映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

パレードへようこそ  PRIDE

2016-02-09 | 映画 は行
サッチャー政権下、炭鉱閉鎖の抗議ストライキや閉鎖後を舞台にした映画といえば
「ブラス!」「フルモンティ」「リトル・ダンサー」などが思い出されます。
本作も炭鉱閉鎖に抗議する炭鉱労働者を支援しようと立ち上がる若きゲイ活動家とその仲間たちの
実話に基づくストーリー。
 
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        パ レ ー ド へ よ う こ そ PRIDE

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 < ストーリー >

1984年。炭坑閉鎖案に抗議して炭鉱労働者たちが英国各地でストライキに打って出た。
それを見たゲイのマークの呼びかけにゲイとレズビアンの仲間たちで募金活動を開始する。
ところが集めたお金を届ける段になって、同性愛者団体からの支援に抵抗を示す炭鉱側。
そんな中、ウェールズの炭坑がちょっとした勘違いから受け取りを快諾し、現地に寄付を
届けに赴く一行。当初、同性愛者たちに距離を置いていたマッチョな炭鉱労働者たちだったが…。

最近でこそLGBTという言葉が性的マイノリティを指す言葉としてやっと認知されるように
なってきましたが、エイズがよくわからない恐ろしい病として世界中で取りざたされ出した
80年代に、ゲイだとカミングアウトすることがどれほど大変で、偏見に満ちた白い目で
見られていたかは想像に難くない。
      
       右から3人目が発起人マーク。バケツに募金を入れてもらうのです。
善意から募金で集めたお金を寄付しようとしても団体の名前を告げるとことごとく断られる。
ちょっとした行き違いからウェールズの炭鉱が受け入れ、募金を届けに出向き炭鉱支援に
張り切る一行だったが…同性愛者たちの登場に戸惑い、混乱し、冷たい態度を取る炭鉱夫たち。
そんな中、窮状を救おうと手を差し伸べてくれた人たちに冷たい態度をとるのはおかしいと、
炭鉱夫の妻や母たち女性がマークたちを歓迎し交流を始める。
     
              
偏見と差別と戦う同性愛団体と、政府と戦う炭鉱夫たち。
共に戦うものとして、次第に影響を受け少しずつ歩み寄り「連帯」していく過程に胸があつくなります。
自分の生き方を貫くことの厳しい現実や、社会の偏見を描きつつ、滑稽でユーモアを忘れない
お勧めの英国ドラマです。

    
日本語タイトルの「パレードへようこそ」より原題の「PRIDE」の方がいいんじゃないかな?



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ブリッジ・オブ・スパイ

2016-02-02 | 映画 は行
家の屋根・外壁の塗り替えをお願いし、家の周りに足場が組まれ、洗濯物も干せない状態が
続いています。強風に雪で、思ったより長引いています。
加えて、ベランダの支えの木の腐食が判明 早く気が付いてよかったねって、
洗濯物と共に落下なんてことになったら大変ということで、ベランダをやり直すことになり、
今週もまだまだ落ち着かない日が続きます。

本作は2週間も前に見たのに…思い出しつつアップです。


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       ブ リ ッ ジ ・ オ ブ ・ ス パ イ

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 < ストーリー >
保険分野専門の弁護士ジェームズ・ドノバンだが、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕された
ルドルフ・アベルの弁護を依頼され引き受けることに。敵国スパイを弁護することに、
周囲から激しい非難を浴び、家族の身にも危険が迫る。そんな中、ドノバンとアベルの間には
互いに理解と尊敬の念が芽生えてくる。死刑が確実と思われたアベルだったが、ドノバンの弁護
により懲役30年で裁判は終わる。5年後、ソ連を偵察飛行中のアメリカ人パイロットのフランシス
・ゲイリー・パワーズが、撃墜されソ連に捕らえられる。両国はアベルとパワーズの交換を画策し、
ドノバンはその交渉役を命じられ、秘密裏にベルリンへ赴く。捕虜の交換は実現するのか?

