映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

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近距離恋愛  MADE OF HONOR

2008-07-26 | 映画 か行
水曜日はレディースデイ!
いつもは行けない水曜日だけれど、今日はお休み~
早速映画をチェック!
予告で見た「あの日の指輪を待つきみへ」の公開が始まっているじゃあないの!
欲張って、109シネマズ川崎で2本見るぞ~と勢い込んだのに・・・
9:30の「クライマーズ・ハイ」は、もたついてるうちに間に合わん
「あの日の・・・」一本で我慢するかと昼過ぎに到着!

えぇ!?何なのこの列?いつになく賑々しい。
そうか、夏休み~、子ども連れが多いはずやなぁ。
「ポニョ」か「ポケモン」、それとも
「アン~パン~マン~」?などと心の中で歌いつつ最後部へ。

えええええええっ?!!!満席にて売り切れですって・・・
その上次回上映は18:15開始だと!
アカン、交通費をかけて出てきたのに・・・呆然。

そうだ!川崎にはチネチッタがあるという訳で、「近距離恋愛」と相成りました。
実は前日この2本で何とか見れないかと画策、断念したのでした。
でも悔しい~、満席で見れなかったのは初めて。レディースデイ恐るべし。

  
                                    チネチッタ@川崎エントランス

    

     近距離恋愛   MADE OF HONOR


    


「グレイズ・アナトミー」で不死鳥のごとく蘇り、「魔法にかけられて」で久しぶりに映画で主役!
と思ったら、今回の映画にも続いて主演!
髭が濃いしハンサムっていうんじゃあないんだけれど、
昔から何となく気になるパトリック・デンプシー。
影ながら応援していたよ
でも30歳そこそこって役はいくらなんでも・・・、ちと苦しいよ。

館内はほぼ満席。やっぱり女性が97%くらい。
男性は、彼女若しくは妻に連れられ無理やりっぽい方が4、5人いらっしゃいました。
私の右隣に座ったお兄さんは居心地悪そうだったです。


< ストーリー >
プレイボーイのトムと、メトロポリタンミュージアムで絵画修復の仕事をするハンナ。
1998年、大学のパーティーで人違いで出会った二人は10年の時を経て、
付き合った相手から食べ物の好みまで、お互いを知り尽くした大親友。
知りすぎたが故に、恋愛感情が入り込む隙がない。
そんな時、仕事でスコットランドに行ったハンナがイギリス貴族のコリンと婚約し、
筆頭花嫁付添い人の役を大親友トムに依頼。
二人の熱々ぶりに嫉妬し、ハンナへの気持ちに気付くトム。
何とかこの結婚を阻止しようとするが・・・。



タイトル「MADE OF HONOR」は本来「MAID OF HONOR」で未婚女性が勤める筆頭花嫁介添い人。
「幸せになるための27のドレス」にも登場したブライドMAID
お揃いのドレスを着て花嫁さんをサポートするお友達。
一方、タイトルのMADEは「~された」とか「~でできた」って訳で、
花嫁介添い人にされちゃった・・・というダジャレですね。うまい
「近距離恋愛」って近過ぎて気付かないってのはわかるんだけれど、「近距離列車」みたいで色気も何もあったもんじゃない。
日本語タイトルにシャレが反映されないのは残念ですが、いたしかたありますまい。

オープニング、タイトルバックのハートとお花ひらひら~は、カジノ・ロワイアルを思い出したよ

ストーリー的にはジュリア・ロバーツ主演、初々しいキャメロン・ディアス出演の
「ベスト・フレンズ・ウエディング」の逆バージョンか。
相手が結婚すると知り、異性を意識していなかった親友を何とか取り戻そうと大騒ぎ。
逃がした魚は大きいかも?


のっけから、世界を沸かせたビル・クリントンとモニカ・ルインスキーネタで笑わしよんなぁ~。
あの不適切な関係から、もう10年も経つんですね~、光陰矢のごとし。早いもんです。

恋愛相手をとっかえひっかえ、独身を謳歌し男友達とバスケに興じるトムが、180度転換、
タイムリミットを目前に、ひたすら一人の女性を振り向かせようと頑張るところ、
そんなトムのために知恵を絞るバスケ仲間の面々がとても可笑しい。

バーバラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード主演の「追憶」や、
ダスティン・ホフマンが女装に挑戦した「トッツィー」の監督で時々俳優もおやりになった
シドニー・ポラックがトムの父親役。最近お亡くなりになった由、御冥福をお祈りします。
この父親、若いお姉さんと7回の結婚・離婚を繰り返す奔放なオヤジかと思いきや、
「諦めたら、俺みたいに一生後悔するぞ」とトムを励ますいい面も。
「ユー・ガット・メール」のダブニー・コールマンとトム・ハンクス親子を思い出しちゃいました。
このお父さんも息子より若い女性と結婚・離婚を繰り返し、
自分の子供といっていいような年の離れた兄弟がいましたっけ。


現代的ニューヨーカーのアメリカ人トムと、
伝統と格式を重んじ素晴らしい自然に囲まれたスコティッシュのコリンとの対比が面白~い。
アメリカの男たちが大好きなバスケは、イギリスじゃ女のスポーツですって?!
イギリスではラグビーかポロ、スコットランドではタータンチェックのスカートはいて
力自慢の丸太投げ、樽投げですか。
アリナミンのCMで首の周りで石の玉を回すのあったけれど、あのノリね。

