映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

野望の階段  HOUSE OF CARDS

2015-08-28 | 映画 や行
我が家は光回線にしてケーブルTVから「ひかりTV」に変えました。
ケーブルTVの時はAXNやスーパードラマTV、FOXTVなどで毎週放送されるドラマを
見ていたのですが、ひかりTVでは毎週のドラマに加え、オンデマンドでTVドラマや映画を
いつでも見ることができます。有料のものも無料で見れるものもあって
シリーズを連続で一気に見ることも可能なんでしす
今NHKで放送されている「キャシーのbig C いま私にできること」もシーズン1~3までひかりTVの無料見放題で見終わりました。
そしていま、はまっているのが「ダ・ヴィンチと禁断の謎」。

そんな中、以前アップしたアメリカのTVドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」の元となる
英国BBC製作のドラマが今月末まで無料見放題であることに気が付きました。
早速先週から連続視聴。シーズン1と2、各4話を見終わりました。
本作は3部作なのでもう1シーズンあるようですが、シーズン3は見れないようです。
シーズン3が気になります。



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            野  望  の  階  段            
             HOUSE OF CARDS

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原作はサッチャー政権で首席補佐官を務めた本物の保守党政治家マイケル・ドブズ。
本作はサッチャー引退後の陰謀渦巻く英国政界を一人の人物を軸に描いてます。
政界の裏も表も知り尽くした人だからこそ書ける迫真のストーリー。怖いです。
英国には他にも「政治家で作家」という方がいたような…ググってみてビックリ!
大戦中首相を務めた誰もが知るサー・ウィンストン チャーチルは、何と!1953年ノーベル文学賞
受賞しておられたのですね。平和賞でなくガッカリしたなんてエピソードもあるようですが。
007のイアン・フレミングは政治家ではないですが英海軍情報部員を経て作家活動へ。
裏切りのサーカス」のジョン・ル・カレもMI6所属で外交官として勤務したあと作家活動へ。
「ジャッカルの日」のフレデリック・フォーサイスはジャーナリストからの作家活動でした。
✳︎ 31日のニュースで、フォーサイス氏が自伝の中でMI6の諜報活動をしていたと認め、
その経験をストーリーに活かしたという報道がありました。

 < ストーリー >
・シーズン1
保守党の院内総務長フランシス・アーカートは、党内からの信望も厚いやり手の政治家。
首相との口約束で次こそ入閣と意気込んでいたが、首相は引き続き総務長として任命する。
怒りと失意のなか、フランシスは首相を引きずり降ろし次期首相の座を手にしようと、
違法なことも含めあらゆる手段を講じる。
        
・シーズン2
首相に就任したフランシスだが、女王退位の後王位についた新王と政策について
対立することになる。野党党首や与党保守党の反対勢力と連携を図る国王に
怯むことなく解散総選挙で国民の真意を問うフランシスだが、自ら手を染めた
犯罪を暴かれそうになり…。

サッチャー後1990年代の英国を舞台にした本作と現代を舞台にしたアメリカのTVドラマでは
随分印象が違います。
派手な動きをするアメリカ版と違って、貴族出身の英国紳士は冷静沈着。
仕立てのよいスーツ、ツイードのコートに帽子を被り、上品です。
アメリカ版主演のケヴィン・スペーシーはギラギラした感じがありましたが、
本作イアン・リチャードソンは野望を表には出さず静かに冷たく心の奥底で燃やしている。
表面上は微笑んで、人当たりよく、でも目が笑っていない感じ…笑顔の下は般若です。
子飼いの部下を使って同僚政治家の弱みを握り、冷静に、緻密に、タイミングを計って
ここぞという時に効果的に使う。
彼の決め台詞は「You might very well think that. ButI couldn't possibly comment.」
「君がそう考えるのは自由だよ。しかし私はコメントはできない」っと言って
意味深な発言で情報を欲しがる人たちを手のひらの上で転がすのです。

1990年代という時代背景もあり、アイルランドIRAのテロに見せかけたり、街にあるれるホームレス、
王室との対立、国王の元妻(これってダイアナを彷彿とします)、破天荒な王女などなど、
英国ならではの背景も描かれています。

画面に向かって観客に語りかけるという手法は、英国版から。
良からぬ策を講じている時にニヤリと笑ったり、飄々と流したり、真顔で弁護したりする
主演のイアン・リチャードソンは狸おやじフランシスにピッタリです。
上品な狸…いや、英国だから狐かな。
   
    
シーズン1でもシーズン2でも、若い女性と関係ができるのですが、
どちらの女性も若く美しいのですが、女性側から彼に次第に魅せられていくというところ
年齢的にちょっと説得力に欠けるかな。権力の前にはひれ伏してしまうのか?はたまたファザコンか?

