ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ICD

2022-02-27 11:02:00 | 健康・病気・薬・食事
さる三十数年前のことである。私は会社内における出世街道から滑り落ちた。」

順調な社会人生活のつもりであった。営業実績も良かったし、社内での立ち位置も、いささか女性陣よりではあったが、男性はどうせライバルだと割り切っていたから問題なし。

このまま突き進むはずだったのに、二つの病気が私を引き摺り落とした。急性腎不全は致死性はあっても治れば問題ない。しかし、もう一つの難病ネフローゼ症候群はそうはいかなかった。

現在でこそ難病指定から外れているが、当時は難治性の病気であった。この病気には大別して二種類ある。原発性、すなわち他に疾患がなく突発的に発病するケース。それと他の疾患から派生してネフローゼ症状が出るケース。

難病指定から外れたと書いたが、現在も後者のケースは非常に治癒が難しい。それは元となる病気自体が治療が難しいが故で、厄介な病気であることに変わりはない。

私の場合、前者であったが発病が成人後であった。ネフローゼは幼少時の発生が多く、この場合はほぼ完治することも珍しくない。しかし、成人後の発症の場合、治療は長引くことが多い。私はその典型例であり、ほぼ治ったと判断されるまで10年を超える歳月が必要であった。

組織人としての出世を諦めた私だが、この療養期間で資格でも取って、方向転換を図ることを目指した。税理士の国家試験は決して易しくはなかったと思う。しかし、暗記と計算の反復をすれば、合格は十分可能であった。

当時の私は病気のことで頭が一杯であり、むしろやるべき事をやれば結果が出る試験なんて気楽なものであった。難病はいくら努力しても治る保証はない。それに比べれば遥かに楽であった。

もっとも実務についてからも修行に20年あまりかかったが、どうにか東京銀座で事務所を抱えるまでに成功した。もっとも日本経済自体、下り坂にあるため、決して楽な仕事ではなかったと思う。

そんな私に降りかかったのが8年前の心筋梗塞であった。だが、無事乗り切り油断していたらしい。先月,年初めに心臓の不整脈で緊急入院である。まったく私の人生になかなか安寧の時は訪れない。

そして遂に二回目の不整脈である。医師の判断はICDの埋め込みである。要するに心臓が不整脈を起こした時、それを自動的に抑える電気ショックで致死の可能性を防ぐ機械を体内に埋め込むわけだ。

その手術は今週となった。

正直嫌だが、私はまだまだ人生を諦めるつもりはない。太く短く生きるなんて思わない。無様でもいいから長く生きたい。出来るならば健康な身体で生きたいが、それは叶わぬこと。ならば次善の策で生きるのも良しだ。

ただなぁ~、その手術は部分麻酔なんだよね。寝たままで終わる手術が好きなんだけど、ダメみたい。まぁあまりわがままな患者でいるのもどうかと思うので、これは諦めるしかないのでしょうね。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マカロニ2 鴨川つばめ

2022-02-25 13:06:00 | 
人生に笑いは必要不可欠だ。

だからこそ、読者の笑いを目的とするギャグ漫画は常に需要がある。劇画専門の漫画雑誌でさえ、息抜きにか四コマ漫画を間に挟むことは珍しくない。

ところが読者を笑わせるという作業は、作者にとって非常に過酷なものであるらしい。そのせいだと思うが、ギャグ漫画家を続けられる人は少ない。

それどころか壊れてしまった漫画家も少なくない。その一人に鴨川つばめがいる。私が中学生の時、週刊少年チャンピオンで絶大な人気を誇った漫画「マカロニほうれん荘」の作者である。

私は毎週、この漫画を読むことを楽しみとしていた。だが、連載終盤に至り、笑えないギャグ漫画と化していくことに大いに失望したものだ。でも今ならば分かる。

鴨川つばめ氏は漫画を描きながら笑っていたはずだ。これは面白いと思い込んで描いていたはずだ。でも傍から見ると、その笑顔はひきつり、いささか狂気じみた雰囲気をまとっていたと思う。

読者を楽しませようと思い込めば、思い込むほど、その笑いは読者から離れていく。ただ描き手だけが、楽しいはずだと空回りしていく。担当の編集者は気づいていたはずだ。鴨川氏が仕事に追い詰められていることを。もう心が壊れていることを。

おそらく、それは鬱の状態であったと思われる。しかし読者人気絶好調で単行本の売れ行きが出版社を支えている現状を思うと、編集者には止められなかったのだと思う。

早期に止めて長期の休みを取らせていたら、鴨川氏はあそこまで壊れることはなかったと思われる。だが、実際に編集部が週刊連載を止めさせたのは、作品が面白くなくなり、読者が離れてからだ。

遅すぎた!

