映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

団塊ボーイズ

2008-02-29 | 映画 た行
平日、17時からの映画館って閑散としています。
「団塊ボーイズ」を一緒に見たのは、たったの10人。
映画館には催行最低人数はないから、たった一人でも上映してくれるんですよね?

お気に入りだった「藤沢オデヲン」は昨年3月末、惜しまれつつとうとう閉館になってしまいました。
オデヲンという名にふさわしく、レトロで落ち着いた雰囲気。
いつでも使える6回分で1枚おまけの回数券の残りを払い戻しに行った時、
ブースの中にいた二人の職員の方々がすっくと立ち上がり、
「長らくの御愛顧ありがとうございました」と深々と頭を下さって、
「こちらこそ、残念です」と恐縮してしまいました。

東京のミニシアター系の映画を上映してくれる頼もしい映画館だったのに、残念です。
昨年、前を通ったら選挙事務所?になっていました

川崎は大丈夫でしょうが、利用者の協力が必要ですねえ~。
「コンセッション」(売店ね)でコーヒー買って、
超・超微力ながら映画館を応援するぞー(微力すぎるって?)

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    団塊ボーイズ  WILD HOGS

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主役の4人は、一人でも主役をはれる方ばかり。

いわずと知れたジョン・トラボルタ。
 ウッディ:モデルを妻に、誰もがうらやむ実業家かと思いきや、
      妻に一方的に離婚を言い渡され自己破産で家も失った。
      落ち葉拾いのバイトにきた小学生にも、おとな気ない喧嘩をする始末。
      失うものはもう何もない状態。

コメディーもアクションもこなす、
ナインティーナインの岡村さんに雰囲気が似ているマーティン・ローレンス。
 ボビー:夢は小説家の下水配管工。妻や娘、義母に甲斐性がないとがみがみ言われる日々。

サンタクロース役が多いティム・アレン。
 ダグ :只今メタボでダイエット中、一人サラダしか食べさせてもらえない、ごく普通の歯科医。

何となく記憶に残る名脇役のウイリアム・H.メイシー。
 ダドリー:未だ恋愛に縁がなく、出会いを夢見るドジなパソコンおたく。
      バイクの運転もへたっぴーで、あちこちで笑いを誘います。

シンシナティーに住む中年4人組。
ダグの奥さんが手作りしてくれた「ワイルド・ホッグス」というチーム名ロゴを背につけた革ジャンで、
休日に近場をツーリング。

原題はこのチーム名「WILD HOGS」、野生のブタ、つまり猪。
それだけだと「何のこっちゃ?」ですが、この原題には深~い意味があるのを発見。

「go hog wild」で「普段やらないような胸の高鳴るようなことを、突然行なう」、
「go whole hog」には「とことんまでやる」、
hogそのものにも、(大型)オートバイ、特にハーレー・ダビッドソンを意味すると、
辞書にもあるじゃあ、あ~りませんか。
私にはわかりませんが、4人ともハーレーに乗ってんのね。
な~んてこの映画にピッタリの題名ざんしょ座布団4,5枚いっちゃいましょう。

日本語の題名「団塊ボーイズ」も「少年の心を忘れていない中年のおっちゃん達」という想像はつきますが、ストーリーの展開までは思い至らないですよね。
げに、タイトルは難しい~。
タイトル次第で観客動員数って、絶対影響ありますよね。


日々の生活にそれほど大きな不満はないが、
これでいいのかな~とストレスがたまる毎日を送っている3人が、
失うものなんてもう何~んにもない、ウッディー(トラボルタ)にそそのかされて
ボビーなんて奥さんに嘘までついて、
週末にちまちま近所を走ってライダーを気取りストレスを解消するのではなく、本格ツーリングを開始。
ケータイを投げ捨て(ここでもダドリーが笑わせてくれます)、
家族や日常から離れ、「ルールなし・計画なし」で一路西海岸を目指します。

気持ちは若いが、肉体的な衰えはどうしようもない。
開放感を味わいながらも、なかなか常識的な行動を捨てられない。
一歩一歩小さなことから変えながらトラブル続きの旅は続く~。

           

