ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

暗闇の囚人(フィリップ・マーゴリン)

2006-01-31 17:15:32 | 
実は好きな本ではない。私は法廷もののミステリーは、かなり好きだし、この本も2回ほど繰り返し読んでいる。だけど好きではない、嫌いと言っていいかも。同じ作家の他の作品、例えば「炎の裁き」などは、爽快であり、勘当された息子と父親との和解の場面などは大変気に入っています。

それでも印象が強いのは「暗闇の囚人」の方です。無実の罪で訴えられた美貌の女性検事と、死刑囚を救うことに人生を賭ける弁護士との絡み合いを中心に描いた、このミステリーはその結末のどんでん返しがあまりに強烈。その展開の見事さは感嘆に値しますが、正直残酷すぎる。男だからかもしれないが、なぜか犯人に同情の念を禁じえない。それが卑劣な犯罪だとしても・・・です。

優れた知性も、高潔な人格も、尊敬されるべき業績も、それさえも追いやるほどの情熱。人間って、感情に振り回される生き物なのだろうか。私は食欲はともかく、どちらかといえば禁欲的な性分なので、犯人の暗く押し込められた情念に、密かに共感を覚える部分がある。

うむ、やっぱり適度に遊ぶことは大事なんだな。さて、今夜は夜の街に繰り出すか・・・
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杉浦・元頭取の死去

2006-01-30 09:33:46 | 社会・政治・一般
バブル崩壊のあおりを受けて破綻した長期信用銀行(現・新生銀行)、通称長銀を長く支配していた元頭取・杉浦敏介氏が死去されたとの報道がありました。長銀の天皇とまで称された人物であり、政界とも裏社会とも深い繋がりを持った人物でもありました。

破綻の最大の責任者として、大きな責任があるはずの人物です。にもかかわらず長銀から9億、関連企業のを合わせれば30億近いといわれた退職金をせしめてバックレた人物でもあります。あまりに酷いので再生機構から私財弁済を求められ、何件もの裁判を起こされている人物でもあります。にも拘わらず、2億ちょっとの退職金返還で誤魔化した人物でもあります。多分、本人は自分が、自分だけが悪いわけじゃないと思っていたのでしょうね。責任感のなさは、日本のエリートの特徴ですからね。されど、まったく理がないわけでもない。

もともと長銀は政府の政策の受け皿でもあり、通常の都市銀行とは異なる立場にあった存在でしたが、その破綻処理には、不透明な噂が絶えませんでした。なぜ外資に売られたのか?しかも格安の値段のうえ、譲渡後の特約まで付与されて売られたのか?すべての謎を隠しもったまま、杉浦は死後の世界へ旅立ってしまいました。

以下の文は、すべて私の独断と偏見であり、まっとうな証拠資料に基づくものでないことは、予めお断りしておきます。

長銀は元々国策銀行です。政府の長期的視点に基づく数々の事業に資金を提供することが、その主要な目的でした。一言で言えば公共事業及びその関連事業です。政府の金が長銀を通じて、様々な関係者に流れるように仕組まれたものです。主役はやはり政治家、いや政治業者というべきか。政治家のファミリー企業であり、支援企業へいかに金を流すかが政治家の腕の見せ所でした。そこに介在して、そのおこぼれに預かっていたのが、官僚OB及び天下り先企業体でした。更にその先でお口を空けて待っていたのがゼネコンであり、不動産デベロッパーです。

そのうえ、その事業を円滑に行う為と称して、金の匂いに釣られてたかってきたのが暴力団を始めとする裏社会の人間たちです。この4番目の主役が登場したのが何時ごろなのか諸説ありますが、私の実感では高度成長期であった気がします。主に土地買収や補償金絡みで、その仲介役として現れたはずですが、当時は脇役であったと思います。その脇役が大きく出てきたのがバブル経済でした。

バブル経済という甘く腐ったお金の流れに、政治業者、官僚OB、ゼネコン、やくざの4者がたかり、すすり、しゃぶり尽くしたのは、知る人ぞ知る事実でしょう。それゆえ、バブル崩壊による不良債権処理は、その主要な部分がなかなか表に出なかった。いや、出す訳にはいかなかった。

旧・長銀は本来破産処理すべき案件でした。裁判所の管理下で、法に基づく公正な処理が必要なほど、腐ったものでした。しかし、それを嫌がる者たちがいた。もし公正な処理をされると、自らの名前が表に出てしまう。それゆえ破産には出来なかった。本来なら自分たちの手の届く日本の都市銀行に押し付けたかったのですが、都市銀行も破綻寸前で余裕なし。それゆえ外資に身売りせざる得なかった。しかも大きな事。までつけてやって・・・・

いったい誰が破綻した長銀の処理の道筋をつけたのでしょうね。少なくとも故・杉浦氏単独では到底無理。ついでだから書いておくと、杉浦氏のお子さん、お孫さんの姻戚関係は、永田町、霞ヶ関の住民がゴロゴロいます。そのことは大手マスコミの諸氏はご存知のはずなんですけどね。

