秋冬はミカンやリンゴ、柿など旬な果物が多い。 売り場では「糖度」の表示がある商品も目に付く。
糖度が高い商品につい手が伸びがちだが、そもそも糖度とはどういう指標なのか‥‥。
糖度計メーカーのアタゴ(東京・港)を訪れると、メディア部の”牧野さん”が教えてくれた。
「糖度とは果汁100㌘の中に(砂糖の主成分である)ショ糖が何㌘含まれているか、その濃度を示す」。
これをブリックス値と呼ぶそうです。 単位はパーセントだが、果物や野菜については「度」で表す
ことが一般的だ。
果物の糖度は光を通して、屈折率を計って算出する。 例えば、濃い砂糖水が入ったグラスに箸を入
れると、水だけが入ったグラスに比べ、より先が曲がって見える。 このように何かがみずに混ざ
って濃度が上がると、屈折率が高くなる原理を活用する。
主に果汁を搾って測る方法と。果物を切ったり搾ったりせず光センサーを使って表面の状態から糖度
を計測する方法がある。 後者の場合、糖度の割り出し方が果物ごとに異なるので、それぞれの果
物に適した糖度計を使う。 屈折率には、果汁に溶け込んでいる果糖や酸などショ糖以外の様々な
成分にも影響する。 糖度計で測定した値はそれらをすべて含めて「糖度とみなしている」(牧野さん)
糖度を左右する要因はいくつかある。 中央果実協会(東京・千代田)の審議役、”朝倉さん”は「品種だ
けでなく、その年の気候や育て方など環境要因でも糖度は変化する」と説明。 近年は糖度を高く
する育て方のノウハウが蓄積されてきて、糖度が高い作物をより多く生産できるようになってきて
いるそうだ。 そこで疑問がわいた。 糖度=甘さの度合いといえるのか? 牧野さんに聞いてみ
ると「一概に糖度が高いから甘い、低いから甘くないとはいえない」と意外な答えが返ってきた。
例えば、ニンニクは果物ほど甘くないのに50度近い数値が出るものもある。 これは、ニンニク
に含まれる一部の成分の屈折率が高いからとのこと。 レモンも10度前後のものもあるが、実際
に甘く感じないのは酸も糖度として測定されているためだ。
試しにスーパーで購入したA、B、Cのそれぞれ品種が異なる3種類のミカン糖度を測ってみた。
すると数値が同じでも、実際の甘みの感じ方は大きく違った。 A、Bの糖度は12.4度糖度と同じ。
Aはほとんど酸味がなく、強い甘みが口に広がった。 Bは強い甘みの後に酸味も感じた。 それぞ
れ甘みは強いが、甘みの質は違う。 Cは糖度が11.7度とA、Bより少し低く出た。 ただ、かむと
酸味と同時に十分な甘みも感じ、全体としては薄味だ。
人の味覚は単純ではなく、感じる甘みは酸味や塩味などとのバランスによっても変わる。 スイカや
トマトに塩をかけると、しょっぱさが甘みを引き立ててくれる味覚の「対比効果」がその一例だ。
おいしさはもっと複雑で、味そのもの以外にも食感や香りなども影響する。 「シャインマスカッ
トのように万人受けしやすいものはあるものの、おいしさの基準は人それぞれ」と朝倉さんは強調。
「人間は味に変化があるとおいしいと感じやすい」。 味覚センター開発のOISSY(東京・港)の
社長、"鈴木さん"はこう語る。 味の味蕾という器官は固体のままでは味が感じられず、液化した
時に感知できるといい「そしゃくした時に味が変化していく食べ物をおいしいと感じる人が多い」
と指摘する。 逆に単調だと飽きてしまい、おいしいと感じにくいようだ。 確かに甘味しかない
ミカンよりも、後から酸味が出てくるミカンの方がおいしいと思う。(これ私の感覚です)
食品スーパーの青果売り場に行くと、糖度を表示しているケースも少なくない。 ただ、糖度だけで
は味を判断しにくいため、色々な角度から果実の特徴を伝えようと工夫している店もある。
ライフコーポレーションでは品種が多い果実には「甘味」「酸味」「硬さ」などの指標を表示して
いる。 農産部課長の"金子さん"は「糖度だけでなく歯応えや酸味など好みは人それぞれ。 顧客
が好みの品種を選ぶ目安になれば」と期待する。
糖度はあくまで一つの指標と捉えて、食べ比べしてみると自分の好みの発見につながるかもしれない。
