本作は日本人プロデューサー・監督による、アメリカ海兵隊の新兵訓練を追ったドキュメンタリーです。
新兵訓練って・・・そう、日本中に旋風を巻き起こしたビリー隊長のブートキャンプを思い出しますよね。
本物の海兵隊ブートキャンプは・・・熾烈です。
ビリー隊長のエクササイズでも3週間ほどで脱落した私・・・。
鳩山前首相を辞任に追い込み、今も普天間基地をどうするかが参院選を前にしての議論の一つである
沖縄海兵隊基地移転問題。
では、海兵隊員とはどんな人たちで、どんな訓練を受けているのか?
海兵隊に志願するということはイランやアフガンの戦場に行く可能性が極めて高いにもかかわらず
世界一豊かな国の若者達が何故兵士になるのか?という疑問から本作を作ったそうです。
サウスカロライナ州パリスアイランドには、高校を出たばかりといった10代の若者達が
毎週500~700人、海兵隊員になるべく12週間の訓練を受けにやってくる。
深夜到着すると、教官たちの怒号が響く。
家族に無事到着したことを電話で知らせた後、怒号に「YES SIR !」と答え、丸坊主になり、
制服に着替え、ライフルを支給され、48時間寝かせてもらえない。
「疲労と衝撃が、民間人から兵士への変容を容易にする」洗脳の第一歩。
ここで学ぶのは、戦場で人を殺す方法だそうです。
「マーシャル・アート(格闘技)」では素手でも、「銃剣の訓練」では銃の先に付いたナイフで
「ライフル射撃」では銃で撃つ方法を学び、卒業前には3日間、実践さながらの野外演習が行われる。
映像には入っていませんが、実際には約30通りの人の殺し方を習っていると上映後、監督が話されました。
靴の紐でも、靴下でも、兵士が首から下げている認識票でも殺すことができるそうです。
ここでは、徹底的に個性を否定し、隊の一員として命令に対し即座に正確に服従することを
叩き込まれると共に、人を殺せるようになるのですとおっしゃっていました。
繰り返しの訓練で身体で覚え、条件反射のように敵に対するってことですね。
パリスアイランドだけで(サンディエゴにもあります)年間2万人が新たに海兵隊員になるそうです。
ここでの3ヶ月の後、別の場所でもう3ヶ月、半年の訓練で海兵隊の一員として世界各地へ、
戦地へ送られる若者たち。
入隊時そこらにいそうな18、9歳のぽよ~んとした子たちが、たった3ヶ月!の訓練で
凛々しい顔つきに変貌し、「イラクやアフガンに送られることをどう思うか?」という質問に
「ここでの訓練を実践で生かしたい」ときっぱり答えるのに少々驚かされました。
アメリカの研究で98%の人間は人を殺せないそうです。ブートキャンプでの訓練は、戦場で心のバリアを下げ
一線を越えるためのもの。
それにしてもよくまぁこんな映画が作れたなぁ~。
監督曰く、沖縄で評判の悪い海兵隊のイメージアップをしませんか?と国防総省ペンタゴンに
働きかけたのだそうです。海兵隊の素晴らしい教育力を日本の人たちに見せてはどうか?と。
TBSの「NEWS23」の故筑紫哲也氏と組んで1000万人に見せるということだったそうです。
ペンタゴンが何を思って公開に同意したのかわからないが、6ヶ月かかって許可を得て、
30日間かけて撮影と個別インタビューを行ったとおっしゃっていました。
世界一豊かな国で、なぜ若者は志願して戦場に行くのか?
「自分を変えて世界を変えたい」「自分のキャリアと世界平和のために」「自分を鍛えたい」など、
「自分自身の人生を切り開きたい」と語る若者たち。
実際は大学の学費稼ぎであったり、グリーンカードを得るためなど、貧困層の若者が未来を切り開く手段です。
しかし現実は厳しく、奨学金を得て大学を卒業できるのは15%ほどだそうで、精神を病んで
大学どころでなくなり、ホームレスになる人も少なくないようです。
インタビューも担当されたプロデューサー曰く、凛々しくなったとはいえ屈託ない表情をしている。
それはまだ人を殺していないから。人を殺したら一生重いものを抱えていくことになる。
人を殺す前に除隊して帰って欲しいとおっしゃっておられました。
沖縄の米軍基地がアジア平和のための抑止力となっているのかどうか私にはわかりませんが、
米軍基地がなくなり将来自主防衛ということになれば、防衛費が大きくなるだけでなく
日本の若者も彼らのような訓練するということになるんでしょうね?
