ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ワクチン

2021-09-30 11:48:00 | 健康・病気・薬・食事
ワクチンの原点は、ジェンナーの種痘である。

近世欧州を襲った最悪の疫病の一つである天然痘に対処するため、人体実験までして考えられた方法が、牛に天然痘を接種させて弱体化したウィルスを採取し、それを人間に注射して感染させて免疫力を強化することであった。

乱暴な方法だとは思うが、致死性が高く、しかも伝染力も高い天然痘から人類を守るための、やむを得ない方法であった。この方法は有効であったが故に、今日でも利用される。もちろんジェンナーの頃とは比較にならぬほど科学的に洗練されたものになっている。

しかし、科学的に進歩した手法であろうと弱った病原体を人間に強制的に感染させて、免疫力を付けるという本質に変りはない。いわば毒を持って毒を制する遣り口である。

そりゃ副作用も出ようってもんだわさ。

なので、私は正直あまりワクチン接種が好きではない。好きではないが、仕事の都合上、やむを得ず先週、ファイザー社製のワクチン、第一回目の接種を終えている。

比較的軽いとされる一回目だが、私は翌日には微熱と倦怠感に襲われている。腕も持ち上げるのが辛いほどに痛かった。まァ予測の範囲内ではある。

ワクチン接種を甘受したのは、これ以上新型コロナにより業務の遅延が生じるのを避けるためだが、これは表向きの理由。

決してウソではないが、本音は別のところにある。スタッフや顧問先などの不安を少しでも減じる為、これが最大の理由である。仕事柄、どうしても人と会わねばならないことがある。これを端折る訳にはいかないからだ。

本音を云えば、ワクチン接種でも完全にコロナ禍は止められない可能性が高いと思っている。でも、減らす効果は確実にあると思われる以上、次善の策として、ワクチン接種も止む無し。そう考えている。

同時に声には出さないけど、コロナなんて天然痘やコレラ菌に比べればはるかにマシだとも思っている。

人は完璧な存在にあらず、医療も完璧であるわけがない。そう私は達観しています。

追記 二回目のワクチン接種を終えました。腕の痛みはほとんどなかったけど、微熱と倦怠感がひどく、結局丸一日お休みしました。
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お休み

2021-09-29 13:08:00 | 日記
いや~二回目のワクチン、キツイです。一日経ちましたが、まだ熱が下がりません。よって、今日はお休みします。
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最近の軍事評論家

2021-09-28 11:46:00 | 社会・政治・一般
最近、ヤフーニュースでちょくちょく軍事関連の記事を書いている記者で高橋浩祐という人物がいる。

元朝日新聞の記者で、英国の軍事雑誌であるジェーンズ・デフェンス・ウィークリーの日本特派員を務めているらしい。かつてはあの江畑謙介氏も務めていたはずだが、伝統あるJDW誌も見る目がない。というのは高橋記者の書く記事には些か問題が多い様に思うからだ。

最近だと、朝鮮半島に関する記事が多いが、とても専門家とは思えないような記事を書く。一例を挙げたい。

先日、南コリアがミサイルの海中発射に成功したとの報があった。これに関する高橋記者の記事を読んでいると、表面だけというか、コリア側の主張丸写しで、少し丁寧に解説しているだけのものだ。挙句に南コリアが原子力潜水艦を持つ可能性と、その影響について書いているが、かなり現実離れした奇論に感じてならなかった。

まず、南コリアの軍の公式発表では、海中からのミサイル発射実験に成功したと書いてあるのみである。南コリアのマスコミが書いているような新型の潜水艦(多分、鳥山安昌浩級)から発射したとは書いていない。

多少でも南コリア海軍の実情を知っている者ならば、現在稼働している潜水艦はドイツから輸入した209型で、一応韓国でライセンス生産した214型は、大半が修理の為にドッグ入りしていることぐらい常識だろう。小型艦である209型にミサイルは搭載できない。

まして今年夏に就役し、現在来年の軍への引き渡しに向けて試験中の鳥山安昌浩は、まだ試験航海でさえ十分に済ませていない。ちなみにSLBNを発射できるのは、この新型艦だけだ。でも、まだ航行や潜航も試験段階。おそらくミサイル発射は、海中に沈めた埋設構造物からのものだと推測できる。

