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県教委元幹部、10人挙げ「合格」指示 教員採用汚職

2008年07月06日 09時16分08秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
2008年7月6日3時1分 朝日COM


記者会見で謝罪する小矢文則教育長(左から2人目)ら大分県教委幹部=5日午後0時41分、大分県庁図

 大分県の教員採用をめぐる汚職事件で、逮捕された県教委幹部の間で採用試験の一部受験者の得点水増しを指示するやり取りがあったことが、県警の調べでわかった。県警は教員採用時に組織的な不正をしていた疑いが強いとみて、関係者から事情を聴いている。

 指示されたのは、5日に収賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)。07年度の小学校教員の採用試験に絡み、当時の参事兼教育審議監で大分県由布市教育長の二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で4日に逮捕=から受験者の名前を示され、合格させるよう指示されたと供述しているという。

 挙げた名前は10人前後で、5日に贈賄容疑で再逮捕された義務教育課参事、矢野哲郎(52)、妻で小学校教頭のかおる(50)の両容疑者の長女が含まれていたという。教育審議監は県教委ナンバー2で、二宮元審議監は教員人事の実質的な責任者だった。

 調べでは、二宮元審議監、江藤参事は矢野参事夫婦の長女の採用に便宜を図った見返りとして、06年9~10月にそれぞれ100万円相当の金券を夫婦から受け取った疑い。試験は06年7月に筆記などの1次試験、9月に面接などの2次試験があった。1次は489人が受験。うち119人が2次に進み、長女を含め41人が合格した。

 江藤参事の供述によると、当時は義務教育課主幹として採用試験の事務を担当し、1次試験の採点終了後に受験者全員の得点を記した表を二宮元審議監に見せた。その際に10人前後の受験者の名前を示され、「合格ラインに入れろ」と指示されたという。矢野参事夫婦の長女も含まれ、江藤参事は「長女の1次、2次試験の点数をかさ上げして合格ラインに届かせた」と供述しているという。

 二宮元審議監は中学校、江藤参事は小学校の教諭を経て、県教委や出先事務所で学校運営にあたる指導主事を務めた。00年に県教育センターの副所長と指導主事、03年に小中学校の教員人事を担当する教職員1課の課長と人事係副主幹として、上司と部下の関係だった。

 江藤参事は教職員1課が義務教育課に改称した後も小中学校の教員人事の実務を担当し、05年に二宮元審議監が就任後は3回目の上司と部下の関係になった。県警は、江藤参事が二宮元審議監から10人前後の名前を挙げて合格させるよう指示されたことに関心を寄せており、組織的な不正の実態解明を進めている。

>「世襲」は政治の世界や北朝鮮だけではない。各県単位で校長や教頭の子どもが「教員採用」される例が多いのは周知のことだ。やっと、表に出て来た。


この記事の続報

審議監に謝礼で便宜 教頭夫婦「よく聞いた」 大分汚職

2008年7月7日3時2分 朝日COM

 大分県の小学校の教員採用をめぐる汚職事件で、いずれも贈賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事の矢野哲郎(52)、妻で小学校教頭のかおる(50)の両容疑者が、県警の調べに、「教育審議監に謝礼を支払えば採用で便宜を図ってもらえると、よく聞いていた」と供述していることが6日、分かった。

 矢野参事らは、収賄容疑で逮捕された元教育審議監、二宮政人容疑者(61)とは面識がなかったため、「県教委関係者に紹介してもらったうえで、長女の採用を依頼した」とも供述しているという。県警は、二宮元審議監を頂点に組織的な不正が繰り返されていた疑いもあるとみている。

 調べでは、矢野参事らは07年度の採用試験で長女の採用に便宜を図ってもらおうと06年9~10月、二宮、同課参事の江藤勝由(52)=収賄容疑で再逮捕=の両容疑者に、それぞれ100万円相当の金券を渡した疑い。

 試験は06年7月に筆記などの1次試験、9月に面接などの2次試験があった。1次は489人が受験してうち119人が2次に進み、長女を含め41人が合格した。

 江藤参事の供述によると、1次試験の採点終了後、受験者全員の得点を記した一覧表を二宮元審議監に見せると、矢野参事夫婦の長女を含む10人前後の受験者の名前を示され、「合格ラインに入れろ」と指示されたという。江藤参事はまず1次試験の点数を水増しし、その後2次試験分も水増しして、長女を合格ラインに届かせたという。

 受験者の得点は、同課職員が2人1組でパソコンに入力し、同課人事班が採用予定者の原案を作り、義務教育課長に報告。課長から教育審議監を経て、最終的に教育長が決裁する仕組みだった。

 県警は、教員人事の責任者だった二宮元審議監が不正採用で中心的な役割を果たし、人事班での勤務が長く、採用試験の実務に通じた江藤容疑者が実際の改ざん役だったとみて、全容の解明を進めている。

 一方県警は6日、二宮元審議監と江藤参事を収賄容疑で、矢野参事夫婦を贈賄容疑で大分地検に送検した。


以下は「毎日」の記事
(毎日新聞 2008年7月7日 2時30分)

大分・教員採用汚職:昇任などの人事異動で金品授受

 大分県の教員採用試験を巡る汚職事件で、県教委義務教育課参事、矢野哲郎容疑者(52)=贈賄容疑で再逮捕=が3月、佐伯市内の小・中学校長から参事(課長級)に昇進する際、県教委の現職幹部に金券20万円を贈っていたことが分かった。幹部は毎日新聞の取材に「警察が調べていると思う」と授受を認め、趣旨は「あいさつ」名目と説明。さらに昇任などの人事異動に絡んだ金品授受が他にも行われていることも証言した。

 関係者によると、矢野容疑者が幹部に金券を贈ったのは今年3月。異動は翌4月だったが、昨年10月には参事就任がほぼ内定していたという。

 県教委職員の人事や校長などの管理職への昇進を巡り、関係者は「人事の前後には、モノ、金が動く」と指摘し、金品授受の横行する体質が今回の採用試験を巡る汚職事件につながったとみられる。

 矢野容疑者は78年に教員採用され、途中、県教委の中津教育事務所や佐伯市教委で勤務した以外は、佐伯市内の小、中学校で勤務していた。

 幹部は取材に対し「異動してお世話になりますという趣旨だったと思う」と話した。また、県内の教育界で人事異動に際し、金品の授受があるかについては「そのような場合もある」と話した。

 一方、当時採用の実務を担当していた県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)が、08、07年度の小学校の教員採用試験で少なくとも35人を合格させるよう口利きを受けていたことが分かった。うち08年度は約20人で、1、2次とも約15人の点数を加点した。07年度は約15人分の依頼を受け、うち約半数以上の点数を加点するなどして合格させたとみられる。