映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

グランド・マスター

2013-06-30 | 映画 か行
この映画、全く見るつもりは無かったのですが、
6月20日の日経夕刊、野崎歓氏の「明星で観る香港映画」でトニー・レオンを
取り上げた記事を読んで見ることにしました。
私が見たレオン作品は「恋する惑星」「花様年華」「ブエノスアイレス」に
「レッド・クリフ」など。一番印象に残っているのはもう一人の香港スター
アンディ・ラウと火花を散らした「インファナル・アフェア」でした。
野崎氏は「人気歌手でもなければカンフーの名手でもない。いわば香港映画界の
大スターである基本条件を欠きながら間違いなく最高の俳優と認められており、
それはひとえに演技力の賜物である」と絶賛しておられます。
そしてその魅力は瞳にあると。
そう、所謂イケメンとかカッコイイ~というタイプではないけれど、
優しさと静けさを湛えたあの瞳に魅せられるんだわぁ
そして、3年に及ぶ猛特訓で2度も骨折しながらカンフー技を体得し挑んだ作品と
聞いたらやっぱり見なくっちゃ~!と思った次第です。
           トニー、いい笑顔だぁ~。

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     グ ラ ン ド ・ マ ス タ ー
                     一 代 宗 師

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 < ストーリー >
ブルース・リーの師匠としても知られる伝説の武術家イップ・マンの物語。
1930年代の中国。引退を決意した北の八卦掌の宗師(グランド・マスター)宮宝森は、一番弟子の馬三(マーサン)と南の詠春拳の葉門(イップマン)を後継者の候補と考えていたが、実の娘の宮若梅(ゴン・ルオメイ)も名乗りを
上げる。しかし、野望に目のくらんだマーサンが師を殺害し日本軍の後ろ盾を得て後継者となる。
イップマンに惹かれていたルオメイは、彼への思いを諦め、父の復讐を果たすためマーサンと死闘を
繰り広げる。時代の流れに翻弄されるマスターたち。イップマン、ルオメイの運命は?


中国武術の流派を極めたマスターたちが、揚子江をはさんだ南北流派統一の使命を受け継ぐ
後継者を巡って、闘いを繰り広げるドラマです。
時代が1930年代ということで日本軍が中国に侵攻してきて主人公たちの生活が変化していくあたりで、
日本はどんな風に描かれるのかしら?残酷シーンだと嫌だなぁっと・・・気になったのですが
あくまで時代の流れを描くということに留まってました。
奥義を極めた武術マスターたちも、戦争の混乱の中では無力でした。
         
                 ウォン・カーウェイ監督はセピアな色調が多いわ。
登場するマスターたちは
詠春拳のイップ・マン(トニー・レオン)
八卦掌のマスターの娘で奥義六十四手を受け継ぐルオメイ(チャン・ツィイー)
八卦掌のマスターの後継者と言われながらも野心に溺れるマーサン(マックス・チャン)
そして八極拳のマスターのカミソリ(チャン・チェン)
の4人です。

いやぁ~、とにかく映像が芸術的で美し~い!
雨の中で戦うシーン。まるでモノクロのよう。黒澤映画の戦闘シーンを思い出しました。
      
落ちてくる雨粒が地面にあたって弾ける様子やイップマンの帽子から滴る水、踏ん張った時の足の動き。
スローで描かれているのにスピード感や衝撃が伝わってきます。
      
ルオメイとマーサンの駅での戦闘シーンは雪の中。
華麗で、二人の横を煙をあげて走る蒸気機関車が効果的です。  

ただ、イップマンとルオメイ、ルオメイとマーサンに話が集中していて、
八極拳マスターのカミソリのポジションがよくわからず。理髪店はなんだったのかしら?
カミソリを演じたチャン・チェンは訓練の甲斐あって大会で優勝したとか。
       

ひっそりと描かれるイップマン夫婦の愛、
ひた向きに技を極めようと鍛錬する姿、
筋を通し、自らの感情を押さえ流派を守る姿を通し、
時代に翻弄される人間の儚さ・悲しさを静かに、ずっしりと描いています。
激しい戦闘シーンでさえも、なんだか静謐。