一応説明しておくが、海中からミサイルを発射する技術は、どの国でも軍事機密であり、様々な試行錯誤を得て実戦に活用できるように準備する。海中に沈めた埋設構造物からの発射は、必要な段階なので、ごまかしではない。

はっきり言うが、潜水艦からミサイルを発射させる機構は、非常に複雑であり、南コリアの技術では無理。おそらくスペインのインドラ社及び英国のパブコックインターナショナル社からの技術提供と思われる。ただ、管制システムは南コリアのハンファ社なので、異なる国のシステム統合が出来るのか、はなはだ疑わしい。

更に付け加えれば、高橋記者は南コリアが原子力潜水艦を保有した場合のことを書いている。その記事で指摘しているように最大の障害は、アメリカが原潜保有を認めないことだとの言は私も同意できる。

でも専門家ならば、まず第一に南コリアにそのような原子力潜水艦を製造できるか、出来たとして実際に運用できるかを指摘するべきだろう。1800トン級の潜水艦さえ満足に作れない現実を無視して、3000トン級が満足に作れるはずがない。

いや、もうこの夏に作っているではないかと思う方もあろうが、この国では作ってしまえば、それで万事解決。その作ったものが、実際に運用できるかどうかは別問題である現実を失念していると思う。

本当に記者として、日本国民に適切な軍事情報を届けようと思うのならば、単に南コリアの優位性を語るのではなく、その実態を報じて、日本の有権者にとるべき正しい外交姿勢を考えさせるべきではないだろうか。

私にはこの記者、朝日によくいるコリアを褒め称えることで日本を卑下するタイプにしか思えないのですよね。現状、ただ単に南コリアの願望を伝えるだけの伝書鳩ですね。
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菅首相への評価

2021-09-27 11:44:00 | 社会・政治・一般
突如、総裁選への立候補を取りやめた菅首相は、ある意味不運な政治家だと思う。

強い派閥地盤こそ持たないが、安倍首相の官房長官を長く務めた実務派であり、下積みの長い硬骨漢である。

しかし、コロナ禍は一個人の裁量を超える非常事態であり、その対応は決して満足のいくものではなかった。これははっきりと断言するけど、誰が首相をやろうと、コロナ禍を抑えることは不可能だ。

ロックダウンで街を閉鎖しようと、あるいは放置して自然治癒を目指そうと、どれも決して万全の結果は得られないことは既に実証されている。だからといって、国民が納得できる訳もなく、結局その不満の聡oし先が菅首相であっただけだ。

その意味で不運だったと思うが、それでも彼に瑕疵がなかった訳ではない。その第一は説明不足。官房長官の頃から、バカな質問(というよりも意図的な煽動)をしてくる一部の記者と揉めただけに、マスコミ相手に丁寧な説明をすることをさぼっていたのは確かだと思う。

記者クラブでの馬鹿げた質疑応答を厭うのは分かるが、なればネットなど他の手段で丁寧に政策を語るべきであったと思う。それをやらなかったから、マスコミばかりでなく、一般庶民からも不信感を持たれた。

第二の失敗として、官僚操作が不十分であった。長く官房長官を務めただけに官僚との接点は多かったはずだ。しかし、官僚は平気で政治家を騙すことへの警戒心が乏しかった。安倍首相は、それを承知のうえで官邸主導により官僚の不作為をさせない強引さがあったが、菅首相にはそこまでの官僚不信がなかったことが、政策の足を引っ張った。

第三に自己の派閥を持たぬが故に、どうしても二階幹事長のような古狸とも妥協せねばならず、それが若い支持者からの離反を招いた。今回の立候補取り止めの裏で、二階氏が暗躍したことはまず間違いないと思う。

在任一年あまりの短期ではあったが、これらの失点がなければ、今少し菅内閣は続いたはずだ。

では、その一方、評価すべき点はどうか。順不同で列挙したい。

1として、日本学術会議への強硬姿勢を挙げたい。これまでどの政治家も手を触れたがらなかった赤い学術会議に強く干渉したことは高く評価したい。

2として、台湾を台湾だと呼んだことだ。北京は相当にお怒りだったが、台湾は大喜びである。もちろんアメリカも高く評価している。

3として、コロナ対策のワクチン入手に成功したことだ。これが出来ずにアタフタしている自称先進国と比べれば、その功績は明白だと思う。

総じて、安倍政治の承継者として外交面では合格だと思っている。また、日本のマスコミ目線ではなく、世界基準で判じればコロナ禍の被害を小さく留めたことも確かだと思う。

ただ、安倍政治と同様に国内政治、とりわけ経済面では芳しくない。コロナにより足を引っ張られた不運な政治家ではあったが、引き際を間違えなかった政治家として名を残すと私は考えています。
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マカルー西壁

