ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ヒグマの食料

2023-08-31 09:13:33 | 社会・政治・一般

北海道東部の牧畜農家を恐怖なさしめたヒグマ、OSO18が射殺された。

撃ったのは役所勤めでハンター歴5年程度の新人さん。警戒地域外であったので、無造作に撃ち、その肉の一部は既に出荷されてジビエ料理として客の胃袋の中だそうだ。

ひとまず安心だが、第二、第三のOSOが出没しそうで怖い。このOSO18が恐れられたのは、従来のヒグマとは異なる捕食行動を取ったからだ。クマは通常、獲物を埋めるなどして保管して、定期的に訪れて食べる。そこを狙うのがクマ撃ちの常道であった。

しかし、このOSO18は異常に警戒心が強く、牧場の牛を60頭以上襲っても再び食べに戻ることはしていない。それゆえにベテランの熊撃ちハンターの追撃を逃れてきた。そこを事情を知らぬ新人ハンターが仕留めたというから分からないものだ。最もこの新人ハンターさん、エゾシカを大量に仕留めている期待の新人なので偶然とは言えないだろう。

ところでヒグマは本来雑食性であり、主食は植物や昆虫などであることが多い。しかし近年エゾシカが植物などを食い尽くしてしまい、それゆえヒグマはエゾシカを襲って食べる傾向が増えたらしい。OSO18も糞の分析などから植物よりもエゾシカなどを食べていたことが分かっている。

今回、OSO18を仕留めたハンターは、エゾシカを多数駆除していたというから不思議な縁だと思う。それにしても自然のバランスは繊細で絶妙だ。エゾシカがヒグマの主食である植物を食い荒らしたのは、エゾ狼が絶滅して以降、天敵が激減したからこそだ。

ヒグマにしたところで、俊敏なエゾシカよりも牧場の牛のほうが捕えやすい。ただ賢いヒグマは人間の恐ろしさを知るが故に、なかなか牧場の牛には手を出さない。そこに現れた臆病にして賢いOSO18がヒット&アウェイ戦法で牛を襲ったわけだ。

でも、これで一安心だと思ってはいけない。OSO18はその体格からして成獣であり、子を為している可能性が高い。ヒグマは基本単独行動だが、幼少期に親ぐまの狩りを見て真似るという。第二、第三のOSOが出没する可能性はゼロではない。

そして今回の騒動で分かるのは、ヒグマに対しては警察も無力であり、動物保護団体も邪魔なだけ。ベテランのハンターさえも騙し抜いた賢いヒグマは、若い(といっても40代)ハンターの普通のハンティングで狩られた。

北海道に限らず日本の猟銃使用による野生動物の排除は、年々その担い手の高齢化が進むが故に減少している。ヒグマどころかツキノワグマにさえ歯が立たたない警察は、ひたすら狩猟免許を厳しくすることしかしていない。

ちなみに自衛隊と称する軍隊の兵士たちは、通常弾薬を装填していない小銃を装備しており、上官に申請し会議で許可を得ないと射撃はできない。当然にクマちゃんは、すたこらさっさと逃げてしまい、せっかく銃弾を装填した小銃を構えても、肝心のクマはいない。

会議室にクマはいない、現場にこそクマはいるんだ。

それが分からないのが空調の効いた快適な会議室で、国内の治安、市民を守ることの意義を語るエリート官僚様である。まぁ彼らにとっては市民を守るよりも、自分の経歴に傷がつかないことの方が重要なのでしょう。問題が起きても、なにもしなければ失策も発生しません。

ヒグマさんには一度勇気を奮ってもらって、お役所の一番広くて快適なお部屋を襲ってもらいたいものです。少し前に北海道の自衛隊駐屯地の基地にヒグマが侵入しましたが、兵隊さんは逃げ足が速くて、誰も傷つかなかった。市民がクマに傷ついても、それはあくまで事故であり、エリートの経歴に関係するものではない。