この冬は様々な果物の品種を味わい、楽しんでみませんか。
糖度が高い商品につい手が伸びがちだが、そもそも糖度とはどういう指標なのか‥‥。
糖度計メーカーのアタゴ(東京・港)を訪れると、メディア部の”牧野さん”が教えてくれた。
「糖度とは果汁100㌘の中に(砂糖の主成分である)ショ糖が何㌘含まれているか、その濃度を示す」。
これをブリックス値と呼ぶそうです。 単位はパーセントだが、果物や野菜については「度」で表す
ことが一般的だ。
果物の糖度は光を通して、屈折率を計って算出する。 例えば、濃い砂糖水が入ったグラスに箸を入
れると、水だけが入ったグラスに比べ、より先が曲がって見える。 このように何かがみずに混ざ
って濃度が上がると、屈折率が高くなる原理を活用する。
主に果汁を搾って測る方法と。果物を切ったり搾ったりせず光センサーを使って表面の状態から糖度
を計測する方法がある。 後者の場合、糖度の割り出し方が果物ごとに異なるので、それぞれの果
物に適した糖度計を使う。 屈折率には、果汁に溶け込んでいる果糖や酸などショ糖以外の様々な
成分にも影響する。 糖度計で測定した値はそれらをすべて含めて「糖度とみなしている」(牧野さん)
糖度を左右する要因はいくつかある。 中央果実協会(東京・千代田)の審議役、”朝倉さん”は「品種だ
けでなく、その年の気候や育て方など環境要因でも糖度は変化する」と説明。 近年は糖度を高く
する育て方のノウハウが蓄積されてきて、糖度が高い作物をより多く生産できるようになってきて
いるそうだ。 そこで疑問がわいた。 糖度=甘さの度合いといえるのか? 牧野さんに聞いてみ
ると「一概に糖度が高いから甘い、低いから甘くないとはいえない」と意外な答えが返ってきた。
例えば、ニンニクは果物ほど甘くないのに50度近い数値が出るものもある。 これは、ニンニク
に含まれる一部の成分の屈折率が高いからとのこと。 レモンも10度前後のものもあるが、実際
に甘く感じないのは酸も糖度として測定されているためだ。
試しにスーパーで購入したA、B、Cのそれぞれ品種が異なる3種類のミカン糖度を測ってみた。
すると数値が同じでも、実際の甘みの感じ方は大きく違った。 A、Bの糖度は12.4度糖度と同じ。
Aはほとんど酸味がなく、強い甘みが口に広がった。 Bは強い甘みの後に酸味も感じた。 それぞ
れ甘みは強いが、甘みの質は違う。 Cは糖度が11.7度とA、Bより少し低く出た。 ただ、かむと
酸味と同時に十分な甘みも感じ、全体としては薄味だ。
人の味覚は単純ではなく、感じる甘みは酸味や塩味などとのバランスによっても変わる。 スイカや
トマトに塩をかけると、しょっぱさが甘みを引き立ててくれる味覚の「対比効果」がその一例だ。
おいしさはもっと複雑で、味そのもの以外にも食感や香りなども影響する。 「シャインマスカッ
トのように万人受けしやすいものはあるものの、おいしさの基準は人それぞれ」と朝倉さんは強調。
「人間は味に変化があるとおいしいと感じやすい」。 味覚センター開発のOISSY(東京・港)の
社長、"鈴木さん"はこう語る。 味の味蕾という器官は固体のままでは味が感じられず、液化した
時に感知できるといい「そしゃくした時に味が変化していく食べ物をおいしいと感じる人が多い」
と指摘する。 逆に単調だと飽きてしまい、おいしいと感じにくいようだ。 確かに甘味しかない
ミカンよりも、後から酸味が出てくるミカンの方がおいしいと思う。(これ私の感覚です)
食品スーパーの青果売り場に行くと、糖度を表示しているケースも少なくない。 ただ、糖度だけで
は味を判断しにくいため、色々な角度から果実の特徴を伝えようと工夫している店もある。
ライフコーポレーションでは品種が多い果実には「甘味」「酸味」「硬さ」などの指標を表示して
いる。 農産部課長の"金子さん"は「糖度だけでなく歯応えや酸味など好みは人それぞれ。 顧客
が好みの品種を選ぶ目安になれば」と期待する。
糖度はあくまで一つの指標と捉えて、食べ比べしてみると自分の好みの発見につながるかもしれない。
この冬は様々な果物の品種を味わい、楽しんでみませんか。