ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

癖になる味

2016-03-31 12:25:00 | 健康・病気・薬・食事

店内に入ると、煮干しの匂いが強烈に漂う。

いや、正確に云えば、店に入る前から、煮干しの匂いが漂っている。だから、この店のことは開店当初から、煮干し出しのスープを使っているのだと知っていた。

知ってはいたが、なかなか店の暖簾をくぐる気になれなかった。何故かというと、ラーメンは私にとっては禁忌に近い存在だからだ。まず、カロリーが高いうえに、塩分が多い。

なにせ、ラーメン一杯で塩分は6gである。これでは成人男子の一日の推奨摂取量7gを一食で8割がた満たしてしまう。塩分は人間に必須の栄養素ではあるが、取り過ぎの弊害は、高血圧を始めとして枚挙にいとまがない。

もっとも、この適正な塩分摂取量は、一概には云えない。外で日を浴びての肉体労働をする場合、7gでも足りないし、屋内事務作業ならば6gでも多すぎる。いずれにしても、デスクワーカーの私には、このラーメンに含まれる塩分は多すぎる。

20代で腎臓を傷めて以来、日常的に塩分を減らしている私にとって、ラーメンは可能な限り食べることを避けるべきものである。

ただし、ラーメンが嫌いな訳ではないし、時たま無性に食べたい時もある。そんな時は自分で作る。インスタントで十分だが、カップ麺は避ける。野菜、キノコなどを十二分に入れたラーメンにして、汁は必ず残すようにしている。

ところが困ったことに、ラーメンの命は汁にこそある。だから、外食でのラーメンは可能な限り避けてきた。そんな私にとって、銀座6丁目にある自家製麺・伊藤というラーメン屋は鬼門であった。

冒頭に書いたとおり、店に入る前から煮干しの匂いが漂うのだ。これだけ出汁をとったラーメンが美味しくない訳がない。この味を我慢するのは拷問に近いものがある。

近づかなければ良いと言いたいところだが、そうは問屋が卸さない。隣の鮨屋は、銀座界隈では安くて、しかもボリュームのあるランチを出してくれる。ここで手軽にお鮨を食べるのが、月一の私の楽しみである。

そして、その店を出ると、煮干し出汁の匂いが濃厚に漂ってくるのだ。こりゃ、たまらない。

さりとて、ラーメンはカロリーも高いし、塩分も多い。その癖、栄養価はそれほど高くない。でも、美味しい・・・

窮余の策として、私は小盛りのラーメンを注文している。食べるたびに思うのだが、これほど濃厚な煮干し出汁スープのラーメンは格別である。スープを残すのに、強い意志が必要となるラーメンなんて、早々あるものではない。2015年度のミシュラン選出も当然だろう。

さて、今夜は湯豆腐にして、一日の総カロリー量を減らそう。まったくもって、困ったラーメンである。

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日本サッカーの新たな可能性

2016-03-30 12:10:00 | スポーツ

日本のサッカーにとって、長年の懸念事項の一つに、長身FWの不在問題がある。

より正確に云えば、長身のFW選手は、過去にも何人もいた。オフト時代の高木が代表だが、高校サッカーで活躍した船越や、平山という190㎝台の長身選手は、たしかに居ることはいた。

しかし、高木を除いて、世界に通じるような実力ある長身FW選手はいなかった。高原は十分世界でも通用した選手だが、180台の身長では大型DFが、ずらりとゴール前に構える世界の第一線では、長身とはいえない。

久保の跳躍は、人間離れした高さであったし、欧州のチームと戦っても十分通じるのは確かであったが、故障が多く、常時使える選手ではなかった。船越は、A代表に呼ばれることはなく、平山は呼ばれても使われなかった。

そして今回、久しぶりにA代表に呼ばれたのが、ハーフナー・マイクである。オフト監督時代に、ゴールマウスを守ったディド・ハーフナーの息子であり、その長身は期待を抱かせるものであった。