アメリカ映画の結末はハッピ~に決まっていると思いながらも、
どうなんのよ?時間切れ?!とドキドキしちゃったよ。
前出の「ベスト・フレンド・・・」じゃあ、ジュリア・ロバーツは彼氏を取り戻せなかったもんなぁ。

最後は都会派トムが馬に乗った王子様に~って、ずっこけです。
「ある夜の出来事」や「卒業」みたいにさらうことなく、一発殴られて一件落着。
あれだけ準備して結婚式に臨んで花嫁取られたひにゃ~、一発殴るぐらいじゃあ収まらんでしょう。
アメリカファッションのハンナの花嫁姿は洗練された感じ
一方、イギリスファッションは・・・みなまで言うな伝統と格式・・・ね。


ハンナを演じるミッシェル・モナハン、リブ・タイラーとマルシア・ゲイ・ハーデンを足して2で割った感じ。
サンドラ・ブロックも入ってるかも?
  
   リブ・タイラー           モノハン             ハーデン

残念ながらイギリスには行ったことがないので、どこかはわかりませんが
スコットランドの景色の何と美しい~こと
スクリーンで見るとひと際迫力のある景色です。行ってみた~い!




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***** 今週 見た 映画 *****

 7月21日 「用心棒」DVD

 7月22日 「エンジェル」DVD フランソワ・オゾン監督

        「カンナさん大成功です」DVD 日本アニメ原作の韓国映画

 7月23日 「近距離恋愛」@チネチッタ川崎

 7月25日 「グレイズ・アナトミー シーズン3 VOL.2」DVD 
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「生きる」・・・お知らせ

2008-07-25 | その他
       


 前回の映画、黒澤明監督の「生きる」が

NHKのBS2で8月2日9:00より放映されます  

 この機会に 是非 ご覧下さい  


        

  
コメント

生きる

2008-07-20 | 映画 あ行
リメイクが相次ぎ、NHK-BSでも放映され黒澤作品に再び注目が集まっている今日この頃、
個人的には「王様と私」→「荒野の7人」→「七人の侍」という連想ゲームのような流れで
黒澤作品の面白さにたどり着き、じわじわっとマイブームになりつつあります。

「最高の人生の見つけ方」でアメリカ的「余命数ヶ月と宣告されたらどうするか」を見たので、
同じテーマの黒澤作品「生きる」も鑑賞

黒澤作品第二弾は「生きる」。

     *************

          生 き る  1952

     *************


アメリカと日本の違いということのみならず、56年の時間的ギャップがあるので、
単純に比較することは出来ません。

しか~し、画像が白黒で不鮮明ではありますが、
CGやハイビジョンなんぞに慣れた今見ても、
古さを感じないし、白黒が効果的ですらあり、
テーマが余命3ヶ月というのに不謹慎かもしれませんが、すごく面白いのです。

            

< ストーリー >
市役所の市民課課長、佐藤勘治は勤続30年無欠勤を目前に体調不良のため病院へ行く。
医者は胃潰瘍と言うも、症状から胃癌とさとる。
妻を早くに亡くし男手一つで育て上げた息子光男はの成長のみを楽しみにしてきたが、
結婚した息子は父親の退職金と預金をあてに洋風の生活を夢見て、父の異変にも気付かない。
絶望のあと、自分の人生を振り返り「一体今まで何をしてきたのか…」と深い後悔にさいなまれる。
そんな時の若い女性職員小田切とよの元気に生きる姿に触発され、
残りの日々を自分が属する官僚体制と戦いながら、公園造りに賭け「生きる」意味を取り戻す。



脚本はトルストイの短編「イワン・イリイチの死」を下敷きに書かれたそうですが、
何かをすることで余命を充実したものにするという「最高の・・・」や「生きる」の結末とは違うようです。

黒澤監督はロシア文学がお好きなのでしょう、
ドストエフスキーの「白痴」やゴーリキーの「どん底」を下敷きにした映画も作っておられます。

最近、新訳のロシア純文学がちょっとしたブームで、本の売れ行きが好調だそうです。
昔「罪と罰」上下2巻で力尽きた私ですが、この夏、黒澤作品を見てから読んでみるのも一興かと。
そういえば「見てから読むか?読んでから見るか?」なんて角川の宣伝コピーありましたっけ?


「生きるとは」という永遠のテーマと共に、痛烈な官僚主義批判をからめ、実に見ごたえある映画です。
半世紀以上前にこんなに真向から官僚批判をして大丈夫だったんでしょうか?
それよりもっと驚くのは、
戦後直ぐ、
いえ、主人公は勤続30年ってことは昭和初期で既に官僚はこんなにひどい状態だったのか…
ってことです。
監督はこれでもかとばかりに登場人物に、ナレーションに、と批判の言葉と皮肉を言わせます。

織田裕二主演の「県庁の星」で随分と公務員を皮肉ったドラマだなぁと喝采、
「前向きに善処いたします」=「何もしない」というお役所言葉だなんて学習したけれど、
黒澤はもっともっと辛辣です。

最初の10分ほどでこんな感じ。
・陳情に来たおかみさん達をのらりくらりとたらい回し、挙句振り出しの課に戻る。
 (おかしくって笑っちゃいます)
・主人公は役所生活で死んだも同然、死骸である。
・役所では地位を守るためには何もしないのが一番いい。
・休暇を取らないのは、いなくても誰も困らないというのがわかると困るから。