カンフーの使い手、ジャッキー・チェンでもジェット・リーでもなく
トニー・レオンがグランド・マスターを演じた理由は、そこにあるのでしょうね。

残念ながらあまりヒットしなかったようなのですが、一見の価値ありの映画です




音声が中国語なので何を言っているのかはわかりませんが、トニー・レオンやチャン・ツィイーが
どれほど大変なトレーニングを積んだのかが映像からうかがわれます。
チャン・ツィイーはお若いし元々舞踊家だけれど、トニーは50歳ですよ
徐々に上手くなっていく様子がうかがえる映像です。
俳優さんって、役柄に合わせて凄い能力開発をなさっているのですねぇ。




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 ***** 見た 映画 *****

 6月26日 「グランド・マスター」 @川崎チネチッタ

        「ローマでアモーレ」 @川崎チネチッタ

 6月28日 「危険なメソッド」DVD キーラ・ナイトレイ、マイケル・ファスベンダー主演

       

華麗なるギャツビ―  The Great Gatsby

2013-06-25 | 映画 か行
映画からもブログからもすっかり遠ざかっておりましたが、
先週水曜日、「華麗なるギャツビ―」を見てきました。
何度も予告編で見て、アールデコのスタイリッシュな雰囲気に魅かれて
どんな映像になるのかと楽しみにしておりました。
3Dがあるのを知らず、2Dで鑑賞しました。

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       華 麗 な る ギ ャ ツ ビ ―
                    THE GREAT GATSBY

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 < ストーリー >
ニック(トビー・マグワイア)の家の隣、贅を凝らした宮殿のような豪邸では毎晩のように
盛大なパーティーが開かれている。主は謎に満ちた若き大富豪ジェイ・ギャツビー。
パーティー出席者もギャツビーが何者か?いかにしてばく大な富を得たのか?知る者はいない。
やがてギャツビーがとニックの従妹で対岸の豪邸に住むデイジーに只ならぬ関心を抱いている
ことを知る。浮気者のデイジーの夫トムはふたりの関係に気付き・・・。

   
     左から ニック、 ギャツビー、 デイジー、 デイジーの夫トム
               
予想に違わぬ豪華な衣装に宝石、素ん晴らしい邸宅に車。
夜な夜な繰り広げられるド派手なパーティー。
やっぱり当時の時代背景がわからないとね、ってことで・・・。

第一次世界大戦後1920年代のアメリカは、消費の拡大に加え、自動車工業の躍進など、
好景気に沸いていた時代。
しかしながら、人々が浮かれ騒ぐ中、ひたひたと歩み寄る暗い影。
機械化による生産過剰や農業・工業の不振、実体経済と乖離した投機熱による株価の急上昇。
1929年の世界恐慌直前の、バブリーで危うい狂乱の時代 弾ける~。

デカプリオ繋がりのタイタニック号が沈んだのは1912年4月。
そういえばローズの婚約者の富豪の御曹司キャルは、沈没を生き抜くも確か恐慌で破産し
自殺したって話でした。

私、文学は苦手なので・・・
アメリカ文学の「失われた世代」を代表するフィッツジェラルド氏にこんなこと言っちゃぁ
お叱りを受けるかもしれませんが、ギャツビーは今の時代ならさしずめ「ストーカー」って
言われちゃうんじゃない?

一人の女性を、結婚をしていても一途に思い、彼女の住む世界に近づき振り返らせようと
怪しげな商売に手を染め巨万の富を築き、湯水のごとく浪費するギャツビー。
悪銭身につかず、あんな結末にならなくても、タイタニックのキャルのようにバブルがはじけて
一文無しということになっていたかも?

一方、裕福な家庭に生まれ育ち、何を置いてもリッチな生活以外考えられないデイジーは
たとえ愛する人を不幸に陥れることになろうとも(愛していたのかも定かではないが)、
自分の身を守ることしか頭にないエゴイスト。

バブルを象徴するがごときギャツビーの顛末は、バブルが弾けた20年代の終わりと被る。

ひたすらデイジーを追いかけたギャツビー。デイジーは富の象徴だからね。
富を手にすればデイジーを手に入れることができると信じ続けたギャツビーは
ピュアだけれどあまりにナイーブ。
一見ガラスのように壊れそうなデイジーはしたたかだけれどからっぽ。
夫のトムも家柄良く大金持ちではあるけれどつまらない奴。

ギャツビーが主役?だけれど、すべてニックの視点で語られる物語。
ギャツビーやデイジーの属する富裕層をそこに属さないニックの立場から醒めた目で
距離を置いて奇妙な恋愛や人間関係を描き、残された広告看板の眼鏡越しの目が見つめる。
前半の華やかなパーティーや豪華な生活に比べ、後半は色あせたエゴ剥き出しの人間模様。
結末には虚しさが際立ちました。