ヒグマさん、筋肉もりもりの兵隊さんよりも、美食で肥え太ったエリート官僚のほうが美味しいですぜ。私の心からのアドバイスです。誰かクマ語に翻訳して伝えてね。

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汚染水放出報道

2023-08-29 10:05:02 | 社会・政治・一般

シナの政府が、日本の汚染水放出に執拗に文句を言っている。

馬鹿なマスコミと、それに踊らされたアホな政治家が丁寧に科学的安全性を説得するなどと言っているが、見当違いだと思う。

シナ人が外に向かって吠える時は注意が必要だ。ほとんどの場合、裏がある。今回の件では、放射能処理水に関して日本のみをターゲットにしている。これは日本ならば何を言っても大丈夫だと認識しているからだ。

放射能処理水を海中に放出している国はけっこう多い。もちろんシナもそうだし、欧米のみならず世界中に散在している。しかし抗議のターゲットは日本だけである。日本だけならば、実質的な反撃はないと見下しているからに他ならない。

そして、抗議の結果にはこだわらない。必要なのは世間の耳目を、この放射能処理水に集中させることが本当の目的だからだ。何故か?そこにこそ真の問題が潜んでいる。

少し前にアメリカの裁判所に、シナの巨大不動産事業者である恒大集団の倒産申請があった。これはもう事前に分かり切ったことで、問題は他にも似たような事案が多数あることだ。そして、多くの場合、シナの政府要人が関わっている。

日本の住専問題の処理もそうだったが、まず政府要人の退避が第一であり、次になるべく自分たちに有利なように事故を始末する。そして一番気を遣うのは、政治上のライバルの干渉を防ぎ、自己の権益を守り抜くことだ。

日本の水産物及び水産加工物にまでターゲットを広げたのは、不動産業界の不祥事を内々で処理し、次なる政治闘争に備えるために他ならない。

散々、日本の水産物にケチをつけながら、シナの漁船が日本近海での漁を止めない時点で、このカラクリは露呈していると思う。でも、それに気が付かないのか、馬鹿なマスコミ様はシナの手先となって情報操作に協力している。

いい加減、気づいて欲しいものです。

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宇宙消失 グレッグ・イーガン

2023-08-28 09:24:42 | 

久々に本格的なSF小説を読んだ。

私が十代の頃は、空想科学小説と揶揄されて文壇では低く見られていた。いや一般的にも子供だましの娯楽小説だと蔑まれてきた。

そんな風潮を私は嫌悪した。戦争の悲惨さをめそめそと嘆き平和の大切さを訴える小説や、男女の出会いと別れをうじうじと書き綴る小説ばかりを純文学だと持ち上げる大人たちに反発した。

私にはSF小説こそ未来のフロンティアだと思えてならなかった。もちろんスペースオペラと称する娯楽小説もあまたあった。しかしACクラークやアシモフ、ハイラインのように人間の未来の可能性を高らかに謳い上げる本格的なSF小説は格別の存在であった。

しかし、残念なことにSF小説は、映像の力を借りてようやく世間から認知された。そのきっかけとなったのは「未知との遭遇」であり「ET」であった。もちろん「2001年宇宙の旅」や「機械仕掛けのオレンジ」などもあったが、いずれもアメリカで産まれた。アメリカこそが20世紀を代表する文化の具現者であったと私は高く評価している。

だが金を生むのは娯楽小説だ。「バックトゥザフューチャー」や「スターウォーズ」「ジェラシックパーク」などの映画は、あまりに面白くSFを特殊なものから普通のものへといとも簡単に広げてしまった。

この状況を悔しいと思ったSF小説家はいたはずだ。声には出さねどRニーブンやJパーネルらは映像化が難しいと思えるような作品を出して、更なるSF小説の可能性を広げた。その一つの頂点と評してもおかしくないのが、表題の作品の著者であるグレック・イーガンだと思う。

量子物理学をベースに未来社会を描写してみせた。脳に直接ソフトをダウンロードしたり、脳内に極小のチップを埋め込み、自分の性格、性向、精神安定性さえもコントロールする未来の地球人の姿は、まさにSF的。

