映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

007 慰めの報酬 QUANTUM OF SOLACE

2009-01-26 | 映画 た行
待望のシリーズ第2弾!007 慰めの報酬


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   QUANTUM OF SOLACE  慰めの報酬 

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う~ん、でも「慰めの報酬」って日本語サブタイトルの意味がよくわからんよ。
原題は「QUANTUM OF SOLACE」
QUANTUMは「エネルギー量」、SOLACEは「悲しみなどから離れるための慰め」の意味。
報酬って・・・?
「QUANTUM」って組織の名前?

*** 追加 ***
   QUANTUM には
    1.「(物理)の量子」
    2.「量、分量、数量、定量、額、定額、分け前」ということで、
   映画の題名は「分け前」の意味から「報酬」となったようです。

       カッコイイ!
前作「カジノロワイアル」のオープニングがとってもオシャレ~だったので今回はどんな?
と期待していたのに・・・砂漠の砂が女性の体の曲線となり妖しくセクシー?ちょっとわかりにくかった。
いや、期待が大きすぎたのかも?

 < ストーリー >

前作で愛するヴェスパーを失い傷心のボンドは、彼女を操っていたホワイトを拉致・尋問し、
背後組織の存在を知る。捜査のためハイチへ跳び、謎の美女カミーユを通じて、
組織の幹部ドミニク・グリーンの存在を知る。
表向きは環境関連会社のCEOを務める男だが、裏でボリビア政府転覆を図る将軍と手を組み、
天然資源の支配を目論んでいる。
ボンドは復讐を胸に秘め、グリーンの計画阻止に動く。


まぁ、初っ端から飛ばす!飛ばす
カーアクションでアストンマーティンとアルファロメオがあっという間に廃車です。
「モッタイナ~イ」なんてアクション映画で言っちゃあアカンことはわかってるけど・・・
そこは庶民の悲しさ、小さな声でもったいない!

それにしても、
最近のアクション映画はスピードが速すぎて、動体視力が良くないとついていけませ~ん
一体全体何がどうなっとんねん~?
ここまで早いと、ハラハラドキドキよりも、あれよあれよ、置いていかないで~・・・

車の色も共に黒だし、戦う相手も黒のスーツ、見分けが・・・つかん
まぁ、どのみちボンドの勝利だからね。ホッ。


ボンドシリーズの悪役って、癖のある人、病気もちの人が多いのに、
今回のドミニク・グリーンは取り立てて特徴がなく、ちと怖さに欠けます。
悪役の規模も「世界征服」っていうより、政情不安に付け込んで大儲けをしてやろうって
ちょっとせこくないかぁ?昔は宇宙にまで行ってたよん。

石油利権でなくに注目したところに
これからの世界の利権争いや環境を意識したってことなのかもしれないけれど、
今ひとつ。
世界規模の組織というわりに、
CIAも英国情報局もその存在を知らなかったってところがこの組織の規模を物語っている気もするが・・・。


上映時間も随分短く、前作「カジノ・ロワイアル」の盛り沢山さに比べると物足りなさがあるのは
仕方がないかもしれません。

     
う~ん・・・、
でも、でも、ダニエル・ボンドはカッコイイ~!
スーツ姿の素敵なこと
クレイグ登場以前は、ボンドといえばコネリーとT・ダルトンしか認めないと、勝手に誓っておりましたが、
すっかりコネリーボンドの正統な後継者としての地位を確立した感じです

今回も見所の一つは、舞台がトリノ(イタリア)、ハイチ、オーストリア、パナマと移り、
観光気分に浸れるところ。
トリノのあのお祭りは、旅番組で見たことあります
広場に臨時の競馬コースを作って、各町対抗で競い合うんですね。
そんなお祭りの裏で、命がけの死闘を繰り広げるボンド。
イタリアの素敵なレンガと瓦の街並みを、駆け抜ける~、撃ちまくる~。
文化遺産は大事にしようね。瓦が落ちとったで~、ちょっと心配。

ハイチでもボートで暴れまくりです。

オペラはわかりませんが、「トスカ」の劇場、舞台装置(巨大な目)が凄いな。
衆人観衆の中、あんなちっこい装置でオペラ見ながら会議?なんてできるんかな?