主人公は息子だけを生きがいに、役所と家を往復し、
30年ただただ死んだも同然のような単調な生活をつづけてきた。
課長席の後ろには紐で結わえた資料が山積み。
英語でお役所仕事は'red tape’英国で公文書を赤い紐で結んだことからきています。

無欠勤30年を目前に、体調不良の為病院へ。
最近でこそ告知もあるでしょうが、当時はやはり余命宣告なんてありえなかったのでしょう。
余命半年というのは医者から言われたわけでなく、待合室で胃癌に詳しいお喋りな患者から、
癌になったらこういう経過をたどるんだと聞き、自分の症状と合致することに愕然とする。
医者は患者のいない所で「あの患者は後どれくらい?」なんて残酷な会話を交わしている。
役所の職員たちも、体調が悪そうと知るや、後釜人事の話に花が咲く。

    

死期を悟った後にまずくるのは茫然自失、そして絶望、いっそ自殺をと思うも死にきれない。
息子や兄弟に伝えようとするも、彼の体調不良に全く気付いていない彼らに、
女性がらみかと変に勘ぐられる始末。
遊ぶこともなく真面目一筋だった自分の人生は何だったのか?と振り返る。
身内でなく、居酒屋で出合った見ず知らずの作家に胃癌であることを明かす。
作家曰く、
「不幸には立派な一面がある。不幸は人間に真理を教える」
「余命宣告が人生に対する目を開かせた」
「死に直面して初めて生命がどんなに美しいものかを知る」と言い、
「無駄に使った人生を取り戻しに行こう」と遊びを教わるも、騒ぐほどに気分は落ち込む。

ここに登場するのが役所を辞める決心をした若い職員小田切とよ。
小田切みきさん演じるとよは、生命力に溢れ弾けんばかりの笑顔と溌剌とした若さを振り撒く。
何とキュート!これほど爽やかな若さを放出している女優さんって今、いないよなぁ~。
あの笑顔には、主人公ならずとも魅かれます。
記憶の中にある小田切みきさんは、チャコちゃん(四方晴美)のお母さんだったのに・・・
お若い方にはわかりませんねぇ

役所を辞める理由が傑作です。
「(役所は)退屈で死にそうよ」
「新しいことは何も起こらない。一年半でもう限度よ」
「あんなとこ(役所)に30年、考えただけで死にそう」
「1時間で出来る仕事を1日かけてするんだもん」
彼女はあだ名付けの名人です。何と機知に富んだネーミング!
市民課職員に、
「人絹の鯉のぼり」・・・ぺらぺらで口先ばかりで中身は空っぽ。お高く留まってる。
「食堂の定食」・・・毎日変わりばえしない
「糸こんにゃく」「どぶ板」「ハエ取り紙」「なまこ」などなど、めっちゃうまい!
何と、主人公のあだ名は「ミイラ」、面と向かって言っちゃうんだもんなぁ~。
過去30年、肉体的には生きているけれど、精神的には死んだも同然。きっついなぁ。

生きるエネルギーに溢れた彼女に惹かれ、ふれあう中で、
死ぬ前に何かをしたいという気持ちがこみ上げてくる。
だが「何をしたいのかわからない」という言葉に、
「課長さんも何か作ってみたら?」と言うとよ。
その一言で「わしにも、役所ででも、できることがある」と何かを思いついた主人公。
バックに流れるハッピーバースデイの音楽


いよいよと行動開始と思いきや、さにあらず。一転、場面は主人公のお通夜へ。
本編の三分の一はお通夜の場面。
普通なら、人が変わったように東奔西走、ついには役所の面々を動かし、
公園を作った主人公で、ジ・エンドとなるところ。

ところが、
ここからは「何故突然人が変わったように公園作りに情熱を傾けたのか?」
という主人公の行動の謎解き形式を取りながら、
余命を精一杯生きた姿と、
対照的に生きているが死んだも同然という役所の実態をあぶりだす。

お通夜の席で遺影を前に、家族、職場の上司・同僚の謎解きが始まる。
そして少しずつ明らかになっていく主人公をめぐる事実。

映画の冒頭たらい回しにされた陳情を取り上げ、下水工事と公園作りに残る日々を捧げた主人公。
地域住民にも慕われ、仕事を成し遂げた直後の雪の降る日、
ブランコの乗って「ゴンドラの歌」を歌いながら亡くなったことが明らかに。
命短し、恋せよ乙女。赤き唇、褪せぬ間に。

      

主人公の努力のよって出来た公園事業を、自分の手柄だという助役。
ごもっともと言い、主人公の遺影の前で助役にゴマをする面々。
皆さんお酒が入って、意気軒昂。
余命いくばくも無いといわれたら、僕だって佐藤さんみたいに出来ると啖呵を切る。
最後には、今からだってお役所仕事を変えることが出来る、やるぞーと威勢がいい。

残念ながら、当然のこと(なのがまことに残念)かもしれないけれど、
翌日しらふになったら少々の罪悪感を抱きつつ、み~んな知らんぷり。何も変わらず。
やっぱり役所は役所でありました。

戦後の50年代からどげんかしときゃあ、もうちょっとなんとかなったかも?
黒澤監督も何とかならんのか?!という腹立たしいお気持ちだったのではないでしょうか?

