東日本大震災のおかげで、民主党のスキャンダルが吹っ飛んでしまいました。もっとも、震災後の不手際、不見識、不毛な内輪もめが次々と出てきています。せっかくの好機なのに、政権を担う政党としての実力のなさが、更に明らかになっているから、救いようの無いダメ政党です。
だから、震災前のスキャンダルを、今更蒸し返すのもなんですが、当初から気になっていたのです。なにかといえば、前原・前外務大臣の献金疑惑です。
結果的には前原氏の辞任により、臭いものに蓋をして済ませようとの安易な対応をした民主党ですが、私は疑問に思っていました。たしかに問題はあると思いますが、辞任するほどのことなのか。
いささかうろ覚えですが、前原氏を昔から知っていた焼肉屋のおばちゃんが、前原氏に政治献金をしたことが発覚したことが発端であったと思います。
この焼肉屋の方が、外国籍であったため、政治資金規制法に抵触したようですが、私には違和感を禁じえません。いくら馴染みのお店だからといって、献金を受ける際に外国籍かどうかを確認できるのでしょうか。
私自身、いく人もの外国籍、いわゆる在日コリアの方を知っていますが、傍目にそうと分る人なんていません。いや、何年も話して、お茶して、食事まで共にして、それでも分りませんでした。
本人から、実は在日ですと告白を受けて、ようやく分ったぐらいです。日本語が話せないならともかく、皆日本人と同じレベルで日本語が話せる。むしろ母国語のほうが、まともに話せない在日の人が多いのが実情でしょう。
もちろん、政治家が外国からの不当な干渉を受けるのを避けるため、なんらかの規制を設けるのは当然です。でも、献金を受けたとの外形だけで、それを不当だと判じるのは如何なものか。
むしろ、日本の政治家でありながら、日本に不利益になるようなこと、例えば村山談話のような行為のほうこそ問題にすべきでしょう。
在日の人たちが日本国籍を取らずにいるのは、感情的なもので、状況によっては容易に国籍を変える人たちでもあります。なぜなら、在日の人たちは、母国の政府が自分たちのために何かしてくれるなんて、ほとんど期待していないからです。むしろ、金の拠出を求められるのが関の山で、それが煙たくて国籍を変える人もいるぐらいです。
事実、在日の人が日本政府に働きかけたい時は、総連や民団を使うよりも、自民党の政治家に金を出して、耳を傾けてもらっていたのが実情でしょう。
少子高齢化が進む日本では、今後外国人の数は増える一方だと思います。彼らが定着すれば、当然に政治的意見を口に出し、それが現実に反映されるように求めてくるのは必然です。
それを外国人だから、国籍がないからと排するだけだと不満が貯まるだけでなく、日本の法規を無視した行為などが増えるだけでしょう。
外国人の増加による治安の悪化を危惧し、排斥論を唱える人が少なくないのは知っています。ですが、これほどまでに巨大化した日本社会を支えるための人材が、徐々に枯渇しつつあるのも事実です。
既に末端では、外国人抜きではどうしようもない現実があります。表向き大企業は、外国人労働者を雇っていないことになっていますが、下請け、孫請け企業を通じて雇用しています。
たとえばコンビニのお弁当。これを日本人だけで作っていると思ったら大間違い。東京郊外のお弁当工場に納品される食材を作る工場は、外国人が何人も働いています。日本人のおばちゃんと、若い外国人たちが協働して食材をつくっているのです。
私には、この小さな下請け工場が、未来の日本の縮図に思えてなりません。彼らは納得がいくルールなら、それに従うものです。貧富の差の激しい母国で働くより、多少の差別はあっても日本で働くほうがメリットが多いと判断しているが故でしょう。
日本人が日頃意識しない日本の良さを、日本人以上に実感しているのが、彼ら外国人労働者です。いずれ、彼らが自分たちの政治的意見を表明する機会を欲するであろうことは目に見えています。
日本に定着し、良き隣人として暮らす在日外国人の意見に耳を閉ざすことが、果たして良いことなのか。もちろん、国益が絡むことですから、声は聞いても反映できないこともあるでしょう。それは当然だし、不当な干渉をふせぐ規制も必要なのは当然です。
その意味でも、スパイ防止法のような治安維持のための法律は、国際化社会に向けて必要不可欠です。どの国だって、自国の利益のためにスパイを使うのは当然であり、その脅威に対応することは政府の責務でしょう。
もし、前原氏が外国籍の方から献金を受けて、その意向を汲んで日本に不利益なことをしたとしたら、それこそ大問題です。で、今回の辞任劇には、そのような事実はあったのでしょうか?
私の前原氏に対する政治家としての評価は、決して高くありません。ですが、外国人に対して不当に優遇し、日本を貶めるような行為をしたわけでもない彼を辞任にまで追い込んだことには、疑問を禁じえません。