県内・県外・国外での議論に加えて、今後の日本のあり方が問われます・・・ね。
この映画、アメリカ人はどんな感想を持つのかなぁ~?
* メモ *(頂いたパンフレットから)
・アメリカ人兵士の数 1,444,765人(2009年12月31日現在)
陸軍54万人、海軍33万人、海兵隊20万人、空軍33万人、沿岸警備隊4.3万人
他に州兵46万人、予備役120万人
・2001年以降2009年10月までにイラクやアフガニスタンに派遣された兵士は200万人以上。
複数回派遣された兵士の数は79.3万人。戦死者5347人。負傷者36571人(2010年2月5日)
2002年から2007年に退役軍人病院を受診した人の1/3が精神疾患、5人に一人がPTSD。
イラク・アフガン帰還兵のホームレス3717人以上。
各地で「ザ・コーブ」が上映中止に追い込まれているようですが、
まず見てみないことには話にならんでしょう。
ドキュメンタリー=真実ではなく、製作側の意図(一方的な主張・誤解も)が含まれているものとして
世界からの見方・批判を知った上で、判断することが必要だと思います。
以前にも、ロシア人監督が戦前戦後の昭和天皇を描いた「太陽」、中国人監督の「靖国」など、
公開に際して公開反対運動が起こったり、公開中止になったりしましたが、
両作品とも普通にレンタルショップの棚に並んでいます。
あの騒ぎは何だったんでしょう?反対運動を起こすことで知名度が上がって宣伝に貢献しているのでは?と思ってしまうほどです。
「ザ・コーブ」も程なくDVD発売で見れるようになるんじゃぁないでしょうか?
同監督、同プロデューサーの他の作品
「アメリカー戦争する国の人びと」
8時間超え!の大作だそうです
新兵訓練って・・・そう、日本中に旋風を巻き起こしたビリー隊長のブートキャンプを思い出しますよね。
本物の海兵隊ブートキャンプは・・・熾烈です。
ビリー隊長のエクササイズでも3週間ほどで脱落した私・・・。
鳩山前首相を辞任に追い込み、今も普天間基地をどうするかが参院選を前にしての議論の一つである
沖縄海兵隊基地移転問題。
では、海兵隊員とはどんな人たちで、どんな訓練を受けているのか?
海兵隊に志願するということはイランやアフガンの戦場に行く可能性が極めて高いにもかかわらず
世界一豊かな国の若者達が何故兵士になるのか?という疑問から本作を作ったそうです。
サウスカロライナ州パリスアイランドには、高校を出たばかりといった10代の若者達が
毎週500~700人、海兵隊員になるべく12週間の訓練を受けにやってくる。
深夜到着すると、教官たちの怒号が響く。
家族に無事到着したことを電話で知らせた後、怒号に「YES SIR !」と答え、丸坊主になり、
制服に着替え、ライフルを支給され、48時間寝かせてもらえない。
「疲労と衝撃が、民間人から兵士への変容を容易にする」洗脳の第一歩。
ここで学ぶのは、戦場で人を殺す方法だそうです。
「マーシャル・アート(格闘技)」では素手でも、「銃剣の訓練」では銃の先に付いたナイフで
「ライフル射撃」では銃で撃つ方法を学び、卒業前には3日間、実践さながらの野外演習が行われる。
映像には入っていませんが、実際には約30通りの人の殺し方を習っていると上映後、監督が話されました。
靴の紐でも、靴下でも、兵士が首から下げている認識票でも殺すことができるそうです。
ここでは、徹底的に個性を否定し、隊の一員として命令に対し即座に正確に服従することを
叩き込まれると共に、人を殺せるようになるのですとおっしゃっていました。
繰り返しの訓練で身体で覚え、条件反射のように敵に対するってことですね。
パリスアイランドだけで(サンディエゴにもあります)年間2万人が新たに海兵隊員になるそうです。
ここでの3ヶ月の後、別の場所でもう3ヶ月、半年の訓練で海兵隊の一員として世界各地へ、