その後、長期の休みに入り読者に忘れられた頃、鴨川氏は戻ってきた。表題の作品もそうだし、「ミス愛子」もそうだったが、その笑いは鴨川氏の脳内劇場で演じられる予定調和の笑いに堕し、読者は素直に笑うことできなくなっていた。

その後、筆を折った鴨川氏は二度と人気作を描ける漫画家になることはなくなった。私は今でも、このことを残念に思う。

実を言えば、人気作を出した漫画家が、次回作でもヒットを出し続けることは稀になっている。昔のようなヒット作を連発できる漫画家は滅多にしない。

だがその売り上げが出版社の経営を支えてきただけに、編集部はその対応策をとることを怠った。そして、それに気が付いた漫画家たちは、自分が壊れることを恐れ、強引に休みをとることを始めた。

しかし、休んだ後で元に戻れる保証はない。だから大半の漫画家は心身を削って原稿に取り組まざるを得ない。だが、大ヒットを得た少数の漫画家は違う。食べるために描く必要がない。

言っちゃなんだが、鳥山明や冨樫義博あたりはそうだろうと思う。しかし、鴨川氏は使い果たしたと聞く。願わくば別の人生で幸せになって欲しい。中学生の頃、熱狂したファンであった私の切なる願いです。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カリ・モーラ トマス・ハリス

2022-02-24 11:47:00 | 
なんの予兆もなかった。

日曜日の夜のことだ。明日は朝一番に顧客の元を訪れて決算説明だ。書類を確認し、段取りを考えてカバンに戻す。そろそろお風呂が沸いた頃だ。

一月に心臓の不整脈で緊急入院して以来、少し神経質になっているので、事前に浴室は温めてある。暖かいところから、冷えたところに急に移ると心臓に良くないからだ。

いつものように洗髪してから体を洗う。気分よく浴槽に体を沈めて快適な温浴を楽しむ。・・・なんか変だ。途中から体の変調を感じた。訝りながら風呂から上がり、着替えて床に横になる。

それから小一時間、体調は戻らない。それどころか、汗をかいていることに気が付いた。寝汗というにはあまりに冷たい。私の脳裏には再びあの一月の夜が思い起こされた。

かかりつけの病院に電話して看護師さんと相談する。すると、今夜は循環器の担当医がいないので、救急車を呼んで欲しいとのころ。それも、なるべく早く。

一度電話を切り、しばし考える。今は仕事の繁忙期で、明日は大事な顧客との打ち合わせもある。しかし、私は知っている、心臓の病は一刻も早く治療開始することが、なによりも早期回復につながると。

意を決して119番に連絡する。その後、大急ぎで入院道具を取りそろえる。まず間違いなく入院となるはずだからだ。数分後、身支度を終えた頃に救急隊員が玄関をノックする。

誘導されて救急車に乗り込み、そこでの問診の後、某大学病院に向かうことになる。なんとまあ、20代の時に世話になった病院であり、延べ1年半を超える入院生活を送った病院である。

主治医のN教授の退任に伴い、他の病院に通うことになったため、行くのは10数年ぶりだ。すぐに救急棟に入り、処置室で数名の医師と話し合い、すぐに治療に入る。なんと電気ショックを使うとのころ。

鎮静剤が効いている間に治療を終えたのだが、次に向かうのは救命救急センター、通称ICUである。これは想定外だった。結局、このICUで二日間を過ごし、先日ようやく一般病棟に移れた。

なにせICUは制約が厳しい。PCもスマホも電話もダメで、ひたすらに安静を守るのみだ。はっきり言うが、ものすごく退屈であった。そんな私の無聊を癒してくれたのが表題の作品だ。

「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」で世界に衝撃を与えたトマス・ハリスは寡作な作家だ。13年ぶりの新作なので、私は楽しみにしていた。いつ読もうかと悩みながら、未読本山脈を眺めていたもの。

でも119番に電話した後、数分で入院道具をカバンに放り込んだ差異、今こそその時とばかりに手に取った。おかげで退屈な2日間、三度も読み返して楽しむことが出来た。

率直に言えば、「羊たちの沈黙」には劣ると思う。だが、十分に楽しめるサイコ・ミステリーであることも間違いない。手に取る機会がありましたら是非どうぞ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