そしてアメリカ版ほど登場しないのですが、それゆえ余計にフランシスの妻が怖い。
ちょっとした一言で夫を励まし誘導し操る様は…政治家の妻の鏡?

シーズン1では執拗に街をうろつくどぶネズミ(rat)の描写が挿入されます。
これは「rat race 激しい生存競争」とか「smell a rat 胡散臭い」といった比喩なんでしょうか。
首相官邸のあるダウニング街には、昔から多くのネズミが住み着いていて「首相官邸ネズミ捕獲長」
なる役職を任命される猫ちゃん(現職はフレイヤという名前)が代々いるそうです。
それほどネズミがいるってことですね

英国版、是非ご覧あれ!


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 ***** 見た 映画 *****

 8月3~4週目 「野望の階段 HOUSE OF CARDS 英国版 シーズン1,2」 ひかりTV

懐かしの「ユー・ガット・メール」  YOU'VE GOT MAIL

2013-10-06 | 映画 や行
昨夜、BSでチャンネルを変えていたら…懐かしい映画を放映中。
見るとはなしに終わりまでチャンネルを合わせました。
1998年製作の「ユー・ガット・メール」。トム・ハンクス、メグ・ライアン主演、ノーラ・エフロン監督作で
「めぐり逢えたら SLEEPLESS IN SEATLE 1993」と同じ顔合わせの作品でした。
いやぁ~、二人ともまだ若かったねぇ~っと見すすめているうちに、気が付いたことがありました。

 < ストーリー >
NYで小さな本屋を営むキャスリーンはネットで知り合ったメル友「NY152」とのチャットを
楽しみにしている。ある日、店の近くに大手の本屋チェーンがオープンし、経営危機に陥る。
大手本屋の経営者ジョーと何かと対立する中、メル友との会話だけが心の拠り所。
そして「NY152」から直接会う事を提案されるのだが、待ち合わせ場所に現れたのは…。

たかだか15年前の作品なのに、いま改めてみると時代の変遷を強く感じます。
 ・映画のタイトル「YOU'VE GOT MAIL」はAOLのメール到着を知らせるメッセージ。
 ・街の小さな本屋さんが大手本屋チェーンにの進出に閉店に追い込まれる。
 ・見ず知らずのネット上でのやり取りはEメールとチャット。
15年前は映画に描かれていることが時代の先端だったのよねぇ。

公開当時AOLはネットスケープなどを次々買収、2000年にはタイム・ワーナーを買収し、世界最大の
複合企業体へ。その後ITバブル崩壊により業績が悪化、2002年以降はタイム・ワーナーの一部門となり
新興企業の台頭で業績は伸び悩み、2009年タイム・ワーナーと正式に合併を解消後、独立企業として
再出発ということのようです。
携帯の着信音に「YOU'VE GOT MAIL」を使っている方、結構いらっしゃいましたものね。
斯く言う私のキッチンマグネットもパソコンの形でボタンを押すとこのメッセージが流れました。
電池切れとなり、先日の断捨離で処分しました。
IT企業の栄枯盛衰の激しさには目を見張ります。

今の時代、新しい本の購入も中古本もネットで購入することが多いし、中古本ならブックオフにも行くし、
kindleなど電子書籍の台頭も著しく、万引きによる損失など、大手の本屋さんも苦戦しているようです。
2011年にアメリカで大手本屋チェーン「ボーダーズ(Borders)」が400店舗すべてを閉店という
ショッキングなニュースがありました。
うちの近くでも3店の町の本屋さんが閉店、2駅先にあった大手の支店もパチンコ屋さんに代わってしまい
ました

日本でのパソコン世帯普及率は、1998年当時は30%弱、95年あたりから順調に上昇し
2005年あたりに80%を越えたようです(総務省調べ)。
最近はタブレットやスマートフォンが増え、パソコンは少し減少して横ばい状態のようです。
本作を見て、ネット上で見ず知らずの人とメールやチャットって怖いよなぁなんて思った記憶が。
今やTwitterにSNS、LINEが急速に広がり、いつでもどこでも手軽にネットで繋がる時代。
ネットから離れて取り残される不安を意味するFOMO(fear of missing out)や、
逆に、たまにはネットから離れてゆっくりすることを意味するデジタルデトックス(digital detox)なんて
言葉も流行っているらしいです。

本作の中で勝ち組だった大手本屋チェーンもパソコンも、新しいものに取って代わられ、
無くなってしまうかもしれません。
「10年ひと昔」という言葉。今の時代の変化は激しいから5年か3年が昔の10年に相当するのかも。

今回初めて知ったのですが、本作は1940年の「街角/ 桃色(ピンク)の店」のリメイクだったそうです。
ジェームズ・スチュアート主演、街角の雑貨店を舞台にしたストーリーでメールならぬ文通が二人を
取り持つ手段だとか。
昔の方が情緒があると思いませんか?
因みに、原題は「The Shop Around The Corner」。です。
「ユー・ガット・メール」では、キャサリーンの経営する街の本屋さんの名前になってました。
「街角/ 桃色(ピンク)の店」っていう日本語タイトルはあんまりです。
「桃色の店」って、怪しげな成人映画と間違われるよ~
    


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 ***** 見た 映画 *****

 10月4日「コバート・アフェア シーズン3 vol.8」 DVD アメリカTVドラマ

       「ダウントン・アビー ~貴族とメイドと相続人 第1話」DVD 
         「コバート・アフェア」のおまけでDVDに入っていたのですが、英米で大人気の
          英国TVドラマです。貴族の館で繰り広げられる相続がらみのストーリー。
          第1話を見ただけですが、波乱万丈、面白そう~です。近々DVDレンタルが始まる模様。

 10月6日 「奇跡」DVD 是枝監督作品 まえだまえだ主演の家族ドラマ

ヤング≒アダルト  YOUNG ADULT

2012-03-02 | 映画 や行
いよいよ」「ヒューゴの不思議な発明」や「戦火の馬」「マーガレット・サッチャー」の公開が
近づいてきましたね。
予告編を見て、ますます期待が高まります。

でも動物ものに滅法弱い私。
「戦火の馬」の予告編を見る度に、涙ぐんでしまいます。
予告編で泣いてるようじゃ~、本編なんて見られへんよ~?と教育的指導入りました。
でも、ハンカチを握りしめ、滂沱の涙ってことになりそうです
飼い主の少年の手を離れ、戦火を駆け抜け数奇な運命を辿る・・・アカン!これだけでウルウルや~




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         ヤング ≒ アダルト

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「『マイレージ・マイライフ』の監督に『ジュノ』の脚本家」、
「オスカー受賞キャスト&スタッフによる完全なコラボレーション誕生!」
「棘があるけど心温まる感動のヒューマンドラマ」
ゴールデングローブ主演女優賞ノミネート!他、世界中の映画賞を席捲!!
などというチラシの解説を読んで期待して鑑賞したのですが・・・これ、痛いなぁ!


 < ストーリー >
ティーン向け小説のゴーストライターをしているメイビスはバツイチの37歳。
仕事も私生活もうまくいかない彼女は今日も二日酔いの朝を迎えた。そこに一通のメールが届く。
音信不通の高校時代の元カレ、バディからの、子供の誕生を祝うパーティーの案内状だった。
突然のメールに動揺しつつも、バディとの青春時代を取り戻そうと、故郷へ戻る決心をする。
再会したバディが今だに自分に好意を持っているとカン違いし、彼を取り戻そうとして・・・。


メッチャ美人のシャーリーズ・セロン。でも・・・何だか性格悪そう。
着ているのはハローキティのTシャツ。
      

はい、この映画の中では高校時代の人気者気分がアラフォーになっても抜けず、
こともあろうに子供が生まれて幸せいっぱいの元カレをあの手この手で振り向かせようとする
かなり危ない自己中女です。

タイトルの「ヤングアダルト」はティーン向け小説のジャンルです。
「腐った魚の匂いのするこんな田舎町、大嫌い」とミネアポリスでティーン小説のゴーストライターを
しているけれど、人気が落ちてシリーズは打ち切り。本屋でたたき売り状態。 
落ち込んでいる時、何故か届いた元カレからのパーティー招待状。
今さら…何で?といぶかりながらも、彼は私のことが忘れらえないのでは?と勝手に解釈。
高校時代の自分が一番輝いていた時を思いだし、すがるような思いで、夢よもう一度・・・と
故郷へ帰ることにする。

先日友人のYさんから聞いたのですが、
認知症になると、むかし英語の先生をしていた方が、英語でしゃべりだしたり、
看護婦さんだった方が「患者さんを見に行かないと」と言い出したりすることがあるらしいです。
自分が一番楽しかったころ、バリバリ働いて生き生きしていたころに戻るらしいのです。
本作のメイビスと同じで、無意識に人生で一番楽しかった記憶の中で生きようとするのでしょうか。

            
チラシを見ると、
 セロンがズボラ・カッコよく演じて面白い!
 イタい笑いが満載
 エッジが効いていてとても面白い
 セロンが演じたからこそ短なりイタイ女じゃなくなった
などなど、よく読むと皆さん微妙なコメント。
美しいセロンが演じても、これはイタイし笑えない。
とても「心温まる感動のヒューマンドラマ」とは思えないんですが・・・。
それは見る人の年齢によるのかもしれません。

イタイなぁ~。
引くわぁ~。




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四つのいのち  LE QUATTRO VOLTE/THE FOUR TIMES

2012-01-10 | 映画 や行
昨年横浜ジャック&ベティで見損ねた本作をDVDで鑑賞しました。




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         四 つ の い の ち  

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 < ストーリー >
南イタリア・カラブリア州の山深い村。
年老いた牧夫が犬を助手に、今日も山羊を放牧に行く。彼は教会のほこりが病を癒すと信じ、
毎日水に溶いて飲んでいる。ある晩、彼はひっそりと息を引き取る。
翌日、1匹の山羊が子ヤギを出産する。子ヤギは山に移動中溝にはまって出られず
群れに遅れをとる。助けを求め鳴き続けるが、森を彷徨い大きなモミの木のもとで力尽きる。
冬になり、春がきて、村人たちがそのモミの木を切り倒し、村の祭りのため広場に立てる。
祭りが終わると樅の木は小さく刻まれ、山のように組み上げられ、藁と粘土で覆い、火を点けられ、
木炭に生まれ変わり、人々の生活を支えていく。



映画館で見ていたら寝てしまったかも?
家でDVDで見た時も、うつらうつら、慌てて戻して見直したりしてしまいました。

セリフも、音楽もなく、聞こえる音はヤギや犬の鳴き声、ヤギにつけた鈴のカラコロいう音、
炭焼き山の形を整えるため、木で叩くパンパンいう音、風の音、風に揺れる葉の音、祭りの人のざわめき。
作為的な音はなにも無い。
ドキュメンタリーのようなタッチで、生まれては死んでいく命のリレーが坦々と、淡々と描かれます。

何の説明もないので、ヤギ飼いの爺ちゃんが教会でもらってきて大事そうにしているものが何なのか?
とか、爺ちゃんや子ヤギについて、えっ、亡くなったってこと?っと、すぐには理解できませんでした。

驚くような出来事も、隠された秘密も、何もなく、
ある田舎の村の日常が(ひつこいようですが)坦々と時間の経過とともに流れていきます。

自分の日常と、ゆったりと流れる時間の中でここに住む人々の生活を比べると、
同じ地球上で、同じ時を過ごしているということが、なんだか不思議です。

世界各国の映画祭でこの映画が高く評価されているのは・・・、
時間に追われ慌ただしく過ごしている人たちのノスタルジーなのか?
全く刺激が無いことが刺激的なのか?
どうなんでしょう?

     

  この牧羊山犬のボーダーコリーくんがこの映画で唯一のプロの役者さんです。
  名演技で、カンヌ映画祭で「パルムドッグ賞」受賞! です。
  確かに、ヤギを追う姿、村の子供との演技がお見事!




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ヤコブへの手紙 Postia Pappi Jaakobille

2011-06-26 | 映画 や行
「クレアモントホテル」との2本立てで見ました。
たった3人しか登場しない、言葉少ない静かなフィンランド映画です。

この2本立て、どちらもお勧めの心に残る作品です。



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           ヤ コ ブ へ の 手 紙

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 < ストーリー >
殺人罪で終身刑のレイラは恩赦を受け12年暮らした刑務所を出て、盲目の年老いたヤコブ牧師の
手伝いのため片田舎の牧師館にやってくる。彼のもとには悩める人からの手紙が郵便配達人によって
毎日届けられる。 レイラの仕事は、牧師への手紙を朗読し返事を代筆すること。
手紙を生きがいに暮らすヤコブ牧師と、無愛想に嫌々つきあい手紙の一部をこっそり捨てるレイラ。
ある日を境に手紙が来なくなり、すっかりふさぎこんでしまう牧師。手紙を持って来いというレイラに
こない物は配達できないという配達人。なんとかしようとレイラは・・・。   

           

殺人犯で終身刑、威圧感のある風貌に、誰をも寄せ付けない雰囲気を放つレイラ。
一方、盲目ながら身の回りのことは自分でこなし、規則正しく質素な生活、全ての人を
暖かく受け入れる聖人のようなヤコブ牧師。

ところが、手紙が途絶え錯乱・憔悴するヤコブ牧師。
自由になっても行くあてさえない自分に絶望するレイラ。

「自分は神の言葉で悩める人たちを救っていると思ってが、救われていたのは自分だった」
というヤコブの言葉が胸に響く。
ものごとは見方を変えると作用・反作用のように相反する見方ができるんですね。
レイラの頑なな心にも変化が起こり、ヤコブを救おうと行動を起こす。
そして最後に明らかになるレイラの犯した何ともやるせない罪の告白とふたりを結びつけた手紙。


郵便配達人の行動や、手紙が途絶える理由など「ん?これってどういうこと?」と
疑問が残るほど語られる部分は少ないのですが、少ないゆえに二人の葛藤や心の変化が
見る者に迫ってくる気がします。

DVDが出たら、もう一回見てみようっと。




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夜更かし羊が寝る前に SATELLITES & METEORITES

2010-06-29 | 映画 や行
デンマーク映画の次はアイルランド映画です。
同じヨーロッパ映画の棚に並んでいた本作、題名とかわいいパッケージに魅かれてレンタル決定!
「夜更かし羊が寝る前に」って、原題とはかけ離れたタイトルで内容とも合っているとは思えないけれど
興味を引くタイトルですよね。
原題は「SATELLITES & METEORITES」、「衛星と隕石」って・・・NHK教育科学ビデオの
タイトルみたいで、これまた何とも・・・何でこんな題名なん?

本作はアカデミー主題歌賞を受賞した「Once ダブリンの街角で」の監督さんの作品です。

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    夜 更 か し 羊 が 寝 る 前 に

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 < ストーリー >
ダニエルは執筆中の小説に登場するルシンダという女性の幻影を度々見るようになっていた。
ある日、コーヒーショップで出会った女性は、夢に現れたルシンダだった。
そして、その時から2人の恋が始まった、が・・・。

一応ストーリーを書いてみましたが・・・実際はこういう話じゃぁないんです。

最初は何がなにやら?
登場人物の関係や状況が飲み込めず、
同じ俳優さんなんだけれど、医者だったり会社の上司だったり、執事だったり???

実は、事故で同じ病院に入院してこん睡状態にある男女の恋のお話なんです。
つまり、現実と夢の話が、ダブルキャストで同時進行しているような感じです。
何とも手作り感溢れる、ファンタジー

夢でもし逢えたら~、素敵なことねぇ~
   夢の中で、二人はとってもかわいい恋愛中~。

あなたに逢えるまで~、眠り続けたい~ 
   っていうか、二人は眠り続け、非現実な世界で逢い続けます。
   眠り続けたら・・・、こん睡状態なんです。

ルシンダがキュートで積極的、だけどプラトニック・・・それは夢の中だから。

とても不思議な雰囲気の映画です。
そして、突然カタコトの日本語で話し出すのにはビックリ!
あの台詞はアニメか何かの台詞なんでしょうか?
何で日本語?  はぁ~??  何やこれ???

プロポーズは東京渋谷でって・・・
二人にとって、渋谷は日本人にとってのヴェネチアのゴンドラのようなものなんでしょうか?
渋谷はロマンチック~って範疇に入るとは思えないのですが、
アイルランドじゃぁ、渋谷は人気?なんでしょうか???

そして・・・結末は、悲しいけれどもファンタジー。
だから、悲しくは感じません。
きっと二人は、どこかで・・・いや渋谷で出会えるんじゃぁないのかなぁ~?  

あなたも、夢の中へ、夢の中へ、行ってみたいと思いませんか~?



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歓びを歌にのせて

2010-06-09 | 映画 や行
2005年アカデミー外国語映画賞にノミネートされた2004年のスウェーデン映画です。

 < ストーリー >
8年先までスケジュールが一杯という過酷な日々を送る世界的な指揮者ダニエルは、
心筋梗塞で倒れ、幼い頃の一時期過ごした小さな村で身体を休めることにする。
転居早々、教会のアマチュア聖歌隊の指導を頼まれる。年齢・性別・職業も異なるが歌を愛する人たちだ。
当初ためらっていたダニエルだったが、自分の声を感じ、ハーモニーを創りだす独自の指導を始める。
次第に歌う歓びを感じ、変わっていくメンバー達だったが、教会の牧師は変化を嫌い干渉し始める。
村でのコンサートが成功し、オーストリアのコンクールに出場することになるが…。

聖歌隊のメンバーは、
天使のような優しい心を持つが男に騙されてばかりのレナ、
夫の暴力に耐える美声の持ち主ガブリエラ、
教会の権威を振り回す偽善者牧師の妻インゲ、
太っていると35年間馬鹿にされ続けてきたホルムフリッド、
障害のせいで仲間はずれのトーレ、
傲慢で欲深いが行動力のあるアーネ、
嫉妬深いシブ。

ダニエルの登場で小さな村に広がる波紋。
あちらこちらで嫉妬の嵐。男の嫉妬は怖いなぁ~
ダニエルの足を引っ張ったり、聖歌隊メンバーを止めさせようとする人たち。
しか~しメンバーは夫々が抱えるものを歌を歌うことで開放し美しいハーモニーを創りあげる。
ダニエル自身も、「人の心を開く音楽を創りたい」という子供の頃からの夢を、人を愛する気持を育み達成する。

       
夫の暴力に怯えるガブリエラが「生きている歓びを 心から感じたい 私の人生は 私のもの」と
ソロで力強く歌い、全員でバックコーラスするシーンは感動的です。

誰かを好きだとわかる理由はとってもシンプルなんよね。
・顔を見ると幸せ
・いつも想っている
・一緒にいると、とても幸せ


エンディングは・・・え~っ、これって~?そんなぁ・・・、ハリウッド映画じゃありえないよー
歌の持つ力はわかるけど・・・ダニエルー


主役ダニエルを演じるのは「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」でも主役を演じた
ミカエル・ニュクビスト。
美声のガブリエルを演じるのはスウェーデンのミュージカル女優さんヘレン・ヒョホルム。

上手い下手にかかわらず、お腹の底から声を出すって開放感~、心の健康には必要ですよね。
久々にカラオケ行って心の開放しようかなぁ~



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 ***** 見た 映画 *****

 6月 3日 「グレイズ・アナトミー シーズン5 ⑤⑥」DVD

 6月 4日 「しあわせな孤独」DVD デンマーク映画

 6月 5日 「グレイズ・アナトミー シーズン5 ⑦」DVD

       「人生に乾杯!」DVD  ハンガリー映画

 6月 7日 「ONE SHOT ONE KILL 兵士になるということ」@有楽町

 6月 8日 「夜更かし羊が寝る前に SATELLITES & METEORITES」DVD アイルランド映画

       「歓びを歌にのせて」DVD スエーデン映画

40男のバージンロード  I LOVE YOU, MAN

2009-11-21 | 映画 や行
ポール・ラッドっといっても、「それ誰?」ってな感じで、御存知の方は少ないんじゃぁないでしょうか?

         
        
以前ジェニファー・アニストン主演の「私の愛情の対象  THE OBJECT OF MY AFFECTION 1998」で
始めて見て、何と爽やかでチャーミングな俳優さんだろうとすっかりファンになりました。
因みに、この映画ではゲイの小学校教員役でした。
それ以来、ず~っと注目しているのですがなかなか日本での注目度は上がらず、隠れファンとして
DVDを追っかけてます。
「40歳の童貞男」「無ケーカクの命中男」「寝取られ男のラブ♂バカンス」、それに本作と
何ともビデオショップで借りるのがちょっと恥かしいような日本語タイトルの作品出演が多いです。
って、御本人は日本語タイトルを御存じないでしょうが・・・。
それにしても、配給会社は「なんたら男」ってフレーズがお好きなんでしょうか???

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    40男のバージンロード  I LOVE YOU, MAN!

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 < ストーリー >
不動産会社に勤めるピーターは恋人ゾーイとの結婚も決まり幸せいっぱい。
ところが、結婚式を目前にして花婿付添人“ベストマン”を頼めるような親友がいないことに気付く。
ゾーイの友人達が「友達がいないっておかしくない?」と言っているのを聞き、親友探しを
始めたピーターだったが、なかなか思うようにはいかない。
ある日、シドニーと出会い意気投合。男同士のバカ騒ぎで盛り上がるようになるのだが・・・。

な、何と! あの大ヒット作「アイアンマン」の監督ジョン・ファブロー氏が
ゾーイの友人の夫役で役者しておられます!役者として色んな映画に出演しておられたんですねぇ。
自然に女性と会話が弾み、気配りもバッチリできる典型的草食男子の主人公ピーター。
そんなピーターを目の仇にする、ポーカーや一気飲み好き、マッチョな典型的肉食男子って役柄です。

「婚活」なんて言葉が流行るほど、これだっていう結婚相手を見つけるのは一苦労だけれど、
気の合う親友を見つけるのも、これ又なかなか大変です。

母や弟に友人候補の「男性」を紹介してもらったり、
これはと思った人はゲイで言い寄られてみたり、
ネットで知り合っていざ会ってみたらおじいちゃん(何十年も前の写真を載せていた)だったり、
無理してマッチョ肉食男子の集まりに参加しても浮きまくりでヘマをして追い出されたり・・・。

偶然出会ったシドニーは長身の自由人。
誘いの電話をかけるのに、まるで女性を初デートに誘うかのように電話の前で逡巡、
どぎまぎする様がと~っても可笑しい。
バンドの趣味で意気投合、男同士の友情が深まるにつれ、婚約者との関係がギクシャクしはじめ・・・。

アメリカのコメディーですから最後は勿論ハッピーエンド。安心して笑って見ていられます。

以前「おくりびと」の滝田監督が「生きてゆくことは滑稽だ。真面目にやればやるほど、可笑しくてかわいい」
っとおっしゃっていましたが、他人が真面目にやっているこを一歩引いて見るとコメディーになりますねぇ。

それにしても、「幸せになるための27のドレス」や「近距離恋愛」でも出てきた結婚式の付添い人。
揃いの服を着て結婚式を盛り立てる役なのかと思いきや、
「honor」や「best」が付く筆頭付添い人に選ばれるってのは男性にとっても女性にとっても
光栄なことのようですねぇ。

フランス版中年おやじの友達探しの「ぼくの大切なともだち」ほどシリアスで感動系じゃなく、
笑い満載でほんわか~ってなるのはやっぱりアメリカ映画だなぁ~。


え~っ!ポール・ラッドって「ナイトミュージアム」に出てたっけ!?
う~ん・・・そうだった、そうだった!
別れた妻の恋人でちょっと嫌味な役でした。


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闇の子供たち

2008-09-03 | 映画 や行
日本映画で、アイドル系宮崎あおいちゃんや妻夫木君を起用したこういう社会派は少ないのではないでしょうか?
日経の映画批評でなかなか取れないという高評価。
こりゃ見に行かなくっちゃ~
でも、きっと東京の小さな劇場でしかやってないんだろうなぁ・・・と思ったら、
何と!109シネマズMM横浜で上映中!


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         闇 の 子供 たち

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 < ストーリー >

タイ在住の新聞記者南部(江口洋介)は、本社記者つかんだ臓器密売についてのネタを調査。
日本人の子供がタイで臓器移植を受けるというものだ。
NGO職員の音羽(宮崎あおい)、フリーカメラマンの与田(妻夫木聡)と共に、
危険を犯しながらその真実を追う。



東南アジアへの売春ツアーなどという不名誉な事実がマスコミを賑わすことがある。
フィリッピンで日本人とのハーフと思しき肌の色・顔立ちの子供達が結構いるらしいという
TVドキュメントを見たこともある。
だが、この映画で描かれるのは、幼児、10歳にもならない子供達の人身売買で、
売春・臓器密売などの目的で、貧しい村から何も知らずに連れてこられた子供達だ。
格子の檻の中に入れられ、虐待され、病気になると生きたままごみ袋に入れられ捨てられる。
また、臓器提供のため、何もわからぬまま殺される。
非常にショッキングなことだが、こういうことが行われているのは事実だろう。


20年以上前だが、アメリカの牛乳パックのボディーに、顔写真付きで
「MISSING CHILD! 行方不明の子供 捜しています」という広告があったのを記憶している。
先進国アメリカで子供がいなくなるということもショックだが、
牛乳パックに捜索広告が出ていることも驚きで、
それ以上に身代金目当てでなく何の目的で子供がいなくなるか謎だった。
アメリカでは子供のできない人が養子縁組を望むも、なかなか順番がまわってこないとか
審査が厳しくてなかなか縁組できないということもあるようだ。
ミシェル・ファイファー主演の「ディープ・エンド・オブ・オーシャン」で
子供が誘拐された切ない家族の話もありました。
いまも牛乳やジュースのパックに子供捜索広告が出たりしているのでしょうか?

アカデミー賞外国語映画賞を取った1998年のブラジル映画「セントラルステーション」で、
ストリートチルドレンの主人公がお菓子か何につられていった先は
臓器移植のために子供達を集める組織で、「なんと恐ろしい所やなぁ」と思ったもんです。
「イースタンプロミス」は東欧の少女達が騙されてロシアンマフィアの売春組織に売られていました。

映画に描かれるってことは現実はもっとひどいってことでしょうね。


需要があるから供給するのか、売る人がいるから買う人がでてくるのか?
子供を売らなければやっていけないほどの貧困と、
子供を使って金儲けをする大人、欲望を満たそうとする先進国の大人たち。

「遠い国の話ではなく、地図の上ではたったの20cmの距離」


臓器移植で、助からなかった命が助かるということはありがたいことです。
でも日本では法律で15歳以下の子供は移植を受けることができず、海外で手術を受けることになる。
莫大な費用と時間がかかるし、
手術を行う国にも移植を待っている子供たちが沢山いるのに・・・という批判を受けることにもなる。

この映画では、一人の日本人の子供を助ける為に健康なタイの子供が売春をさせられた挙句、
麻酔をかけられ生きたまま臓器の提供者にされる。
生きたまま心臓を摘出され、殺されるということだ。

時として、科学の進歩は罪なことをする。
助かる術がなければ諦めもつくが、
移植をすれば助かると聞き、
残された時間はあとわずかで欧米での移植を待つ時間が無いとなれば、
タイでならすぐにでも移植が可能と聞けば、
どういう提供者か知りつつ罪悪感を感じながらも、心は乱れるだろう。
なまじお金があったら、決断するだけとなったら、行って移植を受ける人もいるだろう。
他人事なら正義を振りかざして批判もできるが、自分の子供がそういう状況になったらと考えると・・・
お金があるかどうかは別にしても、果たしてキッパリ断れるかと聞かれたら・・・自信ないなぁ。
まさに「悪魔のささやき」だよなぁ。

そこで儲けているのは医者と仲介者や犯罪組織で、提供者たる子供は命を奪われるだけだ。
こういうことが昔のことではなく、今現在進行形であるということにショックを受けると共に、
胸が痛く力が抜けました。

アメリカでは法的に問題が無くても、お金が無ければ移植は受けられない。
これまた親として非常に辛いことです。
デンゼル・ワシントン主演の「ジョンQ」は、貧しくて移植を断られた父が
病院を占拠し医者を脅して自分の臓器を息子に移植して欲しいという話でした。

「お金で命は買えない」なんて言われるけれど、今や命はお金で買えるんだな~。

ショックではあるけれど、こういうことが現在行われているということを知ることが、
まず第一歩でしょうか。



*****  ネタばれ あります   *****

  

           

結末は意外な展開。えぇ~!
はっきりとではないが、この一件を追っていた南部も実は幼児性愛者だったということ、
そして彼は自殺をする。
この展開はどうなんでしょう?

幼児買春が特殊なことでなく、
そういう人はあなたの身近にいるかもしれないという監督のメッセージなのでしょうが、
告発しようとする者が同じように性的目的のために幼児を買った過去があり、
罪の意識に苛まれているというのはちょっと納得でけへんよ。
罪の意識があるからこそ、罪を恥じ、命がけで告発してるんじゃないか
という考え方もあるかの知れないけれど、性的嗜好は簡単に変わるもんじゃないというしねぇ。

帰りに本屋さんによって、梁石日氏の原作を立ち読み(すみませ~ん)して確かめてみました。
やはりこの結末は原作には無く、監督の創作でした。
この結末で私は一気に醒めてしまいました。残念です。

こういう映画を見ると、どうしてもタイの国に対し偏見を持ってしまいますが、
タイは政府は日本よりずっと先進的な人身売買対策を行っており、
タイはアジアで唯一エイズ感染者数を減らしている国だそうです。
(逆に、日本は先進国の中で唯一エイズ感染者数を増やしているとか・・・)


監督は、
「この映画はかわいそうな子供たちの話でない。日本を含む先進国の児童買春者と、
それらを創り出す社会を告発する社会的な映画だ」
とおっしゃっているそうです。

供給側(売る側)だけの問題ではなく、
需要側(買う側)を厳しく取り締まり、その2つを取り持つ構造を断ち切ることが必要なのでしょうね。
難しいなぁ。



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