でも、少なくとも主人公の佐藤さんは短い時間ではあったけれど精一杯生き、
ブランコを漕ぎながら充実した日々に満足されたであろうことが救いになっておりました。

洋の東西を問わず、残された時間はあと少しと言われて初めて真剣に生きようと、
何か生きた証となるような、自分で納得できる何かをしようと感じるのだなあと実感。

人生って皮肉よね~。
「不幸は人間に真理を教える」、けだし名言。


「生きる」と「七人の侍」での志村喬さんの演技は素晴らしかったです。
監督の「世界の~」の面目躍如でありました。

出演者の中で現在も元気に活躍されているのは菅井きんさん。
乳飲み子を抱え、役所に陳情にきたおかみさんの一人です。お若いなぁ。



随分前からハリウッドのリメイク話しがでて、
スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演なんて噂が流れているけれど、
なかなか具体的になりません。
でも、この映画はリメイクしないで、そっとしておいて欲しいなぁ~。



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 ***** 今週 見た 映画 *****

 7月13日 「チャックとラリー おかしな偽装結婚」DVD アダム・サンドラー

 7月15日 「ホット・ファズ」 シネマGAGA!@渋谷 英国の警察アクションコメディー。

  今回は渋谷で迷子にならないように、目印になる西武百貨店とマルイシティを目指し、
  早めに「眼鏡市場」のお兄さんに尋ねました。
  優しいお兄さんは就業中にも拘らず映画館前まで一緒に行って下さいました。ありがとう!!!
  ヨン様ファンではないですが、次回眼鏡は渋谷の「眼鏡市場」で作ろうかなぁ。

 7月18日 「グレイズ・アナトミー シーズン3」DVD

   ついに、シーズン3お目見え! 待ちに待ちました。
 ブログも書かず、VOL.1 エピソード1~3 イッキ~!

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告発のとき

2008-07-12 | 映画 か行
今月1日、前回の「歩いても、歩いても」と二本立てでチネチッタ川崎にて鑑賞。

監督のポール・ハギスは
「ミリオンダラー・ベイビー」「007カジノ・ロワイアル」「父親たちの星条旗」の脚本家にして、
アカデミー賞作品賞に輝いた「クラッシュ」が初監督作品ですって(もちろん脚本も)!
そして本作が監督第2作目。すんごいな~

!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?

     告発のとき  IN THE VALLEY OF ELAH

?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!

< ストーリー >
国旗に始まり、国旗に終わった。
イラク帰還兵の息子が失跡したとの電話。
彼を捜す元軍人の父(トミー・リー・ジョーンズ)と自宅で連絡を待つ母(スーザン・サランドン)。
息子は無残な姿で発見され、父は地元刑事(シャーリーズ・セロン)と共に犯人捜しに奔走する。
犯人は?何故息子は殺されたのか?そしてそこから見えたものは・・・


映画を含め、欧米の文化を理解するにはキリスト教の知識が不可欠ですね。
クリスチャンじゃないし・・・難しい。

この映画の原題は「In The Valley of Elha エラの谷で」。
イスラエル王国の歴史を記した旧約聖書のサムエル記で
東から入ってきたイスラエル軍と西から入ってきたペリシテ軍が
真正面から衝突することになった場所がエラの谷(エルサレムの南西約20KM)。
ここはイスラエルの観光ルートに入っているようですね。
    

イスラエル兵達が尻込みする中、幼い羊飼いダビデが志願し、ぺリシテ人の代表戦士大男のゴリアテと戦う。
手には一本の杖(信仰)と5つの石(勇気)と石投げ(パチンコ)。
額に石を当て、見事ゴリアテを倒す。
ダビデ・・・そうミケランジェロの彫刻で有名ですよね。
ちなみに彼の瞳はです。

映画の中ではトミー・リーがシングルマザー刑事の息子デビッドに、ダビデの逸話を話して聞かせる。
(デビッドってダビデの英語読みですね!)
勝てそうにない大きなものに、あきらめず、勇気を持って果敢に、自分を信じて立ち向かえという教えのようです。



無事にイラクから帰還したはずの息子に一体何が起きたのか?
失踪後、何箇所も刺された挙句焼き捨てられた無残な息子の遺体。
優秀な軍警察官だった父が自ら捜査に乗り出す。

この家族は軍人一家。
父は引退しても軍隊式ベッドメーキングや手荷物管理を行ない、息子二人をも軍人にした筋金入り。
自分が長年所属した軍を信頼し、国家のために働くことを誇りにしている。
長男は既に戦死。

ベット・ミドラーが戦地を慰問する歌手を演じた「サンキュー・ボーイズ」で、
第二次世界大戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争での兵士の規律や人間性が徐々に悪くなっていくのを感じたが、
アフガンやイラクではもっとひどいことになっているのか・・・と気が重くなる。
父は、イラクでの状況が自分の知るものとは違うという、時代の流れにも気付いてはいなかった。

徐々に浮かび上がってくる衝撃の事実。
調べを進めていくうちに、思いもよらなかった、自分の知らない残酷な息子の姿を知り愕然とする父。
息子が戦地からかけてきた電話、
泣きながら「もうだめだ、帰りたい」という息子を突っぱねた父。
あの時はまだ自分の知っている正気で優しい息子だったのに・・・



