、オリンピック協会といい勝負。どちらも西欧のスポーツ貴族どもが支配する魔窟です。中東の王族やらアフリカの独裁者を巻き込んで味方につけているので、公の場での改革はまず無理。

対抗できるのはスポーツ倫理にこだわるアメリカぐらいですけど、アメリカの弁護士たちが深く関与しているようなので難しい。オリンピックも同じですけど、ワールドカップ及びサッカー業界は、スポーツをネタに食い荒らすスポーツ貴族どもが占拠していることは知っておいたほうが良いと思います。

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風邪

2023-11-28 16:37:15 | 日記

昨夜から寝苦しく、今日病院に行ったら風邪でした。けっこう真剣にインフルエンザ感染やらコロナ感染を疑ったので、その点だけは幸いでした。でも今日は一日静養します。

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アメリカ国債

2023-11-27 09:07:36 | 経済・金融・税制

私は基本的に投資に関する相談は受けない。

特に金融、株式、債券に関しては素人の域を出ない。自分がやらないので、実感がないし、国際情勢の影響を多大に受ける今の金融商品について、自信を持って語る自信がない。

だが歴史に関心が強いものとして無視できない金融商品がある。それがアメリカ国債だ。アメリカの財務省が発行した正式な国債であり、ドル紙幣と並び世界中に流通している。実際、アメリカ国債の利率が世界の金融市場に多大な影響を与えている。

これは、旧ソ連、現行ロシアには無理なことであったし、共産シナにも不可能なこと。やはり20世紀から今日まで世界の覇権国として君臨しただけのことはある。だからこそ注意を払わねばならない。

歴史を考えれば永遠の覇権国なんて存在しない。それはローマしかりであり、イスラム帝国、モンゴル帝国も同じである。アメリカはイギリスの元植民地であり、七つの海を制したイギリスの覇権を受け継いだと考えると、18世紀後半から21世紀の初頭まで続いている覇権国である。まだまだその覇権国としての地位を脅かす外敵は存在しない。

しかしながら、外敵による攻撃だけで滅んだ覇権国はない。多くの場合、国内の変化が混乱を産み、その混乱に乗じて攻めてきた外敵に滅ぼされるのが通例だ。そして覇権国の権威が地に落ちた場合、その周辺では大混乱が起こる。

アメリカも将来、その流れを踏襲することになると思うが、その危機感が希薄に思えてならない。その原因はかつての覇権国イギリスの失墜が穏やかにアメリカの覇権に繋がったからだと思う。覇権国の交替がこれほど円滑にいった例は滅多にない。だからこそ危機感が薄い。

アメリカから覇権国の座を奪う国がどこなのかは、正直分からない。分かっているのは歴史上の法則というか実例では、過去の覇権国の復活はあり得ないことだけ。ちなみに唯一の例外はオリエントを復興させたイスラム帝国だけ。これは宗教がらみなので特例だと思うが、一度没落した地域が復権した唯一の実例だ。

この観点からすると、南米、インド亜大陸、オセアニア、アフリカが有力候補であるとしか予想できない。いずれにせよ、北米大陸の復興は厳しいと思う。だからこそドルは危ないのだが、実は案外とドルは生き残る気がしている。

というのは、世界各地の後進国では、アメリカ・ドルが事実上の国際通貨として使われているからだ。ドルに代わる通貨が見当たらぬ限り、ドルは当分の間ある程度使われるのではないかと私は思う。まぁ偽造ドルも相当数出回ることも確かでしょうけどね。

しかしアメリカ国債となると、ちょっと扱いが違うと思う。大量に発行された債権ではあるが、庶民の生活に必要不可欠なものではない。だからアメリカ政府の失墜が、そのままアメリカ国債の暴落に直結し、文字通り紙切れと化す可能性が高いと思う。

ただアメリカは狡猾だ。財政的には巨大であっても危機的であるアメリカの国債が、今も資産価値を持つのは日本円が背後で支えているからだ。本来はポンドもその役割を担っていたはずなのだが、EU共々国力が逓減しつつある。

代わって共産シナがアメリカ国債を買い支えている皮肉な事態となっている。シナの元よりもアメリカのドルのほうが信頼できると、共産シナ政府自らが証明しているようなものだ。

賢しげに書いてきたが、少なくともあと10年はアメリカの覇権は続くはず。ただアメリカ国債の危険性は認識しておくべきだと思います。

実はもう一つの可能性もあるのですが、また別の機会に書きたいと思います。

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なにがなんだか

2023-11-24 09:03:46 | スポーツ

おいおい、どうしちゃったの?

若きU17の日本代表が世界大会での決勝トーナメント入りを決めた試合の数時間後、またしても世界を驚かす試合をしてくれた。

ただし、こちらは国際親善試合ではあるが、A代表入りを目指す若手主体のU22日本代表チームが、なんとアルゼンチンに5-2で勝ってしまったよ。このアルゼンチンのチームは同じくU22世代だが、既にA代表入りしている選手や、ヨーロッパのプロリーグで活躍している選手も多くいる実力派ぞろい。

残念ながら仕事をしていて試合を視てないが、YouTubeなどでダイジェスト版を視た限り、前半戦は圧倒的にアルゼンチンが強かった。まぁ当たり前なので驚きはしなかったが、正直勝てるとは思えないのが我が若き日本代表U22であった。

ところが後半も終盤、わずか十数分で4点を連続で得点して、アルゼンチンの選手、監督を唖然呆然とさせてしまった試合展開には、私もビックリです。

私が日本のサッカーを視るようになったのは、1970年代の後半からです。当時の弱い、遅い、下手の三拍子揃った情けない日本代表チームに幾度となく絶望感を味わされたものです。

いったい何時から日本って、そんなに強くなったのか。

おそらく潮目はロシアW杯の頃だと思います。プロリーグであるJリーグが始まってからサッカーを知り、サッカーを視て、サッカーをするようになった子供たちが成長。当然にJリーグで活躍し、海外チームへも移籍して活躍。そしてワールドカップでの活躍が当然だと思うほどに強くなった。

20年以上かけてようやく成果が出たことを思うと、今に至るまでの試行錯誤と地道な努力が実を結んだのだと痛感しています。後はまだFIFAの古狸どもと交渉できるだけの力量を持たない日本サッカー協会幹部の育成と強化、そしてまともな報道が出来るサッカー専門の記者の育成ですね。

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