以前はQの発明した新型の秘密兵器があったもんですが、最近は秘密兵器なしですね。
それよりも、英国情報本部のコンピューター設備がスゴイことになってます!COOL!

ボンドといえば、ボンドガールに触れないわけにはいきません。
今回のカミーユは、ボンド同様復讐を胸に秘めた女性です。
そこで「傷ついた心が、共鳴する」というキャッチフレーズになるわけですね。
任務の遂行と復讐に揺れるボンドと、幼い日に家族を殺され家を焼かれたカミーユ。
どちらもこの悲しみを乗り越えなければ次の一歩を踏み出すことができない。
前回のヴェスパーはで命を落とし、今回のカミーユはで命の危機に陥る。

かつては007もバットマンも
「ただただ楽しいエンターテインメント」
「痛快アクションに秘密兵器+セクシー美女」が売りだったのに・・・、
すっかり様変わりし、「心に悲しみを秘め、葛藤する人間ドラマ」に変身しましたねぇ。

でもカミーユの背中はなに?幼い日のやけど?日焼けで皮が剥けてんの?


  
 今回は出番の多いM       悠々自適のリタイアが… 

  今回もボンドを助けるCIA





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 ***** 今週 見た 映画 *****

 1月24日 「チェブラーシカ」DVD ロシアの人形劇

        「レンブラントの夜警 Night Watching」DVD

        「みんな誰かの愛しい人」DVD カンヌ映画祭脚本賞受賞のフランス映画

 1月25日 「007 慰めの報酬」@109シネマズMM横浜

音楽家の伝記映画

2009-01-21 | 複数の映画
先週NHKのBSで、4日に亘って作曲家・歌手の伝記映画が放映されました。
ご覧になりましたか?
昔から「グレン・ミラー物語」「ベニー・グッドマン物語」「愛情物語」など
夫婦愛にあふれた音楽家の伝記映画をあげると結構ありますね~。

今回放映されたのは次の4作品
      
 この写真は「キングダム」のマイケル  
・「レイ  Rai」 
 言わずと知れた盲目の歌手レイ・チャールズ  
・「ビヨンド・the・シー 夢見るように歌えば Beyond the Sea」 
 ボビー・ダーリンは1950年代後半から14年の短いキャリアで幅広いジャンルにわたり
 自分で作詞・作曲し多くのヒットをとばした。映画にも出演。
  
・「五線譜のラブレター De-Lovely」 
 コール・ポーターはミュージカル・映画音楽などで多くのスタンダード・ナンバーを残した作詞・作曲家。
 「ナイト・アンド・デイ」や「ソー・イン・ラブ」がいいわ~。
・「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道 Walk the Line
 ジョニー・キャッシュ/ジューン・カーターはカントリー歌手。刑務所でのライブ録音が大ヒット。



NHKのこの企画に気がついたのは「レイ」の終盤、この1作だけ見逃してしまいましたが、
翌日の「ビヨンド・・・」は今回テレビで、「五線譜・・・」は公開時に映画館で、
「ウォーク・・・」はDVDにて以前鑑賞済みです。

それにしても、主演を演じた俳優陣は何て多才なのでしょうか!
吹き替えなしで歌うは踊るは。
ジェイミー・フォックスは本作でアカデミー主演男優賞受賞。
 彼は幼少よりピアノを習い、大学では音楽を専攻していたらしい。

ケビン・スペイシーもトニー賞受賞してるってことは歌って踊れるって事ですね。

ケビン・クラインもトニー賞受賞者で、元々はピアノ、あとから演技に転向らしい。
 
ホアキン・フェニックスは本作でグラミー賞受賞。
子供のころから路上パフォーマーとして楽器を弾き歌っていたらしい。
な、なんと!今年俳優を引退しミュージシャンの道を歩むと宣言。
ホントに俳優辞めちゃうの?!