しかし、平山同様にハーフナーも、A代表では定着出来なかった。これは平山に共通するが、長身であることよりも、足元の技術にこだわるようなところがあり、肝心の長身を活かしたポストプレーに積極的ではなかった。

さりとて、足元のシュート技術ならば、他のFW選手の方が上であり、長身であることが、まるで活かされていなかった。これでは、代表に定着できない。

ただし、原因は他にもあった。これは、日本サッカーの特徴でもあり、長所でもあるのだが、パスをつなぐサッカーそのものが原因であった。また安心してボールを預けられる長身選手がいないことが多く、結果として足元にボールを送るサッカーをしがちであった。

日本代表の特徴である中盤でのパス回しを好む司令塔役の選手たちは、中田英、中村俊輔、中村憲剛、遠藤と、いずれも足元や、スペースにパスを出すのが得意な選手ばかり。

そのため、長身FWにボールを預けるポストプレーを、ほとんどやらない、やりたがらないのが従来の日本サッカーであった。先週のアフガニスタン戦で、ようやく代表の試合に出場できたハーフナーは、その長身を活かしてのポストプレーをして、得点の起点となることが出来た。

オランダ・リーグで活躍しているだけに、以前よりも格段に安定感があったので、他の選手もハーフナーを使ってみる気になったのだろう。得点こそなかったが、相手チームのDFは、ハーフナーに引き付けられた為、他の選手の得点の機会が格段に増えた。

長身選手によるゴール前でのポストプレーは、これまでの日本代表になかった戦術であり、今後に期待を抱かせるのに十分なものであった。もちろん、アフガニスタンのサッカーのレベルは低く、この一戦では判断しかねるが、それでもJリーグが始まって以来、ようやく長身FW選手の目途がたったことは、嬉しい限り。

とりあえず、シリアを撃破して、一位で二次予選通過。次の最終予選に向けて、新たな攻撃のオプションの可能性が拡がったことは嬉しい限りです。できたら、昨夜のシリア戦でも試して欲しかったのですがね。

まァ、その分、香川が活躍したからいいかな。

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アーロと少年

2016-03-29 13:33:00 | 映画

守らねばならぬ存在があると、人は強くなれる。

私自身が、その典型であったと思う。今思い返しても、私は学生時代のWV部において、ひどく出来の悪い下級生であった。重い荷を背負うのが嫌いで、単調な山道が嫌いで、なにより苦しいのが嫌いであった。

そんな怠惰な私でも、クラブで後輩が出来ると、変らざるを得ない。中学までは、真面目な部活などには縁がなく、放課後は公園でだべり、ゲーセンでたむろし、繁華街をふらついていた時も、後輩はいたが、それとはまるで違った。

明白に責任を持って、確固たる姿勢で先輩として先導する。これは、私にとってひどく新鮮であると同時に、かなりのプレッシャーになった。山の初心者が多かったので、こいつらを何が何でも無事に下山させる。

その使命感が、私を強くさした。苦しくても、それを口に出さず、顔にも出さない。先輩としての見栄と維持、ただそれだけであったが、それだけで、私は下級生の立場に甘んじていた時よりも、格段に逞しくなれた。

山は、私のとって人生教室であったと思う。

ところで表題のアニメ映画だが、私が一番面白く思っていたのは、恐竜たちと人間の立ち位置であった。6500万年前、墜落するはずの隕石は、通り過ぎてしまい、人と恐竜とが同時に生きている世界。

この世界では、恐竜こそが知性ある存在であり、人間はせいぜい犬猫、それも野生種というか、ノラとしての扱いであった。これが、実に興味深かった。自宅でDVDをレンタルしてもいいが、映像がとても綺麗なので、出来たら映画館の大スクリーンで楽しんで欲しいと思います。