戦闘のなかで心をすり減らし、恐怖と自己嫌悪の日々のなか、
鈍感にならなければやっていけない極限の狂気と絶望が描かれる。

それは息子一人がおかしかったわけではなく、
一見普通に見えるが、理由らしい理由もなく仲間を殺し無残に遺体を焼き捨てた同僚たちも、
犬を殺し、同様に妻を溺死させた別の帰還兵も同じだ。
みんなどこか壊れてしまっている。

昔から、戦争でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、
別人のようになってしまう小説やドラマは多い。
ただこの映画は2004年プレイボーイ誌に「DEATH AND DISHONOR 死と不名誉」というタイトルで
掲載された事実をもとに作られているという点で、迫ってくるものが大きい。

勝てそうにない大きなものに、勇気を持って、自分を信じて立ち向かえという「エラの谷の教え」は
もはや通用しない。

上下を逆にした国旗を掲げるのは国家が困難に直面している印とか。
映画の冒頭、間違って掲げていた旗を正した主人公が、最後に意図的に逆にするシーンが切ない。

軍隊一筋の夫の影響で息子2人を失った母サランドンの悲しみは深いなぁ。

シャーリーズ・セロンはすっぴん?かと思うほど飾らず、
セクハラと戦いながら息子を育てるシングルマザー刑事を好演。
青あざつくって、鼻にはバンドエイド、でもやっぱり美しい。


  *おまけ*

出演シーンは短いけれど、あらっと思う俳優さんがあちこちに。

★ジェームス・フランコ・・・スパイダーマンの親友ハリー役
★ジェーソン・パトリック・・・スピード2でサンドラ・ブロックの恋人役
★ジョシュ・ブローリン・・・「ノーカントリー」で殺し屋に追っかけられてました



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 ***** 今週 見た 映画 *****

 7月 7日 「バーバー 吉野」 DVD

 7月 8日 「トランスフォーマー」DVD

       「エシュロン 対NSA網 侵入作戦」DVD 

 7月12日 「長江哀歌 STILL LIFE」DVD

       
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歩いても、歩いても

2008-07-09 | 映画 あ行
神奈川地区ではチネチッタでしか上映していない「歩いても、歩いても」。
ファーストデイ割引きを利用すべく、久しぶりに川崎まで足を伸ばして来ました。


    

      歩いても、 歩いても

    

 
      

とりたてて何かが起こるわけではない。

ある夏の日、両親の住む家へ里帰りをする次男一家と長女一家。

母(樹木希林)はいそいそと食べきれないほどの料理を準備する。
開業医を引退した父(原田芳雄)は手持ち無沙汰。
次男良多(阿部寛)は絵画修復師だが現在失業中。
夫と死別した子連れのゆかり(夏川結衣)と再婚したばかり。
ゆかりは義父母と小姑を前に緊張気味。
長女ゆかり(YOU)は夫と子供二人で、両親に同居話を持ちかけている。

御近所の噂話や昔話に花が咲く。
「こんな話、するする~」と、思わず笑ってしまう母と長女の会話。
あまりにリアル!
是枝監督は、子供の頃こんなオバサントークをさりげなく聞いておられたのでしょうね。
母はなかなか辛辣で、時々毒のある言葉を吐き本音が見え隠れする。
こういう場で男は手持ち無沙汰だ。昼寝をするか子供の世話をするしかない。



ごくありふれた、どこの家庭でも毎年盆と正月に繰り広げられる帰省風景だ。


ただ一つ違うのは、
その日が15年前海で溺れかけた少年を助け、命を落とした長男の命日であること。
是枝監督はカンヌで地元の記者から「いつも不在者と残された者を描いている」と言われたそうな。
15年前長男に助けられた少年は、毎年命日に線香をあげにやって来ていることが伺われる。
「あんな奴のために・・・」と吐き捨てる父、
「来年も来てね」と言いながら、「忘れてもらっちゃあ困るんだ」と呟く母。

不在者たる長男の死が、残された家族に影を落とし、今も癒されることはない。
期待の跡取りを失った両親の失意、
優秀だった兄へのコンプレックスと父の期待に答えられない自己嫌悪。
長男の墓参りで見た蝶が部屋の中に入っているのを見て、
頭がおかしくなったのかと思うほど「純平だ!純平が帰ってきた!」とはしゃぐ母。

「何にも悪いことなんてしていないのに、どうしてうちの子が・・・」という
悔しい、やり場のない思いを引きずりながらも時は流れていく。

題名の「歩いても、歩いても」はどういう意味かしら?と思っていたら・・・
母がかけた懐かしのレコード、石田あゆみの「ブルーライトヨコハマ」!
この曲を知っているってことは年齢がわかるかも?
歩いても~、歩いても~、小舟のように、私は揺れて~、揺れてあなたの腕の中~」
(よくもまあ、こんな艶っぽい歌を小さな子供までが口ずさんでいたもんですが・・・)
人生は水の流れに翻弄される小舟のようなもの、
濁流や、穏やかな流れもにも、ただ流されていくってことでしょうか?

赤い京浜急行と、京急バスにこの歌謡曲、映画の舞台は横浜市金沢区あたり?



男性にとって父親の存在とは、立ちはだかる大きな壁なんでしょうか?
勿論父がどういう人かによるでしょうが、父の後を継ぎたいという思いは強いのでしょうか?
良多は医者になりたかったがなれず、絵画の医者というべき修復師の道へ、
ゆかりの連れ子あつしも、亡くなった父のようにピアノの調律師になりたいと心に決めている。
父が大きいと同じ道は辛いだろうなぁ。
でも同じ分野でも、父を越え、父の果たせなかった夢を果たしたいといった場合は
いいのかも。
貴乃花しかり、
現在頑張っているF1レーサー中島悟の息子(先日、テレビ番組で見ました)しかり。


樹木希林さんの手際よい料理シーンは耳と目で楽しませてもらいました。
昔、「外国映画にはラブシーン、日本映画には食事のシーンが欠かせない」な~んて言いましたっけ?