本物強面の無法者ライダーグループ(いわゆる族?ってやつですか)の溜り場に、
そうとは知らず入ったことで、とんでもないトラブルに巻き込まれることになる。
原因を作ったのは、これまたウッディー。
自分がしでかしたとんでもないことを、仲間に言い出せず、
カッコをつけて窮地に追い込まれるトラボルタが子供みたいでキュートです。

族といってもオッチャンばっかり。ハーレーは高価で若者が手を出せるもんじゃあないらしい。
リーダーを演じるのはレイ・リオッタ。
「フィールド・オブ・ドリームス」や「ドグ・ソルジャー」の頃は良い役をやっていたのに、
いつの頃からかず~っと切れキャラばかり。

ダドリーの恋愛話(紅一点はマリサ・トメイ)もからめて、族グループと対決!するしか道はなく、
破れかぶれの4人。
もちろん自信を取り戻し、ハッピーエンディングになるのはアメリカ映画のお約束

ここでびっくりする人が登場!ピー*ー・フ**ダです。
わぉ!「*ー*ー・ライダー」だ~。わかりますよね。
なんとシャレのきいたカメオ出演!サングラスをかけているのであれれ?だよね?って感じで、
エンドロールでしっかり確認。にくいな~。

間違いなくある年齢以上(何歳?)の大人の男性が元気を取り戻す映画ですよ。
場合によったらバイクを始めてしまうかも?
私も十分楽しませてもらいました。


ここでちょっと、昔みた「シティー・スリッカーズ」を思い出しました。
ビリー・クリスタル扮する主人公が、幼馴染二人と休暇でカウボーイになって牛を追うお話。
最初はふざけたおっちゃんの話かと気乗りがしなかったけれど、途中からぐいぐい引き込まれ感動、
見てよかった~と思った映画です。
こちらも、懐かしのジャック・パランスが牧童役でスパイス効かせてましたね。

それにしても、アメリカでは大ヒットしたらしいし、
TVでコマーシャルまでしていたのに、何でこんなに上映館が少ないんでしょう?
若者には受けないという判断でしょうか。
トラボルタも出ているし、もうちょっと拡大上映してもいいんじゃな~い?
おじ様4人は、真面目にやればやるほど可笑しく、キュートでした。

中年よ、夢を抱け!ってか。
何でおっちゃんばっかりなのよ。 中年のおばちゃん応援青春映画はないんかい?

      

******* 今週 見た 映画 *******

 2月24日  「ガスパール 君と過ごした季節」 DVD フランス映画

 2月25日  「はさみを持って突っ走る」    DVD

 2月26日  「団塊ボーイズ」

モーガン・スパーロックの「30デイズ」

2008-02-23 | ドキュメンタリー
ドキュメンタリー映画はお好きですか?

突撃アポなし取材で有名なマイケル・ムーア監督の
「ロジャー・アンド・ミー」や「ボーリング・フォー・コロンバイン」「シッコ」などもよいですが、
今回のモーガン・スパーロックの身体を張った体当たりシリーズも好きです。


肥満の10代少女二人がマグドナルドを相手取り
「肥満の原因はマグドナルドにある」(何言うてんのん、あんたが勝手に食べたんでしょ)
というとんでもない訴訟のニュースに触発され(勿論、裁判所は却下)、
1日3食、マクドナルドで売られているものだけを食べて30日間過ごしたらどうなるか、
という2004年の話題作「スーパー・サイズ・ミー」で、
プロデュ-ス、監督、出演の三役をこなしたのがモーガン・スパーロックです。
受賞は逃しましたが、アカデミー賞ノミネート作ですぞ。

        

・1ヶ月間1日3食をマクドナルドで食べる。
・店員に「スーパーサイズ?」と聞かれたらそれを注文する。
・メニューの全てを一度は食べる。
というルールを守った結果、
全く健康体だったにもかかわらず、体の不調を訴えながら、
11kg増え、元に戻すのに1年以上かかった何とも過激な、
しかしながらアメリカの食生活の現状を知る面白い作品でした。
すべて日本で売られるものとは、けた違いのサイズ!!!
はっきり言って拷問のようでした。私なら初日で脱落です。