多分、今回の杉浦氏の死に安堵している方々はかなり居ると思います。死人に口なしなのは当然ですが、故人の犯した罪を追及しないのは、日本のマスコミの麗しき美徳ですからね。
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えびめし

2006-01-29 09:36:05 | 健康・病気・薬・食事
飲食店が立ち並ぶ街、渋谷。ここで半世紀あまりカレーハウスを営んでいるインディイラという店がある。初めてその店に入ったのは、かれこれ25年前。バイト先のホテルの隣にあったため、しばしば夕食をそこで済ませていた。特に名店という訳ではないが、いつも安心して食べれる雰囲気が好きだった。

カレーがメインの店なのだが、人気メニューは「えびめし」。コールスローが付いて、当時700円程度だったと思う。そのバイト先は、予備校から始めて大学卒業ギリギリまで働いていたから、そのカレーハウスには、随分通ったと思う。

しかし、社会人になってからは渋谷の街とは縁遠くなり、自然に足が遠のいた。30過ぎて銀座の会計事務所に再就職してからは、通勤の途上であったため、再び渋谷を訪れる機会が増えた。渋谷の街並みも随分と変わった。コギャルなる娘っ子どもが街を闊歩し、ヤマンバなる代物も登場する渋谷は、子供の頃から遊んだ街とは、随分と様変わりしたように感じた。

もしかして・・・と思い、インディイラを訪れると、以前と変わらぬ店構えで、ずいぶんと安心したものだ。値段は上がっていたが、昔と変わらぬ味の「えびめし」は実に懐かしかった。以来、時々通っている。変わらない店、変わらない味って、なんだか嬉しいと思う今日この頃。
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大統領への道(いしいひさいち)

2006-01-28 11:33:51 | 
まじめな内容を期待された方には申し訳ないが、作者が「いしいひさいち」とある以上、漫画です。しかも大半が四コマ漫画です。

アメリカ大統領”下半身節操なし”のビル・フリチントンと、その妻ヒラリーの日常を描いたものです。文庫本サイズで書店に置いてあったので、買い求め帰宅する電車の中で読んでいたのですが、あまりに可笑しくて迂闊にも吹き出してしまい、周囲から冷たい目で観られた経験があります。

いつも感心するのですが、時事ネタを描かせたらこの人の右に出るものはいないのではないかしらん?政治家や経済人をネタにした漫画は、そう多くはありませんが、切れ味の鋭さ、毒の含ませ方、期待を裏切らないずっこけぶりは、第一人者といっていいでしょう。

はっきり言って、下手な政治評論家や知識人よりも、頭の良い人だと思います。その博覧振りは、政治を越えて哲学にまで及ぶほどです。ハードカバーのマンガ本ですが、「現代思想の遭難者たち」(講談社)では、ハイデッカーやフーコー、マルクス、フロイトらを取り上げ、ばったばったと切り裂き、見事にギャグマンガのネタに仕上げています。

四コマ漫画というのは、古くからあるジャンルですが、「いしいひさいち以後」なんて言葉があるほどで、四コマ漫画のレベルを向上させた人であるのは確かだと思います。ギャク漫画でありながら、その笑いの奥に知性を感じさせるという点で、当代の第一人者だと私は考えています。
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朝はパン

2006-01-27 09:35:35 | その他
かれこれ20年ほど、朝食はいつもパン。十代の頃は、それほどパンばかりではなかったと思う。だから多分2年近い入院生活の影響だと思う。

入院中の半分くらいは、減塩食だった。これがまた美味しくない。誤解されると困るのだが、私は普段食べ物に美味い、不味いは殆ど口にしない。それどころか、出されたものは残さず食べるよう躾けられた人間である。貧乏であった頃は、満腹であることが幸福だと思っていたくらいである。

しかし、減塩食はその私をして、普通の食事に郷愁を感じさせるほど、美味しくはなかった。なかでも不満だったのがパンだ。実はパンというやつは、意外に塩分を多く含む。これに塩分が含まれたマーガリンやバターを塗るのだから、塩分制限を受けている身には辛い。そこで減塩パンであり、減塩バターなのだが、これが美味しくない。

そのせいか、塩分制限が解除されてから、妙に美味しい食事にこだわるようになった。完治する可能性の低い難病だから、いつかは再発すると思う。多分、また制限食を食べねばならぬ日が来ると思う。

だからこそ、病気が小康状態の今こそ、美味しい食事が食べたい。少しばかり高くとも、美味しいパンがいい。マーガリンだって美味しいものがいい。そんな私がこの一年ほど気に入っているのが「帝国ホテルのマーガリン」。近所のスーパーで売っていたのを試しに買ってみたのだが、思いのほか美味しく、愛用している。

好きなものを、好きな時に、好きなだけ食べられるって、とっても幸せなことだと思います。ただ・・・体重増加には注意だわな(苦笑)。
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