ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

進撃の巨人 諌山創

2010-12-22 12:25:00 | 
今年一番の衝撃作。

この世界では人間は食べられる存在でしかない。巨人たちは、いとも容易に人間たちを捕まえ、その場でムシャクシャと食べてしまう。

何故、なんで、そんなバカなとの人間たちの悲痛な叫びなど耳に入らないかのように、無表情に淡々と人間をむさぼる巨人たち。ただ、人間を口にする直前、微かに愉悦の表情を垣間見せる。この表情がおぞましい。

頭を吹き飛ばされても数分で再生する無敵の巨人により、100年とたたずに人類は絶滅の危機を迎えつつある。不思議なことに、この巨人たちは人間以外は食べず、また知性も感じられず、生殖さえしていない。弱点は後頭部の脊髄を傷つけられることだけ。人間にとって、あまりに絶望的な状況でしかない。

人間たちは巨大な壁を築いて、その内側でひっそりと隠れて暮らすしかない世界。そこへ現れた大巨人が、壁を乗り越えて襲ってくる。かりそめの安堵は打ち破られ、目の前で母親を食い殺された主人公は、巨人を唐キ決意を固める。しかし、その前途は絶望の暗雲に覆われている。

別冊少年マガジンで連載され、話題となりヒットしたのが表題の漫画だ。とにかく無表情で人間を貪る巨人たちが浮「。その恐浮Oにした人間たちの姿に、生存競争のピラミッドの頂点からこぼれ落ちた哀れさを感じる。

人類が地上に登場して数百万年。現世人類は、わずか7万年程度の生存期間でしかなく、数億年の地球の歴史からみれば、ほんのわずかの期間でしかない。恐竜をはじめとして、多くの生き物が地球の覇者として君臨したものの、その栄華は化石でのみ知られるだけだ。

現在、地球で繁栄を誇る人類の立場なんて、実は薄氷の上にたつものでしかないことを実感させられる漫画でもある。未だ連載途中であり、物語の行く末もみえない作品だが、一時的人気で終わって欲しくない。是非とも見事な完結を見せて欲しいものだ。

コメント (3)
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