前作はTVで見たように思うのですが、レッドフォードがデカプリオの如く激高したかどうか
記憶は定かでないのですが、パンフレットの表情を見る限り穏やかな感じ。
闇で巨万の富を築いた風ではないのですが・・・もう一度見なくっちゃ。
       
前作でミア・ファーロー演じるデイジーより、友人のジョーダンを演じるロイス・チルス
の方が綺麗だなぁ~と思ったのですが、
本作でもジョーダン役のオーストラリア女優エリザベス・デビッキが本当に美しい!!
      
デイジーの夫トムの愛人まーとるを演じているのが「お買い物中毒な私!」の
アイラ・フィッシャーだと気が付きませんでした。ちょっと老けた?


ちょっとF・スコット・フィッツジェラルド氏をググってみたのですが、
彼と彼の妻ゼルダの関係はギャツビーとデイジーの関係にダブるのですね。
憧れのゼルダと結婚したフィッツジェラルドでしたがどうも大変だったような。
本作のデイジーの台詞「女の子は美しいおバカさんが一番幸せ」みたいな台詞も
ゼルダが言っていた言葉のようです。
今でこそ彼の代表作とされる「華麗なるギャツビー」は発表当時は不発に終わり、
認められたのは彼の死後だというのは意外でした。



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 ***** 見た 映画 *****

 6月19日 「華麗なるギャツビ―」 @109シネマズMM横浜

うだる大阪

2013-06-20 | その他
先週月曜日、父が亡くなり急遽大阪に帰ってきました。
今年に入って食が細り、3月頃から徐々に痩せ、5月に会った時にはあまりの痩せように
ショックを受けました。
消化器系は弱っていても、頭はしっかり、血圧も正常だったのでまだまだ大丈夫だろうと
次の帰阪予定を入れていたのに......。
明日から介護ヘルパーさんのお世話になるという前の日に、静かに旅立ちました。
85歳と8ヶ月、これといった病気ではなく、高齢による多臓器機能不全。
本人の希望通り、入院することもなく、
辛い治療を受けることもなく、
母が目を離したほんの10分ほどの間に、
苦しんだ形跡もなく、穏やかな顔で逝ってしまいました。

連日猛暑の中、大阪で37.9℃を記録したあの日が告別式でした。
通夜に葬儀、諸手続きと後片付けに、曜日感覚も日にちの感覚も分からなくなった
慌ただしい一週間。

本の整理をしていて見つけた父の覚書や姉が生まれた時の育児日記。
「私の時の育児日記はないじゃな~い」っとちょっとへそを曲げつつ、
みんなでわいわい言いながら読んで、涙ぐんだり笑ったり。

頑固で、自分の考えを押し通すところもありましたが、
「お散歩ですか?」の問いかけに「散歩じゃなくて徘徊です」とユーモアで返す
お茶目な愛されキャラでした。

もっと会いに帰っておけばよかったなぁ~、
もっといろいろ話しておけばよかったなぁ~と反省は尽きませんが、
家での2か月ほどの患いで、母に面倒を診てもらって最期を迎えられのは
幸せなことだったと思います。

「寂しいからって、まだまだお母ちゃんを迎えにきたらアカンよ~」っと、
笑顔の写真に手を合わせてます。
合掌。


10日間、全く開けていなかったブログ。
更新がないにもかかわらず、ご訪問いただきありがとうございました。
頂いたコメントも保留のままで、申し訳ありませんでした。

スペインあれこれ@グラナダ

2013-06-09 | ヨーロッパ旅行
今さらですが・・・2月末に行ったスペインの旅。
マドリードから電車でコルドバ、コルドバからバスでグラナダへ。

グラナダといえばアルハンブラ宮殿です。
ナスル朝グラナダ王国は、イベリア半島における最後のイスラム王朝として約250年間存続し、
繁栄を極めましたが、8世紀末から続くキリスト教徒の国土回復運動(レコンキスタ)により、
1492年1月2日にグラナダの陥落で滅亡し、イベリア半島全土がキリスト教徒の手に戻りました。

グラナダの街は香辛料の匂いがします。
香辛料を量り売りする店や露店まであるのです。
そして目についたのは・・・至る所にある歩道と車道を隔てるこのポール。
石畳には果物のようなモザイク。
これ、何だと思いますか?
      