何故、家族・親類が集まると昔話に花が咲くのか?
何度も、皆が知っている同じ話が繰り返し持ち出され
「そうそう、~ちゃんがね」「そうだった、そうだった」と、みんなの笑いを誘う。
楽しかったこと、面白かったことを反芻することで、その時の幸せな気持ちを取り戻し、
それを共有することで幸せワールドが広がるのかしらねぇ、と姉と話したことがありました。
しかしながら、家族の中でいつもいじられる存在が・・・
我が家でも親戚一同が集まると同じようなことが起こります。
こういう時いじられるのは下の子で、次女の私は
「またこの話?いつまで私を笑いの種にするのよ!」とふてくされたものです。
現在は姪っ子に代替わり。Tちゃん、心中察して余りあるものがあるよ~

最後の良多の台詞「いつもちょっとだけ間に合わないんだ」と言って思い出す相撲取りの名前「黒姫山」
どんなお顔の力士かまったく記憶にないのですが、
うちの母もよく「**は黒姫山にそっくり」なんて
今で言う「ブサカワ(不細工かわいい)」の代表として黒姫山を使ってましたっけ。
親孝行、したいときには親はなし。

「人生は、ほんのちょっと間に合わないことに溢れている」・・・この映画のコピーです。



ちょっと小津安二郎監督の「東京物語」を思い出しました。
年老いた父母が上京、亡くなった息子の嫁(原節子)の家に泊まる。
これも特別なことは何も起こらない「不在者と残された者」の映画でした。


全編に流れるゴンチチの曲がほんわかりん
ゴンチチの曲では「放課後の音楽室」がいいなぁ~。


最近の日本映画はほとんど「****(映画のタイトルが入ります)制作委員会」という
学校の委員会活動みたいなネーミングでプロデュースするんですねぇ。
資金集めの看板みたいなもんでしょうか?

今年の夏は「とうもろこしの天ぷら」に挑戦しよう~と。
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ディスタービア  DISTURBIA

2008-07-05 | 映画 た行
「ディスタービア」?ってどんな映画?
誰が出演してんのん?
タイトルを見ても「?」の方が多いんやないかしら?


前回の「インディアナ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」で
インディーの後継者になりそうなマットを演じていたシャイア・ラブーフ。
彼が主演の青春サスペンス映画です。

シャイア・ラブーフ、インディーの前にどこかで見たような・・・

そう、ロバート・ケネディー暗殺を描いた「ボビー」で、
選挙キャンペーンに参加する高校生の役でめがねをかけて出演していました。
アンソニー・ホプキンス、シャロン・ストーン、デミー・ムーア、マーティン・シーンなどなど、
多くの有名俳優競演の中でも、チョイ役ながら結構印象的でした。


という訳で、彼が主演の「ディスタービア」DVDを借りて見てみました。

スピルバーグの秘蔵っ子だとか、この映画もドリームワークス作品です。


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       ディスタービア   DISTURBIA

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しょっぱな、釣りをしながらの父との会話
「見られた?」
「見てはいないが俺たちが見ていることに気づいている」という台詞はと~っても意味深。
まさにこれから始まる手に汗握る後半のシーンにリンク!


「-bia」という接尾語は「~な生態をもつもの」という意味ってことは、
タイトルディスタービアは「平穏・治安を妨げるもの」ってな意味でしょうか。

久々に、手に汗握るハラハラドキドキのサスペンス映画でした。

一応昨年、劇場公開されていたんですね、ま~たく知らんかった・・・
全米3週連続NO.1、10週連続トップ10入りってことで、
アメリカでは結構ヒットしていたんですね。

<ストーリー>
作家の父と釣りに出かけた高校生のケールは、帰宅途中で交通事故を起こし父を失う。
運転していた自分に責任があると感じ、授業にも身が入らない。
スペイン語の授業中、カッとなって教師を殴り夏休みの3ヶ月、自宅軟禁処分を受ける。
暇を持て余した彼は、双眼鏡で近隣の家を観察。隣家で女性が殺される現場を目撃してしまう。


と、ここまでのストーリーで懐かしのヒッチコック「裏窓」を思い出されるのではないでしょうか。

***裏窓 REAR WINDOW ***

1954年制作、主演はジェームズ・スチュアートとグレース・ケリー
事故で足を骨折したカメラマンのジェフは車椅子の生活。
望遠レンズで隣のアパートの住人達を観察するうち、喧嘩の絶えなかった夫婦の妻が姿を消す。
夫の不審な行動に恋人リザと調査を開始するも、犯人に気付かれ・・・
犯人の夫を演じたのは「鬼警部アイアンサイド」のレイモンド・バーでした。

本作で主人公ケールは裁判所命令で足首に監視システムを付けられ半径30mしか移動できません。
30mを越えるとパトカーが急行、拘束され
驚くのは、この装置のレンタル料自腹です。
自分で払って自分の行動を規制するっつうのはなんともはや・・・。
1日12ドル、3ヶ月着けたら約12万円!ちなみに、カード払いオッケーですって。

今の時代、家から出られなくても楽しめるものはい~っぱいあるじゃな~い。
そう、ケーブルテレビに、ゲーム、音楽
しか~し、ぐうたら生活にぶち切れたお母さん、
X-BOX,i-Tuneを解約、挙句にテレビのコードをハサミで

お母さんを舐めたらあかんぜよ!
何せ「マトリックス」で黒ずくめにサングラス、壁を駆け上って戦ったトリニティーですから。
今回キャリー・アン=モスはそんな能力を封印し、優しい息子思いのお母さんです。

という訳で、現代社会でありながらケールは家で暇を持て余し、「裏窓」同様
双眼鏡で覗き、いえ御近所観察と相成ります。

  

恋人も勿論登場。隣に越してきたアシュリーとは初々しい10代のラブストーリー。

友人役の韓国系アーロン・ヨーは「ラスベガスをぶっつぶせ」で見たばかり。
ひょうきんな友人役で、犯行を暴くべく主人公ケールと危ない橋を渡ります。

犯人役はデビット・モース。
優しいお顔立ちなのに、だからこそ?「ダンサー・イン・ザ・ダーク」など悪役が多いですね。

        
 キャリー・アン=モス    デビッド・モース

後半、隣人の異常な行動に気付いてから、友人・恋人・母を巻き込み、
デジカメ、携帯電話、パソコンを駆使して追い詰めていくところはぐいぐい引き込まれました。

双眼鏡で覗いた時に犯人と目が合っちゃうとこなんか怖~い!
確か「裏窓」にもありましたっけ?
途中から自分でも双眼鏡で覗いているような感覚になりました。

ソファーにもたれて見ていたのに、いつの間にか身を乗り出しておりました。
彼の足につけられた邪魔な監視システムが逆に役に立つのもうまい

殺人鬼の家で母を捜すシーンは「インディー・ジョーンズ」さながら
住宅街のはずなのに、洞窟のよう。
流石スピルバーグ率いるドリームワークス作品です。


ブログなどの評判は芳しくないようですが、
「裏窓」を下敷きに、若者を主人公に最新テクノロジーで犯人とやり合いつつ、恋愛も絡め、
なかなかどうして、面白い

どんな映画かも知らず、全く期待せずに見たのがよかったのかしら?
やっぱり「インディー」は期待しすぎたなぁ~。


冒頭の自動車事故のシーンが衝撃的で、よそ見をせずに安全運転を心がけようと思った次第です。
目指せ、ゴールド




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 ***** 今週 見た 映画 *****

 6月29日 「ディスタービア」DVD

 6月30日 「憑神」 DVD 浅田次郎原作、妻夫木聡主演

 7月 1日 「歩いても 歩いても」 @チネチッタ川崎

       「告発のとき」 @チネチッタ川崎 
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七人の侍 と 荒野の七人

2008-07-02 | 複数の映画
以前「王様と私」を取り上げたとき、
ユル・ブリンナーといえば、やっぱり「荒野の七人」だろうと、昔なつかし~い映画をDVDにて鑑賞。
原題は「マグニフィセント・セブン The Magnificent Seven」だったんだ。
「素晴らしい7人」「堂々とした7人」「素敵な7人」、な~んか締まんないなあ。
やっぱり「荒野の7人」ってタイトルはナイス

ん?、最近の「ファンタスティック・フォー The Fantastic Four」の題名と似てる~。

しか~しその前に、やはりオリジナルである黒澤明の「七人の侍」を見ないわけにはまいりません。

        


*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!

    七人の侍 (1954)  と  荒野の七人 (1960)

*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!*!

おいおい、今さら黒澤って・・・常識だろ、見てなかったのかよ!?のお叱りを受けそう

子供の頃、父親と一緒に多くの黒澤作品も、「荒野の七人」も見た記憶があるのですが、
忘却のかなたへ~。
という訳で、もう一度しっかり鑑賞してみました。


黒澤監督も三船敏郎も、晩年の記憶しかなく、
今流行の「3の倍数にこだわるお笑い芸人(結構好きですが…)」じゃあないですが、
お二人の名前の前に必ず付く枕詞「世界の」というフレーズに少々違和感を覚え、
なんとなく敬遠しておりました。

三船は「男は黙って****ビール」のキャッチフレーズ(古い~)通り、
戦争映画では寡黙な役が多かったように思います。
こんなにひょうきんな役を演じる人だったんだとちょっと、いえ、かなりびっくりです。


とんでもない誤解でした
「七人の侍」のなんと面白かったこと!

「荒野の…」は80%リメイクではありますが、決定的な違いがあります。

<ストーリー>  
戦国時代の貧しい農村。収穫期が近づくと盗賊と化した野武士に襲われる。
次に襲われたら飢え死にするしかないという追い詰められた状況で、
野武士に立ち向かうべく侍たちを雇うことを思いつく。
7人の侍の指導を受け恐怖におののきながら立ち上がる百姓たち、壮絶な戦いが始まる。

4つの点から比べてみました。

<1、農民の貧困度>

オリジナルの百姓は本当に食うや食わずのぎりぎり、着ているものもボロボロで
崖っぷち、
次回襲われたらもう飢え死にしかないという状況で、浪人を雇わざるをえない必然性がある。

一方、メキシコの農民はといえばそんなに困っている風には見えません。
服装もきれいだし・・・
と思ったら、1954年制作ゲーリー・クーパー、バート・ランカスター主演の「ベラクルス」でのメキシコの描かれ方がひどいということで、メキシコ政府の検査官が入って厳しくチェック、「汚れた服などまかりならん」ということになってしまったらしい。


<2、助けを求める村落の地理>

 日本の村は山に囲まれた盆地。村へ入る道は限られ、立地にあわせて戦略を練る。
メキシコはだだっ広い平原の村。
これじゃ、戦略もなにもあったもんじゃないです。見晴らし良すぎて隠れる所あらへんよ~。

          


<3、七人の盗賊との戦い方>

勿論2で述べた地理的な違いが関係するのですが、
日本の方はどこから襲ってくるか、どのように対抗するかについて兵法に則った戦略を練り、
農民を動員して堀や罠を作る。
村での決戦を前に、敵の陣を襲いダメージを与え野武士の人数を把握。
決戦時、一人づつ倒した野武士を数えていく。
志村喬演じるリーダー島田勘兵衛の緻密な戦術に説得力がある。

メキシコのだだっ広い村でどうやって策を練るのかと思ったが、戦いにこれといった戦略はない。
敵の頭目と直接会って会話、挙句に村人には裏切られ一度は撤退を決めるが、再度戻って戦う。

「七人の侍」は戦国時代の日本。
百姓も侍(浪人たち)も生きるのに精一杯なのは同じ。
農民は弱く、ただただ搾取されるばかりかと思っていたら・・・
落ち武者を狩って取った武具や鎧が見つかり、負けてばかりでないこともわかる。
雇った侍に米を食べさせ、自分達は粟やひえしか食べていないのかと思えば、あに図らんや!
床下に食料や酒を隠し、いざという時に取って置きを出す。
百姓の出ながら百姓に嫌気がさし侍に憧れる三船演じる菊千代が、農民のしたたかさを暴露する。

<4、エンディング>

決戦で野武士を撃退し生き残った3人の侍たちが村を去る時、
農民達は戦などなかったかのように楽しげに歌いながら田植えをする姿を見て、
リーダーの勘兵衛が「勝ったのは百姓だ、俺たちは又負け戦だ」と言う。
この一言に、一見弱く見える農民こそが、したたかに、逞しく生きていることと、流浪の侍のはかなさが表されて切ない。

      

「荒野の七人」では、助けてもらった村の長老が同じ台詞である「百姓の勝利だ」と言い、ガンマンたちが納得する。
え~、それじゃ~あっか~んでしょうが・・・。長老が言ってどうすんのよ!


やっぱりアメリカ映画のエンディングはハッピー
生き残ったチコは村娘と結ばれ村に残る。

一方、津島恵子さん演じる村娘は、恋仲になった若侍木村功に一瞥をくれ田植えに参加。
侍と農民では結ばれないということを承知している。
この映画にそんなハッピーエンドなんかいりません。


黒澤監督は風と雨がお好きです。
迫力を出す為に、雨には墨汁を混ぜたそうです。やっぱりこの映画はモノクロですね。
敬愛するジョン・フォード監督にも「君は本当に雨が好きだね」と言われたそうです。

当時志村喬は49歳、三船は34歳。
他の侍や百姓たちを演じる役者さんたちも、
子供の頃見ていたTVドラマの常連ばかりで懐かしい~、お若~い。
映画の中で、まぁ~皆さん走る走る本当によく走る。


最近40歳の織田裕二主演で「椿三十郎」がリメイクされたけれど、
この貫禄、落ち着きの違いは何でしょう?
昔の俳優が老けていたのか、今の俳優が若く見えるのか?
織田祐二が頑張っているのはわかるんだけど、
三船(当時42歳)の「椿三十郎」を見た者にとっては、貫禄不足は否めません。


「荒野の七人」は元々アンソニー・クインが映画化しようと、ユル・ブリンナーに声をかけたそうですが、
二転三転、訴訟にまで発展し敗訴となり出演には至りませんでした。

当時、後々有名になる俳優ばかり、良くぞこれだけ集まったものだと感心してしまいます。
スティーブ・マックイーン(大脱走、華麗なる賭け、ゲッタウェイ)
ジェームス・コバーン(大脱走、電撃フリントGO・GO作戦、シャレード)
ロバート・ボーン(0011ナポレオン・ソロ、NHK BS TVシリーズ華麗なるペテン師:お元気です~)
チャールズ・ブロンソン(大脱走、マンダムのCM)
ホルスト・ブッフフォルツ(美しき青きドナウ、ライフ・イズ・ビューティフル)などなど。

      
盗賊のボスを演じたイーライ・ウォーラックは80歳を超え、昨年「ホリディ」に出演し今もお元気です。


当初アメリカでは当たらず、ヨーロッパで大ヒットとなり凱旋公開でヒット、
続篇は3つ、TVシリーズもあり、
1973年のSF映画「ウエストワールド」ではユル・ブリナーがそのままの扮装で
ロボットのガンマンを演じておりました。

「荒野の七人」は「七人の侍」に遠く及ばず、
黒澤監督、素晴らしい~

これからは、不定期に黒澤作品再発見と参ります。

「世界の~」じゃなくて「次回の~黒澤」は「生きる」です。
「最高の人生の見つけ方」はとっても楽天的・アメリカ的でよかったけれど、

「生きる」も・・・凄くいい~

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