ちなみに、「マグドナルドで1ヶ月ダイエット」を敢行した女性もいて、
サラダやフィレオフィシュなど低カロリーのものを注文し、
見事体重減少に成功されたようでした。

いずれにせよ、問題は「どこで食べるか」ではなくて「何を注文するか」、
ついでに言うと「誰と食べるか」にかかっているということですね。

たまたまビデオ屋さん(DVD屋さんというべき?)で、同監督の体当たりシリーズを発見!
勿論借りましたよん。

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    モーガン・スパーロックの   30デイズ

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シリーズ1は各1時間で計6本、
 ①最低賃金で30日間
 ②アンチエイジングで30日間
 ③イスラム修行を30日間
 ④ゲイと一緒に30日間
 ⑤エコヴィレッジで自給自足の30日間
 ⑥お酒をの飲み続けて30日間     というラインナップです。
興味アリアリです。

①から⑤まで視聴しましたが、以外にも④の「ゲイと一緒に30デイズ」で感動し涙が・・・。

①最低賃金で30日
     

監督自ら、婚約者と共にオハイオ州の州都コロンバスで
車なし、カードなし、保険なしで、部屋探し・職探しからスタートし、
建築・造園・外食産業で共働き。
アメリカの法律による最低賃金は、1997年から時給5ドル15セント。
教会運営のサポートセンターの、家具・衣類・食器・おもちゃなどの無料支援を頼り、
「仕事を二つ掛け持ちするも、暮らしは楽にならずじっと手を見る…」石川啄木状態。
ラブラブだった二人の関係も些細なことで言い争いに・・・生活への不安で愛もさめてしまうかも・・・。
とどめは、「シッコ」や大統領選挙でも話題になる医療費支出です。
保険がないのでとんでもない金額に。えっ~!

最低賃金では、子供を持つこともままならないし、病気になったらおしまいだ。
こんな生活が一生続く人も大勢いる。
「アメリカの一体どこが世界一豊かな国なんだ!」とつぶやく。


②アンチエイジングの30日
一般の34歳メタボ気味の男性が20代の姿に戻りたいと、
・テストステロン(男性ホルモン)、ヒト成長ホルモンを注射。
・栄養補助剤(コエンザイムなど)飲用。(驚くべき量!)
・定期的運動/健康的食生活への移行  を行なった。
野球界を揺るがしているステロイド剤もアンチエイジングに合法的に使われているらしい。
結局精子死滅と肝機能障害により、この方23日でリタイアしました。

「スリムで美しく、若々しくありたい」ちゅうのは誰しも思うことだけれど、
身体を実験道具にしてはいけないし、近道はいかんと警告。
何故若さにこだわるのか?自然に老いるのは悪いことなのか?と問いかける。

う~ん、老化も怖いが、ボトックスやホルモン剤はもっと恐ろしい。
真面目に運動しろってことか・・・


③イスラム修行で30日
現在イスラム教徒は全世界で15億人、アメリカでは600万人いるそうです。
ミシガン州ティアボーンはアメリカ最大のイスラム今日の街。人口の1/3がイスラム教徒。
ウエストバージニアに住む34歳の白人クリスチャン男性が
パキスタン系アメリカイスラム教徒の家にホームステイをします。
イスラムの服で家を出たときから、周りの変化に驚きます。
空港で、今まで受けたことのない荷物のチェックをうけ、行き交う人に目を逸らされる。
服を変えただけなのに・・・。
彼を含め、多くの非イスラムアメリカ人は現在「イスラム教徒=テロリスト」に近いイメージをもっている。

朝5:30の礼拝から始まるイスラム教徒の日常。
戸惑っていたかれが、共に生活する中で、過激派でないイスラム教徒に接し、
「イスラム教徒は何ぞや?」を学ぶ為に導師に教えの教えをうけ、
アラビア語のレッスンを受ける(コーランってアラビア語で書かれ、祈りはアラビア語なのね)。

イスラム教がユダヤ教やキリスト教から派生していること、父祖はすべてアブラハム。
「心を開いて心で神に語りかけよ」と説く導師。
彼らの日常が規律に満ち、自分に厳しく、人生の節目を真剣にとらえている姿に、徐々に馴染んで、
いつの間にかイスラム側に立って非イスラムの人たちの質問に答えている自分に気付く。
差別は体験してみないとわからない。違いを認め合うことが大切だ。
ほんの数人がやったことで15億人をテロリストと決め付けるのはばかげている、と言う。