  * 写真はクリックすると大きくなります。

グラナダ到着後、観光案内で薦められたアルバイシンのツアーのガイドさんに聞いたところ
「グラナダ」とはスペイン語で「ざくろ 柘榴」のことを意味するそうです。
そう、これはザクロの実だったのです。
ザクロの木が多く植えられたことに由来しているそうで、街のシンボルです。
ザクロはスペイン語で「granada」、英語では「pomegranate」フランス語では「grenade」。
そして、英語でgrenadeは手りゅう弾。形が似ているからでしょうか?

   *アルバイシンは川を挟んでアルハンブラ宮殿の対岸にある丘陵で、ここも世界遺産に
    登録されています。狭く入り組んだ石畳で、ジプシーさんが岩を掘った洞窟ハウスに暮らし
    夜はフラメンコショーが見れるそうですが、治安はちょっと不安ですが、ガイドさんが一緒なら
    大丈夫です。
    
   *このツアー、私たち二人にとてもフレンドリーなガイドさん(アイリーン+研修中のふたり)
    が付いてくれて、アルバイシンの丘を歩きながら降りてくるツアーです。
    黄昏時には夕日に輝くアルハンブラ宮殿を見ることができるお奨めのツアーです。
    セグウェイに乗って回るツアーもありました。乗りたかったなぁ~。 →こちら

たまたまそんな話をしたら、友人から「ザクロ」がらみの耳寄りな話が聞けました。
友人Aさんから「紅一点」の「紅」は緑の中の赤いザクロの花のことを指すのだとの情報です
出典は中国の詩人王安石の「詠石榴」。一面の緑の中に1輪の紅色の花が咲いている(万緑叢中紅一点)と詩に詠んだことからきているそうです。(大辞林より)
友人Yさんからは、鬼子母神は手にザクロの実を持っていたと思うとの情報がありました
これまた大辞林によると、出産・育児の神となった鬼子母神は手にザクロの実を持ち、一児を抱く
天女の姿だそうです。
ザクロは種が多いことから、各地で多産と豊穣の象徴とされているようです。

まさに、「三人寄れば文殊の知恵」のごとく、ザクロ話に花が咲きました。
ザクロでこんなに盛り上がるなんて・・・


アルバイシンからアルハンブラの夕日に輝く姿を見るツアーはとてもよかったです
     後ろの山はシエラネバダ山脈
 
                 
       アルハンブラ宮殿の美しいモザイク
               
   アルハンブラといえばライオンの中庭
               
                    きれいに手入れされた庭、必ずある噴水。
              
  陶器のコーラの看板       カテドラル       素敵な扉



 * * * スペインで気付いたこと * * *

 
* スペインの治安はちょっと心配だったのですが、オリンピック誘致を意識してか、
  夜のマドリッドにはパトカーがたくさん出動していて、街角のそこここに警官が立っていました。

* マドリッドでも、コルドバ、グラナダでも、オレンジの街路樹があちこちに。
  見事なオレンジがたわわに生っているのに、誰も取っていく気配なし。
  グラナダでガイドのアイリーンに聞いたところ、取ってもいいけれど「不味いよ」とのこと。
  渋くって食用にはならないそうです。

*「カルメン」とは?
  女性の名前かと思ったら、アルバイシンの家のいくつかに「カルメン」の文字。
  グラナダでは、果樹園や中庭のある家を「カルメン」と呼ぶそうで、頼めば見せて下さる
  ところもあるそうです。 

* スペインの料理は・・・美味し~い!
  バールで飲み物を頼むと料理が一皿(タパス)付いてきます
  マドリッドの「サン・ミゲル市場」は色んなお店が集まっていて
  各店で飲み物を頼んでタパスを食べて回りたかったな。食事の後で行ったのが残念。

* マドリッドのホテルでテレビをつけたら「アリランチャンネル」というのがあって
  韓国の歴史や文化、世相など、いまの韓国の姿を伝える番組を放送していました。
  全国ネットなのか、ホテルのケーブルTVなのかはわかりませんが、スペインで
  韓国の宣伝番組を見ることになるとは。因みにTVはサムソンの薄型壁掛けタイプでした。
  日本も海外の人たちに日本のことや日本人の気質を知ってもらう番組を積極的に放送した方が
  いいんじゃないのかな~。