子供の頃(冷戦下)、テレビドラマや映画で、こういうスパイの交換シーンをよく見たように
思います。離れた場所から一歩一歩、緊張みなぎる中ゆっくり歩む二人。
片方が走り出して撃たれ交換失敗に終わったり、
別人のエージェントが捕虜を装い、捕虜になった味方を確保して駆け戻る
なんていうのもありました。

本作を見終わって、事実に基づいたストーリーであることに驚きを禁じえません。
東西立場は違えど、祖国のため、命を懸け、信ずる道を進むドノバンとアベル。
対峙する中、互いに相手を認め、尊敬の念を抱き、ある種の友情のようなものが芽生える。
     
        
敵国への憎悪感情から死刑を求め、弁護するドノバンに敵意をあらわにする市民。
身の危険を感じつつ、アデルの死刑を阻止するドノバン。
そして5年後、思わぬ(ドノバンは予想していた)状況で再会するふたり。
CIAでもない一個人に、国家が秘密裏にこれほど重要な役割を演じさせるってあるんですね。

それ以上に驚いたのが、空軍のパイロットへの指示。
第二次大戦中、日本では「あえて虜囚の辱めを受けることなかれ」と捕虜になるくらいなら死を選べと
指示し、特攻の行為は欧米の兵隊には理解できなかったというようなことを聞いていたのですが、
冷戦下ではアメリカでもパイロットに「機密保護のため、飛行機は爆破し、捕虜になる前には
死を選ぶように」と毒針を仕込んだコインを持たせていたと。
    
アルゴ」同様、結末はわかっているのだけれど、
ドノバンが交渉のため東ドイツで奔走するシーンはハラハラドキドキ。
ベルリン壁てこんな風に作ってたのか~とか、当時の東ドイツの状況、東ドイツとソ連の関係など
非常に見応えのある作品です。
        

捕虜の交換に成功すれば、それぞれ自国に帰ることができるんだけれど、
帰ってからといって安心というわけではなく、捕虜になっているうちに
  国家機密を漏らしたのではないか?
  寝返って二重スパイになるのではないか?
っと、どちらの捕虜も帰国後も厳しい状況に変わりはないってところが悲しい。
まぁ、国家の機密がかかっているわけだからわからないでもないが。
同胞に歓迎されるのかどうかと尋ねるドノバンにそっと答えるアベル。
アメリカ人パイロットも同じこと。何故死ななかった?と詰られるのは辛いね。

ドノバン氏は「13デイズ」で知られる1962年のキューバ危機でも活躍されたようで、
こんなすごい方がいらしたんだなぁ~、こういう方がいたことを埋もれさせてはいかんなぁっと
思った次第です。
 → 私が知らなかっただけで、ただのやり手弁護士じゃなかったようです。   

先日NHKで「新映像の世紀 冷戦~世界は秘密と嘘に覆われた~」を見ました。
私たちが生きてきたあの時代、国家間の交渉や駆け引き。ちょっとした判断ミスでとんでもない
ことが起こりかねない綱渡りのような危うい時代だったのだなぁとひしひしと感じました。

いや、今の時代も中東、EU、ロシア、イラン、中国、北朝鮮、シリアにIS、難民問題にテロ、サイバーアタック、不安定な経済、伝染病にAI等科学技術の進歩による社会の変化などなど、
冷戦時代よりもっと複雑で先行きの見えない混沌とした時代を生きているんだわぁ~。
5年後、10年後、一体どんな時代になってるの?




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 ***** 見た 映画 *****

 1月10日 「ブリッジ・オブ・スパイ」@TOHOシネマズ川崎

 1月12日 「CAKE ケーキ ~悲しみが通り過ぎるまで~」DVD ジェニファー・アニストン主演

       「WISH I WAS HERE 僕らのいる場所」DVD