ここ数日、ヤフーニュースを見るとアイルトン・セナの没後20年に関する記事が目につく。その中で、セナを知らないF1ファンや、レーシングドライバーがいると書いてあって、ちょっとビックリした。もうそんなに時間が経ってしまったのか。
僕がF1を見始めたのは1989年だ。僕は中嶋悟のファンだった。セナは好きでも嫌いでもなかった。ただ彼が独走するとレースがつまらなくなるからなー、とは思っていた。だって何も起こらないんだもん。
だが、段々クルマのこと、モータースポーツのことがわかってくると、セナはただぶっちぎってるだけじゃない、想像を絶することをやってるのだと思うようになった。一秒間に4回アクセルを踏んでるとか、6速だけでブラジルGPを走りきったとか(あの時は中継を見ていた。あの絶叫はビックリした)。
特に「神を見た」発言。もう決まったかな、と思われた予選の最後の1分で、1秒近くラップタイムを更新するようなことを何度も見せつけられた。その「神を見たラップ」だけ、他のドライバーとはコーナーリングスピードが違う。セナの映像だけ、1.2倍速で再生してるみたいな感じだった。明らかに何かの境界線を越えている。僕はいつも友人に「セナは畳の上では死ねないと思う」と言っていた。
その後、本田宗一郎に「来年も君のために最高のエンジンを作るよ」と言われて涙ぐんだり、中嶋と共にNSXの開発に関わったり、ヘルメットに日の丸のシールを貼ったりしてるうちに、僕は徐々にセナが好きになった。好きというか、この天才と同時代を生きてよかった、と思った。
マンセルと息詰まるドッグファイトを演じた1992年のモナコでは「あと7周もあるのか!絶対無理だ!抜かれてしまう」と思い、文字通り手に汗を握った。モナコのコース幅があんなに広いと思ったことはなかった。
1993年のドニントンのオープニングラップごぼう抜きは、セナならこれくらいやって当然、と思った。プロストは雨が大の苦手だし。
サンマリノでセナが死んだとき、友人が心配して電話を掛けてきた。僕は大丈夫だった。やっぱりそういうことか、と思っただけだ。今宮さんが号泣してたので、かえって白けたのかも。
シューマッハは可哀想だと思っていた。優勝回数、ポールポジション回数で上回っても、彼はセナに勝っていないし、永久に勝つことができないのだ。実際には二人は何度か同じレースに出ているが、どっちが速いかが分かるレースはしていない。僕はそう認識している。勝ちっぱなしで逝った天才を、生者は負かすことができない。
セナにも弱点はあったが、誰かより遅いかもしれないと思ったことは一度もなかった。負けるのはしょぼいマシンや邪魔な周回遅れのせいだった。こいつはセナより速くなるかもしれないと思ったドライバーも、一人もいなかった。本気でそう思ってるのが半分、セナはもう死んでるから勝ちようがない、というのが半分。でも、そういうのを「伝説」というのだろう。
僕がF1を見始めたのは1989年だ。僕は中嶋悟のファンだった。セナは好きでも嫌いでもなかった。ただ彼が独走するとレースがつまらなくなるからなー、とは思っていた。だって何も起こらないんだもん。
だが、段々クルマのこと、モータースポーツのことがわかってくると、セナはただぶっちぎってるだけじゃない、想像を絶することをやってるのだと思うようになった。一秒間に4回アクセルを踏んでるとか、6速だけでブラジルGPを走りきったとか(あの時は中継を見ていた。あの絶叫はビックリした)。
特に「神を見た」発言。もう決まったかな、と思われた予選の最後の1分で、1秒近くラップタイムを更新するようなことを何度も見せつけられた。その「神を見たラップ」だけ、他のドライバーとはコーナーリングスピードが違う。セナの映像だけ、1.2倍速で再生してるみたいな感じだった。明らかに何かの境界線を越えている。僕はいつも友人に「セナは畳の上では死ねないと思う」と言っていた。
その後、本田宗一郎に「来年も君のために最高のエンジンを作るよ」と言われて涙ぐんだり、中嶋と共にNSXの開発に関わったり、ヘルメットに日の丸のシールを貼ったりしてるうちに、僕は徐々にセナが好きになった。好きというか、この天才と同時代を生きてよかった、と思った。
マンセルと息詰まるドッグファイトを演じた1992年のモナコでは「あと7周もあるのか!絶対無理だ!抜かれてしまう」と思い、文字通り手に汗を握った。モナコのコース幅があんなに広いと思ったことはなかった。
1993年のドニントンのオープニングラップごぼう抜きは、セナならこれくらいやって当然、と思った。プロストは雨が大の苦手だし。
サンマリノでセナが死んだとき、友人が心配して電話を掛けてきた。僕は大丈夫だった。やっぱりそういうことか、と思っただけだ。今宮さんが号泣してたので、かえって白けたのかも。
シューマッハは可哀想だと思っていた。優勝回数、ポールポジション回数で上回っても、彼はセナに勝っていないし、永久に勝つことができないのだ。実際には二人は何度か同じレースに出ているが、どっちが速いかが分かるレースはしていない。僕はそう認識している。勝ちっぱなしで逝った天才を、生者は負かすことができない。
セナにも弱点はあったが、誰かより遅いかもしれないと思ったことは一度もなかった。負けるのはしょぼいマシンや邪魔な周回遅れのせいだった。こいつはセナより速くなるかもしれないと思ったドライバーも、一人もいなかった。本気でそう思ってるのが半分、セナはもう死んでるから勝ちようがない、というのが半分。でも、そういうのを「伝説」というのだろう。