③ゲイと一緒に30日
サンフランシスコのカストロはゲイの町。
そこにミシガンから敬虔なクリスチャンで保守的な24歳の白人男性が、ゲイ男性のルームメイトになる。
同性愛かどうかは個人の嗜好で、他人がとやかく言うことではないと思うが、
アメリカでは前回の大統領選挙でゲイの結婚が争点の一つになったように、
国を二分するほどの論争が起こる。何で?と思っていたが・・・

問題は、「同性愛を罪」とする聖書レビ記の記述に基づく主張と、「自由の国では権利は皆平等である」という主張の対立だったのね。

「殺人が罪であるように同性愛も罪」と言う彼と
「戦争で人を殺すことも聖書に反する罪ではないか」と問うコミュニティーのレズの牧師。
固定観念に囚われた彼の心を開いたのは、ルームメイトや周りのゲイの人々とのかかわり、
いや、それよりなにより、ルームメイトの家族との絆と、
「ゲイがいる家族を支える会」のゲイの娘を持った父の言葉(良い話で、な、涙が~)でした。
頑なだった彼が、
判断を下す前に自分の目で見ることが大切だと感じ、違いを認めつつ共感できるようになったと言う。


③と④はどちらも、あるコミュニティーの中で少数派(ここでは一人っきりですが)になリ、
居心地の悪さを感じる中で、今まで見えなかったこと、いや見ようとしていなかったことに気付き、
広い視野にたって物事を見ることができるようになるって、
大変だったでしょうが「人生の旅路での貴重な30日」ですね~。

人って、たった30日でも変わることができるんだな~と実感。
軽~い実験かと思いきや、大変真面目で教育的、勉強になりました。


いろいろ批判はあるでしょうが、マイケル・ムーアも、モーガン・スパーロックも、
ドキュメンタリーにエンターテインメントの要素を取り入れた、ドキュメンテインメント?とでもいうジャンルをつくり、
社会問題をとっつき易い、楽しめるものにしたという点で、高い評価を得ても良いんじゃないでしょうか?

「スパーロックの30デイズ Vol.2」のDVDもリリース済み。
ビデオ屋さんで探すぞ~。


*****  今週 見た 映画 *****

 2月17日  「トランスアメリカ」DVD

 2月18日  「ブリッジ」 DVD ドキュメンタリー

 2月19日  「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」

          「潜水服は蝶の夢を見る」
 
 2月21日  「30デイズ vol.1」「30デイズ vol.2」DVD

マーサの幸せレシピ と 幸せのレシピ 

2008-02-16 | 複数の映画
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    マーサの幸せレシピ 2001  と   
                 幸せのレシピ  2007
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数年前、たまたまビデオでドイツ映画「Mostly Masha マーサの幸せレシピ」を見ました。
とてもいい映画だったので、ハリウッドのリメイクを見に行く気にならず、
DVDが発売されたので、遅まきながらハリウッド版「幸せのレシピ」を見てみました。

エンディング以外は、ここまでおんなじ?というくらい細部にわたるエピソードまでオリジナルを踏襲、
エプロンの付け方から、
フォアグラの調理法、
妊娠中の副料理長、
彼女が作るフレンチを拒む姪っ子がスパゲティーにかぶりつくところ、
姪っ子がトリフのにおいを嗅いで捨てるのをあわてて回収するところ、
料理に文句を言うお客にキレて生肉をテーブルに突き刺すところ等など。

オリジナルは、腕のいいフレンチシェフのマーサ(マルティナ・ゲデック)と
事故で母を亡くした8歳の姪リナ、イタリア人シェフのマリオ(セルジオ・カステリット)。

はっきり言って偏見ですが、一般的にイメージするドイツ人像とイタリア人像を体現する二人です。
頑固でルールを重んじるマーサと、
ゆる~い、良く言えば楽天的で陽気、悪く言えばテキトーなマリオの気質対比が面白い。
その上、北ドイツ港町のどんより曇った雪のちらつく気候、
片やイタリアは太陽が燦燦と輝く暖かい気候。まるで二人の性格のよう。
ドイツ人にとってイタリアは憧れの地らしい。私も憧れてま~す。

リメイクも設定はほぼ同じ。
ニューヨークのフレンチシェフ、ケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と
姪のゾーイ、こちらはイタリア人ではなく、イタリアかぶれのアメリカ人ニック(アーロン・エックハート)。

マーサもケイトも、
仕事が生きがいで私生活は二の次、料理の腕はピカ一で完ぺき主義、
頑固でお客といえどもゆずらない。
職場でも孤高の人で料理長という立場もあるでしょうが、皆からちょっと煙たがられてます。
決まった生活パターンを乱すことを恐れ、他人とのかかわりを拒絶してます。

そんな彼女を心配したレストランオーナーにセラピーを受けるように言われ毎週通ってはいるが、
何故受けさせられているか本人は気付いていない。

寂しさを感じつつも誰にも煩わされず自由に生きているところに、
突然8歳の子供の面倒を見なくてはならなくなったら・・・誰だって戸惑うのは当然です。
変化の無い彼女の生活は、一変、振り回されることに。

そんなところに、陽気で型破りのイタリア人、チョイ悪風(あくまで風、いい人だもん)オヤジが登場し、
彼女の神聖な職場の雰囲気を変えていく。
周りのスタッフもすっかり彼のペースに巻き込まれ、
キッチンはぴりぴりした雰囲気から一転、音楽の流れる和やかなものへ。
マリオもニックもCDプレーヤー持参で出勤です。
イソップの「北風と太陽」の太陽のように、姪の心を開いていくマリオ/ニック。
子供って本能的に遊び心のある人を見分け、なつきますもんね。


ここからオリジナルとリメイクの展開が大きく違います。

            

オリジナルは、
姪リナの父親がイタリア人ということで父親探しにも一肌脱いでくれるマリオに次第に心を開くマーサ。
やっと慣れた頃、リナの父がイタリアから引き取りに来る。
実の父と一緒の方が良いだろうとリサを託すマーサ、
元の平穏な生活に戻れると思いきや・・・
リサとの暮らしに慣れていく中で、
他人とかかわって生きてゆくことの面倒だけれど楽しさを知ったマーサは、
心にぽっかりと空いた穴―リサの存在の大きさに気付く。


一方、リメイクで去っていくのはゾーイではなくニック。
ケイトはすっかりゾーイと仲良しになり、二人で過ごす為に休暇まで取る。
ニックとも恋人同士になるが、料理長の座を奪われるのではないかと疑いを抱く。そんなつもりは無いと別れてサンフランシスコに行くというニック。
ケイトが気付いたのはニックの存在の大きさでした。
           
そこでトリノオリンピックですっかり有名になったオペラ「トゥーランドット」(私が唯一見たオペラ!)の
「誰も寝てはならぬ」がバックに流れます。(荒川静香のイナバウワ~思い出します)
愛に目覚め氷の心を溶かした中国のお姫様同様、ケイトもニックへの愛に目覚めたってことですね。
憎い演出~。


どちらもハッピーエンドですが、やっぱり恋愛よりリサの存在の大きさに気付いて欲しいな~。
私としてはオリジナルに軍配を上げたいのですが、いかがでしょう?


オリジナルでマーサを演じたマルティナ・ゲデックは
去年アカデミー外国語映画賞受賞した「善き人のためのソナタ」でも主演
(ゲデックが美しい~、そしていい映画でした~)、
「グッド・シェパード」にもソ連の諜報部員役でちょこっと出演しておられました。
気品と美しさを併せ持つ女優さんで、広く活躍していただきたい。

とぼけたイタリアオヤジのセルジオ・カステリットもいい~味出してます。


リメイクのニックを演じたアーロン・エックハートは、
「エリン・ブロコビッチ」のロングヘアのピッピーのお兄ちゃんから、
「抱擁」(いい映画でした)
「サンキュースモーキング」など、
インタビューで素を見るといま一つだけれど、映画の中では回を追う毎に魅力を増している不思議な魅力を持った俳優さんです。



オリジナルの日本でのキャッチフレーズは「幸せは、ほんのちょっとのさじ加減」。
マーサという名前はドイツ人なら誰でも知ってる聖書の有名な一説からきているそうです。
「キッチンで私だけが働いている」と不満を述べるマーサに、
イエスは「直面したくない心配事があるからキッチンに逃げ込んでいるのではないか?人に尽くすことも大事だが、人の話しを聞き、触れ合い、コミュニケーションをとることのほうが大事だ」と教えたそうです。
正にこの映画のテーマ、よ~く練られた脚本です。



リメイクのキャッチフレーズは「Life isn’t always made to order.」
「人生はいつも注文どおりにいくわけじゃないよ」ってことでしょうか。
原題は「No reservations」、人生では突然予約なしに不測の事態は起こりうるって、
この題名もうまいなぁ。


それにしても、皆さん本当に料理人かと見間違うほどに、見事なシェフぶり。
役者やなぁ~。

*ついでにシェフつながりで、
 ジャン・レノ、ジュリエット・ビノシュ主演(ほとんど二人の舞台劇みたい)の
 「シェフと素顔とおいしい時間」も好きな映画です。




*******  今週 見た 映画  *******

  2月11日  「王様と私」   DVD デボラ・カー、ユル・ブリンナー 

  2月12日  「アンナと王様」 DVD ジュディー・ フォスター、チョウ・ユンファ

  2月13日  「幸せのレシピ」 DVD

テラビシアにかける橋

2008-02-09 | 映画 た行
1月半ばに風邪をひき、医者でもらった薬が合わず吐き気で寝込み、
以来、咳だけが続き、咳止めとのど飴を手放せぬ毎日。
やっと落ち着いてきたので、久しぶりに映画のハシゴ@川崎

チネチッタで「僕たちフィギアスケーター」(何でここでしかやってないの~?)
109川崎で「テラビシアにかける橋」を見てきました。
この順番で見て良かった~。笑いの後に感動です。
逆はあか~ん。

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    テラビシアにかける橋  BRIDGE TO TERABITHEIA
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タイトルから「これまたファンタジー映画?」と思いきや・・・
過酷な現実世界の話です。

原作はキャサリン・パターソン。
1977年アメリカで出版され、数々の賞を取り、
世界24カ国で翻訳出版されている有名な児童文学らしい。知らなんだ~。

映画の中で日本の神話「天岩戸(あまのいわと)」の話が出てビックリしたが、
彼女は1957年から4年間、長老派教会の布教活動で日本に住んだことがあるということで、
なるほどと納得。


主人公ジェスは学校では友達も無く、いじめられっ子、
ハウス野菜の販売だけではやっていけず、工具店でも働く父、
乳飲み子を抱え育児と家計のやりくりに追われる母。
姉二人に妹二人、男兄弟は無く、毎朝ハウス栽培の手伝いをしている。
父親にストレートに甘えている妹メイベルを少しうらやましく思っている。

足が速く、空想の生き物や話のイラストを描くのが唯一の楽しみ。

10歳くらいの男の子に、姉さんのお古のピンクのスニーカーをはけって、
そりゃ酷やろう。
日本の子供なら登校拒否になるんじゃないのと思うけれど、
家計が苦しいことを知っているジェスは、黒のマジックで隠そうとする心優しい子だ。

そんな時、都会的で俊足、文才があり、はっきりものを言う快活なレスリーが隣に越してくる。
海に潜るエッセイを、レスリーが教室で読むシーンの映像が、いいなぁ~。

         
友達がいない二人は次第に打ち解け、
ある日家の近くの川をロープで越えた所に古いツリーハウスを見つける。

目を閉じて心の目を開けば、二人だけの秘密の美しい空想の国「テラビシア」に行けるのよ
というレスリーの言葉に、ジェスは魅せられる。
Close your eyes and keep your mind wide open.

二人はこのテラビシアで空想の巨人や怪物と戦い、心を豊かにし、自信をつけ、
現実の困難に立ち向かっていく。

そこは現実から逃避する場所ではなくて、厳しい現実に立ち向かう力を蓄えてくれる場所なのですね。
こういうところで育った子供は、豊かな心を持った大人になるんだろうなぁ。

*最後には思いもよらない悲しい・つらい結末が待っています。
*これについては書かないほうがよいので、
 映画を見るか、
 本を読むか、
 DVDをお待ちくだされ。

自分を責めるジェス、でもその悲しみを抱きつつ、ひと回り大きな成長を遂げる。
こういう悲しみは、大人でも超えるのは難しいでしょう。

「テラビシアにかける橋」というタイトルの意味が最後の最後にわかります。
不覚にもポロポロと涙が・・・。
涙腺ゆるいんです。


しか~し、心の目で見るテラビシアの想像シーンは、
はたして完全に映像化してしまってよかったのでしょうか?
  

