お昼時になると、美味いと評判の店にはサラリーマンやOLが行列をつくる。
ナマケグマの癖に食べ物に関してはせっかちな私は行列に並んでまでして昼食を食べるのは好きではない。時間の無駄に思えて仕方ないからだが、それでも美味しい昼食を気軽に楽しみたい気持ちはある。
事務所の近くにある冒頭のカリー屋は、昼時になると常時行列の出来る店である。興味はあったが、並ぶのが嫌でいつも通り過ぎていた。実は神田界隈はカレーの名店が幾つもあるカレー激戦区でもある。時折人気投票などをやっているが、「ジンコック」は上位の常連店でもある。だから気になっていた。
その日は氷雨が横殴りの風と共に吹き付けるせいで、外を出歩く人の姿は少なかった。もしやと思い、ジンコックに行くと2人しか並んでいない。これはチャンスと思い初めて並んだ。冷たい氷雨に吹かれながら10分ほど待つと、ようやく店内に入れた。
入り口に店内が狭いので外で並ぶようにと書かれていたが、確かに狭い。カウンター席が6席。テーブルが二つあるだけで、店主と女将さんの二人で切り盛りしている小さな店だ。さほどメニューは多くないが、カウンター席に座ると厨房が丸見えなので、思ったよりはメニューは多いのかもしれない。
ベースのカリー以外は思ったよりも作り置きではないようで、注文の都度中身を変えて調理している。辛さの注文も出来るが、4段階しかない。私は一番辛くないはずの少辛を頼んでいる。辛いのが苦手な私にとってはギリギリの辛さだ。
この店のカリーが美味いのは、スパイスの配合が絶妙なのだと思う。実は私はスパイスが強すぎると胃よりも腸に影響が出るみたいで、そのせいで本格的なカレーは少し遠慮している。美味しいとは思っても、後が辛いのが困る。しかし、この店のカリーでお腹がおかしく感じたことはない。
ここのカリーは本当に美味しいと思うので、機会があったら是非ご賞味いただきたいです。ちなみに辛いのが苦手な人は、トマト味のカリーを選ぶと良いと思います。辛いの苦手な私でもトマトの甘さが引き立つスパイスカレーならば十分楽しめるのです。