  2013年2月26日  「グラナダ→コルドバ→マドリッド

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 ***** 見た 映画 *****

 6月9日 「ビッグ・ショット・ダディ World's Greatest Daddy」DVD ロビン・ウィリアムズ主演
         う~ん、何とも後味の悪い映画。途中から早回しで見てしまいました

あの日 あの時 愛の記憶

2013-06-07 | 映画 あ行
2011年に公開されたドイツ映画です。
原題は「 Die verlorene Zeit」で「失われた時間」という意味のようです。
英語のタイトルは「Remembrance」「追想、思い出」です。

イタリア映画「ひまわり」やフランス映画「シェルブールの雨傘」など、戦争で引き裂かれた
恋人や夫婦の切なく、やるせない、哀しい物語が映画になりました。
両作品とも主題歌がいいですよね。特にヘンリー・マンシーニの「ひまわり」は曲を聞くだけで
ソフィア・ローレンの悲しい表情と一面のひまわり畑を思い出し、涙ぐみそうになります
日本でも恋人が戦死した聞かされ別の人と結婚し幸せに暮らしているところに
恋人が復員して…というドラマを子供の頃見た記憶ががあります。

本作はユダヤ人の少女とポーランド人のレジスタンスの青年が、囚人として収容所で出会い、
恋に落ち、脱走後離れ離れになり、互いに相手が死んだと聞かされ別々の道を歩み、
30数年の後消息を知るというストーリーです。
どうも実話を基にした映画のようです


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        あの日 あの時 愛の記憶

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 < ストーリー >
1976年、ニューヨーク。ハンナは、優しい夫と娘に恵まれ、幸せな日々を過ごしていた。
ある日、出先で何げなく目にした店のテレビから流れてきた声に息を飲む。画面には死んだと
思っていたかつての恋人トマシュの面影を見て、封じ込めていた記憶が蘇り、茫然となる。
1944年、ポーランドの強制収容所で出会い、恋に落ちたふたり。トマシュはレジスタンス仲間に
収容所の実態を写したフィルムを届ける任務を受け、ハンナを連れて脱走する。
結婚を誓うふたりだったが、戦争と終戦後の混乱の中、生き別れになってしまう。
その後ハンナアメリカに渡り、赤十字にトマシュの捜索を依頼するが推定死亡の報を受ける。
テレビの人物がトマシュだと確信したハンナは、赤十字社へ再調査を依頼し、消息を知るが……。

      

世界中にネットが普及し、誰もが携帯電話を持つ昨今、
すれ違いでいつまでたっても会えない「君の名は」のふたりのような状況はもう起こらないし、
SNSなどネットを駆使して真剣に探せば長年あっていない人につながる可能性は高いでしょう。
社会の変化によって、かつて多くの人の涙を搾りドキドキさせた別れ別れの切ないドラマは
成立しなくなってしまいましたね。それはそれで、思いもよらなかったような設定に基づいた
新たなドラマが生まれるのでしょうね。
 
明日をも知れぬ強制収容所という過酷な環境の中だからこそ、激しく燃える恋。
脱出後、レジスタンスの任務でハンナのもとを去るトマシュ。
必ず戻って来るという言葉を信じ、待ち続けるハンナ。

ポーランドは近隣の国々に分割統治されたり、地図から消えてしまったりと
大国に挟まれ過酷な歴史を持つ国ということは知っていたけれど・・・
終戦後はドイツ軍に代わってソビエト軍がポーランドを支配し、レジスタンスは逮捕連行されたようです。
互いに死んだと聞かされ別々の道を歩んできたふたり。

トマシュの生存を知り狼狽え、今の家族に打ち明けられず悩むハンナ。
ハンナの様子からすべてを察し優しく寄り添う夫。
いやぁ~、今の夫もいい人なのよ
そして…ポーランドへ旅立つハンナ。
おぉーーー、この後どうなるの~?!っと乗り出したところで THE END。

過去の出会いと別れ、そして現在のハンナの生活と、トマシェの消息を知ってからの狼狽、
その後葛藤の後、夫の後押しで会うことを決心し彼の住む町に降り立つハンナしか描かれません。

彼女がどういう経緯でアメリカに渡り、今の家庭を築いたのか?
身籠っていた子供はどうなったのか?
非常に気になる~ところではありますが「皆まで言うな」というスタンス。
ドキュメンタリーじゃないんだから、ドラマだからとは思いますが、
全てつまびらかになるドラマに馴れすぎてしまっているのかもしれません。
余韻に浸り、想像力を働かせるのも一興。
それがまた、見る人の想像力をかきたて、味わい深いドラマになっている気がします。