再び入院

2022-02-23 14:24:00 | 日記
参りました。またもや入院です。しかも先月と同じ症状。ただし、今回は救急車仕様で、ICU生活付でした。想定外だよ・・・

まだしばらく入院予定なので、不定期で更新していきます。なお、既に一般病棟に移ったので、とりあえず元気です。

仕事、繁忙期なのに・・・・幸いコロナ禍で申告期限が延長されているのがありがたいです。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鬼滅の刃 遊郭編

2022-02-18 18:34:00 | アニメ・コミック
中三の頃だと思うが、昼休みに何故か職員室に呼ばれた。

はて?最近は特に悪さはしてないはず。そう訝りつつ職員室に入ると、なぜか妹の奴が居て俯いて泣いているっぽい。妹の担任と、私の担任が二人いて、私を呼び寄せる。嫌な予感・・・

机の上には何故か見覚えのある雑誌が置いてある。職員室には似つかわしくないエロ本である。先生が「これはお前のか?」と尋ねてくる。はァ~と曖昧に答えると、いきなり頬を張られた。やばい、お怒りだよ。

よくよく見ると、私が先日入手した平凡パンチというエロ本であるようだ。本棚の裏に隠しておいたはずなのに、なんで学校にある。すると妹が「お兄ちゃん~」などと泣き声でうめく。

あちゃ~、こいつが犯人か。ダメだこりゃ。仕方なく認めると、先生方から一週間、職員室前のトイレ聡怩セい渡された。生活指導の先生までやってきて、なにやら小言を言っているようだが、聴いている振りして耐え忍ぶ。

ちなみに妹の奴は無罪放免である。でも私は気が付いていた、こいつウソ泣きしてただけだぞ。まァ元々悪ガキの私である。こんな時、下手な抗弁すれば、ますます面唐ノなることぐらい分かっている。

放課後、言われたトイレ聡怩マませ、憤懣やるかたない私は、どう妹を懲らしめてやろうかと思案しながら帰宅すると、予想通り居ない。代わりに机の上にメモがあり、プリン作ったから二個食べていいよとの事である。

トイレ聡怩ニビンタをプリンで済まそうとする妹に呆れる。ちなみに平凡パンチは没収された。踏んだり蹴ったりである。

その後、妹の奴は母親と一緒に帰宅して、夜寝るまで母の傍を離れなかった。これでは懲らしめられないではないか。まったくもって困った奴である。

時折、妹がいることを羨ましがられることがあるが、これが兄妹の実態である。常に兄は虐げられるのが本当のところだ。

ところで表題のアニメだが、私は本来原作派である。しかし、このアニメの描写の凄さは認めざるを得ない。私はノートPCの画面で視たが、映画館のスクリーンで上映されても遜色のない作画技術である。


この遊郭編では、鬼滅の刃に登場する鬼のなかでも屈指の性格の悪さを誇る堕姫(だき)が登場する。人間であった時の名前は梅だ。うちの妹は、これほど性格悪くなくて良かったと安堵するほどの悪女である。

そう思いつつ、兄である妓夫太郎は大変だったろうなと同情を禁じ得ない。実際、美人の妹をもった兄はけっこう気を遣う。うちの妹は美人というよりも可愛い系だが、男受けは非常に良かった。私が大学生の頃にはストーカーじみた失恋男に追いかけまわされたほどである。

モテるのは結構だが、上手にやれよと説教した覚えがある。基本、交友関係には口を出さないが、連日の無言電話に私が苛立ったせいだ。そんな経験があるからか、えらく男あしらいの上手い女に成長したらしい。幸い、女受けも悪くなかったようなので女友達も多い。お兄ちゃんとしては一安心である。

で、アニメの第二シーズンである「遊郭編」の最終話は凄かった。放送時間を30分から15分延長しての力作である。アクション・シーンも凄かったが、やはり印象に残るのは、最後CM抜きでぶっ通しで放送された上弦の六である堕姫・妓夫太郎の人間であった時の半生である。

主役である炭次郎、禰豆子の兄妹コンビと対比させると、より深く堪能できる。敵方である鬼の背景まで詳細に描くことで、より印象度が増し、次が観たくなる仕組みになっている。

つくづく、よく出来た作品だと思いましたね。でも、私の感想は一言、やっぱりお兄ちゃんは大変だァ、である。まァ妹には別の意見があるでしょうけどね。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする