映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

MR3000  2004

2009-07-31 | 映画 ま行
たまたまNHKのBS2でやっていた本作を見ました。
今日の映画は何かなぁ~とチャンネルを合わせたら、野球の映画。
昔は阪神ファンで甲子園に見に行ったこともあったけれど、
今はほとんど野球を見ることはなくなりました。
しかーし、
松井秀喜著「不動心」は、ニューヨークまで松井の試合を見に行く程の熱狂的ファンである
友人のT氏の強い勧めで読んでみて、私もちょっと松井のファンになったのでした。


              

        MR 3000

                


全然見る気はなくって、少しだけどんな映画かな?と見ていたら・・・
そ、そこにMR.BIGが!!!
セックス・アンド・ザ・シティー」の主役キャリーの恋人ビッグ役のチャック・ノースが
球団オーナー役で出ているじゃない!!!ファンなんです
そして、ノース見たさという少々不純な動機で見続けることになりました。
    チャック・ノースとサラ・ジェシカ・パ-カー


 < ストーリー >
野球界の嫌われヒーロー、ブリュワーズのスタン・ロスは野球殿堂入りに必要な3000本安打を
達成したのをいいことにシーズン途中で引退。しかし記者に嫌われていた為
記者投票で選ばれる殿堂入りを何年も逃している。
47歳になり体型も崩れた9年後、やっとの殿堂入りで記録を調べなおしたらダブルカウントで
3本が取り消され記録が2997本となり殿堂入りが絶望になってしまう。
残る3本を打つために現役復帰を試みるが・・・。


ミルウォーキー・ブリュワーズってウィスコンシン州ミルウォーキー「ミラー・パーク」が本拠地。
ミルウォーキーはアメリカビールの代表「ミラー Miller」の創業地。
「ブリュワー brewer」って醸造家って意味ですもんね。
ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキーなんてビールのCMありましたね。

才能に恵まれたチームの花形選手スタンは、記者の質問にもチームーメイトに対しても
傲慢な態度で、はっきり言って嫌われ者。
3000本安打達成後、記者の質問にブチ切れ、殿堂入りの資格を取ったから止めてやる!と
チームのことなど考えずその場で引退を表明する。
引退後は、MR.3000のキャッチフレーズで多角的に事業を展開、
気ままな生活を送っていたがなかなか殿堂入りにならず
突然降って湧いた記録の数え間違い発覚で殿堂入りを目指して3本ヒットを打つために復帰を決意。
ノース演じるオーナーは、成績低迷で観客減少に歯止めをかける話題作りという下心で
彼の復帰を認める。

しかし、10年何のトレーニングもせず復帰って・・・まあどうなるかは想像できますわね。
やっぱり~。
そんなこんながありまして、
チームのお荷物になりながらも、やっぱり9年も経ったら、流石の自己中でやんちゃな困った君でも
精神的に成長する。
最下位ですっかりやる気を失くしているチームメートを盛り立て、
昔の自分そっくりの現ヒーローを諭し、ムードメーカーとなっていく。

3000本に後1本と迫る中、シーズン最終試合9回裏、自己記録か?チームの勝利か?

実際問題、こういう状況になったら個人の記録を優先するのか?チームの勝利をとるのか?って
難しい問題ですよね。
日本とアメリカではおそらく意見が分かれるのではないでしょうか?
日本だとチームの勝利を、アメリカなら個人の記録を優先するのかなぁ?
だからこそ、映画の意外な結末が感動のドラマになるのかもしれません。

スタンを軸に、過去のチームメイト、現チームメイト、監督、オーナー、記者達との人間関係など、
めちゃくちゃ笑って、最後にほろりとさせる、ハリウッドの王道スポーツコメディーです。
面白かった~。


主演のバーニー・マックは人気のコメディアンで、
「オーシャンズ」シリーズや「チャーリーズ・エンジェル」に出演していましたが、
昨年8月9日、50歳の若さで亡くなりました。 合掌。
      



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 ***** 見た 映画 *****

 7月28日 「ドリームチャイルド DREAM CHILD」DVD 
           不思議の国のアリスのモデルとルイス・キャロルの物語 

 7月29日 「女工哀歌 CHINA BLUE」DVD 世界の工場中国でジーンズを作る少女達のドキュメンタリー

 7月30日 「天国と地獄」DVD 黒澤監督

 7月31日 「J・K・ローリングとハリー・ポッターの誕生」DVD 

剱岳  点の記

2009-07-27 | 映画 た行
ここ一週間、がらにもなく風邪をひいてしまいました。
新型とか深刻なものではなく、37℃前後をうろうろ、寝込むほどではなくダラダラ。
やっと時間ができたので部屋の片付けやブログ更新頑張るぞ!の意気込みはどこへやら、
横になってDVD三昧、のつもりが・・・気がついたら寝てた~なんてことの繰り返し。
アッカ~ン。

ちょっと前に見た本作、思い出しながら・・・


                 

       剱岳  点の記

                   



テレビの映画紹介番組に主演の浅野忠信さんと香川照之さんが出演され、ロケの過酷さと、
監督のこの映画に賭ける気迫を篤く語っておられたのを見て、映画館に足を運びました。

原作は山岳小説や歴史小説で知られる新田次郎氏。
エンドロールの最後に「国家の品格」の大ヒットで知られる数学者藤原正彦氏のお名前が。
そうそう、藤原氏は新田次郎氏のお子さんでした。
昔見た映画「八甲田山ー死の彷徨」の原作も、新田氏だったんね~。


こんな険しい山の頂上じゃなくっても、
「よくぞこんな所に舗装道路をつけたもんだ」とか
「ここまでどうやって資材を運んだのかしら?」なんて思うことが間々あります。

なのに・・・前人未到の山の上まで三角点を建てる資材を運んで剱岳の頂上を目指すって
とんでもないことを成し遂げた男たちの記録。
って、まるでNHKのプロジェクトX~(エコーかかってます)そのものです。

人は何故山に登るのか?主人公柴崎芳太郎は問う。
地図を作ることに何の意味があるのか?と。

陸軍の面子の為、「何が何でも成功させろ。失敗は許されん!」と迫る軍上層部。
そんな無茶苦茶な!「気合だ!」ってアニマル浜口じゃないんだから・・・。
また、日本山岳会とどちらが先に登頂するか?と面白おかしく書き立てるメディア。
メディアのあり様は今も昔も変わらなんなぁ。
いったいどれほどのプレッシャーがあったのかと、柴崎氏の心中を思うと胸が痛みます。
   

そんなプレッシャーの中、資料を集め、案内人宇治長次郎(香川照之)と調査し、
「何をしたかではなく、何のためにしたのか」が大事と功を焦ることなく周辺の山々に
三角点を設置しながら登るという従来の手順で一歩一歩歩む柴崎。
山岳会は登ることだけが目標なのに・・・。

今、何気なく地図を使っているけれど、地図を作るということがこれほど大変なことだとは
知りませんでした。

そんな柴崎隊の姿に、外国の最新装備を取り入れ登頂争いに闘志を燃やした山岳会一行も
敬意を表し、山に登る仲間だと感じる。

予告編で雪のシーンを観て、「何で夏に登らんの?」と思った私は愚か者でした
夏でも山頂には雪が残りあのような過酷な状況なのだなと反省していたところ
北海道での遭難のニュースを知り、更に山の、自然の恐ろしさを実感。

     
映画で見る軍の将校たちは何故あれほど意固地で傲慢なんでしょう?
地図を作るのが目的でしょうに。初○○、一番ってのに弱いんやねぇ。
面子?「君に選択の余地はない。何が何でも陸軍の面子にかけても登頂一番乗りせよ」って御無体な。
精神論で何でも乗り切れるってか?
「精神一到、何事か成らざらん」精神一到したって成らんもんは成らんよ。
陸軍参謀本部陸地測量部って今の国土地理院なんですね。


山は神道では信仰の対象。
ましてや、立山連峰で剱岳は死の山。村民にとって、そこは犯してはならない聖地。
案内人長次郎の心中は穏やかではない。一つ間違ったら村八分もんだからね。
息子との葛藤が少し描かれるが、彼のプレッシャーも柴崎同様かなりのもの。

偉そうに「選択の余地なし。登頂一番乗り」と掛け声をかける軍人さん、
「あんたが行ったらええやんか」と心の中で呟いておりましたが、
日露戦争を想定して行われた「八甲田山雪中行軍」もこういう軍体質の結果と言えるのでしょうか。
高倉健さん主演の映画を見て涙した記憶が・・・。
毒舌の大竹まこと氏は凍死する兵士役だったそうですが、過酷な撮影だったとテレビで語っておられました。


CG、空撮一切なし、
実際に測量隊が三角点を設置した山々を忠実に登り、氷点下40度以下で撮影。
徹底したリアリティーを追求「厳しさの中に美しさがある」って・・・
撮影前に監督は「これは撮影ではない。”行”である」とおっしゃったそうですが、
監督さんも無茶言うなぁ。
    
浅野氏、香川氏はじめ俳優さん、スタッフさんたち、よくぞ生還されました。
俳優って、体力ないとでけへんねぇ。


映画の中で、共に剱岳登頂という目標に向かって力を尽くす観測隊と山岳会の友情同様、
出演者とスタッフも映画製作を目指す仲間という連帯感がエンドロールの「仲間たち」という
表記に繋がったんでしょうね。

エンドロールに「佐伯さん」という苗字の方が沢山いらして、何だろうと?と思っていたら、
2度剱岳に登ったことがあるという一緒に映画を見たIさんから、ガイドさんだと伺いました。

シルバー世代が8割ほど、隣に座っておられたご高齢のおばあちゃんお二人は、映画を見ながら
感情移入つうかおしゃべりしておられました。 流石に何も言えましぇ~ん。


カメラマン出身の監督さんだけに、又「厳しさの中に美しさがある」と仰るだけに
山の映像の美しいこと!雲海も見れました。

バックに流れるバッハやビバルディなどのクラシック曲も良かったです。

ただ・・・奥さん役の宮崎あおいちゃんはちょっと若すぎないですか?
小雪さんとかもうちょっと年上の女優さんの方がしっくりくる気がしました。
あおいちゃんの最後の台詞「あなたについていきます」ってのもいらなかったんじゃないかなぁ?

登頂直前にもう一押しあれば、登頂の過酷さが盛り上がった気がします。



浅野忠信氏を最初に見たのは、テレビで深夜放映していた「バタ足金魚 1990」の脇役。
(因みに主役は筒井道隆氏と高岡早紀さんでした。)
当時は背が低く、痩せて坊主頭で、まさか国内外で引っ張りだこの若手人気俳優さんになろうとは
思いもしませんでした。(失礼しました)

香川照之さんは、本当にシェルパやってんじゃないかと思えるほどのなりきり振りに
脱帽です。


ついでに・・・Wikiより
柴崎氏はその後台湾や満州、シベリヤまで測量に出かけ、昭和13年肺炎で死去。

あの、問題の「錫丈の頭と剣の先」は長らく柴崎家に保存されたが、現在重要文化財として
立山博物館の所蔵。

柴崎らは山頂には立ったものの岩場の険しさから重い三角点標石を運び上げることができず
三等三角点の設置を断念し、標石のない四等三角点としたため、「点の記」は作成されなかった。
2004年になってようやく三等三角点が設置され、国土地理院により作成された「剱岳」点の記には
選点日時として「明治40年7月13日」の日付が、選点者として柴崎の名が記載されている。

やっぱり、ええ話やなぁ。


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 ***** 見た 映画 *****

 7月26日 「あなたに逢う夢 Still Breathing」ケーブルTV

       「アリス」DVD 「不思議の国のアリス」を人形とコラボのスイス映画
 

それでも恋するバルセロナ

2009-07-26 | 映画 さ行
毎度おはこび、ありがとうございます。
「旅の恥はかき捨て」なんてぇことを申しますが、旅に出ると理性のたがが外れ、
思いもよらない行動に出るというのは洋の東西と問わず起こることのようでございます。
八っあん、熊さんではございませんが、ヴィッキー嬢とクリスティーナ嬢二人のアメリカ娘が
スペインはバルセロナでひと夏を過ごす、ちょっと危ないヴァカンスのお話でございます。


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   それでも恋するバルセロナ   Vicky Cristina Barcelona

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< ストーリー >
恋愛に慎重なヴィッキーは婚約中。一方自由な恋愛を求める情熱的なクリスティーナ。
親友の二人は、ヴィッキーの叔母のもと、ひと夏をバルセロナで過ごす。
叔母夫妻とともに訪れたギャラリーでよくない噂があるという画家のフアン・アントニオと出会う。
偶然再会したファン・アントニオの誘いに興味を抱くクリスティーナに引っ張られ
3人で過ごすうちヴィッキーも次第にアントニオに惹かれてゆく。
アントニオとクリスティーナが同棲を始めたところに、彼の元妻、
美しく激しいマリア・エレーナが現れ、彼女も一緒に住むことになるが・・・。

  


いやはや、もう四つ巴のドロドロ恋愛劇ですわ。
ファン・アントニオとマリア・エレーナ、ラテンの血ちゅうのか・・・、
情熱的といえば聞こえはいいけど刃傷沙汰、発砲沙汰ですからねぇ。

ファン・アントニオの二人を誘う台詞にはビックリです。
二人の女性にこんなダイレクトで非常識な声のかけ方するかしら?
普通なら「失礼な奴!」とほっぺの一つも張り飛ばされて終わるところではこざいしょうが、
そこはそれ、非日常の旅行中、奔放なクリスティーナのみならず、真面目なヴィッキーまで、
いや堅物だからこそ揺れる女心ってもんでございます。

結婚が間近かに迫り、本当にこの人でいいのかと揺れるヴィッキー。
その上、叔母ジュディは表向き幸せな主婦を演じながら、別の道に踏み出せなかったことを後悔し、
自分の分身のようなヴィッキーをけしかける、けしかける。

  

この無礼で粗野だが妙に色気ムンムンのファン・アントニオを演じるのは、「ノーカントリー」で
オカッパ頭の無表情な殺人鬼を演じたハビエル・バルデム。
アントニオ・バンデラスならはまり過ぎで嫌らしくなるこの役を、バルデムがすると
嫌らしくなく見れるのは何故でしょう?

そこに突如、圧倒的な存在感を持って登場するマリア・エレーナ。
「恋愛は芸の肥やし」とばかりに、アメリカに渡ってトムだマシューだと次々浮名を流した
ペネロペの貫禄ったら!
二十歳の頃から妖艶オーラ全開のスカーレット・ヨハンセンといえども、
まだまだ小娘、修行が足らん~と言わんばかりでございます。
ペネロペ、もう突き抜けとります。
絵に写真にピアノ、何でも来いのセクシー美人!なんてオールマイティの役柄に
ピッタリはまるのもむべなるかな。 性格的にはかなり困ったチャンですが・・・。
  
  
自分が決めた安定した将来に疑問を感じるヴィッキー
「望まないものはわかるけれど、望むものがわからない」クリスティーナ
「成就しない恋だけがロマンチック」というマリア・エレーナ
「人生は貪欲に楽しむべき」というファン・アントニオ
ファン・アントニオとマリア・エレーナに振り回されたアメリカ娘たち、
二人の毒気にあてられて、呆然。この恋を経て、成長?したのかな?

ヨーロッパ、いえラテンのお国は燦燦と輝く太陽の下、恋愛に寛大・奔放でございます。
不倫あり、レズあり、3Pあり、ナイフやピストル振り回しての修羅場もなんのその。
この映画を見ている限り、日本人の感覚としてはアメリカ人の恋愛観のほうが近いかも。

  
ガウディーの建築も堪能し、ちょっとしたバルセロナ観光気分も味わえました。
是非行って見た~い!
意味は全くわからんけれど、バルセローナ~、バルセローナのテーマ曲が
頭にこびりついてるよ・・・


本作でペネロペはアカデミー賞助演女優賞を獲得。
確かにぶっちぎれ、迫真の演技だけれど・・・私としては「レスラー」のマリサ・トメイの
大胆な体当たり女優魂にあげて欲しかった~。



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 *** 最近 見た 映画 ***

 7月21日 「BOY A」DVD イギリス映画

        「ぜんぶフィデルのせい」DVD フランス映画

        「その名にちなんで THE NAMESAKE」DVD インドからアメリカに渡った家族の物語  

 7月22日 「デンジャラスな妻たち MAD MONEY」DVD ダイアン・キートン主演コメディ
           
 7月23日 「プライベート・プラクティス1-5」DVD TV「グレイズ・アナトミー」のスピンオフ

 7月24日 「フラッシュバック」DVD ダニエル・クレイグ主演

        「チームバチスタの栄光」DVD 竹内結子、阿部寛主演

黙秘  Dolores Claiborne 1995

2009-07-20 | 映画 ま行
いよいよ来る7月22日、日本各地で部分日蝕が見られるようですね。
鹿児島県南部では46年振りに皆既日食が観測できるとかで、悪石島には観光客が押し寄せ、
水不足が深刻だとか。
上陸せず、日本各地から訪れる船の予想は170隻。
日蝕観測用のメガネやプレートは既に完売状態とか。

そんな話題について話していたところ、
「日蝕が出てくる映画があったよ」
「確かキャシー・ベイツ主演」
「スティーブン・キング原作だった」と聞き、興味がわいて早速DVDをレンタルし見てみました。

スティーブン・キング原作は「ミスト」以来。
意外にも(なんて言ったら叱られそうですが)「ミスト」にすっかり魅せられたので
「黙秘」にも期待!


                

   黙 秘   Dolores Claiborne

                


原題の「Dolores Claiborne」というのはキャシー・ベイツ演じる主人公の名前です。
アメリカ映画には主人公の名前だけの題名映画って結構ありますね~。
「エリン・ブロコビッチ」「マイケル・クライトン」「マイケル・コリンズ」etc
「M・コリンズ」はアイルランド独立運動の英雄、「エリン・・・」も実在の人だからわかるけれど、
「M・クライトン」は有名作家のクライトン氏ではなく、邦題「フィクサー」の原題で
ジョージ・クルーニーが演じた架空の弁護士、
そして「ドロレス・クレイボーン」は普通のおばさん。
この題名聞いても「何のこっちゃ?」としか思えないよ。

ただドロレス Dolores(愛称:ローラ、ロレッタ、ロリータ)って名前には
「聖母マリアの悲しみ sorrow of the Virgin Mary」って意味があるらしく、
名前を冠した題名からどんな映画か西洋人には伝わるものがあるのかもしれない。

 < ストーリー >
 
アメリカメイン州の小島。
富豪未亡人ヴェラ殺害容疑でメイドのドロレス(キャシー・ベイツ)が拘留された。
ニューヨークで記者として活躍中のドロレスの娘セリーナは、匿名のFAXで事件を知り、
久しぶりに故郷に帰る。
保釈された母と家に帰ったセリーナだが、二人の間には溝があった。
かつてドロレスは、夫からひどい扱いを受けながら、娘の学費を稼ぐ為
低賃金で厳しいヴェラにこき使われていた。
20年前日蝕の日に、夫ジョーが事故で死亡したが、マッケイ警部はドロレスが殺したのではと
疑い続けていた。
過去と現在の二つの事件のが絡み合い、次第に過去の真相が明らかになってゆく。


いやぁ、非常に見応えのあるサスペンスドラマでした。
キャシー・ベイツはメチャクチャうまい!
20年の時が交錯しながら話は進んでいくのだけれど、若いドロレスと年を取ったドロレスを
見た目、仕草、表情全てを見事に演じ、「撮影当時この人何歳だったんだろう?」と
思ってしまいました。
勿論メーク技術の助けもあるだろうけれど、若いドロレスにも全く違和感がないのです。

ひたすら娘を思い、娘を守るために戦う母の、そして社会的弱者たる女性の物語。
ドロレスと娘セリーナの関係を軸に、
ドロレスと夫ジョー、富豪夫人ヴェラ、二つの事件を追うマッケイ警部。

夫からの暴力、言葉の暴力に耐え続けたドロレスにも許せない一線があり、それを超えた夫。
冷たい雇い主に見えたヴェラも悲しみを抱え、いつしかドロレスに心を開き、
「所詮この世は男の社会。でも、事故は悲しい女のいい友達になりうるのよ」と語る。

Sometimes being a b**ch is all a woman has to hang onto.
  時として悪女になることが女の生きるよすがとなる。

こういう台詞を、ストーリーを、男であるキングが書くってことに驚かされました。
男性にとっては、これはホラーですよ。

日蝕ってやはり「何か悪いが起こる」ということを暗示させるイメージが残っているんでしょうね。

20年前の事件の真相が明らかになってゆく過程で、世紀の日蝕ショーもクライマックスを迎える。
         
悪石島同様、多くの人が、船が、日蝕を見ようと島に押し寄せる。
日蝕を待つ胸の高まりが、もう一つの出来事に対するドロレスの緊張の高まりと相まって
見ているこちらまで鼓動が早くなる感じで、手に汗握っちゃいました。

母の愛は深し。

「ミスト」同様、脚本は原作と異なる所もあるらしいけれど、キングも脚本に満足しておられるとか。
脚本のトニー・ギルロイって・・・
マット・デイモンの「ボーンシリーズ」3部作の脚本、
前出「フィクサー」では監督・脚本を手がけアカデミー賞にノミネートされていた方だったのですね。
本年度公開されたラッセル・クロウ主演の「消されたヘッドライン」の脚本も手がけておられます。
見とくんだった・・・。

なんてブログを書きながらケーブルテレビをつけたら・・・、
これまたスティーブン・キング原作の「グリーンマイル」放映中で、思わず見入ってしまいました。
以前に見た映画でも見直すと新たな発見があるもんですね。
キングの凄さを再確認しました。

「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」でキムタク演じる人の痛みを引き受ける男と同様、
「グリーンマイル」の黒人の大男ジョン・コフィーもキリストのイメージであり、
ジョン・コフィーって名前はイニシャルJ・Cでジーザス・クライストJesus Christと同じ
だったんだ~と今さらながら、納得しました。
ジョン・コフィからの連想で、似た名前ジョン・コナーを思い出しました。
「ターミナーター」シリーズのジョン・コナーもイニシャルJ・C
彼も人類の救世主って宿命を背負った名前だったのね。

ジョン Johnって名前は西洋人の名前として最も馴染みがあるけれど、ヨハネの英語読み・・・
キリスト教の知識があれば洋画の理解は深まるんだろうなぁ・・・。



* 注意 *
日蝕観測は専用のメガネがないと目を傷めるそうです。
昔言われた、黒い下敷きとかすすをつけたものとかじゃあダメらしいです。




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 ***** 最近 見た 映画 *****

 7月10日 「剣岳 点の記」 @ムービル横浜

 7月12日 「やがて復讐という名の雨」 DVD フランス映画

 7月13日 「MR 3000」NHK BS2 野球感動コメディ

 7月14日 「サンシャイン・クリーニング」@109シネマズMM横浜

        「それでも恋するバルセロナ」@109シネマズMM横浜

 7月17日 「ランジェ公爵夫人」DVD バルザック原作のフランス映画

 7月18日 「黙秘 Dolores Claiborne」DVD スティーブン・キング原作サスペンス

 7月19日 「麦の穂を揺らす風」DVD ケン・ローチ監督 


ある日どこかで  SOMEWHERE IN TIME

2009-07-12 | 映画 あ行
     
先ほどNHKハイビジョンで「グレース・ケリーの素顔を探して」という番組を見ました。
特に見たい番組がなく何となくチャンネルを変えていたら・・・
大好きな曲が、グレース・ケリーの映像のバックに流れていたのです。

この曲に魅かれてしばし見ているうちに、
女優からモナコ公国の王妃になったグレースの、華やかな経歴と美しい姿の裏にあった
葛藤・孤独、そしてそれを抱えながら立ち向かう強さに魅かれ最後まで見ました。


この曲とは1980年に製作されたタイムトラベル・ロマンス作品
「ある日どこかで  Somewhere In Time 」のテーマ曲です。

この曲を聴くと自然に涙が流れ、胸が痛くなるほどです。
007シリーズの音楽や、「野生のエルザ」「愛と哀しみの果て」などのテーマ曲で知られる
ジョン・バリー作曲です。

この映画がこれまたいいんだわ~。
どちらかというとリアリスト、ロマンス物にあまり惹かれない私ですが、
15年?位前にたまたまテレビでこの映画を見て、この曲とストーリーにすっかり魅了されました。
ラブロマンスとタイムトラベルを組み合わせたストーリーに、
20世紀初頭のノスタルジックな衣装や雰囲気、そこにあの曲です!

「時空を越えた愛」ってありえへんやろーと普通なら突っ込みを入れたいところや、
タイムトラベルものでは必ず気になるタイム・パラドックスって辻褄が合わないこともなんのその、
そんなことどうでもよくなってしまうような何かがこの映画にはあるような気がします。
一回見ただけですっかりを鷲掴みされ、お目目はハートでござんす。

     
  
スーパーマン俳優クリストファー・リーブ、
「007死ぬのは奴らだ」のボンドガール、ジェーン・シーモア主演です。
原作はリチャード・マシスン。
この方、スピルバーグの「激突!」、
死後の世界をカラフルに描いたロビン・ウイリアムズ主演の「奇蹟の輝き」、
ウィル・スミス主演の「アイ・アム・レジェンド」などの原作者だったのね知らんかった。

         
 < ストーリー >
1972年5月19日。
新人劇作家リチャード・コリヤーは初演の夜、老婦人に年代物の金時計を渡され、
“私のところへ帰ってきて”とささやかれる。それから8年後、グランドホテルの資料室で、
彼はエリーズ・マッケナという女優の古い写真に魅せられる。
日増しに膨れ上がる“彼女”への想いに苦しむリチャードは、ついに時間の壁を越えエリーズと出会う……。


エリーズ演じるジェーン・シーモアの美しさったら・・・
リチャードが魅せられるのも無理ないよなぁ~、女の私でも綺麗やな~と見とれますもん。  
         

この映画は公開時、アメリカでも日本でもヒットしなかったそうですが、ケーブルテレビや
ビデオなどで少しずつ支持が広がり、今尚ファンが多いそうです。
『「カルト古典」映画としてコアなマニアによって好んで視聴(Wikipediaより)』って表現は
如何なものかと思うけれど、私はコアなマニアじゃないけれど、好んでおります。


ファンによる英語オフィシャルサイトに日本のファンサイトなんてぇのもあって、
エリーズ人形やアクセサリー、カップにTシャツ他、様々なグッズのネット販売があり、
1990年ファンクラブ設立の翌年以来、
毎年2泊3日週末ファンの集い(今年は10月16~18日)がミシガン州五大湖の一つヒューロン湖にあるマッキノー島のグランドホテルで催されてるってんだから、
コアなマニアといわれても仕方ないかも。参加者はレトロな衣装が要るようです。



グレース・ケリーの素顔を探し、ジョン・バリーの曲をきっかけに懐かしの映画にたどり着く。
映画の中で音楽の力って大きいねぇ。

最後に、
幻のグレース最後の出演作から、彼女の人生訓とも言える言葉といわれていた台詞をご紹介。
      
       昔の女優さんって、上品で「お美しい」って言葉がピッタリです。

落胆することも人生の糧、大切なのは悔やまず前に進むこと

何とも勇気づけられる一言でした。




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これって・・・ミステリー?

2009-07-11 | その他
本日は、梅雨の合間の洗濯日和~という天気予報を信じてシーツ類を選択・・・、いえ、洗濯。
カラッと乾くと気持ちいいですもんね。

2階のベランダで竿を拭こうとして・・・固まりました。

毎年ベランダ近辺に足長バチが巣を作るので夏場は要注意!
雨戸の戸袋に巣を作られジェット噴射の殺虫剤で意を決して退治するかと近寄ろうとしたら・・・
何と、スズメバチが足長バチの巣を襲撃しているのを目撃
幼虫の入った巣がすっかり空に。
それはそれで「ありがとう」なんだけれど、洗濯物を干している時に、
大きな蜂がぶんぶん飛んでいると何かの拍子で刺されないかと、ちと怖い。

一月ほど前、大きめの蜂が妙に飛びかっているなと感じ、観察していたら、
金属製の竿の蓋が取れ、空洞になっている所に蜂が入っていくじゃぁあ~りませんか?!
ひょっとして又巣を作ろうとしてる?!
隣人にも指摘を受け、取りあえずアルミホイルを丸めて穴を塞ぐ事にしました。

それ以降蜂を見かけなくなったので、とすっかり忘れておりました。

そして今朝、
物干し台の上に何かがちょこんとのっている。
えぇ?
この丸いのは・・・


ひょっとして、蜂除けに、竿の穴をふさぐ為にいれたアルミの丸めたボールじゃない!!!
えっ、どうして?

私はずしてないし・・・
家族に聞いても知らないっていうし・・・
外から2階のベランダによじ登ってそんなことする暇人はいないだろうし・・・
・・・
・・・
・・・
 
青い竿の先に詰めていたアルミの丸めたものがT字の物干し台の上に・・・

か、からす? 
カラス 
カ ラ ス ~ ・・・かな? 

でもそんなことできるの~?!
竿に突っ込んであったアルミを穿り出し、3センチほどの物干し台の上に置ける??!

だいたい、そこに置く意味がわからん!

ひょっとして、私ってカラスにおちょくられてるの?

どう思われますか?

どなたか~、この謎を解いてくださいまし~!


あぐぁ~、気になる~! 

あげく・・・
天気予報の嘘つき!
洗濯物、カラッとならへんやったやんか~。

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マン・オン・ワイヤー

2009-07-06 | 映画 ま行
本作をテアトルで見るために、10年振り?ぐらいで新宿へ。
東京といっても、渋谷や銀座、上野とは随分雰囲気が違います。
いやぁ~、めちゃくちゃ変貌を遂げているやないか~い。

駅前の網目の巨大な花瓶のようなビルにビックリするとともに、
「私はどこ?どっちに向かっていったらいいのでしょう?」状態。
小田急で行ったので、高島屋タイムズスクエアへはぐるっと回って駅の反対側へ。
こちら側には「エンパイアーステートビル」のようなとんがったビルが視界に飛び込んできました。
「はぁ~、新宿はすんごいところだなや」と顔には出さず心の中で呟きながら、足早にテアトルへ。
汗ダクになりたくなくて早めに出て、ゆ~くり歩いて・・・迷っているうちに時間が迫る大誤算!
結局人混みをかき分け汗を拭き拭き小走りに。この日は蒸しました
  
JR新宿駅を背に高島屋タイムズスクエアを臨む  エンパイアステートビルに似てません? 
  
初めて行った『テアトルタイムズスクエア』。
静かで綺麗、ユニークなレイアウト、見やすくっていいなぁ~、また来よ~っと思ったのに、
8月いっぱいで契約満了の為閉館って・・・そんなぁ~、非常に残念です。


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  マン・オン・ワイアー   MAN ON WIRE

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アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞受賞
英国アカデミー賞最優秀英国映画賞受賞
サンダンス国際映画祭 ワールドシネマ審査員賞&観客賞受賞

アカデミー賞受賞時にはオスカーを顎に乗せてポーズをとるというパフォーマンスまで披露したらしい。

数々の賞を受賞した作品とは知らず、友人Yさんのお薦めで見ることに。

 < ストーリー >  テアトル情報より
1974年8月7日、ニューヨークの今は無いワールド・トレード・センター完成前のツインタワーを
綱渡りで渡ろうとしていたフランス人がいた。
高さ411m、地上110階という巨大な2つの建物の間にワイヤーを渡し命綱無しでその上を歩く。
全ての計画は友人らと共に、綿密な計画の下、ゲリラ的に進められた。
時は折しもニクソン大統領が辞任に追い込まれる日の2日前、雲まで届く高層ビルを綱渡りで歩き、
踊った伝説のフランス人フィリップ・プティ。


パリのノートルダム大聖堂に始まり、オーストラリアのハーバー・ブリッジ、
そしてニューヨークのワールド・トレード・センターへ。
どうしてこんな危険なことに挑んだのでしょう?
それに対して
理由なんてないんだ。でも人生はエッジの上を歩かなければ意味がない」と答える。


いやぁ、度肝抜かれます。
完成前どころか、まだ影も形もないワールド・トレード・センター建設決定の記事を
歯医者の待合室で見つけた何年も前から、ワイアーを渡して綱渡りをすると決めたプティ。
彼のその一途な思いと、そんな彼を支援する友人達。

違法な行為ゆえ、常にパフォーマンスが終るとともに、待ち構えた警察に逮捕される。
それでも、それを承知で、『そこに山があるから』と言う理由で山に登る登山家の同様
ワイアーの上を歩き、ワイアーの上で横になり、何度も行き来する。

411mですよ!風が吹いたらどうすんの?
建物の中から下を覗くだけでも足がすくむ高さです。
         

上野公園で見た1.2mくらいの綱渡りでもドキドキもんなのに、
411mって、土台下から見上げても渡っているのが見えるかどうかって高さでしょう?!

ツインタワーでの綱渡りの際に流れる音楽は、エリック・サティの「ジムノペディ」。
この曲をバックに渡る姿は、何だか神々しい儀式のような雰囲気。
ワイアーの上で寝そべる姿には緊張感は感じられないけれど、アドレナリンがドバーっと
大量分泌されてるんだろうなぁ。こういう緊張感を一度味わうと次もまたと、エスカレートして
止められなくなっちゃうのかなぁ? アドレナリン・ジァンキーだね。
  


彼一人に注目が集まるけれど、彼を支える友人達も大変です。
確かにプティは偉業を成し遂げたわけだけれど・・・
見つからないように工事関係者を装って、重いワイアーや機材を何度も階段で運び上げ、
パフォーマンスが終ったら、逮捕されるだけ。
でも、友人達もインタビューで当時のことを思い出し、話しているうちにだけで気持ちが高揚してくる。
その後袂を分かった友人が、振り返って話しているうちに感無量、涙ぐむ姿にちょっと胸が痛みました。

ワールド・トレード・センターの建設風景が見られるのも非常に興味深かったです。

今はテロ事件の影響で、チェックが厳しく、こっそり機材を運んでパフォーマンスなんて
できないだろうなぁ。

そういえば、世界中の高層ビルを命綱なしで素手で登る「フランスのスパイダーマン」こと
アラン・ロベール氏って方もいらっしゃいましたね。

フランス人って高い所好き???




 

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