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I AM   You have the power to change the world

2013-06-05 | ドキュメンタリー
ビデオショップでDVDのパッケージ解説を読んで鑑賞しました。

監督はトム・シャドヤック。
              
ジム・キャリーと組んだ「エース・ベンチュラ」「ライアー・ライアー」「ブルース・オールマイティ」
エディー・マーフィー主演の「ナッティ・プロフェッサー」シリーズ
ロビン・ウイリアムズ主演の「パッチ・アダムス」
スティーヴ・カレル。モーガン・フリーマン主演の「エヴァン・オールマイティー」など
コメディー映画を中心にヒットを飛ばしてきた映画監督です。
      
ハリウッドで成功をおさめ、ビバリーヒルズに豪邸を構えていたシャドヤックですが、
2007年自転車事故による脳震とう後症候群で激しい頭痛やめまいに何年も悩まされた後
今までの人生を見直し全く異なる価値観を持つようになり豪邸を売却。
「死ぬ前に何を伝えたいか?」と自問し、作家、ジャーナリスト、環境運動家、生物学者、
言語学者、心理学者、写真家に詩人、宗教家、会社のCEO、進化論生物学者、歴史家の方々に、
 ・What’s wrong with our world? 世の中の何がいけないのか?
 ・What can we do about it?    世の中を変える為に、一体何ができるのか?
という根本的な質問を投げかけ、対話の中から答えを求めるドキュメンタリーです。

世の中の何がいけないのか?
先進国といわれる国々はどこも行き詰まり、安い労働力と未開の市場を求めて
中国→東南アジア…ミャンマー、そしてアフリカへ。
実体経済と乖離した投資や為替相場に踊らされ、一喜一憂。
テレビやネットなどメディアは「買って、買って、買って!」とばかりに消費を煽る。
もう、無くて困る物、どうしても欲しい物なんてないのに…。
食欲は衰えないけれど、物欲って減ってきています。断捨離なんて始めちゃったら、
「本当に要るのかな?」と自問自答し買わなくなりました。経済を考えたらまずいですね。
アフリカの成長が行きつくところまでいって、世界中の生活レベルが左程変わらなくなったら…
その後は、どうなるの?
もう資本主義経済は行き着くところまでいってしまったんじゃないのかな?
WIN/WINなんて耳触りのよい言葉をよく聞くけれど、限られたものを奪い合うという厳しい現実。

本作の中でトム・シャドヤック氏は、経済という怪物に支配され、消費を礼讃し
自己の利益と物質主義を重んじてきた西洋型社会のあり様に疑問を投げかけます。
人間の本質を成すのは「協力」か「支配」か?
インタビューに登場する方々からも、彼の疑問を裏付け「協力」こそが人間の本質であるという
説得力のあるメッセージが寄せられています。
そしてハートマス(HeartMath)研究所で「人間を司るのは脳ではなく心臓である」という研究に
驚かされます。
「We are all connected. すべてのことは繋がっている」
「考え方や物の見方を変えるだけで世界は変わる」
「小さな行いが大きな運動へと広がっていく」というようなことを
きれいごとじゃないかと批判するのはたやすいけれど、
見ているうちにそうだなぁ~とか、そうであって欲しいなぁ~という気がしてきます。
宗教色は全くないですし、スピリチュアルというのとも違う。
各界の識者のお話に、うなずき、優しい気持ちになれる映画です。

「世界を変えるために」小さなことからコツコツと、世界に広がっていくといいね

以前アップした「セヴァンの地球のなおし方」のセヴァン・スズキのお父さん、
生物学者で環境活動家の日系カナダ人デヴィッド・スズキさんや、
ノーベル平和賞受賞者である南アフリカのツツ大司教、
言語学者のチョムスキー氏も登場します。

西洋的弱肉強食の論理を説く、懐かしい「ウォール街」のゲッコーの名台詞シーンもあります。
マイケル・ダグラスが若くてクール!

喜多郎さんの音楽が使われているそうです。




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 ***** 見た 映画 *****

 6月3日 「I AM You have the power to change the world」DVD

 6月5日 「あの日 あの時 愛の記憶」DVD ドイツ映画