二畳庵庵主の戯れ言

一輪の桜に従い野に。ついに2015年、人生の第三ステージの場・高知に立つ。仁淀川に魅せられたオヤジの戯れ言日記。

蝉時雨

2011-07-17 09:39:19 | 徒然に想う

カワセミの川に下り雑木林に入っていくと、蝉時雨。待ってました。例年梅雨明けとともに鳴き声に包まれるものと思っているから、今年は静かでどこか物足らなかった。鳴き方すると、まだニイニイゼミ。そのせいか、ちょっと小ぶりな感じ。それが、朝のちょっとした涼しさと相まってなかなか可愛らしい。

正直、どうして蝉時雨がない・遅いのかと不安だった。原発事故のことがある。その影響で、幼虫たちが地面の中で死んでしまったからではないだろうかとさえ思っていた。どうやら、そう、梅雨が早く明けすぎた。ただそれだけのことのようだ。小暑と大暑の中間あたり、やっと時季のサイクルがセミたちの番にまわってきた。

ちょっと遅く5時過ぎに散歩に出ると、朝の涼しさを求めてだろう、遊水池やその手前の公園の木陰で蝉時雨を楽しまれている方たちが多い。ただ、大概陽の強さと暑さに辟易された顔をしている。遠目で見てもそれがはっきり手に取るように分かる。「おはようございます」、不思議な力を持っている。言う側も返す側もどんな顔をしていても、その瞬間笑顔になる。素敵な言葉だ。

歩きだすと、いろいろなことを考える。芭蕉の「静けさや岩にしみいる蝉の声」のセミはなんだろう。蝉時雨と静けさが結び付かない、静けさが岩にしみ込んでうるさいほどセミがいる、ということ、か。それもそうだが、蝉時雨は他の音が目立たないから静かともいえる…。完全に一人の世界に浸る。ふと気付いたら、小太りな小母さんがどっこらっしょとベンチで汗を引かせている。「おはようございます」「あら、おはよう。暑いわね。」満面の笑顔だった。

 

 

 

今日の一枚:川の土手も半分近く過ぎ、もう向こうに神社が見えてきた。笹の新芽。この笹を使って細工を作っている方がいる。話をもっと伺いたいのだが、なかなか再会できぬ。6時15分頃。