2021-09-24 11:33:00 | 日記
なんだろう、この気持ち。

嫉妬、羨望とも違う。いや、微妙に違うだけで、心の奥底には嫉妬も羨望もある。だが憧れも敬意もあるのは確かだ。しかし、上手く言葉に出来ないもどかしさが、心の中をグルグルと渦巻いている。

私が山野井君を初めて見かけたのは、多分日和田山のゲレンデだと思う。森先生から「彼が若手のホープの一人、山野井君だよ」と教わった。丁度、登攀している最中だったので、見学させてもらった。

丁寧なムーブと、足の運びの慎重さが印象的なクライミングであったと記憶している。その時は特に挨拶等はしなかったと思う。その後、伊豆の岩場で再会しているが、驚いたことに彼の方から挨拶してきた。

どうも、私が日和田のゲレンデで中級コースに悪戦苦闘しているのを見ていたらしい。凄く赤面したことを覚えている。私の表情をみて、「僕も昔は下手でしたよ」と慰めてくれたが、余計に恥ずかしかった。

その後、私は身体を壊して闘病生活に入り、クライミングどころではなくなっていた。しかし、当初は諦めずに、また復活するぞと意気込んでいた。だから「山と渓谷」「クライミング・ジャーナル」「岩と雪」などの雑誌には目を通していた。

そこ頃になると、山野井君はフリークライマーの登攀中の写真をよく撮っていたようで、カメラマンに転向したのかと思ったら、とんでもない勘違いであった。

彼はアルパインスタイルの登山に向けて資金稼ぎをしていただけ。それも未踏ルートを中心にした単独行の登攀ばかり。当時の山岳界の動向はよく知らないが、植村直己がアラスカのマッキンレーで遭難死して以降、アルパイン・スタイルを強く志向しる若手登山家は絶えていたはずだ。

死と背中合わせの登山を求める山野井君は、その後本当に世界各地の難しい高所登山に挑み、時には敗退することもあったが、世界にその名を轟かす登山家としての名声を得ていた。

フリークライムの平山君と、アルパインの山野井君は、日本の登山界を牽引する実力者に育っていた。そんな彼らの姿は、登山を諦めざるを得なかった私には眩し過ぎた。

もう山関係の雑誌を購読することも止めていた。ワンゲル部に顔を出すことさえ控えるようになっていた。難病は結局治らなかったが(それが普通です)、幸運なことに、社会復帰が可能な程度には回復していた。

療養中に税理士の資格を取った私は、それを活かして未知なる業界に足を踏み入れ、もう山のことは忘れ去った。いや、忘れようと真剣に努力した。余計な雑念だと思い、ひたすらに仕事に集中した。

だから、山野井君が奥多摩で熊に襲われた報道を知った時は驚いた。奥多摩の熊はとっくに絶滅したと思っていたからではない。第一、私が学生の頃はいたしね。驚いたのは、凍傷で指を十数本失くしていた彼が、今もアルパインクライムを諦めていなかったことだ。

それも、難関中の難関である、あのオーバーハングの化け物であるマカルー西壁を狙っていただなんて。あたしゃ、記事を読んで唖然としてしまったよ。

元々、アルパインクライミングは死と背中合わせの登山である。ルールがあってないような登山の世界において、唯一無二のルールがあるとしたら、それは生きて帰ることだと私は信じている。

山野井泰史という登山家が今日まで生き延びたのは、いざと云う時に撤退の判断が出来るからだと聞いたことがある。それはそうだろうと思うけど、あの身体でマカルー西壁を狙うのかい?

正直、素直に賞賛できない。かといって反対もできない。なんだろう、このモヤモヤした気持ち。多分、妬みなのだと思う。難病ゆえに諦めた私には、あれだけのハンデを背負いながらも難関に挑む彼が眩し過ぎる。

どうも、私は思っていたよりも未練がましい性格らしい。

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