リース・ウィザースプーンは本作でアカデミー主演女優賞受賞。

リース以外は元々音楽に関係があったとはいえ、Wケビンは演技は言うに及ばず、
踊りもお上手!スゴイね

題材になったもとの音楽家も素晴らしい方々、それを演じる俳優達も歌って踊って演奏できる・・・
もう鬼に金棒ってとこでしょうか。


ボビー・ダーリンって御存知でしたか?
タイトルの「ビヨンド・ザ・シー」ってシャンソンの「ラ・メール」ですよね?勿論好きな曲ですが、
私には1961年の「9月になれば Come September」のテーマ曲をダーリンが歌ってたってことの方がビックリです。
子供の頃TVでこの映画を見て、いっぺんでロック・ハドソンにになった映画です。
イタリアを舞台にした甘~いラブコメで、お相手はジーナ・ロロブリジタ。
そしてダーリンも出演していた(?)らしいのです。
この曲の出だしは今でも歌えるのに、ダーリンは・・・記憶にございません。

                     
コール・ポーターという音楽家を御存知でしたか?
音楽に疎い私でも、
「インディアナ・ジョーンズ 魔宮の伝説」の中でケイト・キャプショーがクラブで歌う「エニシング・ゴーズ」、
フリオ・イグレシアスがヒットをとばした「ビギン・ザ・ビギン」、
コマーシャルやBGMで耳に残る「夜も昼も Night and Day」、など
どこかで聞いてリズムがとれるような有名な曲を、900近く残した音楽家です。

子供の頃、「さよなら、さよなら、さよなら」でお馴染みの淀川長治氏が
解説しておられた日曜洋画劇場のエンディングテーマ曲が好きだった。
なんとも切なく、畳み掛け短調から長調に変わるメロディーに、子供ながら魅せられ、
何という曲なのか、作曲家が誰なのか判らぬまま頭の隅に住み続けていた。
この映画の中で流れたときは、「あっ、あの曲だ!」と積年の謎が解け、嬉しい衝撃を感じました。
歌詞を見て、ちょっとビックリ!
何と情熱的?いや、何とも激しい、ドロドロのマゾヒスティックな「ソーインラブ So In Love」
こんな恋に溺れた経験はございませんが、でもやっぱりこのメロディー大好きです。

コール・ポーターの伝記映画は、
実はケーリー・グラント主演「夜も昼も」のタイトルでも作られてます。
こちらは、従来作品同様、夫婦の愛に溢れた美談物語。
ところがどっこい、「五線譜のラブレター」でのコール・ポーターは、ゲイとして描かれてます。
ゲイに偏見はないけれど、故人の性的嗜好をここまで前面に押し出して描いちゃっていいもんなの?
大好きな曲ばかり、勢いでCD買っちゃったよ~

 渋い!

カントリーは「カントリーロード」くらいしか知らないのですが・・・
ジョニー・キャッシュは「刑事コロンボ」のゲストスターとして犯人役を演じておられました。
フィギアスケートの「氷の上のプロポーズ」じゃあありませんが、「ステージの上でのプロポーズ」
観客の前で跪いてプロポーズ、断れないよね~



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 ***** 今週 見た 映画 *****

 1月13日 「ビヨンド・ザ・シー」 NHK BS 

 1月16日 「英雄鉄板伝説」DVD パロディー満載のおバカコメディー

        「プライスレス 素敵な恋の見つけ方 Hors de Prix」DVD オドレイ・トトゥ主演

 1月20日 「光州5・18」DVD 1980年韓国光州で起こった事件を描いたドラマ

さよなら。いつかわかること  Grace is gone

2009-01-11 | 映画 さ行
ジョン・キューザックを始めて見たのは遥か昔。
20数年前の「すてきな片思い Sixteen Candles」
典型的なティーンのスクールラブストーリーで最後はプロム(卒業ダンスパーティー)。
メインの恋話に加え、スクールバスで通う生徒達のキャラが可笑しくって今も記憶に残ってます。
ジョンはメカおたくのチョイ役中学生で、実姉のジョーンも歯の矯正ワイヤーを付けて
主役を取り巻く多くの生徒の中の一人で、笑いを誘う役どころ。
でも、二人とも何だか印象に残ってました。
そうこうするうちに、
カッコよく成長したジョンは数々の映画で主役を、
ジョーンも個性的な準主役を演じるコメディアンヌです。

   
 この写真にジョンは出てません。ちょい役なので・・・
 左端が若き日のアンソニー・マイケル・ホール         

因みに、「すてきな片思い」で強烈な主役を食う個性を発揮していた悪ガキは
TVドラマ「デッド・ゾーン」で主役を演じるアンソニー・マイケル・ホールだったのね


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    さよなら。いつかわかること    GRACE IS GONE

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 < ストーリー >
シカゴのホームセンターで働くスタンレー(ジョン・キューザック)の妻グレイスは、
陸軍軍曹としてイラクに単身赴任中。
彼は12歳のハイディ(シェラン・オキーフ)、8歳のドーン(グレイシー・ベドナーチク)とともに
妻の帰りを待ちわびながら暮らしていた。
ある日妻の訃報が届き、幼い娘たちに母の死を伝えることができず、
衝動的に二人を連れてフロリダの遊園地まで車で旅に出る。
帰路、スタンレーは覚悟を決め浜辺で二人に話し出す。



「死」を受け入れるのは難しい。
看病の辛い日々は、残される者にとって「死」を受け入れる為に必要な期間なのかもしれない。
突然の死、
いくら兵士として戦場へ送られたにしても、
遥かかなた異国での死亡など、にわかに受け止めることなどできない。
自分が受け入れられないのに、子供たちに伝えることなど到底できるわけがない。

いつもはかっこいいジョン・キューザックですが、本作ではくたびれた中年のオヤジです。
     太った?よね。
 
愛国心から篤い思いで入隊し、ブートキャンプでグレースと出会って結婚。
ところが視力に問題ありということで除隊を余儀なくされ、夢敗れ、
妻を戦地イラクに送り出したことで、男として複雑な思いを抱えている。
でも妻を愛し、娘を愛するいいお父さんなんだなぁ、これが。

2人の娘、12歳半のハイディーと8歳のドーン。
12歳じゃなく、わざわざ半ってところに、背伸びしている感じが現れていて
思春期の女の子って感じ。
この二人がホントにうまい!
父に隠れてTVのニュースで戦況を知ろうとするハイディ。
腕時計のタイマーをセットし、毎日同じ時間にお互いのことを思うという母との約束を守るドーン。
国のために戦う母を案じながら、母がいない寂しさを押さえている。


アメリカでは現役兵士の14.3%を女性が占め、うち40%に子供がいるそうな。
NHKのドキュメンタリーで見たのですが、
母親である多くの帰還兵が、戦場でのトラウマから子供とうまく接することができないという悩みを抱えているそうです。


妻の死亡を娘達に伝えられず、衝動的にフロリダにある遊園地へ旅に出る。
道中、子供たちに知られないようにこっそり自宅に電話して、
妻の残した留守電メッセージを聞き、話しかけるシーンに胸が痛む。

心に思うことがあってもそれを言葉にして伝えるのって難しい・・・。

途中立ち寄った実家で、弟のジョンに会う。
32歳のジョンは大学へ戻るつもりだと言うが、専攻すら決めかねている。
戦争反対派で現政権を非難するが、選挙にも行かないノンポリ。
生き方も戦争に対する意見も異なる兄弟だ。

フラフラしてるように見えるジョンですが、なかなか良いおじちゃんです。
姪っ子ハイディーに
「事実を見据えて自分の意見を持つことは大事だ。
でも自分の意見と異なる「真実」を受け入れる心も持たないとダメだ」と諭す。
こういうことを言ってくれる大人って、子供にとって貴重な存在です。


デパートのおもちゃのおうちに篭るドーンと父スタンレーの会話も泣かされます。
こういう風に子供の寂しさを受け止められるお父ちゃんっていいなぁ。


遊園地で楽しい時を過ごした後、やっと決心し海岸で母の死を告げるシーン。
途中からピアノのメロディーで映像だけになり、話す言葉は聞こえないけれど・・・、
こういうシーンって映像だけで言葉なんかいらないんやねぇ。

 

その後の足取りが映像で流れる中、葬儀でハイディーが母を偲んで読む弔文の声がかぶる。


戦闘シーンもグレイスも登場せず(写真のみ)、声高に戦争の是非を取り上げるのでなく、
日常生活の中に訪れる戦争の影響を、残された家族の死を受け入れるまでの過程を通して
その悲しみをひっそりと伝える静かな胸に響く映画でした。


音楽は、な、なんとクリント・イーストウッドです!
ジョン・キューザックはプロデューサーにも名を連ね、彼のこの映画に対する意気込みが感じられました。



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 ***** 今週 見た 映画 *****

  1月 8日 「アクロス・ザ・ユニバース」DVD ビートルズナンバーが満載

野良犬

2009-01-05 | 映画 な行
  明けましておめでとうございます
      本年もどうぞよろしくお願いいたします 

 お正月って外出する気にならず、家での~んびり 
勢いテレビに向かうことになるけれど・・・何でこんなにつまんない番組ばかり 

ケーブルTVのミステリーチャンネルでいかにもホラーっぽいタイトル「古城の亡霊 The Terror 1963」を鑑賞。
のっけから目茶目茶チープ、崖の上に建つ古城は明らかに絵です。45年前の映画だしな~
でも、人生初のホラー、長くトラウマとなったロバート・ワイズ監督の名作「たたり」も1963年製作やよ。
数年前DVDを発見し見てみたけれど、今見てもなかなかでした。

因みに、現在公開中キアヌ・リーブス主演の「地球が静止する日 The Day the Earth Stood Still」は
1951年ワイズ監督作品のリメークなんですね。どちらも未見ですが・・・。

「古城の亡霊」つまんなそうだからチャンネルを変えようかと思ったその時登場したのは・・・
えぇー!!!なんと26歳のジャック・ニコルソンなんです!
いやぁ~、なんとも・・・、主役だけれど、名優・怪優にもこんな時代もあったのね~。
年明け早々、面白いもの、見~ちゃった


で、第1回は全くニコルソンとは関係なく、年末に鑑賞した久しぶりの黒澤作品です。
この映画も、いいねぇ~!


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      野  良  犬  1949

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< ストーリー >
猛暑のある日、村上刑事(三船敏郎)は射撃訓練後、
帰途のバス中でポケットの拳銃コルトをすられてしまう。
事の重大さに必死になって探し回る中、別件で動くベテラン佐藤刑事(志村喬)と合流し、
女スリを糸口に拳銃の闇ブローカー本多を逮捕する。
そんな中、村上の拳銃による強盗傷害、殺人事件が起こる。
犯人遊佐(木村功)は逃亡。
聞き込みから、幼馴染みの踊り子・並木ハルミと連絡していたことが判明。
しかし犯人の居所を突き止めた佐藤刑事までが凶弾に倒れ、
村上は独りで遊佐を追い詰め、対決の時を迎える。残った弾は3発・・・

             


昨年NHKが「黒澤監督没後10周年」で全作品オンエア!をやっていたので
ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

これまた志村喬と三船敏郎の共演作品。

いやぁ~、息詰まるサスペンス!!!
戦後直ぐの東京の街を、すられたコルト銃を探して歩き回るシーン。
もしも自分の銃が犯罪に使われて誰かを殺めることになったら・・・
三船のギラギラした目のアップが、銃を探し回る姿、人の流れ、足の運びにオーバーラップして、
彼の焦りが伝わり、緊張感がみなぎる。
夏のジリジリした暑さが、さらに緊張感に追い討ちをかける。
タオルで汗をぬぐい、扇風機が回る。


落ち込む村上に先輩刑事が言う。
「不運は人間をたたき上げるか押しつぶすか。心の持ち方一つでチャンスになる」

犯人を野球場(後楽園?)で捜すシーンは圧巻。
野球場やサッカー場、ボクシング会場など、人が沢山集まる場所で容疑者や狙撃犯がこの中に・・・
なんて「スネークアイズ」などハリウッド映画にもよく見かけるのですが、本作がオリジナル?!

ジャイアンツVSホークスの本当の試合をロケしたのでしょうか?
元阪神ファンの私には往年の巨人選手はわかりませんが・・・
背番号~16、川上哲治氏現役当時のお姿が。(この方はわかります)

それにしても観客50000人の中から犯人に繋がる人物をを探す・・・って無理じゃな~ぃ?
どうするよ?
緊張の中、観客は熱狂し、スポーツニュースのような映像の試合は続く。
ここでウグイス嬢の「さあ皆さん、ラッキーセブンでございます~」の声。
なぁ~に?阪神ファンみたいに風船飛ばすの??

いえいえ、当時7回には、ウグイス嬢の掛け声で観客全員で背伸びしてたんですね
今は・・・しないですよね?
この声をヒントに容疑者をおびき出すこんな手があったか・・・


犯人を追い詰めていく中で出会う人々の生活や風俗、聞き込みでまわる町並みなど、
戦後復興の勢いと混乱が、当時の空気が感じられます。

新たな時代に順応し歩み出している者、戦争を引きずって世をすねる者。
主人公の刑事村上と犯人の遊佐がこの二者を体現している。
共に戦争から復員する途中、汽車の中で全財産の入ったリュックを盗まれた過去がある。
人生の岐路で、善の道を選ぶか、悪の道を選ぶのか?
「不運は人間をたたき上げるか押しつぶすか。心の持ち方一つでチャンスになる」
どちらに転ぶかは本人次第という監督のメッセージ。


最後の最後まで犯人の顔はわからない。
名前・靴・泥の付いたズボンなど、体の一部が見えるだけ。
姿が見えないからこそ恐怖と緊張が高まる。
これって・・・スピルバーグの「激突」は本作のパクリ、いえオマージュだったのね。

犯人との遭遇はやはり雨。それも雷雨 監督、雨が好きやね~。
銃には弾が7発入っており、残り何発?とカウントダウン。

クライマックスは一転、
早朝ののどかな駅舎と、7・8人の中から顔のわからない犯人を特定する村上の心の揺れと緊張。
犯人との対決時に流れる民家のピアノの音、一面に咲き乱れる花。
この緊張と緩和、非常と日常のコントラスト。
その後日常に戻った時には、子供が歌う「ちょうちょ」がの~んびり流れる。
難しいことはわかりませんが、この演出上手いなぁ。

志村喬氏はホントにすごい役者さんです。
毎回違うタイプの役を、「本当にこういう方じゃないの」と思ってしまうほどのはまり様。
今回はベテラン刑事。
自分さえへまをしなかったら…犯罪は起こらなかったかもしれない。
被害者・加害者両方に責任を感じ落ち込む村上に
「コルトが無ければブローニングでやったさ」
「いらんことを考えずに次にくるものを防ぐことだ。
一度目は習慣にあらずというが、2度目となれば話は違う。野良犬が狂犬になる」という説得は、
厳しいながらも優しさが。
かと思うと、結構シャレもおっしゃる人間味あふれる上司です。

三船敏郎氏はハンサム
こんなにカッコイイ方だとは存じませんでした。

   
  これは「醜聞 スキャンダル」     弁護士の志村喬氏、画家の三船敏郎氏

今回も
黒澤監督、志村喬氏、三船敏郎氏にノックアウトされました


* おまけ *

 ・下町のおばちゃん役のイメージが強かった千石規子さんがお若くてキュートでした。
 ・犯人遊佐役は・・・「七人の侍」のお一人で唯一ロマンスが・・・。犯人役は以外でした。




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 *** 今週 見た 映画 ***

 1月 1日 「ヴェニスの商人」 ケーブルTV アル・パチーノ、ジョセフ・ファインズ主演

 1月 2日 「ノッキング・オン・ヘブンズ・ドア」 ケーブルTV   ドイツ映画
          「最高の人生の見つけ方」のオリジナルともいうべき余命わずかな若者の物語

 1月 3日 「古城の亡霊 The Terror」ケーブルTVジャック・ニコルソン主演 
 
        「醜聞 スキャンダル」DVD 黒澤監督、三船敏郎・志村喬主演