今年のアカデミー賞ノミネート作品は実話に基づいた作品が多いです。
「キャプテン・フィリップス」しかり、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」しかり、「アメリカン・ハッスル」に、
「それでも夜は明ける」、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」に「ローン・サバイバー」。
本作も実話に基づく作品で、主演女優賞、作品賞はじめ4つの部門でノミネートされました。
「事実は小説より奇なり」。
やっぱり、事実に基づくストーリーには説得力があるということでしょう。
***********************
あ な た を 抱 き し め る 日 ま で
PHILOMENA
***********************
< ストーリー >
50年間心の奥に隠し続けてきたある秘密を、娘のジェーンに打ち明けたフィロミナ。
1952年、アイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは家を追い出され、修道院に入れられる。
そこでは同じ境遇の10代の少女たちが、保護と引き換えに休みなくただ働きをさせられていた。
フィロミナは男の子を出産しアンソニーと名付けるが、会えるのは1日たった1時間のみ。
3歳になったアンソニーはフィロミナにことわりもなくアメリカへ養子に出される。
秘かに消息を探していた母のため、ジェーンはBBCの政府の広報担当をクビになった元ジャーナリストの
マーティンにアンソニーを探すよう頼む。愛する息子にひと目会いたいフィロミナと、ジャーナリストとして
再起をかけたマーティンは、アメリカに飛ぶ。果たしてアンソニーを探し当てることができるのか?
まだ3月末ですが、今年のベスト3に間違いなしの作品です。
アカデミー作品賞を獲った「それでも夜は明ける」に勝るとも劣らない。
私としてはこちらの方が、心揺さぶられました。
修道院の中から外を臨む
50年間心に秘めていた息子の行方を追う母と、手助けをする元ジャーナリストの旅。
そして「あなたを抱きしめる日まで」という日本語タイトルから感動の再会をイメージするかも
知れませんが、そんな予定調和の話ではないのです。
息子の行方を追う謎解きを軸に、
英国からアイルランド、アメリカへというロードムービーの要素もあり、
英国政界のスキャンダルやアメリカの政界話にも触れる。
次第に明らかになるカトリック教会の暗部を白日の下に晒すも、糾弾するというより「赦し」に触れ、
コミカルな会話で湿っぽくなることなく、爽やかなエンディングを迎えます。
フィロミナとマーティンはアンソニーを探しにアメリカへ
***** ネタバレがあるので、未見の方はご注意ください *****
暗い過去を持ちながらも、明るくチャーミングで信仰心の篤いフィロミナ。
片や、スキャンダルに巻き込まれ政治の表舞台から転落し、神など信じないという失意のマーティン。
ロマンス小説好きのフィロミナとオックスフォード出身でロシア史専攻のエリートのマーティン。
全く異なる世界に生きてきたふたりの会話が笑いを誘う。
火事で資料を消失したと素気無い対応を押し通す修道院に従順なフィロミナと怒りを覚えるマーティン。
修道院の裏に手入れをされていない十代少女の墓を見つけ、意図的に資料が焼却されたことを知る。
養子に出した資料がなくても、アメリカ側には記録が残っており、アンソニーの行方が明らかになる。
50年思いを募らせていたが、核心に近づくに従って、「太ってないか?(アメリカだからって)」
「ホームレスや犯罪者ではないか?」と心ゆれるフィロミナ。
アンソニーがマイケルという名前で育てられ、レーガンとパパブッシュ政権で法律顧問として働いていた
ことを知る。
私が育てていたらこんな生活はさせてやれなかったと嬉しそうに言うフィロミナに、胸が痛い。
そして彼がゲイだったこと、数年前に亡くなっていたことも知る。
失意の中一度は帰国を考えるも、息子の人となり、それ以上に産みの母やアイルランドに思いを
抱いていたかを知りたくて、彼を知る人たちを訪ね、再度、アイルランドの修道院へ。
そして・・・やはり、これ以上は書かない方がいいと思います。
是非、映画をご覧になってください。
普通なら修道院の行為を糾弾し謝罪を求めると思うのですが・・・。
フィロミナは当時のシスターと対峙し、「赦す」というのです。
未婚の少女が妊娠することは罪であり、罰を受けるのは当然だと言うシスター。
私にはシスターの言い分は正義ではなく嫉妬に思え、神に仕える身でありながら罪深いなと。
哀しみを乗り越えたフィロミナこそが「赦し」を自分のものにした聖女に見えました。
「人を呪わば穴二つ」。恨みを抱えた心は救われない。赦すことで救われるのかなぁ。
フィロミナと過ごしたことで、マーティンも失脚の傷を癒すことができたようです。
明らかになった事実に驚愕しつつ、最後は涙でカタルシス~でした。
マーティンとフィロミナ、ご本人です。
1996年までアイルランドのカトリック修道院で、未婚で妊娠した少女たちが家族から見捨てられ
保護という名のもと、罪の償いとして奴隷の如く洗濯等労働を強いられていたという。
出産時亡くなった少女も多く、子供たちはアメリカなどに有料で養子縁組されたそうです。
本作を見ると「オレンジと太陽」を思い出します。
共に遠い昔の話でないことに驚きを禁じ得ません。
息子アンソニー改めマイケル・ヘスのストーリーも映画になりそうです。
「紳士は金髪がお好き」でモンローにセックス・シンボルの座を奪われたジェーン・ラッセルも
この修道院で養子縁組したようです。
ジュデイ・デンチの演技が素晴らしいのは言うまでもありませんが、
マーティンを演じたスティーブ・クーガンも良かったです。「トロピック・サンダー」ナイト・ミュージアム」など
コメディー演技しか知らなかったので、驚きました。彼は、脚本・製作にも名前を連ねています。
髪を整えてスーツをビシッと着たら、カッコイイ~じゃない
***** 見た 映画 *****
3月25日 「あなたを抱きしめる日まで」 @横浜ブルク13
3月26日 「ウォルト・ディズニーの約束」 @横浜ブルク13
3月28日 「アナと雪の女王 2D字幕」 @TOHOシネマズ海老名
「キャプテン・フィリップス」しかり、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」しかり、「アメリカン・ハッスル」に、
「それでも夜は明ける」、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」に「ローン・サバイバー」。
本作も実話に基づく作品で、主演女優賞、作品賞はじめ4つの部門でノミネートされました。
「事実は小説より奇なり」。
やっぱり、事実に基づくストーリーには説得力があるということでしょう。
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あ な た を 抱 き し め る 日 ま で
PHILOMENA
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< ストーリー >
50年間心の奥に隠し続けてきたある秘密を、娘のジェーンに打ち明けたフィロミナ。
1952年、アイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは家を追い出され、修道院に入れられる。
そこでは同じ境遇の10代の少女たちが、保護と引き換えに休みなくただ働きをさせられていた。
フィロミナは男の子を出産しアンソニーと名付けるが、会えるのは1日たった1時間のみ。
3歳になったアンソニーはフィロミナにことわりもなくアメリカへ養子に出される。
秘かに消息を探していた母のため、ジェーンはBBCの政府の広報担当をクビになった元ジャーナリストの
マーティンにアンソニーを探すよう頼む。愛する息子にひと目会いたいフィロミナと、ジャーナリストとして
再起をかけたマーティンは、アメリカに飛ぶ。果たしてアンソニーを探し当てることができるのか?
まだ3月末ですが、今年のベスト3に間違いなしの作品です。
アカデミー作品賞を獲った「それでも夜は明ける」に勝るとも劣らない。
私としてはこちらの方が、心揺さぶられました。
修道院の中から外を臨む
50年間心に秘めていた息子の行方を追う母と、手助けをする元ジャーナリストの旅。
そして「あなたを抱きしめる日まで」という日本語タイトルから感動の再会をイメージするかも
知れませんが、そんな予定調和の話ではないのです。
息子の行方を追う謎解きを軸に、
英国からアイルランド、アメリカへというロードムービーの要素もあり、
英国政界のスキャンダルやアメリカの政界話にも触れる。
次第に明らかになるカトリック教会の暗部を白日の下に晒すも、糾弾するというより「赦し」に触れ、
コミカルな会話で湿っぽくなることなく、爽やかなエンディングを迎えます。
フィロミナとマーティンはアンソニーを探しにアメリカへ
***** ネタバレがあるので、未見の方はご注意ください *****
暗い過去を持ちながらも、明るくチャーミングで信仰心の篤いフィロミナ。
片や、スキャンダルに巻き込まれ政治の表舞台から転落し、神など信じないという失意のマーティン。
ロマンス小説好きのフィロミナとオックスフォード出身でロシア史専攻のエリートのマーティン。
全く異なる世界に生きてきたふたりの会話が笑いを誘う。
火事で資料を消失したと素気無い対応を押し通す修道院に従順なフィロミナと怒りを覚えるマーティン。
修道院の裏に手入れをされていない十代少女の墓を見つけ、意図的に資料が焼却されたことを知る。
養子に出した資料がなくても、アメリカ側には記録が残っており、アンソニーの行方が明らかになる。
50年思いを募らせていたが、核心に近づくに従って、「太ってないか?(アメリカだからって)」
「ホームレスや犯罪者ではないか?」と心ゆれるフィロミナ。
アンソニーがマイケルという名前で育てられ、レーガンとパパブッシュ政権で法律顧問として働いていた
ことを知る。
私が育てていたらこんな生活はさせてやれなかったと嬉しそうに言うフィロミナに、胸が痛い。
そして彼がゲイだったこと、数年前に亡くなっていたことも知る。
失意の中一度は帰国を考えるも、息子の人となり、それ以上に産みの母やアイルランドに思いを
抱いていたかを知りたくて、彼を知る人たちを訪ね、再度、アイルランドの修道院へ。
そして・・・やはり、これ以上は書かない方がいいと思います。
是非、映画をご覧になってください。
普通なら修道院の行為を糾弾し謝罪を求めると思うのですが・・・。
フィロミナは当時のシスターと対峙し、「赦す」というのです。
未婚の少女が妊娠することは罪であり、罰を受けるのは当然だと言うシスター。
私にはシスターの言い分は正義ではなく嫉妬に思え、神に仕える身でありながら罪深いなと。
哀しみを乗り越えたフィロミナこそが「赦し」を自分のものにした聖女に見えました。
「人を呪わば穴二つ」。恨みを抱えた心は救われない。赦すことで救われるのかなぁ。
フィロミナと過ごしたことで、マーティンも失脚の傷を癒すことができたようです。
明らかになった事実に驚愕しつつ、最後は涙でカタルシス~でした。
マーティンとフィロミナ、ご本人です。
1996年までアイルランドのカトリック修道院で、未婚で妊娠した少女たちが家族から見捨てられ
保護という名のもと、罪の償いとして奴隷の如く洗濯等労働を強いられていたという。
出産時亡くなった少女も多く、子供たちはアメリカなどに有料で養子縁組されたそうです。
本作を見ると「オレンジと太陽」を思い出します。
共に遠い昔の話でないことに驚きを禁じ得ません。
息子アンソニー改めマイケル・ヘスのストーリーも映画になりそうです。
「紳士は金髪がお好き」でモンローにセックス・シンボルの座を奪われたジェーン・ラッセルも
この修道院で養子縁組したようです。
ジュデイ・デンチの演技が素晴らしいのは言うまでもありませんが、
マーティンを演じたスティーブ・クーガンも良かったです。「トロピック・サンダー」ナイト・ミュージアム」など
コメディー演技しか知らなかったので、驚きました。彼は、脚本・製作にも名前を連ねています。
髪を整えてスーツをビシッと着たら、カッコイイ~じゃない
***** 見た 映画 *****
3月25日 「あなたを抱きしめる日まで」 @横浜ブルク13
3月26日 「ウォルト・ディズニーの約束」 @横浜ブルク13
3月28日 「アナと雪の女王 2D字幕」 @TOHOシネマズ海老名