ジェスの描いた平面の絵とCGを混ぜるとか何とか工夫はできなかったのでしょうか?
「目を閉じて心を大きく開いて見れば見える」とレスリーも言っているのに…

でも映画である以上映像化しなければならないわけで、ちょっとジレンマでしょうか。

本で読めば、各人各様のテラビシアやモンスターが生まれます。
想像の翼を広げて、自分の空想の世界を自分で創造する。
ひとたび映像を見てしまったら、想像の翼はしぼんでしまう気がします。

ティズニーのアリスやピノキオを見たら、
もう他のアリスやピノキオはイメージできなくなってしまうし、
「ハリー・ポッター」はダニエル・ラドクリフ君以外は受け入れられないでしょう。

CGを駆使したファンタジー物が次々と映画化されている昨今、これでいいのかなぁ~?
これってまさに老婆心でしょうか?

とても心に響く良いストーリーでした。
Keep your mind wide open.

主演の二人もこれからが楽しみな役者さんです。

レスリー役のアナソフィア・ロブは「チャーリーとチョコレート工場」で、
ガムをかんでる生意気な女の子役でしたが、美しく成長することでしょうねぇ。

ジェスの父親を演じているのは、「ターミネーター2」で何にでも変身し執拗に追いかけてくる
無表情で冷徹なアンドロイドを演じたロバート・パトリック。



ついでに、

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  俺たちフィギアスケーター  BLADES OF GLORY
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アメリカではヒットしたけれど、
日本ではあまり受けそうに無い、おバカコメディー。
「奥様は魔女」でニコール・キッドマン扮するサマンサの夫ダーリンを演じたウィル・ファレルが、
又してもありえないフィギアスケーター役。
どうみても体型的にフィギアは無理でしょう。

男同士でペアを組むことになる相手ジョン・へダーは
なよっとしたアイドル系?

映画の中の記者会見で、日本人記者の唐突な日本語での質問に、
たどたどしい日本語で答えたので、日本公開用のサービスか何かかしら?
と思っていたら、
この方も日本で数年布教活動なさっていたらしい。
ユタ州出身ってことはモルモン教かしら?

とにかく次から次へと思いっきり笑わせてくれます。
真面目に演じれば演じるほど可笑しいんだけれど、そこにくさ~い友情を散りばめて…
本物のナンシー・ケリガンに、そっくりさん?のサーシャ・コーエン登場。
でもやっぱり、日本では受けないだろうなぁ~。


******* 今週 見た映画 *********

2月3日  「エバン・オールマイティー」 DVD  スティーブ・カレル、モーガン・フリーマン

       「ミスター・グッド アドバイス」  DVD チャーリー・シーン 
  
2月4日  「ヘンダースン夫人の贈り物」  DVD  ジュディー・デンチ 

2月5日  「俺たちフィギアスケーター」

        「テラビシアにかける橋」

     

スイニー・トッド  フリート街の悪魔の理髪師

2008-02-01 | 映画 さ行
先週涙を呑んだ、スイニー・トッド。
今週火曜日、行ってきました!
もちろん通常スクリ~ン。

いつもは映画を見ながら飲み食いはしないんだけれど、
お昼を食べる時間が無かったので
おにぎりにコーヒー(合わんなぁ~)買って入ろうとしたら、
「外でお求めになったものは、当劇場ではご飲食できませんので、 かばんにおしまい下さい」
って注意されてしまいました。

いつからそんなルールになってたん?
「コ、コンセッション」って、いつから「売店」と呼ばなくなったん?
「売店」でええやんか!
カタカナ使うたらええんちゃうぞー
と突っ込みを入れながら・・・

TOHOシネマズ海老名の仇を109MM横浜で。
オドロオドロしい「スイニー・トッド」へ、いざ出陣!