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ベルギーのアラブ人街

2016-03-28 12:09:00 | 社会・政治・一般

明らかに異臭が漂う雰囲気に戸惑った。

十年以上前のことだが、当時ベルギーに駐在していた友人夫婦を訪ねるついでに、各地の美術館や博物館巡りをしていた時だ。ブリュッセルの街並みは、ゴシック様式の石造りの建物に風格があり、散策して飽きない。

その日、最後に観て回った軍事博物館を後にして、ブリュッセルの裏町を散策していた時のことだ。地図はだいたい記憶していたので、迷うことなく石畳の街路を進み、レストランなどが立ち並ぶはずの区画に行く途中であった。

外見上は、他との差異はなかったが、妙な雰囲気が漂う一角に入り込んだ。まず、匂いが違った。牛や豚の肉ではない、なにかの肉を焼いている匂いであった。スパイスの匂いも混じっており、すぐには分からなかったが、どうも羊肉のようだ。

よくよく見渡すと、街角に立つ人たちも肌の色が違っている。白人の姿も散見するが、中東系と思われる人たちがかなり居た。美味しそうな匂いに惹かれて、串に刺された羊肉を買ってみる。

ガイドブックに書いてあった旅先用語集のなかで、いくつか多様するフレーズは暗記してあったのが役に立つ。片言のベルギー語で、指さしながら、これが一本欲しいと話すと、無言でお金を受け取り、串焼きの羊肉を手渡してくれた。その場で食べてみると、少しスパイシーだが、なかなかに美味であった。

ふと気が付くと、周りから注視されていることに気が付いた。敵意こそ感じなかったが、明らかにアジア人である私が、この場にいることへの違和感を感じざるを得なかった。

なんとなく、居ずらくなり、その場を足早に立ち去る。少し歩くと、人が集まっているので覗き込んでみると、店の入り口のTVで、サッカーの試合を放送しているようだ。店自体は、雑貨店のようだ。

せっかくなので、その店に入ってみると、見慣れぬ雑貨が置いてある。ゆっくり見たかったが、ここでも私は注視されていることを感じざるを得なかった。明らかに私は、その場における異分子であった。

今度は少し嫌な感じがしたので、さっさと店を出て、人が多く歩いている大通りへと抜け出すことにした。旅先での妙なトラブルは御免である。自分で云うのもなんだが、私は土地勘はいいほうだ。ここは長居すべきではないと、私の勘が告げていた。

どうやら、私が入り込んだ地区は、アラブ系の人たちの居住区であったようだ。中華街とも違うし、インド人街とも違う雰囲気は、妙に排他的で、観光都市ブリュッセルとは思えなかった。

私は、ほぼ三日間、ブリュッセルの街を散策したが、おおむね友好的で、安心して観光が出来る街だ。もっとも、日本人用ボッタクリ店もある始末である。日本語メニューありますのお店は要注意だ。私も、危うくひっかかりそうになった。

だが、あのアラブ人街のように、敵意とは云わないまでも、異分子であることを自覚させるような排他的な場所は他にはなかった。あそこだけが浮いていたと思う。地元の人たちは、いったいどう思っているのだろうか。

今週、ブリュッセルで起きた自爆テロの報道に接した時、私が思い出したのは、あのアラブ人街であった。遠く中東の地からの移民たちが集まっているようだが、決して西欧に馴染めず、物質的には郷里よりも恵まれていても、精神的に満たされなかった欧州の地。

その不満をIS国に付け込まれ、テロリストの温床となってしまったのであろう。困るのは、あのアラブ人街で暮らす人たちの全てが、テロに好意的な訳ではないことだ。むしろ迷惑に思っているアラブ人も少なくないであろう。

だが、周囲の眼は違うであろう。かつては、ユダヤ人がそうであったが、今度はイスラムの人たちが同じ立場に追い込まれるのではないのか。そんな嫌な予感を感じざるを得ないのが、今回のテロ事件でした。