戦地へ送られる若者たち。
入隊時そこらにいそうな18、9歳のぽよ~んとした子たちが、たった3ヶ月!の訓練で
凛々しい顔つきに変貌し、「イラクやアフガンに送られることをどう思うか?」という質問に
「ここでの訓練を実践で生かしたい」ときっぱり答えるのに少々驚かされました。
アメリカの研究で98%の人間は人を殺せないそうです。ブートキャンプでの訓練は、戦場で心のバリアを下げ
一線を越えるためのもの。
それにしてもよくまぁこんな映画が作れたなぁ~。
監督曰く、沖縄で評判の悪い海兵隊のイメージアップをしませんか?と国防総省ペンタゴンに
働きかけたのだそうです。海兵隊の素晴らしい教育力を日本の人たちに見せてはどうか?と。
TBSの「NEWS23」の故筑紫哲也氏と組んで1000万人に見せるということだったそうです。
ペンタゴンが何を思って公開に同意したのかわからないが、6ヶ月かかって許可を得て、
30日間かけて撮影と個別インタビューを行ったとおっしゃっていました。
世界一豊かな国で、なぜ若者は志願して戦場に行くのか?
「自分を変えて世界を変えたい」「自分のキャリアと世界平和のために」「自分を鍛えたい」など、
「自分自身の人生を切り開きたい」と語る若者たち。
実際は大学の学費稼ぎであったり、グリーンカードを得るためなど、貧困層の若者が未来を切り開く手段です。
しかし現実は厳しく、奨学金を得て大学を卒業できるのは15%ほどだそうで、精神を病んで
大学どころでなくなり、ホームレスになる人も少なくないようです。
インタビューも担当されたプロデューサー曰く、凛々しくなったとはいえ屈託ない表情をしている。
それはまだ人を殺していないから。人を殺したら一生重いものを抱えていくことになる。
人を殺す前に除隊して帰って欲しいとおっしゃっておられました。
沖縄の米軍基地がアジア平和のための抑止力となっているのかどうか私にはわかりませんが、
米軍基地がなくなり将来自主防衛ということになれば、防衛費が大きくなるだけでなく
日本の若者も彼らのような訓練するということになるんでしょうね?
県内・県外・国外での議論に加えて、今後の日本のあり方が問われます・・・ね。
この映画、アメリカ人はどんな感想を持つのかなぁ~?
* メモ *(頂いたパンフレットから)
・アメリカ人兵士の数 1,444,765人(2009年12月31日現在)
陸軍54万人、海軍33万人、海兵隊20万人、空軍33万人、沿岸警備隊4.3万人
他に州兵46万人、予備役120万人
・2001年以降2009年10月までにイラクやアフガニスタンに派遣された兵士は200万人以上。
複数回派遣された兵士の数は79.3万人。戦死者5347人。負傷者36571人(2010年2月5日)
2002年から2007年に退役軍人病院を受診した人の1/3が精神疾患、5人に一人がPTSD。
イラク・アフガン帰還兵のホームレス3717人以上。
各地で「ザ・コーブ」が上映中止に追い込まれているようですが、
まず見てみないことには話にならんでしょう。
ドキュメンタリー=真実ではなく、製作側の意図(一方的な主張・誤解も)が含まれているものとして
世界からの見方・批判を知った上で、判断することが必要だと思います。
以前にも、ロシア人監督が戦前戦後の昭和天皇を描いた「太陽」、中国人監督の「靖国」など、
公開に際して公開反対運動が起こったり、公開中止になったりしましたが、
両作品とも普通にレンタルショップの棚に並んでいます。
あの騒ぎは何だったんでしょう?反対運動を起こすことで知名度が上がって宣伝に貢献しているのでは?と思ってしまうほどです。
「ザ・コーブ」も程なくDVD発売で見れるようになるんじゃぁないでしょうか?
同監督、同プロデューサーの他の作品
「アメリカー戦争する国の人びと」
8時間超え!の大作だそうです