でも、隠れたSF漫画の先進国である日本でも既にそのアイディアは使われていたぞと内心思いながらも、イーガンの描き出す未来社会に没頭した。ただ、読み込むのにはかなりの集中力が必要であり、ここのところ過労気味の私には辛かったのも確かでした。

5年前と比べても読書に対する集中力が低下している現実がよく分かりました。これは暑さ以上に精神的に堪えました。あぁ、早く涼しくなって欲しいです。

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エンジンの製造は難しい

2023-08-25 09:36:15 | 経済・金融・税制

 

地味な技術を侮るなと云いたい。

ここ数年、EV車に積極的でない日本の自動車メーカーを誹謗し、コリアやシナの自動車メーカーを持ち上げる自動車評論家が目につく。

日本の自動車メーカーがEV車に消極的なのは事実だし、コリアやシナが積極的なのは事実。その意味では間違いではないが、私は些かこの手の記事に違和感を持っている。

ガソリン価格の上昇は、原油の枯渇問題と強く関連しており、従来のようなガソリン(軽油含む)燃焼型のエンジンによる自動車は、将来的には大きく減少するだろう。しかし、その解決策としてEV車は決して理想的ではない。

現在、ほとんどの国では火力(重油や石炭、LPGガス)発電により電気を生み出している以上、電力供給網が十分配備されていない途上国ではEV車は適切ではない。またEV化を強制的に推し進めようと目論むEUでは、電気代の高騰に頭を痛め、EV車購入を悔いている有様である。

この現実を知りつつ、コリアやシナの自動車メーカーを賛美する記者が後を絶たない。

意地の悪い私は、こいつら金もらって記事書いているんじゃないのかと邪推している。もちろん出版社ではなく某自動車メーカーからだ。邪推といったが、根拠がない訳ではない。

実はコリアもシナも独自でガソリン燃焼型のエンジンを造る技術が拙い。コリアの二社はVWやGMからの技術指導なしでは造れないのは知る人ぞ知る事実。またシナで現在走っている国産車のエンジンの6割は三菱のOEM品である。

ガソリンエンジンの歴史は長いが、その製造と改良は現在も続く。新興の自動車メーカーにはいささか荷が重いのが実情だ。高度な冶金技術だけでなく、附属部品の品質、コンピューター制御のノウハウなど設計書には書かれていないノウハウが多く、先進国はそうそう教えてくれない。

ヨーロッパのメーカーから技術指導を受ける半島や大陸のメーカーだが、肝心の非公開のノウハウまでは教えてもらえぬ苦渋を味わっている。だからこそ西欧ともに未知のEV車で先進国を追い抜こうと必死だ。

その成果は、レースやラリーなどである程度分かる。実際、近年はラリーで好成績を上げている半島のメーカーもある。しかし、その車に乗るプロドライバーたちの評価は辛辣だ。「振動がひどく、疲労感が凄まじい」とか「故障が多くて精神的に疲れる」と散々な言い様なのだが、これは一朝一夕で改善するものではない。

レースやラリーは車に過酷な使い方を強要するため、その自動車の真価が問われる。同時に過酷な経験により様々なノウハウが得られる。コリアやシナのメーカーには、この経験が乏しいから、先進国の車と比べるとどうしても格落ちの評価となる。

何故だか知らんが、日本の自動車メーカーを誹謗する自動車評論家の先生様は、そのあたりのことは全くスルーしている。知らないはずはないのですけどね。

余談ですけど、EUが強引に推し進めてきたEV車戦略は、欧州の自動車メーカーから「NO」を突き付けられている始末です。どうも合成燃料の使用だとか、水素エンジンなどの可能性を追求しているらしいです。

原油の枯渇は、21世紀中に訪れる最大の課題ですから、自動車という文明の利器を諦めない以上、代替するエンジンの開発は必須なのも事実。でもEV一辺倒は、どうも芳しくないようです。