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トランプ旋風に思うこと

2016-03-25 12:37:00 | 社会・政治・一般

歪みが拡大したがゆえの結果ではないか。

現在、アメリカの富の7割は、5%に満たない富裕階級が握っているとされている。なかでも上位1%程度のスーパーリッチこそが、アメリカのみならず、世界中に投資をして富を独占している。

そのため、かつてアメリカを支えた中産階級は没落し、今では夫婦共稼ぎで、一見裕福に見えるが内情は火の車な家庭が珍しくない。下層階級は増える一方であるが、その下に不法移民という最貧階層があるため、社会への不満を爆発させずに済んでいる。

だが、その押し隠された不満は、既成の政治が不十分であるとの認識につながっている。だからこそ、本来泡沫候補であった民主党のサンダース氏、共和党のトランプ氏を、アメリカ大統領予備選挙で躍進させたのだろう。

注目すべきは、サンダース氏もトランプ氏も正式な党員ではないことだ。既成の政治家ではないことが、有権者を惹きつけている。つまり従来の政治家に対する不信感が、この両氏の躍進につながっている。ある意味、同質の支持層に支えられていると思う。

私の予測では、民主党がヒラリー女史、共和党はトランプ氏が大統領候補に決まるのではないかと思っている。つまるところ、既成の政治家と、そうでない政治家との決戦となる。

どうなるかは分からないが、史上まれにみる妙な大統領選挙になるかもしれない。サンダース氏の支持者は、ヒラリー女史ではなくトランプ氏に投票し、クルーズ氏ら他の共和党候補者を支持していた有権者は、ヒラリー女史に投票するのではないかと思っている。

ベトナム戦争以降、アメリカは確実に変質していった。一部の富裕層にのみ有利となる政治を続けてきた結果、多数派であった中産階級を没落させ、新たな貧困者を多数生み出した。

だからこそ、アメリカの大衆は既存の政治家を信用できず、その既存の政治をこき下ろすトランプ氏やサンダース氏を支持しているのではないか。

現代の覇権国家であるアメリカの大統領として、トランプ氏が相応しいかは、かなり疑問だが、私は案外とトランプ大統領が誕生する可能性は高いと思っている。ただ、アメリカの選挙制度は複雑なので、漠然とした予測でしかない。

暴言の多いトランプ氏ではあるが、その暴言には大衆がこれまで満たされなかった不満を反映したものであることも事実だ。日本に対しても、ひどく誤解と中傷が目立つトランプ氏であるため、危惧する人は多い。

だが、私はそれほど心配していない。このトランプという人、意見をコロコロと変える。今回の予備選中でも、発言の誤りを指摘されると、ずうずうしく反論した後で、コロリと意見を変えることが目立つ。臨機応変というよりも、節操がない、困った御仁ではあるが、理念に束縛されない現実主義者でもある。

日本とアメリカの関係は、アメリカの基本的な国家戦略が変わらない限り、大統領一人の独断で変わることはない。軍産複合体は、日本をがっちりと握り、二度とアメリカに敵対することを許さない反面、その技術力、資金力、地政学上の有利なャWションを他国(はっきり言えばシナだ)に絶対渡すまいと考えていることは間違いない。

TPPをはじめ、いくつかの経済面での変化はあるだろうが、国家関係に於いては従来通りのものとなる。そうならざるを得ないほど、日米は緊密になっている。忘れている方も多いだろうが、オバマ民主党政権は、当初は日本に対して冷淡で無関心であった。だが、現在は良好な関係に戻っている。

もし、仮にトランプ大統領が誕生するとしたら、日本にとって一番心配するべきは、憲法改正を求められることだと思う。これはこれで一大事なのだが、アメリカ自身が一番、混乱すると思う。何故なら、基本的にトランプ氏は国内志向が強いからだ。

まァ、私に言わせれば自業自得というか、アメリカが自らの招いた事態に他ならないのですがね。いずれにせよ、日本にとって最も重要な隣国の動向には、無関心ではいられませんね。

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