曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

デボネア・ドライブ

2013-06-01 16:39:15 | 
ロードムービーが好きだ。あんまり見たことないけど。ちゃんと見たのは「パリ・テキサス」「KAMIKAZE TAXI」くらい。「イージーライダー」は序盤で挫折。「テルマ~」はトレーラー映像のみ。

そんな僕が最近ハマったのが"唯一無二のロードコミック" 朝倉世界一の「デボネア・ドライブ」だ。おかしな人たちが、初代三菱デボネアの改造車で、あちこち寄り道しながら旅する話。



なんと、勝浦から津軽まで13日もかかっている。全部下道だとしてもかかりすぎである。

狭い日本でロードムービーをやろうとすると、どうしても数日間になってしまうが、「デボネア・ドライブ」は圧倒的なヘンテコ世界観で、難しく考える気をなくさせる。



エチゼンくんは元クラゲで元ヤクザの運転手。海洋武術クラゲ拳の継承者で整体もできる。

モモヤマさんは移動入浴サービスをやってる中年のオカマ。代議士の愛人だったこともあるらしい。

マリちゃんは元金庫破りのサーファー。愛車のホンダのCB750はデボネアの床下収納に搭載されている。

主要キャラの設定だけでもヘンテコさがお分かりいただけると思う。そもそも主人公エチゼンくんが人間になった理屈も説明されてないんですよ。ナナハンを収納できるデボネアもおかしいし。

こんなにデタラメなのに、旅してる気分が最高なのは本当に奇跡的。子供のいたずら描きみたいなやる気ゼロの絵柄と、ミスマッチなシリアス展開が絶妙に噛み合っている。

ロードムービーってのは、意外に移動中のシーンが少ないものだ。車が走る絵と風景だけでは間が持たないから、どうしても寄り道と回想シーンが挟まる。この「デボネア・ドライブ」も回想が多いのだが、それが結構ヘビーなのだ。ヤクザがらみの話ばっかりだし。登場人物がほとんど元ヤクザなので。



読み始めれば良さがわかる。入口は狭いけど、中は広々とした作品だった。いい旅でした。

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