にもかかわらず、割と名の知れたモータージャーナリストがEV車をシレっと推奨し、日本メーカーを貶める。本当に試乗して評価しているのか、私はかなり疑わしいと思っています。皆様におかれましても、この手の売文ジャーナリストには注意された方がよろしいかと思います。

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終わりなき戦い

2023-08-24 09:33:48 | 社会・政治・一般

プーチンとゼレンスキー、どちらかが死なない限りウクライナ戦争は終わらない気がしてきた。

まず大前提としていえば、ウクライナの地はロシアにとって絶対防衛線である。それを承知でウクライナをNATO軍側に引き込もうとしたのは他ならぬEUとアメリカだ。いわばロシアからすれば、先に手を出してきたのは西側である。

一方、ウクライナからすればロシアは、ほぼ同族ではあるが過去散々に酷いことを強要してきた憎い相手でもある。しかしマルクスレーニン主義という金看板があった時は我慢できた。崇高な理想を実現する努力を共有できた。

しかしペレストロイカによりソ連邦内部の事実上の崩壊が明らかになると混乱が生じた。ウクライナは地理的にもロシアに近く、また民族的にもかなりの融合が進んでいたため、そうそう割り切れなかった。実際、ソ連分裂以降、親ロシア派が主要部門を牛耳る一方、西側の支援を期待してのウクライナ独立派が力をつけてきた。

ロシアにとっては白ロシア(ベラルーシ)とウクライナは絶対防御線であり、断じて離反することを許せなかった。しかし、その割に支援を十分にすることが出来なかった。そこをEU及びアメリカが付け込んだ。

まともに考えれば、ロシアはウクライナ全土を掌握するだけに足る十分な戦力を持っていた。しかし、欧米からの支援がロシアの目論見を狂わせた。困ったことにウクライナは旧ソ連邦のワルシャワ条約機構軍として、ロシアの軍制度を熟知していた。

ロシア軍の特徴は下級兵士を信用していないことだ。何故なら戦場で最前線に送り込まれる兵士たちの多くは、広大なロシア各地に散在する少数民族出身者であるからだ。彼らを信頼しきれないが故に、ロシア軍は本来最前線には出てこないはずの上級将校が実戦の指揮を執る。

その上級将校を狙い撃ちにしてロシア軍を混乱させたのがウクライナ軍の狙撃兵だ。マスコミ向けの広報では、ドローン兵器の活躍が大きく取り上げられているが、実際に戦果を挙げているのは、歩兵である。狙撃だけでなく、西側から供給された歩兵が携行できるミサイル兵器を使っての攻撃も多大な戦火を挙げている。

この西側からの援助の一部は、間違いなくウクライナ政府及び軍関係者の懐を潤しているはずだ。なんといってもロシアン・マフィアの本拠地として知られるウクライナである。中抜きするのはお手の物である。ゼレンスキー大統領がしばしば外遊して、ひたすらに援助を求めるのも当然である。

一方、ユーラシア大陸の火薬庫である中央アジアを力で制圧しているロシアは、その面子に賭けて敗北を認めることは出来ない。この問題は中国で弾圧を受けるイスラム教徒たちとも関連している。トルコやイランにとっては、中央アジアは機会さえあれば取り戻したい地下資源の宝庫でもある。だからこそロシアは、この地を安定化を重視する。そして現在その安定化をもたらしているのはロシアの軍事力であり、それゆえロシアは軍事的敗北を認めがたい。

いわばロシアもウクライナも引くに引けない状況に陥っている。この状況を変えるには、プーチンかゼレンスキーかどちらかの政治的退出以外に手はないと思う。これがまっとうな民主主義国家ならば、選挙による政権交代が機能する。しかし、両国ともまっとうではない。だから選挙も当てにならない。

そうなると、残されるのは強制的な指導者の排除である。ただ伝統的にクーデターに対する警戒感は、両国ともに強く対応策も十分であるはずだ。すると残された道は、政権トップを狙ったテロである。

テロリズムを肯定的に捉えるのは抵抗感が強いが、このウクライナ戦争を終結させる最も手っ取り早い手段だと予測しています。

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