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     スイニー・トッド   フリート街の悪魔の理髪師  2008
      SWEENEY TODD 
  THE DEMON BARBER OF FLEET STREET

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オープニングから何ともオドロオドロしい・・・

な~んの前情報も無く見たのですが・・・

元々は、19世紀イギリスで1ペニーで買えるペニードレッドフルという、
ゾッとする話しを集めた廉価な小冊子に掲載されたもので、
新聞に載った実際の事件をもとに1847年トーマス・プレストが書いたもので
人気を博したらしい。

当時は似た様な話が他でもあったらしく、その後舞台劇、映画、ブロードウェーミュージカルへと
演じ続けられている。

       

日本でも宮本亜門演出、市村正親、大竹しのぶ出演の舞台をやってたんですね。
知らんかった~。

ホラーミュージカルと銘打っていたので「どうなのよ?」と見てみたら、
まるでギリシャ悲劇を見るような、なんとも切ない気持ちになりました。

ギリシャ悲劇は、
「何でこんな不幸なことになってしまうのよ?」
横恋慕あり、
断腸の思いで娘を生贄として差し出したり、
父と知らずに殺してしまったり、
憎み、復讐・・・
という救いようのない人間の業の物語。

          

スイニー・トッドは、
妻に恋した権力者判事の横恋慕で、いいがかりをつけられ、
妻と娘を奪われ、総てを失い、
憎しみだけを生きる糧に、復讐に総てをかける。
何の関係も無い人をも「人はすべて罪人だ」と殺し、人肉パイの材料にする。
気がふれて変わり果てた妻を、そうとは知らず殺し、
妻が生きていたことを隠していたミセス・ラベットの
自分を慕う気持ちにも気付かず手にかけ、
自分の娘をも、そうと知らず危うく殺しそうになる。
やっとの思いで判事を殺し復讐を遂げた時、
妻を殺してしまっていたことに気付く。

人を呪わば穴二つ。
二つどころか、とんでもない数の穴だろうけれど、
自分も妻の亡骸を抱きつつ、刺されてしまう。

     

とってもギリシャ悲劇してます。
切ないなぁ~。やるせないなぁ~。

ジョニーも、アラン・リックマン(スネイプ先生、横恋慕はいかんよ~)も、
ミュージカル~というより、台詞がそのまま歌になっていくという唄い方で、
ミュージカルであるが故に、
血しぶき飛びまくりでも、オドロオドロしいだけの、ただのホラーにならず、
見ごたえのある映画になった気がします。

アラン・リックマンは「ダイ・ハード」1作目の悪役でしたね。
渋~い、好きな俳優さんの一人です。

    

イタリア人理髪師ピレリを演じていたのは、
おバカコメディー「ボラット」でおかしなカザフスタン人をやっていたサーシャ・バロン・コーエン!?
まるで別人です。
えっ、サーシャ・コーエンって
ロシア系アメリカ人のキュートなフィギアスケート選手と同じ名前じゃない?


それにしても、
「ジョニー、一体あなたはどこに向かって行こうとしてるの?」

自分で出演作品を選んでいるってことらしいけれど、
ちょっと偏ってないかい?
いくらデビュー作が「エルム街の悪夢」でフレディーに殺される役だったからって、
原点に回帰しなくてもいいんじゃないの?

このままじゃ、
敬愛するマーロン・ブランドーみたいに
遺伝子操作で変な生き物を創るドクターモローとか、
チョコレート工場でウォンカの父を演じたドラキュラ俳優クリストファー・リー路線ですぞ。
(「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマンもやってましたね)

ここらでイメチェンを図って、びっくりさせてもらいたいなぁ~。


109シネマズMM横浜では、ジョニデとティム・バートン監督の
過去のカタログ販売をやってました。
な、なんと、先週投稿した「妹の恋人」のカタログは¥4200なり~。
手が出ませんでした。
カタログってそんなに高くなることあんのね?

学生時代からためたカタログは、実家に置きっぱだったのですが、
阪神大震災時、壁のひび割れから雨が漏り、
すべておじゃん(死語?)パァ~になりました


******  今週見た映画  ******
 
 1月 28日 「ショップガール」 ビデオ  スティーブ・マーティン、クレア・デ-ンズ
         「パリ・ジュテーム」 DVD 
         
 1月 29日 「スイニー・トッド」

 1月 31日 「ボラット」